オープニング
●
ミランドラがナマクアランドから帰還して十日程経過した。
新たな神獣――ロロイに学園中は大騒ぎになった。召喚学科だけでなく他の学科の生徒も身に来たり、教師もひっきりなしにミランドラの元を訪れたり――。
「凄いねミランドラ!」
「ありがとうですの」
朝の授業開始前。
クラスメイトの言葉にミランドラは頬杖をつきつつにっこりと笑って答える。正直もうお腹いっぱいだ。褒められるのは嬉しいし、認められることは喜びにつながるのだけれどこんなにもたくさん言われるとそのありがたみも失せていく。
「ねえ、そういえばこの子の神体は?」
クラスメイトがミランドラの近くを飛ぶロロイを見ながら問う。神体、という言葉にミランドラは顔を上げた。すぐに答えが帰ってこないことにクラスメイトが眉根を寄せる。
「分かってないの? 神体をちゃんと確保しておかないと、いつの間にか神体が消えてこの子が呼び出せなくなる――なんてことがあるかもしれないじゃない」
「ろろ、ろろっ」
クラスメイトに同調するようにロロイが頷く。そしてじ……とミランドラを見つめてきた。
「なんですの?」
「……ろろっ!」
ぷい、とロロイはミランドラから顔を背けてしまった。そして彼女と距離を置く。
「皆、席につけー。朝のホームルーム始めるぞー」
教師が教室の中に入ってくる。少々乱暴に出席簿を教卓の上に置いた。教師はだるそうな声で出欠を取る。全員居るなよしよしと呟いて、そのまま連絡事項を伝え始めた。
「来週のこの日、三学科合同の野外演習を行う。場所はナマクアランドだ。集合時間は――」
「せんせー、ナマクアランドってミランドラがロロイ見つけた場所ですよね?」
「そうだ。調べたところ、あそこはそれなりに広さもあり地形も起伏があって演習にはもってこいの場所だったからな。で、えーと……今回の演習には咎人も何名か参加してもらうことになっている。皆、学ぶチャンスだぞー」
教師とクラスメイトのやりとりを聞きながら、ミランドラは自然と拳を握っていた。気づいて、慌てて解いた。
今の話の何処に自分は感情を動かされたのだろう。戦いならこの前あの場所でしたじゃないか。ロロイを発見したことも周知の事実で。
(……何なんですのもうっ)
ミランドラは心の中で叫んだ。
●
演習当日。
ミランドラはロロイのと共にナマクアランドの丘の上に居た。周りではクラスメイトが整列し、教師からの指示を待っている。
「ろろっ」
「なんですの? これから模擬戦闘ですの」
『ろろ、ろろ』
ロロイがミランドラをまた見つめる。一体ロロイが何を求めているのかミランドラは分からなかった。
「……ろろー!」
罵倒するような声をあげてロロイが上空へと飛ぶ。それを少しだけ目でおいかけてからミランドラは前を見た。丘の下には別学科の生徒たちが集まっている。今チーム分けの最中のようだ。
(……っ)
ミランドラは急激な頭痛に襲われた。
こんな光景を見たことがあるような気がする。いや、違う。夢だ。ロロイに会う前によく見ていた夢。こうして師匠と丘の上に立っていて、そして――。
「ミランドラ? 何か言った?」
「い、いいえ、なんでもないですの――」
ミランドラがそう言って誤魔化そうとした――瞬間、地面が大きく揺れた。空に浮いている島に地震などある訳がない。
「皆、落ち着け! 大丈夫だ、きっとすぐに収まる。だから――」
「せ、せんせー。あれ、何ですかっ?」
一人の生徒が指さした先に、球体のインクブロットが出現していた。もはや見慣れたと言っていい相手にミランドラは武器を握り相手を倒そうと一歩前に出た。
直後、全く別のところに多くのインクブロットが出現する。無論、丘の下にも。
「う、うわああ、こっちにも!」
「なんなんだこの数っ……!」
「ちょっと待て、落ち着け、あちこちに逃げるな……! くそぅ、丘の下にもっ……!」
大量のインクブロットに現場は一気に騒然となる。インクブロットたちは容赦なく攻撃を開始してきた。応戦するも倒れる神使の方が多い。それに今までの球体のインクブロットと何かが違う。黒くなったり、赤くなったり青くなったりと、その球体色を変えている。どうやらその色によって効きにくくなる攻撃やこちらの攻撃を回復力に変えてしまう性質を持ってしまうようだ。
また地面が揺れる。
一回り大きい球体のインクブロットが現れた。
