- EXシナリオ
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このシナリオはEXシナリオに設定されています。
参加料金が加算されていますが、リプレイの文字数が下限、上限共に2倍となります。
オープニング
――あたしは誰、此処は何処――なんであたしは『生きている』の?
まだどこかあどけなさの残る顔立ちの娘は『曖昧』な空間から何者かによって浮上させられると、まるで母胎から引きずり出された獣のように身震いした。
2度目の誕生。
それは初めて光を浴びた瞬間とは異なり、祝福も誰からの希望も向けられることはない。
ただ、この世界に引きずり出した何者かのために戦うという義務――それを彼女は与えられてしまったのだと感じ取った。
「あたしに二度目の生を与えてやったとでも思ってるワケ? 感謝して歯向かってくる連中をぶっ殺せなんて……とんだ思い上がりね……そんなこと望んでもねえってのにさあ」
忌々しげに顔に張り付いた金色の髪を掻き上げる。その下からはぎらぎらと輝く深紅の瞳と鋭い牙が露わになった。彼女はいわゆる『吸血鬼』に類する存在なのだ。
そんな彼女は自らが纏うケープやドレスの裾を捲り、何かを探し始める。
「で……あたしは誰なんだっけ。記憶がぶっちぎられてっからさァ……なんかヒントがあればいいんだけどねえ」
しかし何度探してみても彼女のパーソナリティを示すものは見つからなかった。自然と湧き上がる暴力への衝動と血の味を渇望する魂が自分を支配していることだけは確かだが……。
と、そこで腕に絡む重い鉄の鎖に気づいた。鎖には鋼鉄の棺が繋げられているが、明らかに葬送に使うものではないと理解できる。
何故ならそれは血に塗れた代物。同時に鎖も娘の細腕が握るには太すぎる武骨なものだったが、掴んでみれば思いのほかしっくりくる。
もしかしたらこの中に何かあるのでは……少女はそっと蓋を開けてみた。するとその中には無数の針が仕込まれており、血肉がべっとりとこびりついている。
これでは中に何か刻み込まれていても気づけまい……諦め半分で蓋を閉めようとする。だが、その時。蝶番の横に『オルクス』と浅く彫られた字が浮かび上がる。
「オルクス……なんか、懐かしい気がする言葉。これがあたしの名前なンかな……? となると、これがあたしの得物ってわけか。この棺の中に入るのは敵か、それともあたしか……ははっ、面白いじゃん!」
じゃらじゃらじゃらあっ!
少女、いや、オルクス(mz0169)が鎖を引けば、思いのほか軽々と背中に棺桶が寄り添う。
この棺桶は酷く重い。相手が並みの人間なら叩きつけられただけで上半身がひしゃげるだろう。中に閉じ込めれば……蓋を閉めたその瞬間に血糊を詰めた風船のように破裂するだろう。
これなら十分に戦えると確信したオルクスは、自分を見ている『誰か』に対して声を高らかに上げた。
「とりあえず『あんた達』にとって気に入らねー奴らを全員殺せばいいんでしょ。あたしは誰かに従うって気に入らないんだよねェ……だからさっさとお役御免といきたいところ。やることやったら契約解除お願いねー」
まるでその手は友達にでも振るようにひらひらと軽やかに――そして彼女は暗闇の向こうへ姿を消していった。
●破壊のはじまり
アース帝国との国境近くでひっそりと人々が生活を営む、ユーフォリア公国の小さな村。
村人は帝国の侵攻が起きるたびに避難し国に守られるのが常となっているが、その日々に疲弊したか若者達は街へ生活拠点を移していた。
ゆえに高齢者やまだ自立に至らない子供が残されており、帝国からの攻撃にもはや耐えられるほどの力はなかった。
そんなある日、異変が起きる。
アース帝国側から深紅のドレスを纏った少女が村へ向かっているらしく、その様子が異様だというのだ。
彼女は人間が持つには重すぎる鉄の棺桶を背負いながら軽やかに駆けていて……。
「あの、咎人の方ですか……?」
運悪くそれを見かけた木こりが尋ねると、少女は足を止める。そしてつまらなさそうに鼻を鳴らすや、鎖を振り回した。
――ぶんっ!!
