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人幻界テンペスト


イーサン・クーパー

ふう……テンペストもなんだかややこしいことになってきたな。
そろそろ一度報告書でも作るとするか……。
ん? 俺がカレーしか作らないとでも思っていたのか?
お前さんが戦場で活躍している時、俺もせっせと働いているんだよ。
よし、お前にも見せてやろう。少しは俺の苦労を知るがいい!


更新情報(2021/07/02)

7月3日、グランドシナリオ「スプリーム・ゴッド・プロジェクト」が公開予定!
それにあわせ、特設ページを公開しました。
人幻界テンペストでのこれまでの物語をまとめております。
シナリオ中に発覚した新事実など、ワールドガイド以上の設定を開示しております。
必ず読まずともシナリオには参加できますが、より楽しむためにお役立てください!

ストーリーノベル

●ベリトちゃんの憂鬱
「あーーーーーーッ!!! もうヤダッ!! 使えないヤツばっかりだよねェ!!」
 ビルの屋上にベリト(mz0054) の叫びがこだまする。

ベリト
「初登場であっさりと殺されてしまい申し訳ありません。まさか『スーパーベリトちゃん像』まで破壊されてしまうとは……面目ありません」
「お前さぁ……まさか手ェ抜いてないよなぁ……?」
「そんな。まさか……。一生懸命ですよ」
「復活させてやったのに減らず口を……」
 眉をヒクつかせながらベリトは部下であるドールちゃんを睨む。
 ベリトドール部隊はベリトに忠実な人形部隊である。
 彼らは自我を奪われた操り人形。繰り手であるベリトに逆らうはずがない。
 当然、嘘を吐くはずもないのだが……イマイチ信用できない。
「そういうベリト様こそ、随分あっさり手を引きましたね。本気を出されればあれくらいの咎人、どうということもないでしょうに」
「あ? あんな連中にいちいち本気出してられるかよ。そりゃ~~~このベリト様が本気を出せば、あんな連中ひと捻りだよねェ。腐っても一個の世界の侵略を任されているエリートだし?」
「立派な中間管理職ですよ」
「クソがァ! それ言われると急にアラタちゃんと同格な気がしてイヤなんだよ! ボクはあんなくたびれたサラリーマンみたいなやつとは違う! もっとクリエイティブなんだ!!」

<ドールちゃん>
「ですから、本気を出されればよろしいのでは?」
 むっとした様子で腕を組み、ぷいっと視線を逸らす。
「……そんなん、負けを認めるのとおんなじだろ。こんなザコ共になに熱くなっちゃってんの~って、エキドナに笑われるのがオチだよねぇ。ボクは舞台の上の役者じゃない。それを面白おかしく楽しむ観客なんだからさ」
 実際のところ、ベリトはまだ底を見せていない。
 氷堂アラタ(mz0055)より簒奪者としての歴も長く、エキドナからの信頼も厚い。
 本気を出せば、こんなもんじゃない。
 だからこそ、本当の自分――本気を見せるのが嫌だった。
「チッ。こんな時は安達でもイジるに限るってのに、あの野郎どこ行ったんだよ」
「恋……なのですね?」
「違うわアアアアアッ!!! あんなヒョロメガネのどこがいいんだよ!?」
「では、鮫島様の筋肉の方が……?」
「グッ……鮫島と比較すればまだ安達の方が……ってそんな問題じゃないよねェ!! あーもう、やっぱこの世界が異常なんだよ。こんなに苦労するとは思わなかったなァ……」
 人幻界テンペスト。この世界は色々とおかしい。
 鎖神貴一(mz0051) とかいう不安定なワンダリング特異点が世界の運命を決めてしまう。
 本当はもっとちょっかいを出すつもりだったし、最初は実際にそうしていた。
 だが、ある日気づいてしまったのだ。
 この男は――自分が壊すまでもなく、とっくに壊れていると。
 穴の開いた器。どれだけ努力しても決して満たされることはない。
 そんなヤツ、もうこれ以上壊しようがない。
「諸悪の根源なのに、内面はガキみたいなやつだよなァ……」
「まともに周囲とコミュニケーションも取れずに生きてきた生粋のディスコミュニケーション野郎ですからね。きっと童貞ですよ」
「まったくだよ。他人を愛せていれば、あいつももっとマトモだったろうに」
 別にあんなやつどうなろうが知ったことではない。
 特異点である以上、『その時』が来たら殺すだけ。
 彼、鎖神貴一の死を以て、ベリトの任務は達成される。
 約束された結末。だからだろうか……彼を哀れに思うのは。
「生きててもマジでつまんねーだろうなァ……」
「恋……なのですね?」
「だからなんでそうなるんだよォ!?」
 無限ループでもしそうな会話の途中。
 二人の傍にゲートが開き、そこから一人の男が姿を見せた。
「……おや。お取込み中でしたかな?」
「んあ!? お前は……!」
「要請に従い、まかりこしました」
 男はベリトの前で片足を軸に一回転。
 そのままポーズを決めると大仰な仕草で叫んだ。
「貴方のズロイです!」
 ベリトはドールちゃんに掴みかかったまま、イヤそう~な顔をしている。
「もしや聞こえませんでしたか。それではもう一度……」
「やめろ聞こえとるわ!! くっそ~、送るならもうちょっとマシな増援をくってくれよ、エキドナ~……!」
 先日の戦いでベリトは痛感した。
 咎人を抑え込まなければ、鎖神はどんどん不安定になってしまう、と。
 事実、鎖神だけではなく鮫島や安達さえも咎人の影響を受け始めている。
 彼らはライト能力者――世界を変える力を持つ、運命のバランサーだ。
 特異点は外部の刺激に敏感で、簡単に揺れ動いてしまう。
 だから、咎人を叩く戦力――増援が必要だったのだ。
「おまえは僕の要請で救援に来た。そうだよね?」
「その通りでございます、ベリト様」
「だったらさー。僕からの命令でもいいからさ。そのウザいノリとオーバーアクションは止めようね?」
 至近距離からベリトはズロイに念を押す。
 言われたズロイは姿勢を正し、敬礼する。
「コモ・ディスイス・セニョリータ(お望みのままに、お嬢様)」
 ズロイが敬礼と共にそう告げた瞬間、その顔の横にベリトの拳が叩きつけられる。
「クソがーーー!!! お前より先に送られてきたの、MCだぞ!? 人選偏りすぎだろ!」
「MCグランギニョールですか。実力は確かかと」
「実力以外すべて不確かじゃねーか!! もうイヤだーーーーー!!!」
「でもほら、エディ・ジャクソンよりマシでは?」
 ドールちゃんの横槍にベリトはげんなりする。
「エディ……ゆるふわ夢野郎じゃんか……」
 MCグランギニョール。ズロイ。エディ・ジャクソン……。
「ハズレしかねぇガチャだ……どうせ誰も言う事聞かないよねェ……」
「そんなことはございませんよ。やるべきことは承知しております」
 ズロイは優雅にターンし、夜の東京を眺める。
「――ベリト様の邪魔をする咎人を叩いてご覧に入れましょう」
 一礼し、ズロイは眼下に広がる街へと舞い降りていく。
「自分だけで済ませられればよかったと、後悔していますか?」
「は? ボクが? なんで?」
「失礼しました。少し、不機嫌そうに見えましたので」
 自分の頬を触り、ベリトは舌打ちする。
 『あいつら』が介入すれば、もっとこの世界はメチャクチャになる。
「面白くはないさ。面白くはね……」

(執筆:ハイブリッドヘブン運営)

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