- IFシナリオ
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このシナリオはIFシナリオに設定されています。
描写されるものは「ハイブリッドヘブン」と関係のないものとして扱います。通常の世界観や設定とは異なりますので、特別な設定としてお楽しみください。
オープニング
これは夢なのだとわかっているのに、どうか覚めないでくれと祈ってしまう。
目覚めればなにもかもを忘れてしまうから――
懐かしい匂いに鼻をくすぐられて飛剣天仁は目を覚ました。
(うたた寝をしていたのか)
目覚めると同時にぶるっと身震いがした。庭に面した障子が開け放たれていて、1月の寒風が遠慮なく吹き込んでいた。
「ちょうど目を覚まされる頃合いだと思って、お茶と餅を持ってまいりました」
「なるほど、目が覚めたのは餅を焼く匂いのせいか」
硬くなった身体を解すように伸びをしながら、天仁は角火鉢の傍へ移動した。差し出された湯呑を受け取り、脂下がった顔でごくりと飲む。
「あ、旦那様。行儀が悪い」
餅を手づかみで頬張る天仁に、女がぴしりと叱った。
「うん、美味い。今年の餅は格別だな、おおそうだ。餅をついたのは俺だったなァ」
と天仁は意に介さず、皿からふたつめをつまみ上げた。
「そんな怖い顔は似合わんぞ、妻女殿。年が明けたばかりだ、いつもみたいに笑っていてくれ」
「おかしくもないのに笑ったりなんかしません」
つん、とそっぽを向く妻女。
「これは申し訳ない。正月早々、奥方を怒らせるとは俺が悪かった。この通り、謝る」
目も合わせてくれない妻女の様子に、これはふざけ過ぎたかと姿勢を正して頭を下げた。
「その着物、いいじゃないか。若竹色の鮮やかさがおまえの肌の白さを際立たせているな。うん、正月らしい」
「……」
「……?」
「昨日も着ておりました。正月の準備に追われておりましたので、これから着替えるところでしたが、旦那様がそうおっしゃるのならこのままにしておきますね」
(まずい、さらに機嫌を損ねてしまった)
「いや、だから、その、おまえはどんな格好をしていても可愛いし、つまり、俺は」
「“俺は”?」
(いつもの可愛い妻はどこへいった。正月早々こわいんだが)
両手を合わせて焼餅の焦げたカスを払い落とし、ほっぺたを膨らませている妻の肩を抱き寄せた。
「……」
「……旦那様。そこははっきりとおっしゃってください。おまえを好いていると。それともわたしが旦那様をお慕いしているだけなのでしょうか」
「そんなことはない。断じてないッ」
「ではおっしゃって」
「…………ま、待て待て逃げるな」
腕の中から逃げようとする妻をさらに強く抱きしめた。顔を覗き込むと、ぷうっとさらにほっぺたを膨らませていた。
(可愛くて仕方がないな)
「そんな顔をしてくれるな。俺の忍耐にも限界はあるぞ」
「我慢なんかおやめになればいいのに」
「…………くっ。俺の妻が正月からこんなに可愛いとは」
「おや、わたしはいつも可愛いのではなかったのですか」
「や、やめろ。顔を近づけるな、待て待て待て」
「…………観念なさって? 旦那様」
「あいたッ」
鼻っ柱をきゅっと摘まんだ妻が得意げな笑みを浮かべて天仁を見上げた。
「こいつめ」
身じろぎできないように天仁は腕の中の彼女を抱きしめた。
(俺の心を掴んで離さない愛しいひとだ)
わかっている、これは夢だと。
だが、それでも浸っていたい。たとえ一時の幻であっても――
目覚めればなにもかもを忘れてしまうから――
懐かしい匂いに鼻をくすぐられて飛剣天仁は目を覚ました。
(うたた寝をしていたのか)
目覚めると同時にぶるっと身震いがした。庭に面した障子が開け放たれていて、1月の寒風が遠慮なく吹き込んでいた。
「ちょうど目を覚まされる頃合いだと思って、お茶と餅を持ってまいりました」
「なるほど、目が覚めたのは餅を焼く匂いのせいか」
硬くなった身体を解すように伸びをしながら、天仁は角火鉢の傍へ移動した。差し出された湯呑を受け取り、脂下がった顔でごくりと飲む。
「あ、旦那様。行儀が悪い」
