アメフラシの悲恋歌
葛ノ葉スバル
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シナリオ形態
イベント
難易度
Hard
判定方法
エキスパート
参加制限
総合800以上
オプション
参加料金
50 SC
参加人数
1人~5人
優先抽選
50 SC
報酬
300 EXP
5,000 GOLD
5 FAVOR
懐地界ワールドロールで参加すると +30 EXP
相談期間
3日
抽選締切
2023/08/09 10:30
プレイング締切
2023/08/12 10:30
リプレイ完成予定
2023/08/29
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

オープニング

 簒奪者、月山三楽は空を見上げた。
 髪は短髪で、わずかに後れ毛を垂らしており、頭には笠を被っている。
 背は、女性にしては低くも高くもないが、晒しを巻いた風来坊のような出で立ちは、性別をも忘れさせるようである。
 三楽は今日も、眠れぬ頭をガシガシとかいた。
 もう、何日眠っていないだろう。
 この悪夢が、彼女を眠らせなかった。
 小雨、小雨、小雨。
 お陰で、今回の事件に関わってから、三楽はほとんど眠れていない。
 邪神はそれを喜んでいる節がある――。
(それに付き合っている私も、私だ……)
 小雨ほど、悲しいことはない。
 彼女ほどの強者でも、恐ろしいものはある。
 永遠に降り続く長雨。
 そう、わずかばかりの雨水が三楽には怖かった。
 眺めれば眺むるほど、悪寒が走る。
 それが、大雨に至るまでの脅威を知っていたから。
 彼女は出羽の山奥の、とある刀鍛冶の家に生まれた娘である。
 簒奪者になるべくして生まれた人間だったといえるかもしれない。
(私は父上と同じく、出来損ないだ……)
 そう、彼女は人の死に強く惹かれる性質を持っていた。
 簒奪者になるまでは、猫一匹殺したことはなかったし、虫一匹殺したことはない。
 でも――例えば、それが出来たらどんなに善いことか。
 善い? そう、それだ。それは喜なること。
 思えば、父親も似たような気質を持っていた。
 刀鍛冶が全員そうであるとは、言い切れない。
 だが、人を斬るものを造るということは、それにまつわる業が降り積もるということ。
 そう、彼女は善悪の天秤というものが、生まれつき振り切っていたのだ。
 人を殺したいという苦しみは、成長してから、増して三楽をさいなんだ。
 邪神はそれに目をつけた。
 簒奪者として生まれ変わったときにはもう、彼女の目は既に彼女ではなく、老成した人斬りのような目をしていた。
 
 

 芝崎家当主・芝崎幻十郎は、庭先を眺めていた。
 芝崎幻十郎は、黒い木綿の着流しを着ている。
 髪は、薄く椿油で固めてあって、壮年とも青年とも取れる、まだうら若き当主である。
 夏日の最中の長雨であった。
 蛇の目傘をさして、庭に出ていると、向日葵の花ですら、首を折れるような大雨に、少々嫌気が差した。
 確か、昨日から雨は降り続いている。
 明日も、雨だろうか?
 確か昨日、農家の者が傘を指しながらやって来て、田植えをした田んぼの様子がどうだとか、そのようなことを喧々諤々に口走っており、
「旦那様、この様子だと、五日は続く長雨だす」
 と、言っていた。
 おそらく、農民にしかわからぬであろう、天気の調子は、流石に下流を流れる、粟藻川を氾濫させるには十分であるように思われた。
 彼は、この雨垂れにもかかわらず、草履を履いて、外へ出た。
 なにか、奇妙な予感がした。
 夜の様に薄暗い、ぬかるみを歩く。
 蛇の目に降り注ぐ雨に、顔をしかめながら、歩を進めると、不思議な光景に出くわした。
 気がつくと、女が道端に倒れている。
 襦袢一枚で、濡れそぼった肌は、てかりを帯びて青い。
 そうして、顔を上げてこう言う。
「どうか、聞いてくださいまし。追われているのです。任侠者ような女が……私を捕らえようと」
 幻十郎が、眉をひそめると、女は口から黒い瘴気を吐き出した。
「あぁあああぁ……!」
 女は、妖怪であることを、おそらく彼は知り得なかったのだろう。
 男は、困り果て、女を抱き起こし、家の中へと連れ込み、床に寝かした。
 さて、雨は降り続くばかりである。
 女の瘴気は日に日に強くなっていくようであった。
 咎人達が、この一帯での異常事態に気がついた時、雨は豪雨と化していた。
 雨季のような、酷く殴りつけるような雨に、誰もが怯えている。
 簒奪者の目的はアメフラシの完全なる荒魂化である。
 


