オープニング
魔族に襲われた村……ゲール氏族も咎人達の支援で復興しつつあり、谷に作られた支邑とも往復できるようになった。
本村に避難していた者たちも谷にある家に戻り、同じ一族の村や近くにある別の氏族の村との交流も進んでいる。
「そろそろ本格的に次の段階を目指しても良いかもしれんでござるな」
現地に咎人達の理解者を増やそうと、留まって居るコレツナという咎人が、以前よりもスムーズになって来た作業を眺めた。
鳥や獣を裁いて食料や毛皮に変えて備蓄している。一定量が貯まった所で他の村へ売りに行く為だ。
「途中で熊を見かけたから買っておいたぞ。山の恵みに感謝じゃ」
「助かるわ。私達じゃ倒せないから」
ゲートの利用もあって、時折に訪れる咎人が熊や猪などを大型獣を狩ったりするので、周辺も安全に成って来た。
この近辺での魔族の跳梁も聞かないので、現在居る村でやれることはだいぶ整ってきたという事だろう。いつも行っている村だけならば、もはや村人たちだけでも問題はないと思われる。
「近隣で何か問題はござったか?」
「そうねえ。偶に訪れる南の人の話だと荷車だと北の都市に行く途中で時どき立ち往生するくらい? やっぱり道がまだ狭いらしいわ。荷物担いでる人からは聞いてないもの」
集会場に成っている場所を訪れると、逗留している他の咎人やゲール氏族の有力者が話し込んでいた。
伝言用の立て看板に現在の備蓄やら情報などが書き込まれているが、その中に街道開通とは書いてある。それでも荷車が立ち往生する場所があるという事は、幾つかあるルートの一部しか開通していないのだろう。
「その辺は仕方がないね。あたしらも村を守るために必死だったからさ」
村を守る防衛のために、道を塞いで戦ったというから仕方の無い事なのかもしれない。
「という事は喫緊の課題としては街道の復旧でござるか」
「あら。という事はまたみんなを呼ぶのですか?」
「それは助かるな。村や狩りを守るには俺らで十分に足りるが、遠出しようと思うと手が足りない」
咎人達はあくまでゲートを利用して行く者や、現地が気になる者が暇な時に訪れることもある程度だ。
他に用事があればそんな余裕はないし、手が必要ならば改めて依頼を出す必要があるだろう。
「遠出? 大都市まで行くでござるか?」
「それも考えの一つですけどね、南の村の本村まで行く案もあります」
「確か海沿いに漁村があるはずですっ。獣の肉や毛皮はあまり取れないでしょうし、塩や魚を交易できればありがたいかも」
東は川で西は森が延々と続いている。
ゆえに山々の間を抜けて北に向かうか、南にある死火山を迂回して海に面した村まで行くかくらいだ。どちらに行くのも案としてはアリだが、人手や時間の問題で両方は無理だろう。
話し合うとしたらどちらに行くか、そして何をする為に行くかが重要かもしれない。
●
「それで……実際には俺たちは何をすれば良いんだ?」
「キャラバンを運営し南に行って交流を行うか、あるいは北の調査でござるかな」
咎人たちだけになればまた別の視点も出て来る。
主にイルダナーナフにどんな介入をするか……などだ。基本的には現地の人々の為になる事をするのだが、下手に勘繰られても困る。
「各地を調査して交流を持てば、ゲートを敷設できる場所も増えるでござろう。その事はゲール氏族の面々にとっても損はないでござる」
「交易すれば利益も上がりますし、何かあった時に逃げ込めますしね」
攻められた場合は別として、事件があった場所に偶然ゲートが開いている事はあまりない。
仕方なく近場のゲートから移動する訳だが、それゆえにこういった機会にゲートを敷設する場所を増やすのは重要なのだ。一同が計画するキャラバンの役目の一つはコレであった。
「どちらが主であっても良いでござるが、あえて言うならばある程度が判って居る南への交流でござろう」
みんなの相談次第だが、どちらでも良いならば南重視という所か。
この村で行う事はもうあまりなので、死火山を迂回して南まで行けばそのまま交易や調査ができる。それこそ魚や塩を手に入れ、ゲール氏族の者に託すくらいまでは可能だろう。
「逆に北に行く場合は、現地がどうなっているかの調査かしら?」
「そうでござるな。街道が開通したというだけで、荷車が通り難い場所や直ぐに崩れる場所もあるのでござろう。あるいは単に魔族が生き残っているから、迂回しているだけかもしれんでござるが」
街道を整備しながら、生き残っている村を探して交易をおこなうというべきだろうか?
