オープニング
尻尾を、出しましたか。
やはり同胞を丸め込んだだけでした。
同胞を切り捨て、自らが望む町を作るつもりですね。
そう考えるなら、血脈でも関係ありません。
ここで殺すだけです。
この町は、必ず無に帰します。
存在しては、ならないのです。
●
ツインフィールズ創立記念日。
町が新たなる年を重ねたこの日に、議員であるランディ・スタンリッジは『ニューツインフィールズ計画』を発表した。
マフィアと映画の町と認知されるツインフィールズからマフィアを追放して新たなるツインフィールズへ生まれ変わらせる計画。ランディによればこの計画でツインフィールズは文化的で平和かつ平穏な日常が送れる事を約束している。
だが、その計画の正体は警察組織の権力強化と町中に監視カメラを設置して監視社会を生み出す事が目的であった。
映画会社へ多額の資金提供していたランディの目的もこの計画の一端だと考えられる。
そのランディの企みをツインフィールズトリビューンの記者であるハナも入手している。
ハナは創立記念日の式典会場でランディを追い詰めようと試みるが、既にランディは対抗策を準備していた。友愛騎士団が元マフィアの集団でランディを支持していたという筋書きが発表された事でハナはこの場でランディの目論見を潰せない事を察した。
ランディは、勝利宣言のように言い放つ。
「友愛騎士団と警察がいればこの町は安泰です。マフィアでもクリーチャーでも、この町に仇為す者はすべて駆逐されるでしょう」
「……尻尾を、出しましたね」
突如響き渡る男の声。
何処からともなく聞こえて来た声に、周囲の空気は凍り付く。
甘い声ながら心の底が冷え込むような感覚。
「どなたです?」
「血脈でありながら、私を知らないのですか。いや、知っていて惚けているのか」
ランディの問いかけに姿を見せたのは二級犯罪者として指名手配されているウェンディゴであった。
白昼堂々、一人で現れたウェンディゴ。
警察が素早く反応してウェンディゴを取り囲もうと動き出す。
「ウェンディゴ? そういう指名手配犯がいましたね。で、その指名手配犯であるあなたが、式典を妨害しにきたのですか?」
「式典? ああ、この下らない町の誕生を祝うと。……私からすれば屈辱に塗れた記念日ですよ。祝いなど、虫酸が走る」
「ウェンディゴ、逮捕する!」
警察官がウェンディゴへ詰め寄った。
だが、ウェンディゴの周りに青白い骸骨のようなクリーチャーが地面から現れる。
上半身は人型のようだが、下半身は粘液に塗れてスライムようだ。よくみれば、根のような物がみえる。
クリーチャーは詰め寄ってきた警察の警棒をその身で受け止める。しかし、警棒の効果はまったくなく殴られた肩口から吸い込まれていく。
「ひっ!」
小さく悲鳴を上げる警官。
その間にクリーチャーの右腕が警官の脇腹へ突き刺さる。
流れ出す血。周囲に鉄カビのような匂いが立ち込める。
「どうせなら、私が別の記念日にして差し上げます。町の壊滅記念日に」
ウェンディゴの一言。
その時点で聴衆達は悲鳴を上げながら逃げ出した。
「きゃー!」
「どけっ!」
「押さないでよ!」
ウェンディゴの登場でパニックが巻き起こる。
ランディもに連れられて壇上を降りていく。
「ランディ君」
「おお、エディさん」
ランディの前に姿を現したのは簒奪者のエディ・ジャクソン(mz0067)。
今はランディの秘書としてツインフィールズで活動しているようだ。
「ここは任せて下さい。ボクが必ず守って見せますから」
「すまない」
「ボクとしてもここであなたに何かあっても困りますからね。さ、早く」
軽く頷くランディ。
ニューツインフィールズ計画を議会に提出しなければならない大事な時。
エディとしてもランディを守らなければならない。
「おや。また僕の邪魔をする輩ですか。裏切り者の血脈を守るなら、容赦はしませんよ」
「悪役らしいセリフですね。ですが、定番過ぎて退屈です。もう少し捻ったセリフの方が良いとオススメしますよ。読者としてね」
ウェンディゴに対峙したエディ。
次の瞬間、エディの背後に扉が出現する。開かれた途端、現れたのは友愛騎士団。
近くにいたクリーチャーに向かって殴りかかっている。
「ランディ君が逃げるまで、時間を稼がせてもらいますよ」
「面妖な力を使われるようですね。血脈に同調した同胞が敵対の道を選ぶなら、こちらも容赦しません」
「月並みなセリフですね。ですが、あなたの事は調査済みです。簡単に調べがついて攻略本を読むまでもありませんでした」
「!」
「鉱物操作。それと認識阻害。敵の意識を阻害して死角からの攻撃。種が分かれば警戒にしようもあります」
「…………」
既にエディはウェンディゴの攻撃パターンを掴んでいたようだ。
