オープニング

「ああ、なんてことだろうね。ちょっと留守にしていた間に」
　拠点へ戻ってきたウェルシュの目の前には、誰かが侵入し、暴れた形跡がそこら中に広がっていた。
　留守を任せていた鉄騎の被害はさほどではないが、やはり自分の鉄騎―おもちゃ―を壊されることほど腹立たしいものはなかった。
「誰がやったとか、そんなことはどうでもいいんだよ。この苛立ちを解消させるには、ヤルダ人の国をひとつ壊滅させるくらいしないと収まらないね」
　薄ら笑いを浮かべるウェルシュは、拠点中央にそびえる塔の最上階から、遠くに小さく見える巫の国を見た。

「この勢いのまま、すぐに拠点を落とそう」
　飛剣天仁は手渡された手拭いで顔の汚れを落としながら言った。
「ウェルシュさえ倒せば、もうあの拠点は終わりだ」
　拠点からの救出劇は見事成功した。鉄騎の攻撃もおおよそ把握できている。むしろウェルシュに時間を与えてしまえば、先の戦闘で得た鉄騎の攻撃方法をがらりと変えてくるかもしれない。
「気持ちはありがたいが少しは身体を休ませた方がいい。それに我らもただ手をこまねいてばかりいたのではないからな」
　背後に控える鍛冶師仲間とともに、サンクロウは自信に満ちた笑顔を浮かべた。
「あなた達が休まれている間、武器をお借りしたい。わずかだが力添えできるようになったからな」
「俺の刀、をか？」
　不思議に思いながらもサンクロウへ愛刀を差し出した。
「巫氏族が今できる限りの技を持って鍛錬させていただく」

　天仁らが身体を休ませている間、すでに巫の鍛冶師によって鍛えられた武器を手にした先遣隊がウェルシュの拠点を急襲していた。
　確実に拠点を落とすために、畳みかけるのだ、何度も、何度でも。

「詳しくは聞かないよ。ここで死んでもらうからさァ！」
　仲間が開けてくれた道を抜けて駆け込んだ先で、ウェルシュが咎人めがけて叫んだ。
「それはない。貴様は、今ここで、俺たちに斃されるのだからなッ」
　鞘走らせた天仁は仲間と息を合わせ、蠢く鉄騎共の只中へ飛び込んだ。

成功条件

条件1	ウェルシュを倒す
条件2	ウェルシュを倒し、残った鉄騎すべてを破壊する
条件3	-

解　説

天仁とともに拠点を攻撃する時点で複数の先遣隊により鉄騎の数は大幅に削られており、拠点を囲む壁に設置されていた壁鉄騎はすべて破壊済の為スムーズに内部へ侵入できています。
ウェルシュを倒すことで、この拠点は機能できなくなり鉄騎からの襲撃が終わります。

ウェルシュの能力
『絶対防御』　攻撃によるダメージを無効化する。ロングアクション（カウント1）効果時間1R
『BS：防御＆回避半減（4）』　ウェルシュを中心にした周囲5範囲内（ZOC)に存在するキャラクターに対し、防御＆回復を半減させるBSを付与する。ただし、この効果はスキル範囲内でのみ発動され、移動等により範囲外へ出た場合は即座に解除される。
『爆印』　攻撃に成功すると「爆印（3）」を付与。ウェルシュは自身の周囲5以内に存在する飛行型鉄騎を付与した相手に衝突させ、即座にダメージを与える。最大3騎まで一度に衝突させることができる。
『回復』　ウェルシュから5スクエア以内にいる鉄騎を破壊し、残りのライフをエネルギーとして吸収し自身のライフを回復する。ライフが0になった鉄騎は戦闘不能となる。

ウェルシュの周囲に残っている鉄騎
・大型鉄騎　直進と横移動（5スクエア、いわゆる十字）縦5×横10スクエアの範囲へエネルギー弾による射撃攻撃。攻撃属性「突」　防御力高め
・中型鉄騎　移動8スクエア。ブレードによる近接攻撃を主体。斬撃、薙ぎ払いによる攻撃。攻撃属性「斬」
・飛行型鉄騎　縦横10スクエア移動可能。小型で胴体に圧縮したエネルギーを充填。機雷的要素もあり、ウェルシュの「爆印」攻撃では砲弾のような役目も兼ねる。

巫の鍛冶師の強い希望と協力によってPC所持の武器が強化されます。「命中・威力」に+50。ただし、このシナリオ限定の一時的な効果ですのでご承知おきください。

NPC：飛剣天仁