次の瞬間、重い音を立てるまでもなく木こりの頭が空中で破裂した。
ぼたりぼたりと木々の間に滴る血。
けれど少女は気にすることなく再度駆け出す。
(咎人だっけ……そいつらを全員倒せばカミサマの思い通り世界が滅ぼされ、あたしは自由になれる。自分が何者なのか、本当にほしいものは何なのかわかる気がする。この頭の中に仕込まれた、霧のような枷を外すためなら……なんだってやってやる!)
そう心に決めたオルクスは、木こりの足跡を辿り始めた。
咎人はこの世界の人間を守る為に戦っているという。
ならば人間を殺せば、いきり立った連中が自分のもとへ集まってくるはずだ。
(さあさ、見てなよカミサマ達。あたしの戦いを……ダンスパーティーの始まりを!)
やることは既に決まっている、彼女の道には迷いなど一切ない。
だが、計算違いがひとつだけあった。それは彼女を追走する咎人がいるということ。
(くっ、国境警戒に出ている間に犠牲者を出したか……しかしここから先には行かせない! 既に仲間がイデアゲートに向かっている。応援がすぐに来てくれるはずだ。必ず止めてみせる……!)
命懸けの追走を行う彼は応援が来るまで懸命に通信術式を紡ぎつつ、走り続けるのだった。
成功条件
条件1 | オルクスの撤退 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | オルクスの撃破 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
解説
目的:オルクスの村への侵入を止める。
敵情報:オルクス
吸血鬼の特性をもつ簒奪者。武器は鎖つき棺桶(アイアンメイデン)。
しかし噛みつきなど吸血鬼らしい近距離攻撃も行う。
メインアクションは1ラウンドにつき3回行う。
攻撃技
殴り:威力中。棺桶を持ち上げて叩きつける単体攻撃。射程2。
叩きつけ:威力高。棺桶を鎖で振りあげて叩きつける単体攻撃。射程5。
ブン回し:威力中。棺桶を自分中心に全方位へ向けてスイングする範囲攻撃。射程5。
噛みつき:威力高。血を吸うことで自分のライフも回復する単体攻撃。射程1。
閉じ込め:威力超。棺桶を開いて敵を串刺しにする単体攻撃。射程3。
状況:オルクスの初期位置(北端中央)から村までは直線距離にして30スクエアとなる。
戦場はおおまかに30×30スクエア。
咎人は村側(南側中央)からのスタートとなる。
村に侵入した場合、ブン回しなどの破壊行為を行うため逃げ遅れた村人が犠牲となるので失敗となる。
PL情報:オルクスはライフが残り2割を切った時点で退却を始める。
しかしそのラウンド中に噛みつきでライフが回復したら、次にライフが2割を下回るまで現場に居残る。
なお、OPに登場した咎人は避難誘導に尽力するため戦闘に参加しない。
登場NPC
フリーデリーケ・カレンベルク
OPに登場しないが、戦闘に参加する人間種のファイター。
咎人としては上の下ぐらいの実力。
喪われし蒼穹の花、剣の間合、スキルチャージ、リクエストを使用可能。
何かやってほしいことがありましたらプレイングにお願いします。
マスターより
こんにちは、いつも大変お世話になっております、ことねです。
今回は久しぶりに簒奪者討伐のお話となります。
記憶を失いながらも自分を見つけるため、邪神にも臣従せず心おもむくままに戦う吸血姫。
彼女の暴走を止め、ひとときの安息を小さな村へ与えるべくお力をお貸しください!
なにとぞよろしくお願いします。
関連NPC
参加キャラクター
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- 氷鏡 六花(ma0360)
- 精霊種|女
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- シアン(ma0076)
- 人間種|男
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- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
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- 天魔(ma0247)
- 神魔種|男
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- アルマ(ma0638)
- 精霊種|男
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- アナルデール・ウンディーニ(ma0116)
- 人間種|女
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- 澪(ma0672)
- 剛力種|女
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
- リプレイ執筆中