この祈りが届くならば
葉槻
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シナリオ形態
ショート
難易度
Hard
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
  • 危険
参加料金
100 SC
参加人数
5人~10人
優先抽選
50 SC
報酬
200 EXP
5,000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
5日
抽選締切
2021/06/15 10:30
プレイング締切
2021/06/20 10:30
リプレイ完成予定
2021/07/06
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
危険
このシナリオは難易度が高く設定されています。
戦闘により大きなダメージを受けてしまった場合、キャラクターの基本設定が忘却状態になることがあります。
基本設定が4つ全て忘却状態になると、キャラクター自身が死亡状態となり、ログイン及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

オープニング


 リベラの街を覆う城壁が木々の向こうに見えた。
「行け。男も女も老人も赤子も全て屠れ。本能のままに、全てを無に還せ」
 漆黒の8本脚の軍馬に騎乗しているアリアスはその緋色の髪をたなびかせながら、魔族達に号令を出す。
 号令を受けた魔族達は抑制からの開放感に奇声を上げながらリベラの街へと駆け寄っていく。
「お前達は門兵狙え。次に城門周囲で逃げる者を1人残らず殺せ。城壁は壊すな。――行け」
 そばに控えていた4体のマルコシアス――グリフォンの翼と蛇の尾を持ち、口からは炎を吹く狼の身体を持つ魔族が一斉に羽ばたき城門を目指す。
「……さよならをしましょう。懐かしい場所に。思い出に」
 アリアスはその場から動く事無く、上がる火の手を見て静かに目を伏せた。




 アリアスと名乗る復活者との対面から数日後。
 リベラの街には全住民に避難勧告が出されていた。
 真っ先に去って行ったのは行商人達で、彼らは近隣諸国にリベラの、エリス王国の危機を伝え歩いて行く。
 次いで去って行ったのは戦う術を持たず、また口先・腕前1つでやっていける商人や職人達。
 そもそも自給自足していた農家や畜産業をしている者達は逃げだそうにも逃げ出せず、この街と生死を共にすると誓った者も多い。
 また、病人や介護が必要な老人がいる者もこの街に留まっていた。
 修道会の面々も「この街に残った人々を守るのが我々の役目です」と残っているという。
 一部兵士達も治安維持の為に残ると宣言した者達がいた。
 当然、逃げろと言われても逃げる先を持たない者も多く、避難先を検討しているという者も多かった。
 結局、避難勧告が出て3日。まだ住民の6割がリベラの街に留まっていた。

 城門の上、左右の見張り台に詰めている兵士が悲鳴混じりの声を上げた。
「敵襲!! 敵襲!!!」
 城門を閉めようとするその瞬間に遠距離魔法が叩き込まれ、城門が炎上する。
 また、左右の見張り台には翼を持つ魔族達が飛び込み、もみ合いの末、兵士の喉笛を噛み千切った。
 これにより城門を閉めることが不可能になり、城門付近にいた人々は悲鳴を上げながら外へ出ようとし、そこに魔族の群れを見て慌てて街へと引き返す。
 何事かと顔を覗かせた人々も魔族の姿を見た途端慌てて家の中へと引っ込んで行く。
『敵襲!! 敵襲!! 敵が城門を突破。各自避難して下さい』
 拡声のケニングで街中に文字通り『声が飛んで』いく。
 これは余程の緊急時で無ければ使われないケニングであるため、その意味を知っている住民は慌てて扉を閉め鍵をかけた。
「……やはり来たか」
 アリアスという復活者が見せたというリベラへの執着。
 ヴェルナー・ブロスフェルト(mz0019)、そして“ジークフリート”ことジィト(mz0039)と領主であるベアトリスが不在となるこのタイミングこそリベラ再襲撃の可能性が高いと踏んでいたサヴィトゥール(mz0030)が席を立った。
「各自持ち場の確認は出来ているな? 目標は最低でも魔族の殲滅。最良は1人でも多くの住民の命を繋ぐこと。無駄に死ぬくらいなら相打ちを狙え。城内はどうせ残っている兵士がいるから無視して良い。咎人はただ市井の民を守れ!」
 そうサヴィトゥールは同じく詰所で待機していた咎人達に言った。


