オープニング
「はわー、寒ぅなってきたなぁ」
手に息を吹きかけながらカワウソ獣人のかわたんが夜空を見上げる。
この村にもクリスマスの概念はあった。しかし、外が寒いという事もあって専らイルミネーションのような事は行われない。あるとすれば、日中に近くの村で開催されるクリスマスマーケットに行って楽しむくらいか。それでも彼らは満足だった。
しかし、今年は少し違って――かわたんは人里にアップルパイの屋台を出店中。きっかけは少し前から育てていた林檎の木が今年豊作だったから。背丈はそれ程でないのに、広がった枝一杯になった林檎は驚く程甘く、カワウソ村住人達だけで食べきれない程の収穫量。腐らせては勿体ないという事で今に至る。
「丁度クリスマスカラーやし、いけると思ったんやけどなぁー」
売れ残ったアップルパイを思い出しながら彼が呟く。
出店から三日が経ったが、今のところ完売の日は出ていない。それでもそれなりに売れているのだから欲張るのがいけないのかもしれないが、味には自信がありどこか腑に落ちない。
「もっともっと沢山の人に食べて欲しいねんけどなぁ……どうしたらええんやろ」
自分がカワウソだからやはり少し抵抗があるのだろうか。一応これまでも村の人達とは交流を重ねているから、外見で抵抗があるというのは考えにくい。だとすると、やはり味か? いやしかし、味覚はそう人間と変わらない筈だ。
かわたんがしょんぼりしながら家路につく。
そうして、取り出した売れ残りのアップルパイは何と林檎を丸々一個をそのままパイ生地で包んだ豪快な一品だった。
●人幻界
「えー、トラがどっか行っちゃったの!」
「そんなぁ、パーティーは? ツリーは?」
虎侍が馴染みの拠点を出た後、それを知らされた子供達はそれぞれ困惑する。
今まで一緒だった彼が突然いなくなったのだ。それとなく理由をつけて虎侍の親友の辰稀が説明するも、やはりそう簡単には納得しない。しかし、行った場所は判らないし、子供達だけで探しに出るのは危険である。
「んー、トラにはトラのやる事があるんだよ。だけど、どうしてもって言うなら、サンタに頼んでみるのはどうかな? もしかしたら聞いてくれるかもしれないよ?」
「えー、マジかぁ。でもそうなるとプレゼントが……」
それを聞いた一人が真面目に虎侍とプレゼントを天秤にかけて悩み始める。
「迷ってんなよっ。とらじは友だちだろ! あ、けどマスク・ド・ライダーのソフビもやっぱ……いやいや、ダメだ。とらじだよ、とらじ」
別の子はそう言うも、やはりどこかでプレゼントとの葛藤を続けている。
「はぁ、男子はこれだからなぁ。じゃあ、サンタさんに頼んでとらじお兄ちゃんにメッセージとかお菓子とかを届けて貰おうよ。きっととらじお兄ちゃんの所にも行く筈だから、それ位ならタダでやってくれるかもだよ?」
そこでおませな女の子がそう提案した。するとその意見に続々と賛成の声が上がり出す。
「なるほど、それでいけばとらじとのこんたくとも取れて、なおかつプレゼントも貰える訳かぁ。一石何チャラってやつだな」
迷っていた子がその言葉の意味を理解して、得意げに言葉する。
「んー……まぁ、それでいいんじゃないかな。僕も賛成だよ」
それに辰稀も乗っかる事にした。何故なら本当に彼も虎侍の居場所を知らないから。
本当のサンタには頼めないが、もしかしたら彼等なら運び届けてくれるかもしれないと。
●天獄界
「こんな所でしょう。後は実際に販売してみるだけです」
サヴァイがダチョウ牧場の牧場主から頼まれて、クリスマス用のダチョウ料理を考案したのが、ついさっきの事。一通りの試食を終えて、牧場主も味には手応えを感じている。
しかし、ひとつ気になる点が存在する。それは考案された料理の種類だ。
「料理が多国籍過ぎやしませんか?」
出来上がった料理は全部で四品。
まずはダチョウ卵で作ったスフレオムレツ。ダチョウ卵の卵白を最大限に空気を含ませメレンゲにし、卵黄と混ぜて焼き上げる。高温で焼き上げる事でふわふわに膨らみ、それはまさに温かいのにくちどけ触感。雪の様とはこの事だ。
次にダチョウ肉のポトフ。ダチョウ肉があっさり目という事もあり、パンチのあるスパイスと合わせてソーセージにし、それをシチューの具にする流れ。野菜がたっぷりとれるし、どこかサムゲタンにも通ずる味わいでもある。
そして三つ目はダチョウ肉のカルパッチョだ。新鮮だからこそ生での提供を視野に入れて仕上げたもので、レバーや砂肝も加えて一皿でいろんな部位を味わえるようになっている。味付けは岩塩&オリーブオイルに加え、ユッケ風味のダチョウ卵の卵黄ソースも用意してあるのは流石だ。
最後に、デザートかと思いきや出来たのはダチョウちまきであった。鳥飯風に味付けをしたもち米を蒸籠で蒸し上げて、お腹に溜まる一品。食べ歩きにもちょうどいい。
「フルコースにしろと言う注文は頂いていませんでしたので、単独で老若男女どの世代でもどれかに食いつくであろうメニューにしてみましたが、何か?」
サヴァイが平然と言う。
「うぅ……確かにそう言われると誰にでもいけそうな気がしますが」
牧場主の勝手なイメージではダチョウ肉のロ―ストやらダチョウポットパイなんかが出来る事を予想していたのだが、やはり凡人とプロでは発想の仕方が全く違うらしい。
とはいえ、細かな注文を付けなかった自分のミスでもある。
「なんか不満そうですねぇ。お気に召しませんか?」
サヴァイが尋ねる。
「いや、味は確かにいいんだ。信じるよ。作ったものを販売するには人手が足らないから、加工販売で行こうと思うが、一応試食は出したい。引き続き、手伝って貰っても?」
「加工販売というと、真空パックのようなものですか?」
「あぁ、そんなところだ。それなら手軽に楽しめるだろう?」
お湯に浸けるだけだとか、オーブンに入れるだけだとか。
最近簡単に料理になるそう言う商品が天獄界にも出回っている様だ。
「判りました。ただ、試食提供用の料理を作っていると販売には手が回りませんので、その辺は宜しくお願いしますよ」
サヴァイの言葉に牧場主がこくりと頷く。
(まぁ、あの怪しいサンタで売られては売れるものも売れないしな。誰か雇うか……)
牧場主はダチョウの突きをいなしながらそんな事を考えていた。
成功条件
| 条件1 | 各世界でのクリスマスを楽しむ |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | 各世界の住人の困り事を解決する |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
選択肢
| 選択肢1 | 聖樹界へ行く | 現在の人数 | 13 |
|---|---|---|---|
| 選択肢2 | 人幻界に行く | 現在の人数 | 5 |
| 選択肢3 | 天獄界にいる | 現在の人数 | 6 |
解 説
