神々の黄昏 第1フェーズ
運営チーム
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シナリオ形態
大規模作戦
難易度
Hard
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
  • 危険
  • 召喚可
参加料金
0 SC無料
参加人数
1人~∞人
報酬
1,000 EXP
10,000 GOLD
5 FAVOR
相談期間
5日
プレイング締切
2024/05/09 10:30
リプレイ完成予定
2024/05/20
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
危険
このシナリオは難易度が高く設定されています。
戦闘により大きなダメージを受けてしまった場合、キャラクターの基本設定が忘却状態になることがあります。
基本設定が4つ全て忘却状態になると、キャラクター自身が死亡状態となり、ログイン及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
召喚可能
このシナリオでは召喚を行うことができます。
召喚を装備しているキャラクター全員が召喚可能です。

オープニング

 天獄界の危機はほどなくして再び訪れた。
 生誕の神オルファとの遭遇からほとんど間を置かずして天獄界に開かれたゲートは、邪神による襲撃の再来を意味するものであった。そして、ゲート発生とほぼ同時、天獄界全域に敵の襲来を告げる警報が鳴り響いた。
「邪神の攻撃……!?」
 オルファのことだ。わざわざこちらが立て直すための時間など与えるはずもない。この好機を見逃さず仕掛けてくると考えていたクルハ (mz0014)にとって、予想外の展開ではなかった。すぐに神殿の鎖神貴一 (mz0051)と通信する。
「鎖神くん、死神ちゃんはそっちにいるよね!?」
『ああ。彼女は敵の最重要ターゲットだ。状況が見えないうちは事前の打ち合わせ通り、彼女は神殿に匿っている』
 『紅キ月』による襲撃の際、神殿は大きな被害を受けた。天獄界の、特に咎人に関連する中枢施設であるが、平時は外敵への抵抗力を持っていなかった。しかし前回の反省を踏まえ、神殿の防備はかつてないほど慎重に行われている。エゲリアによる強力な結界に覆われており、外部からの攻撃と簒奪者など許可されない敵の侵入を拒絶する状態にある。死神ちゃんを隠す場所としてはうってつけだ。
 オルファの狙いは死神ちゃんからの力の継承、彼女を取り込むことだが、おそらく通常の手順通り『殺せば自動的に吸収』以外の何かが必要なのだろう。オルファは死神ちゃんを殺そうとはせず、交渉で手元に置こうとした。そのことから敵の狙いは死神ちゃんの抹殺ではなく拉致であるとわかる。先日の事件の際、ダグラス (mz0110)が彼女を攫おうとしたのも同様の理由だろう。
『死神ちゃんの居場所がわからない限り、天獄界を丸ごと破壊するような大規模攻撃は邪神も行えないだろう。……だとしても、死神ちゃんがいないとわかっている部分を削り飛ばしていけば、結局同じことだ。敵は最終的には天獄界そのものを粉砕してでも彼女を手に入れようとするだろう』
 つまり、この戦いはもう天獄界の生き残りを賭けたものとなっている。
『クルハくん、今どこにいる?』
「広場の方に向かってる! ……空からすごいイデアを感じる。きっとアレは邪神だ!」
 空から出現したのは鎧騎士、邪神ガグンラーズ。オルファにとっての『武神』、すなわち天獄界側ではスサノオに相当する神である。クルハは空を見上げながら、ガグンラーズの揚陸地点を目指して走り続ける。
『すまないが、邪神相手に並の咎人では相手にならない。クルハくん――いや。世界武装ロンギヌスの力が必要だ』
「わかってるよ。その為に今日まで鍛えてきたんだから、ね」

「天獄界――新たなる宇宙の杯(エンブリオ)か。永かったぞ。この地を追われてからというもの、再び舞い戻る日を楽しみにしていたぞ」
 ガグンラーズが降り立ったのは天獄界にいくつか存在する広場のひとつだ。その街並みを眺め、騎士は首をかしげる。
「む……? 我らが去ってからずいぶんと様子が変わったものよな。ここは新たなる理の神が目覚めを待つ神聖なる場所……これではまるで下賤なヒトの町ではないか」