 住民達は慌てて自分の家へと走る。
 市場付近で転び、泣く子ども。腰が抜けて立てない者。それらを助けようとする『持たざる者』がいる。
 助けに入らねば、そう思ったグッチ(mz0037)の目の前でそれは起こった。
「目を伏せて! 『熱よ光りよ、パリッと良く乾かせ“熱光線”』!」
 詠唱と共に閃光がオークの眼を焼く。悶えるオーク達。泣く子どもに駆け寄るのは作業着姿の女だった。
「さぁ、この隙に逃げるよ!」
 子どもを背に負ぶって、腰が抜けた者を助けようと駆けつけた者が支えて歩き始める。
「ケニング?」
 グッチがそう問えば、作業着姿の女は恥ずかしそうに笑った。
「そんな立派なもんじゃないよ……口伝の簡単な詠唱を覚えてるだけさ」
 気恥ずかしそうに答えながら、「さぁとにかく逃げるよ」と背の子どもに声を掛けた。
 よくよく見てみるとそういった住民がごく稀に混じっているようだった。
「『俺に近付くな、近付けばお前も萌えという泥沼にはめてやろう“底なし沼”』」
「『ぬかるみは怒れる太陽の熱で固まる“日照り”』」
 住宅街では農夫と見られる2人が交互に唱え、オークを沼に落とした後、その地面を固めて動きを封じる。
「ただ殺されるだけだと思うなよ……! 『二兎追う愚者に墓穴を! “ピットフォール”』」
 教会付近では教会の『持つ者』に混じって絵描きと思しき男がオークを落とし穴にはめる。
「まだまだ若い者には負けんぞ。『我が肉体に宿りし鬼神よ、今一度我に力を“拳骨”』
 治療院のそばではオークの頭上に巨大な拳を降らせる老兵がいた。
「在野の『持つ者』か」
 サヴィトゥールが驚きを隠さず彼らを見る。
 戦うため以外の目的で伝わった言葉だとしても、とうに引退した兵士だとしても、誰かを守る為にケニングを発動させる。
 ただでは死なないという気迫が咎人達にも伝わってきて、それは士気を上げるのに十分だった。



「結局関わってんじゃん」
 敵の襲撃が来る前日。グッチは詰所に待機するサヴィトゥールに笑いかけた。
 眉間のしわを深めただけでグッチの言葉を敢えて無視する様子に「もー、子どもだなぁ」なんてグッチは笑う。
「……お前は何故自分に付き合う?」
 本来ならゲートも作成し、ヴェルナーからの依頼も終えた今、2人にはここに留まる理由がない。それでも「ここに残る」と言ったサヴィトゥールに「わかった」と1つ返事でグッチは一緒に残る事を選んだ。
「私はね、『持たざる者』しかいない世界で生まれ育ったの。で、自分は何にもしないけど、政治家とか会社の偉い人とかに届かない愚痴ばっかり言ってた。でもさ、この世界の『持たざる者』は、自分のやるべき事きっちりやって、『持つ者』を全身全霊で信じて、『持つ者』もそんな『持たざる者』の期待に応えようって全身全霊頑張ってて……健気だなって好きになっちゃったんだよね」
 頬杖を付いて、窓の外を見る。
 活気を失った街だがそれでもここに残るという人々が空き家となった家の扉や窓を板で塞いだりと忙しく働いている。
「だからこそ、部外者がごちゃごちゃ言うのは良くないなーって。アリアスちゃんだっけ? 彼女も元々この世界の人なら、色々言いたいことあるのかもだけどさ……」
 そう言ってふっ、とグッチは瞳に影を落とした。
「死人に口なしって言うし? 関わるのはちょっとナンセンスだなぁって」
 「サヴィ君は?」といつも通りの柔らかな光を宿した瞳をサヴィトゥールへ向ける。
「……邪神が気に入らない。それだけだ」
 ムスッとした表情のサヴィトゥールを見てグッチは声を上げて笑った。