こちらは手探りというのが面倒ではあるが、その分だけフリーハンドと言えるだろう。それこそ拠点やゲート候補地を探すというだけなら……別に全滅した村でも良いのだ。もちろん留まることは重視せずに、行ける場所まで行って後は次回に行うというのも手だろう。
「両方ってのは難しいの?」
「主に仲介人と移動手段の面で問題が出るでござるな。ゲール氏族なり近くにある南の……トーロ氏族であったか。それらに仲介を頼んだ方が不審がられぬでござるし、交易するしないに関わらず荷物を載せるのに馬が必要で御座ろう」
咎人達だけで何かするよりも、現地の人間に協力を仰いだほうが良いことがある。
前回に出たアイデアの一つなのだが、現地の民同士ならば顔見知りも居るから話も通じ易い。現地に何が売っているか、何をすれば調達し易いかというのも良く知っているだろう。逆に先ほどの全滅した村を使う場合、現地の人間が居れば問題ないが居なければ明らかに不審者だ。
その意味もあってキャラバンという安易であるとか。
また馬があれば荷物を持っての往復も容易くなるのが、この村にはそんなに馬が居ないので、両方に行って帰るだけの余裕がないそうだ。
「北重視、南重視、中間距離でどっちも。ってとこね」
「その辺は相談次第だな。いま依頼を聞いているメンバーが来るとは限らないしな」
成功条件
| 条件1 | 人々の交流を手助けすることで信用を得る |
|---|---|
| 条件2 | イデアゲート敷設の候補地が無いか調べる |
| 条件3 | 次回の指針となりそうな情報を集める |
大成功条件
| 条件1 | 後に参考になるような意見が出る |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
●目的
交易を行って現地を知る
顔見知りに成りインフラの復旧を手伝う事で、咎人が信用できると知ってもらいつつ、イデアゲートの敷設地点を増やすのが目的です。
その意味で北でも南でも、あるいは程ほどの距離に留めて両方というのもアリでしょう(工事や情報収集を考えるならば、これもまた悪い選択肢ではないので)。
●行動
・北の工事、調査
または
・南での交易・交渉
特にどちらが良いという訳ではありませんが、あえていうならば南であると簡単な方針があります。これは単純に交易品が判っているなどの前情報がある為です。もちろんそれ外の行動も常識の範囲で可能です。
●NPC
「コレツナ」
現地に留まって顔つなぎに色々してくれる侍風の男。
偶に訪れる咎人に何かしてくれるように頼んだりする時も、伝言を受けてくれます。
「タタキア」
前任者が死んでゲール氏族の長に成った女傑。
東欧の女性が三十年くらい年を取ったような風貌。
なお氏族が男女差別がないというよりは、単純に魔族との戦いで男手が死んだため。
「ツルシア」
タタキアの従姉妹で猟師。主に現地で顔つなぎに同行してくれる。
顔つきは東欧風で、猟師をしているからかスマート。
腕はともかく心根が真っすぐなので、嘘は吐かないし反応が分かりやすいので顔見知りが多い。
(南の村に偶にやって来るトーロ氏族の村人や親族の傭兵たち)
特に名前を聞いているわけではないが、一応ある程度は親しくなった顔見知りはいる
●判っている地形
東:川が流れており、南にある海へ流れている
西:延々と森が続く。ゲール氏族の始祖はこの森にいる豊富な獣を見て、村を作ったらしい
北:山々が連なり、あるいは開けた場所を経由して大都市に至る。途中にある各地の村がどうなっているかは不明
南:死火山に小さな支邑があり、さらに南の方に海に面した本村があるらしい。暮らしているのはトーロ氏族という豪族
死火山では黒曜石、漁村では塩や魚が獲れるとか
マスターより
色々と目的とか行動はありますがそういうのを建前にして
キャンプ生活とか商売みたいなことをやってみるお話です。
今回は荷馬車をベースに足を延ばしてみる予定です(話し合いの結果、近場になる可能性もありますが)
関連NPC
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- ヴィクトリア・エージェンス(mz0029)
- 神魔種|女
参加キャラクター
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- マリュース(ma0231)
- 異能種|女
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- リムナンテス(ma0406)
- 神魔種|女
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- 七掛 二夜(ma0071)
- 獣人種|女
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- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
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- フローライト(ma0292)
- 異能種|不明
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- エイリアス(ma0037)
- 神魔種|女
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- ソテル(ma0693)
- 神魔種|不明
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- 葛城 武蔵介(ma0505)
- 神魔種|男
- リプレイ公開中




