ウィワンヤンク・ワチピ
近藤豊
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シナリオ形態
ショート
難易度
Easy
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100 SC
参加人数
5人~16人
優先抽選
50 SC
報酬
600 EXP
12,000 GOLD
12 FAVOR
相談期間
5日
抽選締切
2022/11/04 10:30
プレイング締切
2022/11/09 10:30
リプレイ完成予定
2022/11/18
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

オープニング

「……ふぅ」
 ツインフィールズ教会でファリフはため息をついた。
 その息の中にもの悲しい物を感じ取ったのは、フローズだった。
「どうした、ファリフ」
「うん。なんか、クリーチャーが可哀想でね」
「可哀想?」
 首を傾げるフローズ。
 クリーチャーは先住民の感情より発露した物。ワカンタンカが願いを叶えたとはいえ、自立した意識を持つ個体は多くない。言ってみれば、生物とも呼びにくい存在だ。
 それを可哀想という事に、フローズは奇妙に感じたのだ。
「そう。だって、ウェンディゴに利用されて町を恨んで。一方は、ランディに言いくるめられて手駒にされているんだ。ボクは彼らの声を聞くだけだけど、クリーチャーがちょっと哀れに思えちゃって」
「…………」
 ファリフはこれまでの戦ったクリーチャーを思い返していた。
 町を恨み続け、壊す事を願っていた。
 ウェンディゴが生み出し、ランディが一部を手駒にする。
 負の感情とはいえ、クリーチャーが戦い続けるのが不憫に思えたのだ。
「ファリフ、クリーチャーを何とかしたいか? その手が無い訳ではない」
「本当!?」
 ファリフは思わず飛び上がる。
 フローズがその手段について語り始める。
 それは――ウィワンヤンク・ワチピ。
 神ワカンタンカへ繋がる事の許される為の試練であるという。
 その試練を乗り越える事で、戦士は更なる成長を得る事ができる。
「そのウィワンなんとかっていうのを受ければいいの?」
 ツインフィールズ教会で半信半疑なファリフ。
「うむ。元々、指導者とはその血筋に代々引き継がれていくものだが、皆が最初から強い訳ではない。その能力を高める試練がウィワンヤンク・ワチピだ。血脈としての力が増せば、聞くだけでは無い。心を通わせる事もできる。そうすれば、クリーチャーが手を貸してくれる可能性はある」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう」
「いや。元々、ファリフに受けてもらうつもりの試練だった」
 そう言い切ったフローズ。
 もう一つの血脈であるランディ・スタンリッジの手をはね除けたファリフは、聖地レイムディアーで指導者としてワカンタンカへ願わなければならない。仮にランディに先を越されれば、ニューツインフィールズ計画の施行を避ける事は困難だ。
 だが、それ以上に問題はツインフィールズを恨み、先住民の悪感情を利用してクリーチャーを増やし続けるウェンディゴだ。
「お前も力を貸してくれる友が増えた。しかし、それでも足りない。聖地近くに居座るウェンディゴは強大だ。何せ、先住民の恨みを独占して力にしている。数十年も前に生じた怨嗟の炎を育て続けていたのだからな」
 フローズはウェンディゴが強大な力を持っているという。
 ファリフの前に何度も姿を見せたウェンディゴだったが、既に何度か破れている。
 だが、フローズはあのウェンディゴは分体に過ぎないと断言する。聖地へ赴けば、本体が必ず牙を向く。その為にも、更なる成長が必要だというのだ。
「ランディもその試練を受けたの?」
「いや。そうとは限らない。試練も様々だからな。
 あまり時間はないぞ。お前の仲間に声をかけても良い。なるべく早く聖地へ赴いて試練を……」
「あら、ファリフ。フローズのご飯はちゃんとあげた?」
 ファリフの背後から急にシスターアンジェラが顔を見せた。
 どうやら、ファリフがフローズとじゃれていたと思っているようだ。
 慌てて取り繕うファリフ。
「う、うん。あとで散歩も行くよ」
「そう。お願いね。最近、フローズがますますご飯を食べるのよ。運動させないとそのうち動けなくなりそうで」
「……そうなんだ」
 呆れた目を向けるファリフ。
 そういえば教会に戻ってからも相変わらず食べて寝ていた記憶がある。
 フローズは誤魔化すように、一声鳴いてみせた。
「わふ」


