- 召喚可能
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このシナリオでは召喚を行うことができます。
召喚を装備しているキャラクター全員が召喚可能です。
オープニング
荒野の只中を、多数の軍用車両が南へとひた走っていた。
蟻の行列の如く一列で走る軍用トラック。その最後尾に大型トレーラー…… その車列を守るように、左右にフェニエ同盟軍の装甲車両や高機動車が多数、併走している。
ガタゴトと揺れる幌付きの荷台の上には、すし詰めにされた大勢の人、人、人…… 立ったまま膝を曲げることもできず、人いきれに疲れ果てて誰も一言も喋らない……
彼らは『亡国の民』だった。正確には、今まさに故国を喪失しようとしている人々だった。
原因はアース帝国の侵攻。侵略の理由は『帝国に従属しなかったから』だという。
彼らの領主は古に交わされた盟約に従い、地域の小公国連合軍に与して戦うことにした。同時に、大陸南部の大国『トルブラム連邦』に領民の避難支援を要請していた。
決戦が行われ……領主の予想通り、小公国連合軍は帝国の圧倒的軍事力の前に敗れた。
生き残った領主は自軍残存部隊を纏め上げ、領民たちが避難する時間を稼ぐべく、領都で帝国軍を待ち受けている。
この車列は『最終便』だった。領民の避難支援の為に残っていたフェニエ同盟軍の部隊は、領都の陥落と共に撤収することが決まっていた。……領都には、まだ少なくない数の領民が取り残されているにも関わらず。
車列に乗り合わせた人々の想いは複雑だった。『最終便』に間に合ったことに安堵しつつ、同時に『間に合わなかった』人たちに対する後ろめたさも心に重く圧し掛かる。……赤の他人ではない。彼らにとっては同じ領都に暮らした知人、友人、同胞だ。
それは護衛の兵たちにとっても、また同じ──
……見捨ててしまった。見捨てたくなかった。敵に背を向け、逃げたくなかった。もし、この地域の小領主たちが古の盟約に固執せず、我々の手を取ってくれていたら── 同盟に参加してくれていたら、我々も共に戦うことが出来たと言うのに……
「大尉。あと五分でポイントβへ到達します」
上級曹長に声を掛けられ、護衛部隊を纏める中隊長は我に返った。……いかん。集中力を切らしてしまっていたようだ。何食わぬ顔で言葉を返す。……恐らく、曹長には見透かされてはいるだろうが。
「領都を出発して三時間か……そろそろ避難民たちも限界だろうな」
「緊急事態とは言え、トラックの荷台に立ちっぱなしですからね。体力は勿論、排泄の問題もあります」
「ポイントγにて大休止を取る。避難民たちも荷台から下ろして休ませてやれ。糧食を配り、水の補給も。荷を下ろしたトラックには避難民を移すように。せめて座れるくらいのスペースは確保してやりたい」
……車列が幹線道路を逸れ、荒野の只中へと分け入った。追っ手から見つかり難くする為だ。勿論、轍の跡は全て消す。
……小さな丘を幾つか越えて、広い窪地で車列を止めた。
荷台から下ろされた避難民たちが腰を押さえて大きく伸びをし……思い思いの場所に座って、配られた糧食に手を付ける。
やがて、傾いでいた日もすっかり陰り、空も朱から藍へと染め換わった。
護衛の兵士たちに再びトラックへ搭乗するよう促され、腰を上げた避難民たちの、幾人かが『それ』に気付いた。
──暗くなって星が瞬き始めた北の空が、まるで夜明けの様に赤く染まっていた。それが何を意味しているのか、避難民たちには分かっていた。
「領都が……俺たちの領都が燃えている……!」
「そんな……領主様……!」
呆然と立ち尽くし、或いは、顔を覆って泣き崩れる人々。一方、護衛の兵たちの表情は厳しい。大尉は上級曹長に手早く指示を出す。
「追っ手が来る。すぐに避難民たちをトラックに乗せろ。物資は全て捨てていい。とにかく荷を軽くして、速度が出るようにするんだ」
ただちに行動を始める兵士たち。だが、急かされた避難民たちの動きはやはり鈍い。
(急げ、急げ……!)
一切の焦りを外には出さず、しかし、心中では早足でグルグルと回り続ける中隊長。……ここは幹線道路から外れた荒野の只中。そう簡単に見つかることはないとは思うが……
「全員の搭乗を確認しました!」
「直ちに出発させろ」
動き出す車列。だが、全ての車両が動き出すより早く『ソレ』は現れた。
──それは黒い『猟犬』だった。いや、猟犬の様に見えるが、そのサイズは犀(サイ)より大きかった。
『魔獣』だ。邪神の尖兵。アース帝国が運用する生物兵器。数は3体、小型の下位種── なぜここに? 本物の猟犬の如く、臭いを追跡する能力でも持っているのか……?