睨み合う双方。その間もクリーチャーが次々と地面から姿を見せて逃げ惑う聴衆を襲っていく。警察の応援に加え、友愛騎士団もクリーチャーへ反撃を試みる。
増していく混乱。
混沌とも言うべき惨状は、まさに阿鼻叫喚。エディと敵対しながらも、その様子を満足そうに見るウェンディゴ。どうやら、聴衆が恐怖のまま倒されていく事に喜びを感じているようだ。
そこへ駆け込んで来た影が一つ。
教会から駆けつけたファリフだった。
「や、止めろ!」
「おや、あなたもここへ来ましたか。この際です。はっきりさせましょう。血脈であるあなたがこの町をどうしたいのかを」
やはり同胞を丸め込んだだけでした。
同胞を切り捨て、自らが望む町を作るつもりですね。
そう考えるなら、血脈でも関係ありません。
ここで殺すだけです。
この町は、必ず無に帰します。
存在しては、ならないのです。
●
ツインフィールズ創立記念日。
町が新たなる年を重ねたこの日に、議員であるランディ・スタンリッジは『ニューツインフィールズ計画』を発表した。
マフィアと映画の町と認知されるツインフィールズからマフィアを追放して新たなるツインフィールズへ生まれ変わらせる計画。ランディによればこの計画でツインフィールズは文化的で平和かつ平穏な日常が送れる事を約束している。
だが、その計画の正体は警察組織の権力強化と町中に監視カメラを設置して監視社会を生み出す事が目的であった。
映画会社へ多額の資金提供していたランディの目的もこの計画の一端だと考えられる。
そのランディの企みをツインフィールズトリビューンの記者であるハナも入手している。
ハナは創立記念日の式典会場でランディを追い詰めようと試みるが、既にランディは対抗策を準備していた。友愛騎士団が元マフィアの集団でランディを支持していたという筋書きが発表された事でハナはこの場でランディの目論見を潰せない事を察した。
ランディは、勝利宣言のように言い放つ。
「友愛騎士団と警察がいればこの町は安泰です。マフィアでもクリーチャーでも、この町に仇為す者はすべて駆逐されるでしょう」
「……尻尾を、出しましたね」
突如響き渡る男の声。
何処からともなく聞こえて来た声に、周囲の空気は凍り付く。
甘い声ながら心の底が冷え込むような感覚。
「どなたです?」
「血脈でありながら、私を知らないのですか。いや、知っていて惚けているのか」
ランディの問いかけに姿を見せたのは二級犯罪者として指名手配されているウェンディゴであった。
白昼堂々、一人で現れたウェンディゴ。
警察が素早く反応してウェンディゴを取り囲もうと動き出す。
「ウェンディゴ? そういう指名手配犯がいましたね。で、その指名手配犯であるあなたが、式典を妨害しにきたのですか?」
「式典? ああ、この下らない町の誕生を祝うと。……私からすれば屈辱に塗れた記念日ですよ。祝いなど、虫酸が走る」
「ウェンディゴ、逮捕する!」
警察官がウェンディゴへ詰め寄った。
だが、ウェンディゴの周りに青白い骸骨のようなクリーチャーが地面から現れる。
上半身は人型のようだが、下半身は粘液に塗れてスライムようだ。よくみれば、根のような物がみえる。
クリーチャーは詰め寄ってきた警察の警棒をその身で受け止める。しかし、警棒の効果はまったくなく殴られた肩口から吸い込まれていく。
「ひっ!」
小さく悲鳴を上げる警官。
その間にクリーチャーの右腕が警官の脇腹へ突き刺さる。
流れ出す血。周囲に鉄カビのような匂いが立ち込める。
「どうせなら、私が別の記念日にして差し上げます。町の壊滅記念日に」
ウェンディゴの一言。
その時点で聴衆達は悲鳴を上げながら逃げ出した。
「きゃー!」
「どけっ!」
「押さないでよ!」
ウェンディゴの登場でパニックが巻き起こる。
ランディもに連れられて壇上を降りていく。
「ランディ君」
「おお、エディさん」
ランディの前に姿を現したのは簒奪者のエディ・ジャクソン(mz0067)。
今はランディの秘書としてツインフィールズで活動しているようだ。
「ここは任せて下さい。ボクが必ず守って見せますから」
「すまない」
「ボクとしてもここであなたに何かあっても困りますからね。さ、早く」
軽く頷くランディ。
ニューツインフィールズ計画を議会に提出しなければならない大事な時。
エディとしてもランディを守らなければならない。
「おや。また僕の邪魔をする輩ですか。裏切り者の血脈を守るなら、容赦はしませんよ」
「悪役らしいセリフですね。ですが、定番過ぎて退屈です。もう少し捻ったセリフの方が良いとオススメしますよ。読者としてね」
ウェンディゴに対峙したエディ。
次の瞬間、エディの背後に扉が出現する。開かれた途端、現れたのは友愛騎士団。