「下賤かどうかは別として、ここは確かにヒトの居場所だぜ、ガグンラーズ」
 呼応するように姿を見せたのは武神、スサノオ (mz0012)だ。
「天獄界はヒトの街、咎人のための街だ。まあ俺たちはヒトの街とかよくわかんないから? テキトーにあちこちから持ってきたのをくっつけただけなんだけどよ」
「笑止。宇宙の中心となる世界に相応しくなかろう」
「いやいや……お前らその調子じゃ、ただの荒地みてぇなところに住んでそうだな……つまんなくねぇか、ソレ?」
 彼の状態は万全とは言えない。本来持つ神としての出力、その半分も発揮することはできないだろう。普通に考えれば、フルパワーのガグンラーズ相手では勝負にもならない。それは武神として理解していて、それでもなお姿を見せた。
「フン……みすぼらしいものよな、スサノオ。あの頃、仕える主こそ違えど、我らは同じ武の神……うぬとは通じ合うものもあった。こうも弱り切った姿を見るのは心苦しい。結果のわかり切った戦に何の意味がある? 真の武人とは戦わずして未来を知る。我が許そう。自害せよ、スサノオ。武の神の名を穢した失態、腹を召して償うがよい」
 ガグンラーズはふざけて言っているわけではない。
 武の神に求められるのは最強。それ以外の姿など見せることは許されない。役割を果たせない神に存在意義はない。ならば消えるのが当然、そう心から思っている。
「悪いが俺様はこの勝負、まだわからねぇと見ているぜ」
「うぬは確実に消滅する。その未来だけは変わるまい」
「……かもな。俺様は死ぬかもしれん。だが、俺様は『負けない』!」
 スサノオの勝利条件はガグンラーズの排除だ。
 それだけでいい。『相打ち』でも、あるいは結果的に自分以外の誰かがガグンラーズを倒すのでも構わない。だったら今の負傷した神体でも可能性はゼロじゃない。
(ま……そう思えるようになったのも、咎人のお陰かもな)
 スサノオは戦に関しては完璧に近い予測ができる。こと戦闘において、彼の『眼』は未来予知の領域に近い。エゲリアの計算よりもはるかに早く、直感的に勝敗を感じることができる。その直感だけの話をするなら、スサノオはガグンラーズに『勝てない』と感じている。だが、心は違う未来を信じている。それは神にとって不思議な感覚だった。
「……度重なる損傷と忘却で狂ったか。哀れな……単純な彼我の戦力予測すらまともに叶わぬとはな。ならば武神として、引導を渡してやるとしよう」
 大斧を片腕で掲げたガグンラーズがイデアを放つ。その闘気たるや、単に『やる気』になったというだけで周囲を吹き飛ばし、地形さえも変えていく。炎と雷の嵐――それはまさしく人知を超越した災害だった。
「我は武――そして、武は我。この身この魂のすべては主君たるオルファ様のために! スサノオ……信ずるべき主を手放した貴様では、我を止めること叶わぬわ!」
「スサノオ! ……って、うわナニコレ!? これが邪神の本気……!? 戦力の測定が……バグっちゃってよくわかんなくなっとる!」
 駆け付けたクルハの目に映るガグンラーズの力。
 咎人には相手の力量を測る機能が備わっているが、ガグンラーズの力は人間のそれとは違う。自然現象……いや、『世界法則』を相手にしている感覚が近い。
「悪いなクルハ。俺様だけでガグンラーズを倒すのはぶっちゃけ無理だ。今更虫のいい頼みかもしれねぇが……お前たち……咎人の力を貸してくれ!」
 スサノオは今、心から天獄界を守りたいと願っている。
 それは彼が守護神だからというだけではない。過去の過ちを償うためでもない。
 彼は自らの役割を忘却することで、ある意味において『理』に囚われない神となった。そして、まるで人間たちと同じように、この世界と『ヒト』を心から愛したのだ。天獄界を守りたいのは、『役割』だけが理由じゃない。そうしたいと願ったのは、彼自身の『意志』だった。だが、ガグンラーズの目に――それは単なる不具合、『弱さ』としか映らなかった。
「わかってるぜ、言いたいことは。お前みたいな武神は認めないってんだろ?」
「ならば、我らが答えを導く手段はたったひとつ」
「「 戦い、そして勝ち取るべし! 」」
 武神と武神、その固く握られた拳と拳が衝突し、開戦のゴングを鳴らす――!