餅を手づかみで頬張る天仁に、女がぴしりと叱った。
「うん、美味い。今年の餅は格別だな、おおそうだ。餅をついたのは俺だったなァ」
と天仁は意に介さず、皿からふたつめをつまみ上げた。
「そんな怖い顔は似合わんぞ、妻女殿。年が明けたばかりだ、いつもみたいに笑っていてくれ」
「おかしくもないのに笑ったりなんかしません」
つん、とそっぽを向く妻女。
「これは申し訳ない。正月早々、奥方を怒らせるとは俺が悪かった。この通り、謝る」
目も合わせてくれない妻女の様子に、これはふざけ過ぎたかと姿勢を正して頭を下げた。
「その着物、いいじゃないか。若竹色の鮮やかさがおまえの肌の白さを際立たせているな。うん、正月らしい」
「……」
「……?」
「昨日も着ておりました。正月の準備に追われておりましたので、これから着替えるところでしたが、旦那様がそうおっしゃるのならこのままにしておきますね」
(まずい、さらに機嫌を損ねてしまった)
「いや、だから、その、おまえはどんな格好をしていても可愛いし、つまり、俺は」
「“俺は”?」
(いつもの可愛い妻はどこへいった。正月早々こわいんだが)
両手を合わせて焼餅の焦げたカスを払い落とし、ほっぺたを膨らませている妻の肩を抱き寄せた。
「……」
「……旦那様。そこははっきりとおっしゃってください。おまえを好いていると。それともわたしが旦那様をお慕いしているだけなのでしょうか」
「そんなことはない。断じてないッ」
「ではおっしゃって」
「…………ま、待て待て逃げるな」
腕の中から逃げようとする妻をさらに強く抱きしめた。顔を覗き込むと、ぷうっとさらにほっぺたを膨らませていた。
(可愛くて仕方がないな)
「そんな顔をしてくれるな。俺の忍耐にも限界はあるぞ」
「我慢なんかおやめになればいいのに」
「…………くっ。俺の妻が正月からこんなに可愛いとは」
「おや、わたしはいつも可愛いのではなかったのですか」
「や、やめろ。顔を近づけるな、待て待て待て」
「…………観念なさって? 旦那様」
「あいたッ」
鼻っ柱をきゅっと摘まんだ妻が得意げな笑みを浮かべて天仁を見上げた。
「こいつめ」
身じろぎできないように天仁は腕の中の彼女を抱きしめた。
(俺の心を掴んで離さない愛しいひとだ)
わかっている、これは夢だと。
だが、それでも浸っていたい。たとえ一時の幻であっても――
成功条件
条件1 | 甘々シナリオを楽しもう! |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 甘々いちゃいちゃシナリオを楽しもう! |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
甘く、切ないかもしれない初夢。
現実世界ではけして交差することがない人とでも、夢の世界では顔を合わせて笑い合えるし話もできる。抱きしめることも愛を囁くことも。
これは【IF】シナリオとなっておりますので、実際のハイブリッドヘブン世界とはまったく別のものと考えてご参加ください。
現実ではなかなか正直に言えないことが、初夢の中に顕現してしまうかもしれない。でも、それはやっぱり夢の中の出来事だから目覚めればすっぱり忘れてしまう。
それなら思いきり愛を囁いたりしませんか!
いちゃついたりしませんか!!
年明け早々見せつけたりしませんか!!!
というだけのシナリオにございます(うふ
ペアでの参加を推奨しますが、ひとり語りでも問題ありません。そのようにプレイング内で指定をお願いします。その場合でも、相手がいるものとして語ってください。
※※甘味成分多めですがNOエロですよ! ご注意を。
マスターより
【IF】初夢でお砂糖ザアアアアアアアアっと浴びませんか! 私にPCさんのお砂糖シーンを書かせてください! よろしくお願いいたします。
関連NPC
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- 飛剣 天仁(mz0020)
- 異能種|男
参加キャラクター
- リプレイ公開中