その簒奪者も妖怪に同情したらしい
岩岡志摩
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シナリオ形態
イベント
難易度
Normal
判定方法
エキスパート
参加制限
総合800以上
オプション
参加料金
50 SC
参加人数
1人~10人
優先抽選
なし
報酬
300 EXP
5,000 GOLD
5 FAVOR
懐地界ワールドロールで参加すると +30 EXP
相談期間
5日
抽選締切
2023/11/14 10:30
プレイング締切
2023/11/19 10:30
リプレイ完成予定
2023/12/07
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

オープニング

●蓄音機
 音を蓄え、再生する機械。
 手でハンドルを回すゼンマイ式で稼働し、円盤式レコードに刻まれた溝を針が通り、拾い上げた音を再生する。

●ある簒奪者
 従魔化した笛と小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓の音がそれぞれ鳴り渡る。
「それは磨り減り、朽ち果てた」
 その中で簒奪者ズロイ(mz0063)は口上を切った。
「我は侵すものにあらず。ある日の姿を謳うものなり」
 ――我らが領域、我らがいる場所は此方(こなた)より彼方(かなた)の何処かにあり。
 まるで能を披露する演者のように、ズロイは独特の所作と共に、眼前の『妖怪』を定義する。
「それは夜明けとともに消え、捨てられた玩具の願い。重き枷となり、路を奪うもの」
 ズロイは人間に捨てられ、眼前の妖怪によって保護された存在についても謳う。
「其は果ての路に残るもの。御伽噺にして、微睡みを蝕む淡き夢」
 そしてズロイは彼ら『妖怪』について、この世界へと騙(かた)り――語(かた)る。
「彼らは染まらず。我らは揺るがず。享受も拒絶も我らは求めず」
 まるで活動弁士のごとく、ズロイは朗々と言葉を発する。
「道理に合わぬ。辻褄が合わぬ。だからこそ彼らと私はここにいる」
 ズロイは、妖怪も含め自分達を定義した。
「我は個にして群(ぐん)なるもの。群(ぐん)は軍(ぐん)にして個なるもの」
 そしてズロイが黒い靄に包まれた妖怪へと手を伸ばし、締めくくる。
「彼らと我は界(かい)と壊(かい)の狭間に遍在する怪(かい)なり」
 もしこの場に人がいれば、ズロイの言葉は『意味不明で何を言いたいのか分からない』と酷評するだろう。
 だが現実には、それまで妖怪を包んでいた黒い靄が急速に薄れ、消えていく。
 この日、簒奪者ズロイは妖怪の窮地を救い――『駅』の使用許可を得た。
 そしてその情報は妖怪『文車妖妃』でもあるオルリアが、独自の情報網を駆使し掴んでいた。