 稗田庵仁には、サガルト・ズィキ(mz0003)から言い遣った、言伝があった。
「庵仁さん。今回は少し困難な依頼になるかもしれません。一つ目は、簒奪者の目撃があったこと。それと、荒魂化した妖怪が、長い間住み着いているという武家屋敷があり、おそらく室内での戦闘になるとのこと」
「長い間住み着いている、とは?」
「それが……、言いづらいのですが、匿われているようなのです」
「荒魂化したままですか?」
「そうです」
 庵仁は、その家の前まで訪れた。雨が降り続いている。
「もし、失礼いたします!」
 出るものはいない。戸口に手をやると、鍵は開いていた。

成功条件

条件1アメフラシの穢れを払う
条件2月山三楽を撃退する
条件3-

大成功条件

条件1幻十郎を三楽に殺させない
条件2-
条件3-

解 説

 敵は妖怪アメフラシと、簒奪者 月山三楽の二名である。
 あなたたちが、家に踏み込んだとき、既に幻十郎は、三楽に首元を掴まれている最中であった。
 身を挺してまで彼女をアメフラシを守ろうとした、幻十郎の思いは如何ばかりであろうか。
 ふすまで区切られた、十畳間の中央に、幻十郎と三楽。部屋の右隅にアメフラシが潜んでいる。
 望みであれば、外に出て戦うことも出来るが、降りしきる雨の中のぬかるんだ戦闘になるだろう。

《敵情報》
 
●月山三楽(がっさんさんらく)
 簒奪者。回避型。
 アメフラシを荒魂化した張本人。武器は刀。
 幻十郎を率先して殺したいわけではなく、咎人達に関心がある様子。
 性格は好戦的。隙あらば殺そうとしてくる。
 居合による素早い攻撃が得意で、シールドブレイクされれば、一瞬で脅威になりうる。
 追い詰めると、幻十郎を狙い始めるので注意が必要。
 
 
●アメフラシ
 本来は海にいる軟体動物で、陸に上がると必ず雨が降る、と伝承がある妖怪。
 シールドはなく、穢れを直接攻撃できる状態。
 三楽の言いなりになっているため、こちらを妨害するために行動する。
 射撃とともに、BS「メインアクション封印」を付与する、M攻撃が強力。
 Fアクションでは、三楽のライフとシールドを30回復する、「アメフラシの唄」を使用する。
 
 
●芝崎幻十郎
 一般人のためシールドはない。だが、障害物になりうる。
 人であるので、説得が効くが、アメフラシを守りたいという思いが強い様子。
 状況はよく飲み込めていない様で、アメフラシが妖怪だとも薄々気づいているが、納得がいかないようだ。

マスターより

 梅雨の長雨が終わったあとに、もう台風ですか……という昨今でございますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 今回は妖怪アメフラシの戦闘シナリオです。
 雨天というのは、人を生きるために必要なもの。しかし時に人を苦しめるもの。
 と庵仁和尚談でした。それではそれでは。

関連NPC

  • サガルト・ズィキmz0003
    神魔種|男

参加キャラクター

  • 更級 暁都ma0383
    人間種|男
  • シアンma0076
    人間種|男
  • 小山内・小鳥ma0062
    獣人種|女
  • 高柳 京四郎ma0078
    人間種|男
  • ザウラク=L・M・Ama0640
    機械種|男
リプレイ公開中

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