天獄ダンジョン騒動記~眠りの島と、魂の夢鏡~
土耳古熊
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シナリオ形態
ショート
難易度
Normal
判定方法
カジュアル
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100SC
参加人数
3人~6人
優先抽選
50SC
報酬
200 EXP
5000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2021/05/29 10:30
プレイング締切
2021/06/01 10:30
リプレイ完成予定
2021/06/10
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. -
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

オープニング

 ここは天獄界エンブリオ、咎人の皆様にはおなじみの生活の基盤にして全ての冒険や日常、非日常の起点となる主幹世界。

 時折、崩壊の定まった平行世界より、神々の気まぐれにより一部がサルベージされ、あちこちに浮島として存在する事もまた知られている。
 こういった島々は『未開拓領域』或いは『天獄ダンジョン』と呼称され、時に修行に、時に資源回収に、時に調査開拓にと様々な騒動の舞台ともなる。

 これより語られるのも、そんな浮島の中の一つである。

●夢を映す島

「よく眠れる島があるそうだよ」
「はぁ?」
 広場でベンチに腰を下ろし、仲良く暇をつぶしていたらしい咎人のコンビが、そんな話を交わす。
 別に眠るなら流刑街に借りてる家でも、よくその辺に気が付くと転がっている、思わず踏みつけそうになる広場寝勢の仲間入りでも、どっちでもいいじゃないかと顔に出す相方に、話題を出した方は微笑を浮かべて続ける。

「どんな不眠症の咎人も、或いは本来眠りを必要としない種族すらも、その島に行けば苦も無く眠れるらしいんだ。
 勿論、それだけじゃなくてね。必ず夢を見れるそうなんだ、しかも望んだ夢を。
 ただし何でも思い通りになる夢ではなく、なんだっけ……」
 また聞きの話を思い出す様に、彼は暫く唸った後でポンと掌を叩く仕草で口を開く。

「過去を振り返る夢、或いは現在の自分と対面する夢ばかりで、しかも自身が夢を見ているとはっきり自覚する明晰夢、と言う奴らしいよ?
 未来とか空想の夢は、何故か見ないそうでね。
 だからそこに行った人たちは、島の中央にそびえ立つ巨大な大鏡を見て、こう呼んでいるんだ」

“魂の夢鏡島(ゆめかがみじま)”ってね。

「ほ~ん……、過去の夢、ね」
 呟いて考えこみだす相方に、彼は見守るような眼差しで微笑みを浮かべて。
 最近になって様子が落ち込んでいる風に見える相方に、何かしら持ち直す要因になればと願いながら――。

●過去よりの夢鏡

 眩しい夏の太陽が降り注ぎ、見覚えのある大仰な和風屋敷。大樹の陰になる庭に面したその縁側に、懐かしくも愛おしい姿を臨み、彼は心臓を跳ねさせながらも一心に駆けよって。

「あ、姉上!」
『――』
 彼の声に、気づいて顔を上げた若い女性は、嬉しそうな笑みを浮かべて隣へと手招きをする。
 過去の記憶の中と変わらぬその姿に、彼は涙を流しながら頷いて、すぐに隣へと腰を下ろした。
 そうすると、優しい仕草で肩を抱かれ、そっと膝の上に倒される事もまた、幼い頃より変わらぬ流れで。

「……姉上、は、俺を、恨んでいらっしゃいますか?」
『――』
 膝枕をされながら、上向いて見上げる美しい姉の顔は変わらず微笑んで、彼の頭を愛おしげに撫で、髪を漉いてくれる。
 その感触に、思い出に。やはり涙を零しながらも、彼は歯を喰い締めて告解を続けるのだ。

「姉上を、嫉妬に狂って殺めてしまった、この俺を――許しては下さらないでしょうね」
『――』
 これは彼自身が見ている夢、過去の、前世の記憶より呼び出され映し込まれただけの夢鏡の世界。
 許すとも、許さないとも言ってくれない姉の姿は、同時に彼自身がそれを望んでいないが故なのだから。
 前世で、許嫁との婚儀が迫ったあの日、彼はそれが許せず嫉妬に狂い、姉弟以上の想いを告げてしまった。
 だがそれを当然受け入れる事など出来ない姉は、きっぱりと拒絶して。その怒りと衝動に、気が付けば彼女の細い首を彼の手が握りしめていた。

 事切れた姉の姿に、悲しみと焦りを浮かべ、やがて思いついたのは『姉を許嫁が謀って殺めた』と冤罪を被せるという愚挙だった。
 当初は如何にかそれで実家を騙し、両家の戦争にまで発展させる事に成功、共に力ある一族同士の殺し合いは凄惨な物となっていった。
 しかし冤罪を主張し続けた許嫁が、とうとう真相を突き止め、それを公にして。
 彼は、双方の家から制裁を受ける立場へと追い込まれ、最後はあっさりと姉の許嫁だった男の手で討たれ、しかし気が付けばこの天獄界で、咎人として存在していたのだ。

「どうして、どうして俺は……想いを封じて、姉上の幸せを願ってやれなかったッ、どうして、あんな真似を……ぐぅぅっ!」
 慟哭を響かせる庭に、一陣の風が吹き過ぎて――ただ夢鏡の世界は、彼の目が覚めるまでを、在るがままに映し続けていた。