逃げ遅れた神使も居る。そういえば今回の演習には戦い慣れていない者も居ると聞いていた。
このままでは――。
ミランドラは咎人たちに向けて声を張り上げた。
「一緒に戦って下さいですの!」
●戦場情報
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTU
1● △ △ △
2 △ △ ▲▲▲ △
3 △ ▲▲▲ △ △
4△ △ ▲▲▲ △ ●
5 △ △
6 △ △ △
7 △ △ △
8 △ △ △
9 △ △ △
10 △ △ △
11△ △ △ ☆
12● △ ☆ △
13 △ △☆★ ☆
14 ☆ △ △
15△ ■■■■■ △ ●
▲……球体のインクロブット(サイズ3)
△……球体のインクロブット
●……逃げ遅れた神使(4~5人のグループ)
★……ミランドラ
☆……PC初期位置(各場所最大2名まで)
■……安全地帯
※1マス=1スクエア
※天気は快晴。
ミランドラがナマクアランドから帰還して十日程経過した。
新たな神獣――ロロイに学園中は大騒ぎになった。召喚学科だけでなく他の学科の生徒も身に来たり、教師もひっきりなしにミランドラの元を訪れたり――。
「凄いねミランドラ!」
「ありがとうですの」
朝の授業開始前。
クラスメイトの言葉にミランドラは頬杖をつきつつにっこりと笑って答える。正直もうお腹いっぱいだ。褒められるのは嬉しいし、認められることは喜びにつながるのだけれどこんなにもたくさん言われるとそのありがたみも失せていく。
「ねえ、そういえばこの子の神体は?」
クラスメイトがミランドラの近くを飛ぶロロイを見ながら問う。神体、という言葉にミランドラは顔を上げた。すぐに答えが帰ってこないことにクラスメイトが眉根を寄せる。
「分かってないの? 神体をちゃんと確保しておかないと、いつの間にか神体が消えてこの子が呼び出せなくなる――なんてことがあるかもしれないじゃない」
「ろろ、ろろっ」
クラスメイトに同調するようにロロイが頷く。そしてじ……とミランドラを見つめてきた。
「なんですの?」
「……ろろっ!」
ぷい、とロロイはミランドラから顔を背けてしまった。そして彼女と距離を置く。
「皆、席につけー。朝のホームルーム始めるぞー」
教師が教室の中に入ってくる。少々乱暴に出席簿を教卓の上に置いた。教師はだるそうな声で出欠を取る。全員居るなよしよしと呟いて、そのまま連絡事項を伝え始めた。
「来週のこの日、三学科合同の野外演習を行う。場所はナマクアランドだ。集合時間は――」
「せんせー、ナマクアランドってミランドラがロロイ見つけた場所ですよね?」
「そうだ。調べたところ、あそこはそれなりに広さもあり地形も起伏があって演習にはもってこいの場所だったからな。で、えーと……今回の演習には咎人も何名か参加してもらうことになっている。皆、学ぶチャンスだぞー」
教師とクラスメイトのやりとりを聞きながら、ミランドラは自然と拳を握っていた。気づいて、慌てて解いた。
今の話の何処に自分は感情を動かされたのだろう。戦いならこの前あの場所でしたじゃないか。ロロイを発見したことも周知の事実で。
(……何なんですのもうっ)
ミランドラは心の中で叫んだ。
●
演習当日。
ミランドラはロロイのと共にナマクアランドの丘の上に居た。周りではクラスメイトが整列し、教師からの指示を待っている。
「ろろっ」
「なんですの? これから模擬戦闘ですの」
『ろろ、ろろ』
ロロイがミランドラをまた見つめる。一体ロロイが何を求めているのかミランドラは分からなかった。
「……ろろー!」
罵倒するような声をあげてロロイが上空へと飛ぶ。それを少しだけ目でおいかけてからミランドラは前を見た。丘の下には別学科の生徒たちが集まっている。今チーム分けの最中のようだ。
(……っ)
ミランドラは急激な頭痛に襲われた。
こんな光景を見たことがあるような気がする。いや、違う。夢だ。ロロイに会う前によく見ていた夢。こうして師匠と丘の上に立っていて、そして――。
「ミランドラ? 何か言った?」
「い、いいえ、なんでもないですの――」
ミランドラがそう言って誤魔化そうとした――瞬間、地面が大きく揺れた。空に浮いている島に地震などある訳がない。
「皆、落ち着け! 大丈夫だ、きっとすぐに収まる。だから――」