成功条件

条件1魔族の殲滅
条件2イデアゲートの倒壊を防ぐ
条件3住民4割以上の生存

大成功条件

条件1住民6割以上の生存
条件2又は20ターン以内の殲滅
条件3-

解 説

●概要
 リベラの街を再び魔族が襲ってきた。魔族を殲滅し住民を守れ。

●戦闘地域
・市場(5)
・住宅街(7)
・転移門(8)
・城門付近(4・4・4)
・治療院(4)

 上記5箇所を襲撃している敵を倒す。
 (数字)はオークの数。城門は(オーク・牛鬼・マルコシアス)の数。
 また特殊ルールとして、1ターン消費で戦場から戦場(例:市場から住宅街)を移動出来る。

●敵
・オーク
 シールド:弱い HP:高くは無い 攻撃力:普通。斧や槍、剣を扱う
 特技:なし

・牛鬼
 シールド:高い HP:高い 攻撃力:当たると痛い
 特技:リベラ防衛戦・奇襲の解説参照

・マルコシアス
 シールド:とても高い HP:普通 攻撃力:一撃は普通だが命中が高い。噛みつき・引っ掻き・鞭打ちなど
 特技:【2回攻撃】 狼と蛇の2回攻撃
    【飛翔】 上下移動が可能で空中戦も可能。
    【毒牙】 尾の蛇による噛みつき攻撃。命中するとBS【毒】が付与され、継続ダメージを受ける。
    【火炎】 炎範囲攻撃。命中するとBS【熱傷】が付与され、継続ダメージを受ける。

※PL情報
 アリアスが街に来ることはなく、敵が全滅するとアリアスは撤退します。


●味方
・在野の『持つ者』
 OPに登場した各戦場に1~2名の一般住民。
 おおよそ 「シールド:薄い HP:低い 攻撃力:ほぼ無し」

・引退した兵士
 OPに登場した者以外にも各戦場に1~2名いる。上手く詠唱が紡げない事が多いため戦力としては微妙。
 おおよそ 「シールド:やや薄い HP:低い 攻撃力:ムラがある」

・マウゼル修道会
 教会周囲にいる『持つ者』
 おおよそ 「シールド:普通 HP:普通 攻撃力:オークには劣る」


※注意再掲※
 本シナリオは近藤豊MS「この誇りにかけて」及び凪池シリルMS「この手が届けば」と連動シナリオになります。
 【重複参加非推奨】
 誤って重複参加されますと遅参描写となります。ご了承下さい。




マスターより

※欄外補足
●NPC
・サヴィトゥール:キャスター。【スキル】マジックランス、マッドハンド、ファントムソード
・グッチ:ファイター。【スキル】ガードクラッシュ、クロスアタック、双撃乱舞
 2人とも総合1000を優に超える。放って置いても作戦に従って行動する。


 初めまして、もしくは、またお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)です。
 緊急依頼を挟んでのリベラ連動終盤戦となります。
 だけどアリアスは高見の見学で申し訳無く。
 終盤らしく乱戦です。敵は(マルコシアス以外)さほど強くありませんので存分に戦って下さいませ。
 それでは、BUCK-TICKのメドレーを聞きながら、皆様のプレイングをお待ちしております。

関連NPC

  • サヴィトゥールmz0030
    異能種|男
  • グッチmz0037
    人間種|女

参加キャラクター

  • マイナ・ミンターma0717
    人間種|女
  • ma0771
    神魔種|女
  • 唯塚 あまぎma0059
    人間種|男
  • アナルデール・ウンディーニma0116
    人間種|女
  • 夕凪 沙良ma0598
    獣人種|女
  • 麻生 遊夜ma0279
    機械種|男
  • エーカma0423
    異能種|女
  • 桜庭愛ma1036
    人間種|女
  • 鈴鳴 響ma0317
    神魔種|女
  • アリエスma0727
    人間種|女
リプレイ公開中

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