近くにいたクリーチャーに向かって殴りかかっている。
「ランディ君が逃げるまで、時間を稼がせてもらいますよ」
「面妖な力を使われるようですね。血脈に同調した同胞が敵対の道を選ぶなら、こちらも容赦しません」
「月並みなセリフですね。ですが、あなたの事は調査済みです。簡単に調べがついて攻略本を読むまでもありませんでした」
「!」
「鉱物操作。それと認識阻害。敵の意識を阻害して死角からの攻撃。種が分かれば警戒にしようもあります」
「…………」
既にエディはウェンディゴの攻撃パターンを掴んでいたようだ。
睨み合う双方。その間もクリーチャーが次々と地面から姿を見せて逃げ惑う聴衆を襲っていく。警察の応援に加え、友愛騎士団もクリーチャーへ反撃を試みる。
増していく混乱。
混沌とも言うべき惨状は、まさに阿鼻叫喚。エディと敵対しながらも、その様子を満足そうに見るウェンディゴ。どうやら、聴衆が恐怖のまま倒されていく事に喜びを感じているようだ。
そこへ駆け込んで来た影が一つ。
教会から駆けつけたファリフだった。
「や、止めろ!」
「おや、あなたもここへ来ましたか。この際です。はっきりさせましょう。血脈であるあなたがこの町をどうしたいのかを」
成功条件
条件1 | ウェンディゴを撃破する |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 逃げ回る聴衆を可能な限り救出する |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
概要:
ツインフィールズ創立記念日を迎えた。ランディはニューツインフィールズ計画を発表するが、そこへウェンディゴがクリーチャーを引き連れて登場。創立記念式典を破壊する為に暴れ始めた。逃げ惑う聴衆。警官も身を挺して抵抗。友愛騎士団もクリーチャーを前に奮戦するが、クリーチャーの数が多すぎる。そこへ姿を見せたのはファリフ。ダンからウェンディゴが記念式典を襲う可能性を聞いて駆け込んできたのだ。ウェンディゴはファリフが現れるのを待っていたかのように言い放つ。
『あなたはこの町をどうしたいのか?』
突然の問いかけを前にファリフは、如何に事態を収拾すべきか考え始めた。
味方:
・ファリフ
・マット・マートン
敵:
・ウェンディゴ
・エディ・ジャクソン
・友愛騎士団
・クリーチャー『スケルトンスライム』
詳細は特設ページをご参照下さい。
備考:
・現場は中央区にある広場で見晴らしが良い場所です。舞台が設置されていますが、隠れるところはありません。
・クリーチャーは無差別で敵を攻撃しています。警察と友愛騎士団がクリーチャーと対峙している事もあり、現場は混乱しています。・エディはランディが逃走する時間を稼げれば撤退します。なお、エディは咎人が手を出さなければ攻撃は仕掛けませんが、友愛騎士団は咎人を見れば襲撃します。
マスターより
近藤豊です。
オルメタ依頼が公開されました。既にツインフィールズ創立記念式典は混乱となっています。暴れるウェンディゴとクリーチャーを前に、ファリフはどう動くのか。そして咎人はウェンディゴを如何に攻略するのか。プレイングをお待ちしております。
それでは、金鍔焼きを肴にお待ちしております。
関連NPC
-
- エディ・ジャクソン(mz0067)
- ?|男
参加キャラクター
-
- 如月 朱烙(ma0627)
- 人間種|女
-
- シャハエル(ma1209)
- 神魔種|男
-
- 天魔(ma0247)
- 神魔種|男
-
- リダ・クルツ(ma1076)
- 人間種|男
-
- 更級 暁都(ma0383)
- 人間種|男
-
- アナルデール・ウンディーニ(ma0116)
- 人間種|女
-
- マルコム・レーナルト(ma0971)
- 獣人種|男
-
- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
-
- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
-
- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
-
- 山神 水音(ma0290)
- 精霊種|女
-
- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
-
- マリエル(ma0991)
- 機械種|女
-
- 水無瀬 遮那(ma0103)
- 精霊種|男
-
- シアン(ma0076)
- 人間種|男
-
- アルマ(ma0638)
- 精霊種|男
- リプレイ公開中