大尉が絶句している間に、護衛の兵士たちの一部が勝手に動いた。
「中隊長、我々が時間を稼ぎます!」
「誰だ?! 命令は発していないぞ!?」
部下の高機動車10台を率いて、迫る魔獣の元へと向かう小隊長。ルーフの銃座から身を乗り出した少尉が示す別れの敬礼── それを大尉は奥歯を噛み締めて見送りながら、曹長に車列の出発を急がせる。
敵の足止めに向かった小隊は、出会い頭に有線式対戦車誘導弾の一斉射を叩き込んで最初の魔獣を屠ったものの、残る2体の運動性に翻弄され、全滅した。……彼らは2体の魔獣を相手に、想定以上の時間を稼いでくれた。だが、車列はまだ6分の1ほどが残っている。
──トラックの荷台にいた少年が立ち上がり、迫る魔獣をキッと睨みつけた。老人が孫を抱くように少年の身体を包み込む。
「クソッ……!」
大尉は残る車両を一斉に出発させることを決心した。道なき道。何台かは迷って落伍することになると思うが仕方がない。ああ、それでも、もう一個小隊は使い潰すことを覚悟しなければならないな。その次は中隊直下の自分の小隊を……
「中隊長!」
曹長が自分を呼ぶ。大尉は「何だ!?」と声を荒げた。
「隊の行く手──南よりこちらに接近する車両があります。何でも『援軍を連れて来た』とか……」
「援軍!?」
大尉は魔獣に向けていた双眼鏡を背後へと向け直した。……煌々とヘッドライトを点した高機動車が二両、こちらへと向かって来ていた。
(……あれが援軍だって? たった二両で何ができると……)
その件の高機動車二両が、大尉たちの乗る車両のすぐ脇を抜け、北へとひた走っていった。その際、高機動車の運転席から、満面の笑顔でこちらに手を振る女士官の姿が見えた。
「は?」
大尉は絶句した。見知った上官の顔だった。
「大隊長殿!?」
──走る二両の高機動車から、バラバラと人影が飛び降りた。彼らは大尉が「あっ!」と声を上げる間も無く、迫る魔獣二体を瞬く間に『斬り捨て』ていた。
「大隊長、彼らはいったい……」
大尉が問いかけると、なぜか大隊長がドヤ顔で答えた。
「彼らは『咎人』さ。ユーフォリア公国のフェイト姫が認めた『女神の騎士』様たちだ」
成功条件
条件1 | 大型魔獣3体の撃破と巨神機『ウォードス』3機の撃退 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 成功条件1に加え、ウォードス1機以上の大破 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
1.状況
状況はOP本文の通り。PCは避難民たちの救援に駆けつけた咎人の一人となります。
シナリオはOP本文の魔獣を倒したところから。無事に帝国の追っ手を倒してホッと息を吐くのも束の間。帝国の追撃隊本隊が丘の稜線を越えて姿を現します。
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●帝国軍追撃隊(本隊)
○大型魔獣3体
邪神の尖兵。アース帝国が運用する生物兵器。同じように見えても、同じ固体は二つとない。
『一尾』
鋭い刃状の尾が生えた黒豹型。
鞭の様に撓る槍や刀といった風な尻尾を振るって戦う。薙ぎ払い範囲攻撃あり。
『三尾』
三又の竜頭型の尾を持つ巨大猫型。三本の尾の先から怪光線や迸る酸や火炎を吐いて攻撃。
別名、キ○グギドラ猫(何
『四湾』
両肩の上に更に二本の虎腕が生えた獅子型。その腕は膂力に優れ、その爪は何でも切り裂くという
別名、キ○グレオ(嘘
○巨神機『ウォードス』×3
アース帝国が多数運用する巨神機。
今回は追撃戦の為、装備は軽装。また領都の戦いで弾薬を損耗しており、近接武器しか所持していない。
パイロットの刻印はいずれも『中級』
『小隊長機』
飾り角付き機(何 片手用戦斧と、(スコップの様に土木作業にも使える)カイトシールドを装備
他にも殴る、蹴る、投げる、極める、等
パイロットはガハハハとか笑うサディスティックな男
『兵士A』
両手用の十文字槍装備。槍の技能持ちらしく、間合いの取り方が上手い。槍先に岩刺して投げたり
『兵士B』
斧槍(ハルバード)装備。よく被弾する性質なのか、装甲がボロボロ。適当な増加装甲を張り付けている
○他、多数の歩兵戦闘車に搭乗した歩兵多数
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……流石の咎人にも手に余る戦力です。しかも、フェイト姫により『正義の味方』としての振る舞いを求められている以上、殺戮はなるべくご法度です
なら、どうするか──
(以下、『マスターより』へ続く)
マスターより
(『解説』から続き)
なら、どうするか──導き出された答えは「帝国追撃隊の主戦力を潰す。以って、敵歩兵の士気を折る」でした。つまり、「『召喚』でロボ呼び出して敵ロボをボコしちまえば、雑魚は逃げ散るんじゃね?」です(
というわけで、咎人の皆さんには、3体の大型魔獣の撃破と、3体の巨神機の撃退をお願いします
2.劇中のイベント
3体の巨神機は不利になると撤退を始めます
更に追い込むと、凄腕の女パイロットが駆る『アルテュール』が現れ、撤退支援を始めます
基本、顔見せです。やたら強いです。危険です(何
●マスターより
というわけで、封魔界でロボもの連作始めましたー!
皆様、よろしくお願いしますー!
参加キャラクター
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- アナルデール・ウンディーニ(ma0116)
- 人間種|女
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- 小山内・小鳥(ma0062)
- 獣人種|女
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- 三糸 一久(ma0052)
- 人間種|男
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- 白玉 纒(ma0300)
- 機械種|女
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- 透夜(ma0306)
- 機械種|男
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- 伊藤 毅(ma0538)
- 人間種|男
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- 氷雨 累(ma0467)
- 人間種|男
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- 夕凪 春花(ma0916)
- 獣人種|女
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- フィリア・フラテルニテ(ma0193)
- 神魔種|女
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
- リプレイ公開中