オープニング
これにより『朱キ月』から出現したワームやキメラがたくさん来る。
そこには簒奪者の姿もあった。
簒奪者のオルトロスは天獄界を見てため息を漏らした。
「ここにあれいるのかなぁ……」
行く先々で邪魔をしてきた大江 紅葉を思い浮かべる。
直接戦うということは好みではないし、どうせなら、いがみ合って自爆してほしいのだけれども――下準備ができない。
「ボクはどうしようか……え?」
こっそり乗っていたモノが方向を突然変えた。
「ええっぇぇぇ」
オルトロスは転げ落ち、一群とはぐれた。
戦場の端っこぽいけど、どうしようかと建物の間に入り込んだ。
状況把握するため、分体を作る。人手がある方がいいから。
流刑街のとあるところにあるもふもふ商店街。
現在のところ戦場となることはまぬかれていた。
セイヨウケナガイタチな獣人種のソラリアは、人気のない商店街をテケテケ走る。不審者がいないか見回りだ。
商店街の関係者で戦えるものは戦う準備をして、戦えない人たちは隠れている。
また、戦術等に詳しそうな紅葉にも協力を仰いでいた。
ぼちぼち合流してくれるはず。
そのような中、白い小さな獣がスッと角に消えた。
「……でちっ!」
ソラリアは見覚えがないものだった。
(ど、どうするでち?)
ソラリアは卵型のおもちゃを手にした。
それを両前足で挟んで何度か押す。
――プピィ、プピィ、プピィ。
「きゅ?」
「きゅきゅ?」
さっき見た白い何かがたくさん出て来た。
「ま、まさか、イタチ仲間でちか!?」
「きゅー」
「イタチ仲間でも、咎人仲間ではないでちー」
ソラリアは思いっきり卵型おもちゃを知らない獣の方にぶん投げる。
それを追いかける物もいる。
おもちゃだからというより、何かわからないものだから調査しているからか?
これらが動物か、敵なのか、ソラリアは判断に困る。
笑顔でこっちを見ている複数の個体のうち、一体が炎を吐いたのでソラリアは「敵でち!」と慌てて回避するのだった。
紅葉は状況を鑑みて、天獄界にとどまっていた。
直接戦うことは長けていないため、後方でできる限りのことをするために。
少し前にソラリアから連絡を受け「もふもふ商店街を守るのに手をかしてでち」といわれた。
戦場のメーンから外れるからこそ、そこにも戦禍が及ぶなら、戦況として非常にまずい気もする。
とはいえ、戦場の飛び火どころか、偶然紛れ込んだ敵がいるかもしれないし、何があるかわからない。
そこにはそこそこの数の咎人がいるわけだし、防衛やら後方支援等は可能かもしれない。
紅葉はもふもふ商店街に足を踏み入れた。
――プピィ、プピィ、プピィ。
紅葉は音を聞いた。
「……ソラリアさんが遊んでいるんですかねぇ……フェレットですから……んなわけないですね。この状況は」
すぐにカードバインダーを取り出すと、音がした方に走る。
「ここの防衛の依頼を出しましたけど、皆さん間に合ってくれますかね」
オルトロスを見つける。
たくさんいるから確実に分体だが、この中に本体はいるかは見た目で分からない。
それを観察している場合でもない。
「入り込んでますね」
「クレハー」
「ソラリアさん、対応協議しましょう」
「悠長な話でちっ!?」
紅葉は地理を捉え、後続の仲間に指示を出せるようにした。
「きゅっ」
側面の道から出て来たオルトロスを見て、紅葉はハッとした。
目の色がこれまで違うし、何かあるのか?