●虚夢の回廊

「……夢、か。前世の過去を無くした俺には、見る夢もないのかね」

 漆黒の回廊、そう思わせる闇の途上に立っている事に気づいた男は、一人語散る。
 生まれ変わる時に、恐らく無意識に自身が望んだのだろうと、何となく予想はしていた。前世の記憶を、過去を、忘却する事を。
 それだけ酷かったのか、或いはもともと引きずるような思い残しも無かったのか。
 今となっては、どうでもいい事だが。

「そうだよな、俺」
『そうだな、俺よ』

 いつの間にか、目の前に全く寸分狂いもなく男自身の姿が、もう一人現れていた。
『後悔しているのか、忘れた事を』
「いんや、まったく? ……ただ、過去がないってのは、こんなにも足元がふわつくというか、落ち着かないもんだとは思ってなかったがね」
 コートの懐から取り出した葉巻の口火を切って咥えると、対面していたもう一人の自分が火を差し出して来るのを素直に受け、味わうように吸い込んで。満足げに紫煙を吐き出す。

『その様だな。以前の俺なら、この間の仕事であんな行動はとらなかっただろうさ』
「……お前、覚えてんの?」
 過去を、と言外に示せば、しかし相手は肯定も否定もしない。
『忘れてはいる、だが忘却とは消失ではない。この闇は、ばらばらに砕け散って折り重なっている記憶の亡骸だ』
「だから、例の奉納で得る力を使えば思い出す事も出来る――ってか」
『恐らくな』

 実際の仕組みは分からない、だから夢の自分の言葉なんて、どうせ自身が無意識に予想していた内容に過ぎないのだろう。
 それからしばらくの間、両者は同じ顔で、同じ仕草で葉巻をくゆらせ続ける。
 やがて一本を吸いきった後、男はもう一人の自分に背を向けて歩き出した。
『起きるのか』
「これ以上話す事もないしな、まあ自分と語り合うってのは面白かったよ」

 後ろ手にひらひらと手を振って、やがて闇の中に溶けて消える様に見えなくなる男の姿に、映し身は口を開く。
『忘れたいと願った。だが同時に、捨て去りたいとも思わなかった。愚かな話だ』
 そうして溶ける様に消え去って。



 夢は所詮、朧に儚く。
 島で眠りについた者たちは、目覚めればその内容を何となくしか覚えていない。
 だが、きっと意味はあったのだろう。少なくとも眠る前とは、気分が違う――様な気がしないでもない。
 まあ所詮は夢だ、気にする必要もないだろうと。

 咎人達は、またいつもの日常に、異世界への介入に、騒動に、その身を投じていくのである。

成功条件

条件1それぞれの夢を見る
条件2-
条件3-

解 説

 夢シナリオですが、IFではなく日常の一コマとしての内容です。

 夢を見るだけなのに、報酬がある?
 きっと島から帰った後で、適当な依頼で儲けたんだと思いねぇ、はっはっは!
 と言う感じで自己補完をよろしく←

 日常の中、何かしらの理由が、或いはただの暇潰し、話題の種に。
 皆さんはこの島へと足を運んだのでしょう。そして夢を見る。
 あ、寝具はセルフサービスでお願いします、施設とかなんもない島なので。

 島の外観は、穏やかなそよ風と足首丈に色取り取りの小さな花が咲き誇る、草原が広がるだけの平坦な浮島。ただ丁度中央に、高さ100メートル、幅20メートルくらいの鏡が三角柱の様に三面を陽に輝かせてそそり立っています。
 咎人の力をもってしても、傷一つ付けられない強度を誇るようです。(なお神様ならぶっ壊せる。例えばスサノオ神のビームとか)

◆夢の内容に関して。
、前世、過去の記憶を夢見たい方は【過去】とか【前世】、忘却している設定の方は【虚夢】、【回廊】などのタグ付けをお願いいたします。
 なくてもプレイング自体の内容で、MSが判断する事も出来ますので、文字が余って気が向けば? と言う感じで構いません。

 なお、本文の通り未来や理想、空想関係の夢は見る事が出来ません。そう言う仕様です。
 では、皆さまの夢鏡が映し出す原風景を、ゆるりとお待ち申し上げております。

マスターより

 今回は色物ではなく、夢物なシナリオをお届けします、熊です。
 需要があるのかは謎ですが、偶にはせっかくの過去設定を活かす舞台があってもいいのではと。

 なお、恋人や夫婦、或いは前世のライバルとか、殺し愛♡とか。
 参加された方に何らかの関係性があっても、今回見る夢は個別に断絶しているので、例えお互いの夢を見たとしても相手には伝わりませんし把握も不可能です。
 それ故のカジュアルですので、この点をご了承ください。

参加キャラクター

  • サヴィーノ・パルヴィスma0665
    人間種|男
  • 灰音ma0155
    獣人種|不明
  • 物部 琉斗ma0551
    剛力種|男
  • 極楽 鳥花ma0455
    獣人種|男
  • 鈴鳴 響ma0317
    神魔種|女
  • エイリアスma0037
    神魔種|女
リプレイ公開中

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