クリスマス直前という事で各世界ではクリスマスが展開中
ただそれぞれに困り事を抱えているようですが、
そこに手を貸すかどうかはあなた次第
ただ現地を楽しむもよし、少し手を貸すもよし
好きに楽しんで下さいませ
●各世界の状況と困り事
・聖樹界 かわたん
カワウソ村の近くの人里でクリスマスマーケット開催中
そこで販売しているかわたんのアップルパイの売れ行きが芳しくない
どうやったらもっと沢山の人に食べて貰えるだろうか
・人幻界 辰稀と一緒にいる子供達
日常が戻りつつあるが、親を失った子供達は煉獄の拠点で一緒に暮らしている
クリスマスパーティーはハリボテ寄せ集めだが、細やかに以前もやった事がある
虎侍が出て行ってから心配だったり、寂しかったり
だからプレゼントやお手紙を用意した それをサンタに届けて貰いたい
・天獄界 ダチョウ牧場の牧場主
クリスマスにダチョウ料理を広めたいと考えたダチョウ牧場主
サヴァイに料理の考案を依頼して今に至る
料理は出来たが販売員が足りないし、加工にも助っ人がいれば助かるかも
●プレイングについて
OPで登場しているNPC以外でも奈華里が書けそう、
あるいは以前奈華里のシナリオに登場しているキャラクターであれば描写可能
死亡描写がなければ記載して頂ければ登場可能 但し、簒奪者であるバジルナはNG
公式NPCだとイカヅチ、イーサン、死神ちゃん辺りは大丈夫です
絡みたいキャラクターがいましたら、プレイングに一筆下さい
そして、選択肢方式を取っている仕様上、行ける世界は一か所のみです
違う世界の住人のプレを書かれてもその辺は描写できませんので、ご注意下さい
後、お友達とのご参加の場合は相互同意が判るよう互いにID等の記載をお願いします
マスターより
大規模のシナリオの影響を受けて
ショートでバラバラに出すのも面倒なので、一つにしました
どうも、メリークリスマス 左右対称ネームマスターの奈華里です
季節ものなので、やっぱりやっとくべきかなぁ~と
かわたんは久々の登場ですね サヴァイは前回の続きです
多分リプレイ完成は年明けてそうだなぁと思いつつ、
まぁリアル時間での参加の方が気分がリンクして
ウキウキ気分での楽しいプレイングが書けるかなぁと
そういう訳で皆様のご参加お待ちしております(^^♪
あ、かわたんのアップルパイは某所で有名な
アップルパイのあのイメージで間違いないのです
関連NPC
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- サヴァイ=ヴァル(mz0040)
- 剛力種|男
参加キャラクター
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- 氷鏡 六花(ma0360)
- 精霊種|女
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
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- 鈴鳴 響(ma0317)
- 神魔種|女
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- ラクス・カエルム(ma1196)
- 妖精種|女
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- レジオール・V=ミシュリエル(ma0715)
- 剛力種|女
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- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
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- 山神 水音(ma0290)
- 精霊種|女
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- 金路(ma1384)
- 獣人種|男
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- 東江 武蔵(ma0410)
- 剛力種|男
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- 冥皇(ma1126)
- 機械種|男
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- ザウラク=L・M・A(ma0640)
- 機械種|男
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- 白玉 纒(ma0300)
- 機械種|女
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- 紅緒(ma0215)
- 剛力種|女
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- 藍紗(ma0229)
- 剛力種|女
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- 紫明(ma1226)
- 剛力種|女
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- 玄那(ma1251)
- 剛力種|女
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- 青桐(ma1371)
- 剛力種|女
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- 白綾(ma0775)
- 異能種|女
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- 銀火(ma0736)
- 剛力種|女
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- イサラ(ma0832)
- 人間種|女
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- 灯冥・律(ma0151)
- 人間種|女
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- 小山内・小鳥(ma0062)
- 獣人種|女
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- 葛城 武蔵介(ma0505)
- 神魔種|男
- リプレイ公開中




