オープニング

●これまでのあらすじ（読み飛ばし可）
　三神が新たに天獄界に浮遊島としてサルベージした土地は山岳地帯だった。
　高地乾燥の土地で急峻な山と深い谷、そして岩や土の目立つ土地で三神から指示を受けた武装教会は調査を開始した。
　手始めに山の麓にイデアゲートを設置。手始めに付近にある【廃墟都市】の調査に深夜真世(mz0069)たち咎人を向かわせる。
　時を同じくして、山岳調査用に【滑空艇】を試作。コクリ・コロン(mz0061)などにテスト飛行を任せた。
　【廃墟都市】は【水不足による住民退去】で廃れたと判明。それとは別に【有翼獣人「ハーピー」と対立していた】ことが分かった。
　一方、【滑空艇】のテスト飛行は順調。高高度飛行は厳しいことが判明する。
　しかし、慣熟飛行中の咎人が【上昇気流発生地点】を発見した。
　これにより、次の調査は【廃墟都市】付近の枯れた川の上流と上昇気流に乗っての山岳上部となった。
　結果、枯れた川上流の崖に【洞窟都市「アルゴ」】を、山岳頂上部に【礼拝都市「サザンクロス」】を発見した。
　【アルゴ】は水害で滅亡していた。【廃墟都市】の雨乞いが原因である。
　【アルゴ】住民から信仰されていたハーピーは怒って【廃墟都市】への攻撃を繰り返し、雨乞いなどを妨害。住民退去の一因となった。
　これにより、雨乞いの中心であったサザンクロスに祀られた水の精霊、人魚は姿を消した。住民が戻って来た時のため、そして礼拝都市を守るため力を残し。
　こうして、礼拝都市は【戦艦都市「サザンクロス」】として近付くハーピーと戦っていた。
　そして咎人たちがすべてを解決していったのである。
　【アルゴ】から王冠を探し出しハーピーたちを解放し、そしてまた【サザンクロス】の閉じた扉を開き、人魚の残された力を戦闘から解放したのである。

●本編
「……以上が、これまでの出来事を纏めた報告書です」
　武装教会服飾部の女性、アンデルセンが探索兼滑空艇基地で書類の束を閉じた。
「やれやれ、これで任務完了ね～」
　大人しく聞いていた深夜真世がふー、と息をついた。
「なに言ってんですか」
「ほへ？」
「サザンクロスの調査はこれからですよ？」
「ほへ？　だってこれまで間があったし武装協会が私たちのあとすぐに乗り込んだじゃない」
　真世の言うことはもっともだ。
　すでに武装教会の調査班が現地調査をして、すでに終わっていてもおかしくない頃だ。
　これにため息をつくアンデルセン。
「……真世さん、戦うのが好きってわけじゃないでしょ？　戦ったあとのご褒美は欲しくないんですか？　そっちの方が好きなんじゃないんですか？」
「ご褒美？」
「サザンクロスは中央の神殿から精霊力の残りである水を噴水のように噴き上げました」
「うん。虹が架かってキレイだった。まるでそれまで頑張ったご褒美みたいだったよ」
　頷く真世。
「問題はその後です。……水は精霊力。その力は、枯れ果てた土地をまるで春の大地のように緑あふれる風景に蘇らせたのです」
「緑あふれる……光景？」
「はい。とても素晴らしい庭園になっていますよ。行って調査の名目でのんびりしたくありませんか？」
「うん、行く行く～」
　真世、飛びついた。

　その後、アンデルセンはハンガーのコクリ・コロンの元を訪れた。
　真世と同じ説明をする。
「へえっ。春の庭園……」
　ここでちょっとアンデルセン、知恵を働かせる。
「武装教会調査班が近くの絶壁に的を描いてますから、オーバーハングの崖をくぐっての射撃訓練もできます」
「オーバー……頂上の崖のでっぱりの下に潜り込んで撃つんだね？」
「そうです。あとは高地特産のジャイアントコーンも実を結んでいます。こちらは収穫できていませんから手摘みで集めて納品してください。……普通のトウモロコシより大きいですよ？」
「おっきいの？　わあっ。見たい見たい」
　ワクワクするコクリ。
　決まりである。

　というわけで、氷の壁が消えてパルテノン風になった神殿を中心に緑あふれる礼拝広場と化した【サザンクロス】まで滑空艇で訪れ、のんびりと昼寝や散策、お弁当に観覧飛行、捻り込みの必要な射撃飛行訓練など楽しみたい人が募られるのだった。