オープニング
闇掟界オルメタ、ツインフィールズ地域内。
「ヤツが出たぁぁー!」
小さな村に住む現地人たちが、騒ぎ出した。村近くの山に、大きな足跡が見つかったのだ。
それは、今回だけではない。以前から、登山へ行き、帰ってきた者たちが、時折「大きな足跡を見た」との証言があったのだ。
この村は、ツインフィールズ地域の一部で、度々、クリーチャーが目撃されていた。
「へいへい、にゃるほどね~♪」
虫眼鏡を持って、村人たちに聞き込みをしていた男がいた。
アベルと名乗る男だ。
珍しく、女性を連れて調査していた。
「たくっ、なんで、あたしまで……」
赤髪の女性は、少し不機嫌だった。
「良いじゃーん。暇だろう? 振られた者同士、仲良くしようぜぇ。アイネちゃん」
アベルがそう告げると、アイネと呼ばれた女性は眉を潜めた。
「あんたと一緒にすんな!」
「まあ、クリーチャー退治でもすれば、少しはスカッとするだろう?」
「……本当に、この近くに、クリーチャーがいるのかしらね?」
アイネが溜息交じりに言うと、アベルはニコッと笑っていた。
「いるかどうか、実際に行ってみないと分からんだろう? 調査して、実際にいたら、やっつければ良いだけだし。簡単だろう」
その時、アベルは軽く考えていた。
いや、深く知ろうともしていなかったのだ。
●
その山は、頂上付近に雪が残っていた。
巨大な足跡を辿り、山道を登っていくと、遠くに姿が見えた。
「なんだ、ありぁ?!」
アベルが遭遇したのは、モサモサした毛が全身で覆われた巨人のようなクリーチャーだった。
「あー、雪男? ……の割には、毛の色が、オレンジって、意味不明だが、とりあえず、オレンジ・フットとでも言っておこう」
「オレンジ・フット? あんなのに、名前があったの?」
同行していたアイネの疑問に、アベルはケラケラっと小さく笑っていた。
「咎人に退治依頼出すのに、クリーチャーの名前がないと、説明できないだろう。今のところは、ただの仮名だが、いずれは、俺様が付けたネーミングも少しずつ浸透していくだろうよ」
「そう簡単にいくのかしらね。咎人に依頼する前に、あたしたちで倒せば良いだけよ」
アイネは、愛用の銃を構えると、オレンジ・フットに標準を合わせた。
その瞬間。
「姿が消えた?!」
と思いきや、オレンジ・フットはアイネの至近距離に移動して、掌を突き出すと、三弾丸のような氷を放ってきた。
アベルがとっさに無効化させようとするが……確かに、一回目の攻撃は無効にすることができた。だが、オレンジ・フットが、さらに攻撃を仕掛けてたのだ。掌から無数の氷の矢が、飛んできた。
アベルは回避できたが、アイネは回避することができず、オレンジ・フットが放った氷の矢を喰らって、ダメージを受けてしまい、さらに全身が凍結してしまった。
「おい、しっかりしろ!」
アベルが呼びかけるが、氷で凍結してしまったアイネは身動きが取れず、返事をすることさえできなかった。
オレンジ・フットが、さらに攻撃を繰り出してきたが、アベルは敵の攻撃を無効化して、難を逃れた。だが、オレンジ・フットは、続け様に掌から無数の氷の矢を放ってきた。
「ちっ!」
アベルは回避したものの、軽くダメージを受け、右手が凍り付いてしまった。
「やべーな。こりゃ、一旦、退却した方が良さそうだぜ。こちとら、解除スキルは持ってねーしな」
アベルは、全身を凍結されたアイネを左手で抱き抱えて、その場から逃げ出すことにした。
「なんだ? 追ってこないのか?」
不思議に思ったが、アベルは山から降りて、近くにある小さな村に戻った。
●
アイネは、凍結したまま、小さな村の広場に銅像のように立っていた。
村人たちは、雪男の出現に驚きを隠せず、家に籠りっきりになってしまった。
「俺様、解除とか回復スキルとか持ってないから、アイネちゃんの凍結、治せねーな。マジ、やべー」
アベルは手紙をしたためると、探偵のジョニーに渡した。
今、居る場所は、場末のバーだった。
ジョニーが受け取った手紙の封には、赤い蝋の印が施されて、【A】の文字が刻まれていた。
「連絡手段が手描きの手紙とは、古めかしいな」
「オルメタって映画が盛んだろう? レトロな感じかあって洒落てると思ってさ」
アベルは、グラスに入ったワインを一口飲んでから、そう応えた。
「それで、俺に対する報酬は?」
ジョニーも仕事と割り切っていた。
「高級ワイン、12本で、どうだ?」
アベルがそう応えると、ジョニーは軽く頷いた。
「咎人やらが集まりそうな場所で、この手紙を渡せばいいんだな?」
「頼むぜ、ジョニー」
アベルは、場末のバーで、咎人たちが来るのを待っていた。
その手紙は、アベルからのクリーチャー退治の依頼が書かれおり、興味を持った咎人たちが、アベルの元へとやってきていた。
「よっ、俺様はアベルだ。よろしくな」
こうして、咎人たちはアベルと共に、目的の場所へと向かうことになった。
果たして、オレンジ・フットとは……?
成功条件
条件1 | オレンジ・フットと闘う |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | オレンジ・フットの弱点を見つける |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
場所はオルメタ。ツインフィールズ地域内
小さな村では、付近の山で「大きな足跡を見た」という証言が、いくつもある
アベルが遭遇したオレンジ・フットはクリーチャーだが、凍結されたアイネは未だに元に戻っていない
今回は、戦闘メインの依頼だが、必ずしもオレンジ・フットが倒せる訳ではない。だが、どういう攻撃をしてくるのかを体感することによって、どれくらいの強さがあるのかが分かるはず
倒せなくても、ある程度、ダメージを与えて、弱点を発見できれば、大成功です
■出没したクリーチャー
オレンジ・フット 一体
全身オレンジ色のモサモサした毛で覆われた雪男のようなクリーチャー
ファースト・タイミングで、攻撃を受ける気配を察知すると、素早く移動してくる
メイン・アクションは、少なくとも二回。三弾丸のような氷や、無数の氷の矢を放ってくる。攻撃が命中し、ダメージを与えると対象をBS凍結させ「行動不能」となり、解除しない限り動くことができない。ダメージを受けなくても攻撃が命中すると「継続ダメージ」を付与
サブ・アクションは、今のところ不明。おそらく、サブで移動してくるか、何か別のスキルを使う可能性有り
シールドは有るが、ライフはどれくらいあるのかも不明。スキル・コンボを駆使しても倒せない可能性あり
■同行NPC
アベル
外見は20代の男性、簒奪者。
咎人とは「共闘関係」となり、クリーチャー退治を依頼してくることがある
1ラウンドにつき、一回、敵の攻撃を無効化できるため、同行させると、勝手にクリーチャーのメイン攻撃を無効化してくれる
ダン・カークランドが指名手配となり、アベルとしては動きやすくなって、ラッキーとか考えている
簒奪者のアイネとは相棒関係だが、今回の依頼ではアイネは同行しない
マスターより
オルメタを舞台にした戦闘シナリオをお届けします。
大林さゆる です。
オレンジ・フットは、今回の依頼では必ず倒せる…ということはありません。
「なんだかよく分からないクリーチャーだが、強いのは確か」とだけ、言っておきます。
果たして、オレンジ・フットの弱点とは? ヒントは「炎でも光でもない」です。
それでは、頭脳作戦、お待ちしております。
参加キャラクター
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