それに気を配り、周囲を見た。
「キュッキュキュウウウ!」
ドーン。
激しい爆発が起き、建物や地面が削られる。
紅葉は咄嗟にガードするけれどもかなり厳しい。
「回復するでちー」
「結構きついですね、これ」
「生命力回復でち?」
「ですねぇ」
距離があるので合流しないとならないが。
この攻撃をされると、隠れている咎人にも影響が出てしまう。
これまでオルトロスがこれを使わなかった理由は想像になるが、大きなものはタイミング。
間があったから、戦闘中はフリーにならないと使えない。
また、隠密中――何かの捜索中なら決して使わないだろう。
人込みで使わないのは一般人を巻き込めば、隠密はかなわず、咎人を引き寄せるからだろう。
「ここは使いたい放題ってことですね」
敵しかいない場所なのだ。
とはいえ、オルトロスが【分体】を作るのは無尽蔵ではないだろう。
分体を作るのだって、シールドなり、ライフなり削っているはず――だから、分体を減らすことは意義があろう。
数が増えれば分体の強さは落ちるということも制約の一つだ。
爆発させると手ごまは減るだろうが、咎人にも危険だから、その前に倒してしまわないといけない。
「ひとまず、私は自分自身をどうにかできます。ソラリアさん、気を付けてくださいね」
「でちー」
オルトロス本体を探したい。
遠くにはいないはずだろうけど、どうやって見つけるか?
成功条件
| 条件1 | オルトロス(分体)の討伐。 |
|---|---|
| 条件2 | 隠れている咎人が戦場に出なくて済む。 |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | オルトロス(本体)の討伐 |
|---|---|
| 条件2 | 商店街への被害が最小限となること。 |
| 条件3 | - |
解 説
●商店街の様子
いわゆる昭和レトロな商店街風。
道幅8メートルくらい。
主な道は距離にして50メートルくらい。真っ直ぐではないため端から端は見えない。
道の両脇は低層住宅、店、店舗兼住宅な雰囲気。
メーンから脇道もいくつかあるし、ごちゃっとはしている。
店はシャッターを下ろしたり、営業していない。
非戦闘員も多いため、基本的に隠れている。
ソラリアがいるのはメーンの道であり、商店街の真ん中あたり。
紅葉がいるのは、そこに向かう途中の道。
地域の防衛またはオルトロス討伐に参加する咎人は、どこかの方向から関わることはできる。
ただし、ソラリアがいる当たり、戦場の真ん中にはスキル等理由がないとリプレイ開始直後にいることはできない。
●味方勢力
・大江 紅葉 符術師かシューターという風。
「ポイズンシュート」「牽制射撃Ⅱ」「太歳令」「龍鱗」「龍脈返し」を装備しているつもり。
なお、OPでの負傷は回復済み。
・ソラリア サポーター
「ヒールⅡ」「ユーズドプラスⅡ」「緊急障壁Ⅱ」「巡行移動」あたりを装備している。
最初に鳴らしていたボールはペット用品のただの鳴るボール。フレーバーアイテム。
●敵勢力
・オルトロス本体 人語を話す。
通常攻撃は、爪でひっかいたり、噛みついてくる。
便宜上【吸血】 相手の生命力を奪い、自分の物にする。
【炎】射程30、範囲直径10メートル、識別なし。
・オルトロス分体 人語を話さない。
現在10体ほどいる。数が多いと弱くなる。油断しなければ咎人が追い込まれることはないだろう。
通常攻撃は爪でひっかき、噛みつく。
炎は本体よりも距離は直径は小さい。その上で、威力は分体の数によって変化する。
【自爆】何らかのことにより爆発する。カウントが1ありそう。
シールドは無視しライフを直接削ってくるかつ、建物など物質も壊す。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
もふもふ対もふもふ……と書きかけて、イタチ系ばかり出しているなぁと思いました。
オルトロスはイタチがモデルではないのですけれども……ソラリアは確実にフェレットです。セイヨウケナガイタチと言い張ってますが。
天獄界が戦場になれば、流刑街の一角のもふもふ商店街にも火の粉は降りかかるかもしれません。オルトロス一体とはいえ、分体がいる上、入り組んだ道は探しづらいという難点があります。
よろしくお願いします。
関連NPC
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- 大江 紅葉(mz0079)
- 人間種|女
参加キャラクター
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- 氷雨 累(ma0467)
- 人間種|男
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- 更級 暁都(ma0383)
- 人間種|男
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- フィリア・フラテルニテ(ma0193)
- 神魔種|女
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- 伊吹 瑠那(ma0278)
- 剛力種|女
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- 天野 イサナ(ma0022)
- 人間種|女
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- 暁 大和(ma1428)
- 機械種|男
- リプレイ公開中




