オープニング

　ここは闇掟界「オルメタ」の都市ツインフィールズ。
　アンダーソンファミリーや咎人の奮闘もあり街中で過激派マフィアやクリーチャーといった住民を脅かす騒動は減少傾向にあるが、いまだクリーチャーは暗躍し過激派マフィアやその残党の悪行は消えていなかった。

　そんな中、マフィアからちょっとした仕事を請け負って小遣い稼ぎをしている子どもたちがいた。
「だめだ」
　子どもの一人、チンシンが匙を投げた。
　彼らのアジトには数人の少年がいる。
「なんでだ？　俺たち、クリーチャーの情報をつかんで言われた通りにマフィアに横流ししたじゃないか！」
　血の気の多い少年、ヒョーマがいきり立つ。
「情報だけだと礼金が安すぎるんだよ。討伐の実行部隊に大半を取られてしまう」
　肩をすくめるチンシン。
「そんじゃ情報は流さず俺たちだけで倒しちまおうぜ！　言われた通りにして損するなんて御免だ！」
「駄目だ」
　ヒョーマが唇を尖らせたところでリーダー格の少年、ゼンゼンがアジトに現れた。
「依頼はあくまで情報収集とその報告。この領分からはみ出て手柄を独り占めしようとすると潰されちまう」
　あくまで下請けで、手足のように動くことで存在を見逃されているのだ。守るべき「仁義」に該当する。これを破ってしまうと粛清対象だ。
「じゃどうすんだよ」
「いま情報を渡しているマフィアが取り分を多く請求するから問題なんだよね。提供先を変えたいんだけど、さらに足元を見られそうでもある」
　抗議するヒョーマに、問題点をまとめて報告するチンシン。
「最終的に倒せばどこでもいいんだろ？　だったら咎人に頼めばいい」
　ゼンゼン、鋭く指摘する。
「確かにそれは名案だけど……依頼できる仲のいい咎人、いるの？　信用がないと同じことだよ？」
「それは……」
　チンシンの反論にゼンゼンが口ごもった時だった。
「よう、ゼンゼン。子役で協力してくれそうな咎人を見つけたぞ！」
　新たにピック・トレイルがやって来た。義足の元映画俳優で、いまはゼンゼンを俳優に起用しつつ映画監督をしている。
「ほんとだ、子どもたちばっかり。……うん。ボクで力になれるなら協力するよ」
　連れていたのは小さな咎人の女の子、コクリ・コロン(mz0061)。
「信用できるのか？」
「君たちが信用に足るなら」
　呟いたゼンゼンに、物おじせず正論を返すコクリ。
「ちょいと純粋すぎるところがあるが、ゆえに信用できる。そういえばお前たち、無線連絡しながらの巡回警備仕事を請け負っておったろ。この子と咎人をもう一人雇えば無線のない車を使えるぞ」
「ボクたち、念話である程度情報をやり取りできるからね」
　コクリが説明する。
「ちょうどいい。それならクリーチャー退治の情報は君たちに提供しよう」
　チンシン、即決した。

　車で夜の街を流しながらアジトにいるコクリからの情報を待ち、カーチェイスとクリーチャー退治任務を担当する人材が求められる。