 スサノオとガグンラーズの衝突は天獄界全域に激しい衝撃を轟かせる。
 そんな中、天獄界の各地では簒奪者の侵入が相次いでいた。
「天獄界のあちこちに『穴』が開けられている状態だが、それとは別に敵を手引きしているものがいるね。あまりにも敵の展開が早すぎる。おそらく戦力展開に特化したタイプの簒奪者がいるはずだ」
 鎖神は各地から上がってくる報告を元に作戦図をリアルタイムに更新し続けている。
 現在、簒奪者兵が天獄界ほぼ全域に出現。各地で咎人と簒奪者による戦闘が開始している状況だ。原則、こういった戦いでは防衛側が有利であり、天獄界においても同じことが言える。具体的には、イデアゲートが天獄界各所に設置されていることが大きい。
 ゲート同士で各地が繋がっていて、そのゲートは咎人しか使えないわけだから、咎人は次から次へとゲートを使って各地を飛び回り、迅速に迎撃に移ることができる。だがそれは敵も承知のこと。簒奪者たちはイデアゲートの破壊も目論んでいるようだ。
「ゲートが破壊されたエリアは事実上敵の制圧下に落ちる。制圧によって死神ちゃんの居場所をあぶり出すことも可能だろう。尤も、こちらで最大の防御が敷かれているこの神殿に匿われている可能性が高いのは向こうも承知だろうけどね」
「あの……鎖神さん? 私は本当にここに隠れているだけでいいのでしょうか?」
 死神ちゃん (mz0018)は用意されたふかふかのソファに座っている。当人は気が休まらないからカチコチに緊張していて、鎖神の背中をジッと見つめていた。
「もちろん。君が安全圏にいることも作戦のうちだよ」
「でも……こうしている間にも咎人の皆さんは戦い、傷ついています……敵の狙いも、今のこの状況も、私に責任があるというのに……」
「これは単なる役割分担だよ。心配しなくても、否応なく君の出番はやってくる。『死』の力は、『生』の力に対する切り札でもあるからね。今はとりあえず……仲間を信じ、我慢して見守るのが君の戦いというところだよ、フフフ」
「我慢するのも戦い……わかりました……」
 そんな話をしている間にもまた一つ、イデアゲートの反応が消失した。鎖神は消失したゲートの付近にあるゲートに指示を出す。
「隣接するゲートが簒奪者に破壊された。次は諸君らのゲートに敵が殺到する可能性が高い。……手が空いている者は指定ポイントに向かってくれ」
「鎖神さん! メインゲートにハッキングです!」
 神官の一人が慌てた様子で報告する。
 この神殿には咎人の復活装置とも言える記憶サーバーが存在しているが、それとあわせてすべてのイデアゲートの大本となる『メインゲート』なる施設が存在する。メインゲートは天獄界内のゲートだけではなく、咎人が異世界に設置したゲートないし、異世界に向かうためのゲートなども含めたすべての管理を行っている。神殿が重点的に防御されている理由のひとつだ。
「敵はどこかのゲートから遠隔でこちらのゲート管制に干渉しています」
「ハッキングポイントを辿ることは?」
「やっていますが、できません……! 相手の方が数段上手です!」
「ふむ……恐らく簒奪者を天獄界全域に展開している、転送系魔法の特化術師によるものだろうね。メインゲートが遠隔破壊されたらすべてのゲートが機能不全に陥る。元々異世界に逃げ込むつもりはないが、そういうこともできなくなるね。……直ちに部隊を送ってハッカーを叩いてくれ。最優先事項だ」
 簒奪者ダグラスは飛行で高所を取りつつ、発見したイデアゲートに攻撃を仕掛ける。急降下から一気に弓で咎人を撃ち抜き、またひとつイデアゲートを大槍で粉砕した。
「咎人と言ってもピンキリか……やはり異世界に直接介入する部隊とは比較にもならんな。天獄界に閉じこもっているだけの雑兵では相手にもならん」
 ダグラスの言葉通り、咎人と言っても誰もが強いわけではない。天獄界という居場所を守るために必死で抵抗しているが、彼らに異世界介入部隊ほどの戦闘力はない。ダグラスのような強敵相手ではひとたまりもなく蹴散らされるばかりだ。