●懐地界メトレトロ
 懐地界と名付けられたその世界には、『妖怪』と言う超常の存在が居る。
 しかし人類はそれをはっきり認知してはおらず、技術は魔法的なものではなく科学的なものを基盤としている。
 その世界で暮らす人々の多くは、自らの手で発展してきたと考えているが、その影には妖怪たちの存在がある。
 妖怪たちは人間たちの営みにひっそりと手を貸し、危機からそっと見守ってきていた。
 人々の想像によって生じるというこれには恐ろしい存在も居るが、基本的に妖怪達は人類に益する存在である。
 それはここ帝都『東ノ宮』でも変わらない。
 咎人達やヒー・リショナー(mz0073)は東ノ宮で活動を続ける中、オルリアをはじめとした『妖怪』達との接触に成功した。
 そして咎人達は様々な事件を解決する中で、妖怪達と交流を深め、『駅』の通行許可を得ていく。
 そんな中、オルリアより窓口に当たる真継 優輝を介し、ある連絡が天獄界に届く。
 連絡を受けた神官は依頼斡旋に動くと共に、ヒー・リショナー(mz0073)を先行させる。
 そして現地でヒーを出迎えたオルリアは、自身の駅に招き入れ用件を伝える。
「貴方がたが簒奪者ズロイと呼んでいる存在について、新しい情報が手に入ったわ」
 オルリアは情報を運ぶという特性から、独自の情報網を形成する情報屋という顔もある。
「少し前にある駅主妖怪が『穢れ』によって荒魂になりかけたけれど、そのズロイが『穢れ』を祓い、救ったみたいね」
「簒奪者が『穢れ』を祓ったのですか?」
 オルリアからの情報にヒーは目を瞬く。
 オルリアによると、ズロイが助けた妖怪の名は『塵塚怪王(ちりづかかいおう)』。
 人間達にゴミとして捨てられたものが積もり積もって生じた妖怪で、今は自身と同じように人間から捨てられた存在達を自身の『駅』に保護しているという。
 経緯は不明ながら、『塵塚怪王』は『穢れ』に呑まれ、これをズロイが解決した。
「塵塚怪王は、助けてくれた礼としてズロイに『駅』の通行許可を出したみたいね」
 そう言い切る理由として、オルリアは1枚の円盤式レコードを取り出す。
「本人がこれを優輝のもとに届けてきたから」
 そう言いながらオルリアは空間の隅から蓄音機を持ち寄り、円盤式レコードをセットすると、ハンドルを回し始めた。
 すると蓄音機より、ヒーにとって聞き覚えのある声が溢れ出す。
『ズロイと申します』

●ズロイが動く理由
 蓄音機より流れ出るズロイの音声は、咎人がその場にいるという前提で始まっていた。
『貴方がた咎人の中でも様々な考えがあるように、私ども簒奪者にも様々なやり方が存在します』
 ズロイの音声は、同じ簒奪者の『沢渡 龍造』に近い考えで妖怪に接したと語る。
『私は妖怪を助けるときに「怒るべき時は怒りなさい」と言いました』
 ――自分を犠牲にしてまで、人間達の益となる必要はありません、と。
 そして塵塚怪王の『穢れ』を祓い、『駅』の通行許可を得たとズロイの音声は語る。
『私を含め人というのは割と学ばないところが多く、度し難いくらい性根も捩れているので、恩を仇で返すことも少なくありません』
 レコードに録音されたズロイの声は辛辣なもので、一瞬オルリアは動きを止めるが、再びハンドルを回す。
『だから人間に期待せず、言いたいことを伝えた後は余計な関わりを持たない方がいいと申し上げました』
 その見解は沢渡と似通っているようだが、ズロイは『穢れ』を祓うものと考えているので、その点は異なる。
 妖怪達は、ズロイの話を聞いて何とも言えない顔をしていたと、レコード内の音声は伝えてきた。
『ここからは、私の個人的な行動になります』
 ズロイの音声は明日の天気を伝えるように軽い。
『犠牲者を出す真似はしませんが、彼らを捨てた人間達には少し後悔してもらおうかと』
 ズロイはこれから行うことを語り出す。
 ――塵塚怪王のもとへ保護された存在を捨てた人間達に従魔達を差し向け、『嫌がらせ』を行うと。
 沢渡は妖怪を荒魂化させ、ズロイは自身が妖怪の代わりに暴れるという点で手段は異なるものの、動機や目標は似通っている。
 そう考えたヒーは何かを言おうとするが、その反応をズロイは予期していたのだろう。
『貴方がたは妖怪がそのようなことを望んでいないと言うでしょう』
 レコードの中でズロイはそれを認める。
『その通りです。これは私個人の八つ当たりです』
 そしてズロイは恐らく咎人達に向け、こう言った。
『それが嫌ならその前に従魔達を阻止して下さい』
 ここでオルリアはハンドルを止め、ズロイの音声も消えた。
「多分私達だけじゃ止められないわ。だから咎人達の助力が必要だと思ったのよ」
 オルリアは改めてヒーに対し、これからズロイが行うことの阻止に協力してほしいと要請する。
「わかりました。できる限り早めに咎人達を集めます」
 ヒーは天獄界との連絡を取り始め、情報を受けた神官は咎人達への依頼斡旋を始めた。

