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ビヨンド・ザ・ワールド


クドウ・マコト

ここは……俺たちの知るものとは異なる『地球』か。
この世界も『異世界人』の存在が認知されているんだな。
『放浪者』か……まさしく今の俺たちを指し示すに相応しい呼称だ。
この身は既に死者。地球に関わらない為の旅路だったが――。
何かの縁だ。困っているというのならこの力、役立てよう。


更新情報(2021/09/10)

過去作とのクロスオーバーシナリオ、『ビヨンド・ザ・ワールド』が開始直前!
今回のクロスオーバーのメインはWTRPG11『グロリアスドライヴ』となります。
当特設ページではクロスオーバーシナリオに関する解説やストーリーノベルを掲載!
新たに始まる物語をぜひお楽しみに!

ストーリーノベル

●放浪するものたち

<クドウ・マコト>
「実は、俺たちにはさしたる目的もなくてな」
 外宇宙探索用に改造された巨大な宇宙艦、通称『サルヴァトーレ・ネロ』。
 その艦橋には『邪神戦争』の後、そこそこの広さを持つ畳が増設された。
 畳というか、つまり茶室のようなものだ。
 科学の粋を集めた高度なコンソールから少し離れたところに茶室がある。
 ここに船の外から来客を迎え入れるのは初めての事だった。
「なので、とりあえずお前たちについていこうと思うのだが……よいだろうか?」
 正座したクドウ・マコトの提案に、同じように正座したクラインが頷く。

<クライン>
「ええ。といっても、我々も現在の旅路が正確なものであるという確信はないのですが」

 マコトとクラインが出会ったのは、とある小さな『世界』だった。
 それは彼らの意図したものではなく、遭難と呼ぶべき状況にあった。
 しかし、彼らはそこで『咎人』という異世界人と遭遇したのだ。
 彼らは『追放者』であるマコトやクラインに対し、親身になって対応してくれた。
 『ベヒーモス』なる、並行世界の『神』を共に討伐し、マコトもクラインもそれぞれ別々の旅路に戻った……はずであった。
 別々の世界を目指していたはずの二つの船は、いつの間にか合流。
 今はクラインたちもマコトたちも航路を共にしていた。

「少し整理しましょう。我々ナイトメアは、『ホーム』と呼ばれる世界を目指しています。事情は複雑ですが、要約すると地球への侵略を停止させるためです」
「ん……? ナイトメアというのは、地球への侵略者だったのか?」
「……? そう言っているつもりですが……?」
 マコトは眉を顰める。それってつまり悪党ではないのか。
 いやでも、自分たちも地球を侵略しようとしていたわけで……立場は同じである。
「なるほど。お前たちに妙に親近感が沸く理由がわかってきた」
「はあ」
 クラインは話を続ける。
 『ホーム』はナイトメアの本拠地、つまり母星であるということ。
 そしてその母星に辿り着き、地球への侵略をやめさせることが目的であること。
 しかし、母星に辿り着く手段は失われており、今はたくさんの世界を跨いで『運よく』ホームに辿り着くことを目指しているということ……。
「なんとも気が遠くなるような話だな」
「ええ。実際問題、既に地球への侵略は停止しているのです。ただし、それは仮のもの。地球だけではなく、今後一切異世界にナイトメアが侵略しないようにするためには、どうしても私が直接ホームに帰還する必要があります」
「ん……? ナイトメアは地球以外も侵略していたのか?」
「そう言っているつもりですが……?」
 またマコトは眉をひそめた。
「俺も人の事は言えないが、なかなか凶悪な種族だな、お前ら」
「返す言葉もありませんが、そちらも同じようなものでは?」
 考えてみる。
 そういえば、『邪神』はものすごくたくさんの世界を滅ぼしていた。
 その尖兵どころか『闇の守護者』だったことを考えると、マコトは決してクラインらナイトメアを『悪』と言える立場ではない。
「すまん。俺も似たようなものだった」
「でしょうね」
「俺たちは何をやっているんだろうな……」
「本当にそうですね……」
 ズーンと、場の空気が重くなる。
 そんな空気を換えようと、テルミナスとバニティーが声をかけた。

<テルミナス>
「ク、クライン! 過去は変えられませんが、未来は変えることができる、ですよ! これをスローガンに頑張っていきましょう!」
「お、おぉ~! いい言葉だね! 過去は……うん、過去は変えられないけど……! これから善行を積み重ねればね! 大丈夫! わたしたち寿命めっちゃ長いし!」
 無表情なりに落ち込んでいた二人がじわじわと元気を取り戻す。
 そもそも落ち込んだり罪悪感に苛まれる権利すらないのだと、二人は同時に考えた。
「マコト。あなた達はヴォイドという種でしたね。今は目的を持っていないのですか?」
「ああ。とにかく俺たちは平和にとって邪魔だったからな。体裁上は外宇宙の探索と開発という任務についたことになっているが、実情としては宇宙島流しだ」

