オープニング

　天獄界の浮島の一つ、プエル・ニコラス（mz0028）が「僕の島」という浮島。
　別に所有物ではないけれども、子どもの秘密基地みたいなものだと言えば近いのかもしれない。
　そこは走り回るにちょうどいい原っぱがある。
　横にはちょっと問題はある森があり、奥には謎の一軒家がある。

　森の問題は、中央近くに謎の竪穴があり、落ちると登るのが簡単でないという点。
　スキルあれば関係ないのだけれども、ないと、結構危険。
　森の真ん中に入らなければ問題ないから、準備で必要な整備からは除外されるけど、咎人には注意事項として周知する案件。

　また、原っぱにはウサギが住んでいる。
　そのウサギはどこから来たか知らないし、そのまま住んでるから、ウサギカフェでもしようという計画が立ち上がっていた。
　問題の１つに地面がぼこぼこに歪んでいる、ということがあった。

　そんなこんなで、プエルは、
「いくつか仕事があるんだ」
　と、頼みたいことをリストアップしていた。

　原っぱから家に向かう道つくり。
　実は途中にある森には道がない。
　いや、一応、原っぱから森の中央付近に向けて道は作られている。
　咎人がキャンプのために作ったものであり、今回、ウサギカフェを開く一軒家とは全く違う方向。

「だからね、原っぱのこっち……浮島の東側、島の縁からこのくらい離れたところから、家に向かって木を倒して、道を整備したいんだ」
　木の数はそれなりにあるし、一度にできると思っていない。
　それに、根っこもあるだろうから、簡単に終わるとは思えない。
　木がなくなり、道の体裁ができれば、切り倒した木を粉砕してチップにして敷き詰める……つもりだった。
「道幅は２メートルあるかないか、だね」
　距離はそこそこにあるかもしれない。

「原っぱのぼこぼこの整備」
　穴が開いているのは巨大ウサギが掘ったもの。
　今いるウサギが観測されたころ、巨大ウサギのエネミーが出現していた。
　それは討伐したけれども、巨大ウサギがしたことは残っている。
　その巨大ウサギが掘り散らかした、ぼこぼこ。
　また、数本の木が転がっているのをどこかにどけてほしいという。
「この木材は、以前、咎人が道を作る際に切り倒したもので、まとめておいてあったらしい……んだ。僕は見てないけど、報告書見たら、そう書いてあった。だから、巨大ウサギが跳ばしたんだね」
　プエルはため息を漏らす。

「カフェで使う机とか棚とかの組み立て」
　木製のお洒落な棚や机、いすの原材料を購入した。
　いわゆる、丸太やら角材やら一枚板やら。
　組み立てというレベルでなく、設計図があるので、その通り切り出して、鑢をかけて、作っていくのだった。
　プエルは工作や裁縫はするけど、大工仕事は全くできなかった。
　道具をそろえることはできたらしい。

　ウサギの餌付け。
　リボンがつけらているのは、最初の調査で分かった人間に触られても怯えない個体。
　だからと言って、積極的に寄ってきてくれるわけではない。
　そのため、ニンジンやキャベツ、ウサギ用カリカリや牧草をあげて仲良くなってほしいという。
　最近とって来た本当に若いタケノコもある。一応、食べるはず。
　リボンがついている個体中心でお願いしたいが、そうじゃない個体でも寄ってくるならあげてほしいという。
「従業員が増えることはいいことだもの」

「僕は台所でメニューの考案したり、練習しないといけないんだ。だから、色々しなきゃいけないことを手伝ってほしい」
　プエルは真顔で言う。
「餌付けは時々しているけど……道づくりとか……あんまり……」
　とりあえず、本日は適度に作業をしてほしいというのだった。