成功条件

条件1従魔達を8体以上撃破する
条件2-
条件3-

大成功条件

条件1従魔達を全て撃破する
条件2-
条件3-

解 説

●目標
 従魔達の撃破

 登場
 従魔×16
 ゴミとして捨てられた蓄音機が従魔化したもの。全てサイズ1。常に地上1mあたりで浮遊して移動。移動力2。
 近接及び射撃能力は皆無。下記能力を使用。低シールド高ライフ。略称『従魔』。
 『穢れ』とは無縁なのでそのまま倒して構わない。

 牛声
 F。男の野太い声『ボ、ボクハ前カラママノコトガ!』が牛の鳴き声のように響くと共に、2ラウンドの間、自身より範囲(3)以内にいる味方全員の回避と防御を上昇させる。

 豚声
 C。女性の喚き声『兄サマト結バレルノハ私ダッタノニ!』が豚の鳴き声のように響く。射程3以内に存在するキャラクターが第三者からの行動の対象となる時に使用できる。その対象を自分に変更する。このスキルは行動権を消費せずに使用できる。

 鶏声
 M。老女の罵声『息子チャンノ子供ハアタシガ産ムノヨ!』が鶏の鳴き声のごとく響くと共に、射程8以内で直線上に存在する全員に突属性の魔法攻撃を行う。識別可。
 
 真継 優輝とオルリア
 今回の依頼人。現場後方で見守り戦闘後の後始末を引き受ける。

 ヒー・リショナー
 今回の増援。皆様の指示に従う。使用スキルはヒール、フォースクリア。

 状況
 東ノ宮の中でも周囲に人気のない空地。現地時刻は夕方で快晴。
 周囲は無人のため、皆様が避難誘導を行う必要はない。
 今いる従魔は8体だが、この2分後に東よりもう8体同じ陣形で現れ、西へと進んでくる。
 以下簡易見取り図。1マスあたり2×2sq。
↑北
  ABCDEFGHI
  壁壁壁壁壁壁壁壁壁
 1☆  藪☆   ☆
 2
 3 藪  ←●
 4
 5☆ ←●  ←●
 6
 7    ←●
 8  藪
 9☆  ☆ 藪  ☆
  壁壁壁壁壁壁壁壁壁

 ☆:PCスタート地点。自由に選択・重複可。
 ●:従魔。1個当たり2体。
 藪:高さ2mの藪。人一人分なら身を隠すことも可能。
 壁:高さ3mほどの壁。登れない。

マスターより

 このシナリオでズロイ本人は一切姿を見せません。
 従魔に『穢れ』はなく、通常のやり方で撃破できます。
 蓄音機型従魔の発する音声は、蓄音機を捨てた家の人達が実際に口走った言葉の一部です。
 PL情報ですが、声の正体はそれぞれ牛声がその家の長、豚声は家長の実妹、鶏声は家長の実母です。
 ズロイは密かにそういった暴言や失言を全て録音していたので、捨てた家に蓄音機型従魔を向かわせ、暴露するつもりでした。
 オルリアは実行された場合、家の人達が『ゴミのせいでひどい目に遭った』→『妖怪の仕業に違いない』と怒りを募らせ、妖怪達の望まない結果に終わると予想し、そうならないよう咎人の皆様に阻止を依頼し今に至ります。

関連NPC

  • ズロイmz0063
    ?|男
  • ヒー・リショナーmz0073
    人間種|女

参加キャラクター

  • 高柳 京四郎ma0078
    人間種|男
  • 天野 イサナma0022
    人間種|女
  • 麻生 遊夜ma0279
    機械種|男
  • ソテルma0693
    神魔種|不明
  • 歩夢ma0694
    人間種|男
  • 茨木 魅琴ma0812
    神魔種|女
  • 川澄 静ma0164
    精霊種|女
  • 瑠璃香ma0653
    獣人種|女
  • 鈴鳴 響ma0317
    神魔種|女
  • 伊吹 瑠那ma0278
    剛力種|女
リプレイ公開中

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