「せ、せんせー。あれ、何ですかっ?」
一人の生徒が指さした先に、球体のインクブロットが出現していた。もはや見慣れたと言っていい相手にミランドラは武器を握り相手を倒そうと一歩前に出た。
直後、全く別のところに多くのインクブロットが出現する。無論、丘の下にも。
「う、うわああ、こっちにも!」
「なんなんだこの数っ……!」
「ちょっと待て、落ち着け、あちこちに逃げるな……! くそぅ、丘の下にもっ……!」
大量のインクブロットに現場は一気に騒然となる。インクブロットたちは容赦なく攻撃を開始してきた。応戦するも倒れる神使の方が多い。それに今までの球体のインクブロットと何かが違う。黒くなったり、赤くなったり青くなったりと、その球体色を変えている。どうやらその色によって効きにくくなる攻撃やこちらの攻撃を回復力に変えてしまう性質を持ってしまうようだ。
また地面が揺れる。
一回り大きい球体のインクブロットが現れた。
逃げ遅れた神使も居る。そういえば今回の演習には戦い慣れていない者も居ると聞いていた。
このままでは――。
ミランドラは咎人たちに向けて声を張り上げた。
「一緒に戦って下さいですの!」
●戦場情報
ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTU
1● △ △ △
2 △ △ ▲▲▲ △
3 △ ▲▲▲ △ △
4△ △ ▲▲▲ △ ●
5 △ △
6 △ △ △
7 △ △ △
8 △ △ △
9 △ △ △
10 △ △ △
11△ △ △ ☆
12● △ ☆ △
13 △ △☆★ ☆
14 ☆ △ △
15△ ■■■■■ △ ●
▲……球体のインクロブット(サイズ3)
△……球体のインクロブット
●……逃げ遅れた神使(4~5人のグループ)
★……ミランドラ
☆……PC初期位置(各場所最大2名まで)
■……安全地帯
※1マス=1スクエア
※天気は快晴。
成功条件
条件1 | インクブロットの殲滅 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 逃げ遅れた神使全員の安全の確保(安全地帯への誘導) |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
敵情報
・球体のインクロブット(シールド有)
攻撃手段
棘飛ばし:射程:6/範囲4体の攻撃。
この攻撃で対象にダメージを与えた場合、BS「毒」を付与する。毒を付与されたキャラクターはBSが解除されるまでの間、毎ラウンドクリーンナップタイミングの直前にライフを-20する。強度3。
球体色の変化について
2ラウンド毎に球体色がランダムに変化する。各色の意味は以下の通り
・白……どの攻撃手段も有効
・赤……近接攻撃を受けるとシールドが回復。射撃攻撃と魔法攻撃は有効
・青……魔法攻撃を受けるとシールドが回復。近接攻撃と射撃攻撃は有効
・黄……射撃攻撃を受けるとシールドが回復。近接攻撃と魔法攻撃は有効
・黒……全ての攻撃が無効
初期の色はサイズ3のインクブロットは黒。他は白で開始。
ミランドラについて
自分の近くに居るインクブロットから倒そうとしています。
作戦の提案は可能です。
以下PL情報
サイズ3のインクブロットは他のインクブロットを半分以上殲滅しないと色の変化が始まらない。
マスターより
私にしては久々に長いオープニングな気がします。
こんにちは、絢月滴です。
ミランドラとうまく協力して、目標を達成してください。
皆様の鮮やかなプレイングをお待ちしております。
参加キャラクター
-
- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
-
- 山神 水音(ma0290)
- 精霊種|女
-
- 葉山 結梨(ma1030)
- 人間種|女
-
- 伊吹 瑠那(ma0278)
- 剛力種|女
-
- 茨木 魅琴(ma0812)
- 神魔種|女
-
- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
-
- マリエル(ma0991)
- 機械種|女
-
- 鳳・美夕(ma0726)
- 人間種|女
- リプレイ公開中