「映画撮影所の地下に、こんな場所があったんだ」
「普通では来られんよ。血脈かそれに近しい者がおらねば、足を踏み入れる事もできん」
 フローズを抱えながら、石造りの階段を下りていくファリフ。
 フローズへ案内されて試練の場へと赴く一行だが、着いた場所は映画撮影所の片隅。
 そこでフローズが地面に降りて何かを呟いたかと思えば、この場所へ辿り着いたという訳だ。
「しかし、これはセットじゃないんだろ? 自分の目で見ても信じられないな」
 連邦捜査官のマット・マートンも驚きを隠せない。
 本来であればアンダーソンファミリーの面々が訪れる予定だったが、ランディが相手と知って相応の準備が必要という事になった。そこでファリフの協力者としてマットが名乗りを上げた。
「一応聞くが、良かったのか? 試練と言っても命を落とす戦士もいる。血脈でもないお前が助けてくれるのはありがたいが……」
 フローズはマットの身を案じた。
 試練の内容を知っているからこそ、マットが心配だったのだ。先住民の戦士でも場合によっては死ぬ事もある。ここでマットが死亡するような事があれば、アンダーソンファミリーにとっても大きな問題となるだろう。
「親父が昏睡状態の理由。さっき聞いたけど、ランディが血脈の力で呪ったんだろ?」
「うむ。ファリフが成長するか、指導者となれば解呪できるだろう」
「あんな同じだったけど、親父だからな。このまま死なせたくないんだ」
 少し寂しそうに呟くマット。
 アンダーソンファミリーボスのウォルター・アンダーソンの息子、マット。ボスの血筋が継ぐファミリーのルール――血の掟――で考えれば、後継者はマットだ。しかし、マットはウォルターへ反発。最終的にマットが家を飛び出す形で親子喧嘩は幕を引いた。言ってみれば、血の掟を否定したも同然だ。
 そんなマットだったが、病院で目を醒まさないウォルターを前に動く事を決めたようだ。
 それを知ったフローズは、それ以上口を閉ざした。
「そうか」
「それに……」
「……?」
 マットは一呼吸を置いてから、思いを口にした。
「似ていると思うんだよ。血脈とファミリー。俺も生まれてすぐファミリーの次期ボスなんて言われてたからな」


 階段を降り立った一行の前に広がったのは、大きな円形の場。
 一目で闘技場と分かる。
 前方、そして左右に据えられた塔に突然、火が灯った。
「これより試練を開始する。ファリフ、前へ進め」
「うん」
 歩き出すファリフ。
 その後を追うように、咎人とマットが続く。
 部屋の中央辺りに到着した段階で、床の石が動き出した。
「うわ!」
 激しい揺れで誰かが叫んだ。
 次の瞬間、前に現れたのは巨大な牛型の彫刻。
 堅い石で出来ているのは一目で分かる。その周囲には床から這い出すように、木の体を持つ人型の存在が歩み寄る。
「ハコヤナギの精を退け、バッファローを倒して神に供物を捧げよ。さすれば、神は力を与えてくれるであろう」
 部屋に響くフローズの声。
 ファリフは試練を乗り越えるべく、斧を握り締めた。

成功条件

条件1試練としてバッファローを撃破する
条件2-
条件3-

選択肢

選択肢1バッファロー対応 現在の人数10
選択肢2ハコヤナギ対応 現在の人数6

解 説

新たなる力を得る為、ファリフは「ウィワンヤンク・ワチピ」を受ける事になった。協力者であるマットと共に、試練の場へ赴くファリフであったが、そこで待ち受けていたのは巨大な牛の像であった。フローズは言う。「バッファローを倒して神に供物として捧げろ」。それは、まさに試練の正体であった。この試練を乗り越える事で、ファリフは神ワカンタンカから力を授けられる。その力は、聖地レイムディアーで待ち受けるウェンディゴを倒す為に必要になるというが……。
迫り来るバッファローを前に、ファリフは激戦を覚悟した。

敵:
バッファロー × 1
巨大な牛型の彫像。サイズ2。
動く石像ではあるが、強力な突進と堅い角が武器。斬耐性もあり、時折角で攻撃を弾く時がある。また、取り囲んだ場合は跳躍して地面を激しく叩く範囲攻撃を仕掛けてくる。血脈であるファリフを中心に狙う傾向がある。ハコヤナギを盾にしても容赦なく突き進んでくる。体力高め。

ハコヤナギ × 多数
動き樹木。動きは遅いが、戦う咎人に襲い掛かってくる。意外に力は強く、掴まれれば一定時間動けなくなる。掴んでいるハコヤナギを攻撃すれば掴まれていた咎人も脱出可能となる。ハコヤナギは最初10体程度だが、バッファローが倒されるまで無尽蔵に姿を現す模様。打撃耐性あり。

備考:
・バッファローは派手に動き回りますが、試練の場が崩落する心配はありません。
・基本的にフローズは手を貸してくれません。見守っています。
・ファリフは選択肢1、マットは選択肢2に登場します。
・マットは支給されているリボルバーで戦います。ファリフに集まるハコヤナギを相手に戦います。
・戦闘前にフローズやファリフ、マットへ質問する事は可能です。

マスターより

近藤豊です。
今回のオルメタ依頼は、所謂ファリフの修行依頼となります。試練を乗り越える事で、新たな力を得る事ができる。そう言われたファリフは、困難に立ち向かいます。咎人の皆様、是非ファリフを助けてあげて下さい。これから起こるであろう聖地を巡る戦いを生き残る為にも。
それでは、焙りはんぺんを肴にお待ちしております。

参加キャラクター

  • 氷鏡 六花ma0360
    精霊種|女
  • 更級 暁斗ma0383
    人間種|男
  • シャハエルma1209
    神魔種|男
  • 如月 朱烙ma0627
    人間種|女
  • リダ・クルツma1076
    人間種|男
  • マイナ・ミンターma0717
    人間種|女
  • マリエルma0991
    機械種|女
  • マルコム・レーナルトma0971
    獣人種|男
  • 麻生 遊夜ma0279
    機械種|男
  • 天魔ma0247
    神魔種|男
  • 金路ma1384
    獣人種|男
  • 川澄 静ma0164
    精霊種|女
  • 高柳 京四郎ma0078
    人間種|男
  • 鈴鳴 響ma0317
    神魔種|女
  • 桜庭愛ma1036
    人間種|女
  • 天野 イサナma0022
    人間種|女
リプレイ公開中

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