(それにしても……相変わらずMCの姿は見えんか。今回の戦場にも出撃したのは間違いない。前回はわかっていながら彼奴の凶行を止められなかったが……)
 別にMCグランギニョール (mz0066)に個人的な恨みはないが、お気に入りのアラタがMCを警戒している以上、ダグラスもそのように振る舞うつもりだ。しかし、実際MCがどこで何をしているのかは同じ簒奪者であっても把握できていない。わかるのは『いるのは間違いない』というところだけだが……。
(……まあよい。エディ・ジャクソンと言ったか。同じ蒐集衆でもソグンよりはマシなようだ。今は己の目的に従うとしよう)
 ダグラスはオルファの再誕計画賛成派だ。
 ダグラスとオルファの考え方――要するに強くたくましい者、正しい者だけが存在する世界というのは、かなり方向性として合致している。ダグラスは教育者という形で『理不尽に負けない軍隊』を作ろうとしたが、再誕計画を使ってそもそも設定自体を書き換えてしまえば、『教育』という手間は不要となる。誰もが強く、誰もが間違えない世界。『教育』が不要な世界こそ、完璧な『教育』かもしれない。
(ヒトは過ちから学ぶものだが、そもそも過たない為に学ぶのだ。終わらぬイタチごっこを前に、教育者に出来ることは数少ない)
 ダグラスの息子は落ちこぼれだったが、それはあくまでも学業面の話。また、彼は自分の持つポテンシャルを最大に発揮できていなかった。磨かれぬまま、磨き方を知らぬまま朽ちていく原石を見てきたダグラスにとって、すべての石が必ず輝ける世界は魅力的だった。

「強くたくましい者、正しい者だけが存在する世界ねぇ」
 エディ・ジャクソン(mz0067)からみれば、オルファの意見には納得していない。
 本音からすれば、そんな世界は世紀末感を強くでもしないと面白味がない。理想の一つである事は尊重するが、支援タイプのエディにとっては面倒な世界になる。
 だが、簒奪者として命令である以上は、逆らう訳にもいかない。他にやるべき事があるのだが、そちらを中断してでも参加せざるを得なかった。
「ご不満ですか? これが栄誉ある神からの神託であるのですから、光栄に思うべきです」
 それに対してブラッドリー(mz0065)は、やる気に満ちていた。
 神から直接受けた指示。ブラッドリーからすれば神託と受け取っているが、その事自体に歓喜していた。
 だからこそ、どのような命令であっても身命を賭して挑むべきだと考えている。その為、エディの不満そうな態度を諫めていた。
「はいはい。光栄です。光栄ですよ」
「でしたら、早くメインゲートなる代物を操作して下さい。それが神からの命なのですから」
 ブラッドリーはエディを急かしている。
 エディに下された命は、『神殿のゲート管理装置、つまりメインゲートと呼ぶべきものを遠隔で破壊する』というものである。
 短距離転移能力などを保持するエディからすれば、イデアゲートの操作はお手の物だ。もちろん邪神のバックアップはあるものの、遠隔でメインゲートを破壊すれば、メインゲートに繋がる他のイデアゲートも破壊できる。邪神眷属からすれば、イデアゲートが破壊目標の一つである以上、エディの能力を放置する気はない。
 ブラッドリーはエディの護衛として張り付いている状況だ。
(……ちっ。この神父、最初は頭が残念だったので適当に神だとか遣いだとか名乗って言ったら信じたのに。今では邪神の忠実な下僕ですよ)
「何か仰いましたか?」
「いや、別に。それより、ブラッドリー君は咎人に何度も倒されているんですよね? それなのに短期間での参戦。大丈夫なんですか?」
 エディはブラッドリーがかなり無謀な戦闘を繰り返していると知っていた。
 簒奪者も倒されれば、それだけ魂を疲弊させる。これ以上の死に戻りは誰の目から見ても危険だ。
「……ご心配は感謝しますが、これは神から下された御言葉。神託は神の御遣いである私が為すべき事。それに逆らう事などできましょうか」