<バニティー>
 それは地球人がそう望んだわけではなく、マコトが自ら選んだ道だった。
 火星の開発を終えたマコトに、少なくとも関係者は『許し』を与えた。
 だが、強い『負』の力の化身であるマコトがヒトと共に歩むことは難しい。
「――と。そういえばあんたら、俺たちの近くにいて何ともないのか? 威圧感や、身体が重くなる感じはしないか?」
「……? いえ、特になんとも……リジェクションフィールドのおかげかもしれません」
「そうか。それはよかった」
 実際問題、傷つけずに済む相手との会話は安らぎを与えてくれる。
 マコトとクラインは同時に湯呑から緑茶を啜った。
「俺たちの目的について、だが――」
「はい」
「この間の、ベヒーモスの一件を受けて考えてみた。やはり俺は何かを生み出したりすることはできない。戦いだけでしか役に立たない存在だ、と」
 実際のところはそれ以外にも役立つところはある。
 非常に頑強な肉体を持つマコトは生身でも宇宙空間で活動が可能であり、酸素すら必要とせず火星で作業が可能であったりした。
 だがどちらにせよ、強みと言えばその肉体的なものだけである。
「そこで考えたんだが……俺はこの力を誰かのために役立てたいと思う。できることなら、正しいことのため。正しい行いをしようとしている者のために」
 マコトが思い浮かべたのは、かつて共に闇へと立ち向かった戦士たちのこと。
 彼らは絶望的な戦いの中でも決して屈せず、すべての世界を守ろうと戦った。
 アレこそ、本来マコトがなりたかったモノの姿だろう。
「――そうだな。つまり俺は、正義の味方になってみたいんだ」
「正義の味方、ですか」
「そうだ。正しいコトをしているヤツが必ず『力』を持っているとは限らないだろう。俺に『正義』はないけれど、『力』ならある。だから俺は、正しいヤツに力を貸したい」
 そんな風に思えるようになったのは、あの日咎人たちと出会ったからだ。
 彼らは異世界から颯爽と現れ、正義を成して去っていくヒーローだ。
 ……少なくともマコトにはそのように見えたらしい。
「さしあたり、俺はお前たちの手伝いをしようと思う。俺の主観からして、お前らのやろうとしていることは人助けであり、正義であるように思えるからだ」
「いえ、正義ではありませんよ。罪を償うことでしかありませんので。マイナスをゼロに戻すことは正しさではありません。真の正しさは、ゼロをプラスにすることです」
 ナイトメアが最も苦手とすることだ――クラインはそう付け加えた。
 ナイトメアは最初から欠落した存在であり、他者に寄生して存在をつなぐ。
 いくら時を重ねたところでその在り方はマイナスをゼロに戻す作業でしかない。
 故に、ゼロから未来を生み出す力――想像力を前に敗れ去ったのだ。
「だとしても、お前らのやろうとしていることは誰かの正しさを守る為の行いだろう。客観的にどうかは俺には無関係だ。ただ、俺は俺の感じた正義に従う」
「そうですか。確かに、他人の考えを誤りなどと断じられる立場ではありませんでした」
 再び二人は湯呑を傾ける。
 その奇妙なシンクロにバニティーは苦笑する。
「そんでさ、クライン。ホームまではあとどのくらいかかるの?」
「わかりません。次の次元転移でヒットするかもしれませんし、100年後かもしれません」
「おぉ……すっごいランダム……。そっちの技術者のペンギンさんとお話してみようか? こっちの技術で何かお手伝いできるかもしれないし――」
 と、まさにその時だった。
 サルヴァトーレ・ネロのメインコンピューターが周辺座標の情報を映し出した。
 それはつまり、この航路か過去に記録されていることを意味している。
「あれ……おっかしいなー。この航路、だいぶ前に通過してる? 周辺環境をサーチしてみるね。えーと、一番近くにある惑星をモニターに映してっと……」
 バニティーは座敷に座ったまま片手をくるくると動かす。
 機械技術的なコンピューターではなく、『VOID化』した船は魔法的能力で操作できる。
 そうしてモニターに映し出されたのは――青く輝く懐かしい惑星……。
「これは……」
「地球……か?」
 一同顔を見合わせる。
 そこにあったのは、とうに旅立ち二度と戻ることはないとした星。
 あのベヒーモスが渇望した惑星、地球であった。



●あの宇宙の片隅で
「あいつらを地球に呼び戻してどうするの?」
「あ? 決まってンだろ。あいつらはエサだ。咎人を引っ張り出す為のな。――この間は失敗だったが、今度こそ補足してやるぜ」
「アンタには無理でしょ。まんまと打ち返されちゃってさ」
「俺様は敗けてねぇ。ありゃたまたまだ。第一、これまで誰もあの宇宙に干渉することはできなかっただろーが。俺様はその壁に亀裂を生じさせたんだぜ? 偉業だろ」
「誰もできなかったんじゃない。やろうとしなかった、やる意味がなかっただけ」
「あぁ!? やれって言われたからやってるんだろうが! 俺様は真面目なンだよォ!!」
「うっさ……で、なんで地球の、しかも並行世界?」
「この世界の『特異点』はとうに安定しちまってるからな。俺様をもってしても並行世界くらいにしか手を出すことができなかったというわけよ。めんどくせぇし」
「本物じゃなくてもそんなこと彼らの主観からはわからない、か」
「そーいうこった。とりあえずガワは合わせてやったが、中身は好きにさせてもらってる。キヒヒヒ……あの時の借りを返してやるぜぇ!」
「忘れないでよ。私達、『ハーベスター』の仕事。不必要な変化を与えると、どんなエフェクトが発生するか私達にも制御できない」
「連中が俺様の演算能力を上回るとでも? 自分で言ってておかしいと思わねーのか?」
「ハーベスターの予測を超えるケースがある。だから、ハーベスターが必要なんでしょ」
「おい、どこ行くんだよシックス。せっかくだ、見物していけよ」
「嫌よ。私、今月のノルマ未達成だし」
「チッ、付き合い悪っ。ま、いーや。さてさて、まずは――お客様をご招待といこうか」

(執筆:ハイブリッドヘブン運営)

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