 胸を張ってみせるブラッドリー。
 おそらく無理はしているのだろうが、既に何度も倒されている為に記憶も怪しい。覚えていないからこそ、何度でも邪神の言葉に従って戦いに馳せ参じる。エディは邪神からすればブラッドリーは良い手駒だとみているが、敢えてそれは口にしない。
(まあ、その時はその時で。私は相応の仕事をさせてもらいましょうか)
「手が止まっていますよ。早く作業を続けなさい」
「はいはい。すぐにやりますよ」
 エディはため息一つ付いて、メインゲートのハッキングを再開した。
 
「……マズいな」
 リカルド・マエストリ(mz0056)は簒奪兵をリボルバーの弾丸で撃ち抜きながら、大きく息を吐く。
 イデアゲートへの攻撃が激化しているのは分かるが、イデアゲート自体が複数存在する事からどうしても防衛が後手に回る。イデアゲートが破壊されれば咎人側も察知できるが、破壊されては元も子もない。つまり、イデアゲートを守る為に防衛力を分散させる必要があるのだ。邪神眷属がどのイデアゲートを狙うか分からない以上、時間と共に苦戦を強いられる。
「こちらはどうしても防衛が主体になります。長時間の戦闘は不利ですからね」
 攻め寄せる簒奪兵に対してヴェルナー・ブロスフェルト(mz0019)が、ショットガンを数発発射。飛び出した算段が、簒奪兵の体を貫いた。
 既に多くの咎人がイデアゲート防衛を始め、天獄界各地で防衛戦を展開している。二度目の襲撃である為に邪神眷属もある程度地理的な状況も把握しているようだ。
「……だが、敵も攻撃戦力を分散している。このまま続けるつもりか?」
 リカルドはこの状況に少々違和感があった。
 防衛側が戦力を分散してるように、攻撃側も複数のイデアゲートに対して戦力を分散している。
 攻撃側からすれば、イデアゲート破壊の効率は決して良くない。それでもイデアゲート破壊を戦力分散してまで継続するのだろうか。
「……! そうです。それです」
「……?」
「敵は単に戦力を分散している訳ではありません。私が敵の立場なら、もっと決定的なものを狙ってきます。たとえば、イデアゲートの制御です」
 ヴェルナーがリカルドへ簡単に説明してくれた。
 敵も戦力を分散している理由に、陽動の意味もあるのではないか。各地で攻撃している最中に、本命とも言うべき目標を攻撃する。イデアゲートの制御が喪われれば、周辺のイデアゲートにも大きな影響が出るはずだ。
「……なら、その制御を狙う連中を探すべきか」
「ええ。必ず何処かに不穏な行動に出ている者がいるはずです」
 リカルドとヴェルナーは、意を決して行動を開始する。
 イデアゲートを巡る戦いは、佳境を迎えようとしていた。

 天獄界に穴が開いたその時から、エゲリア (mz0009)は外部からの攻撃から天獄界を守っていた。まだ姿を見せていないガグンラーズ以外の邪神が、異世界から遠距離攻撃を飛ばしてきているのだ。文字で見ると簡単な話だが、実際には大量の隕石の墜落をかたっぱしから防ぐような繊細かつヤケクソめいた作業である。
(この攻撃……エキドナとレシエフだな。あいつら遠距離攻撃だけで天獄界を破壊しつくすつもりか?)
 『穴』を通じて攻撃できるならわざわざこっちに直接転移してくる必要もない。高威力の攻撃をドカドカぶっ放しても、エゲリアが防衛することはわかっている。死神ちゃんを運悪く殺してしまうのはまずいが、エゲリアならそうならないように守るはずだし、守り方の傾向から死神ちゃんの居場所も予想しやすくなる。エゲリアのリソースを削りつつ天獄界を破壊し、死神ちゃん拉致につなげる一石三鳥の策なのだが、見た目上は馬鹿みたいに雷や氷塊がメテオってきてるだけである。
 エゲリアは天獄界という巨大なバックアップシステムと接続しているものの、一人で二人の邪神の攻撃をいなすのは至難の業だ。一瞬たりとも集中を切らすことができないから、エゲリアはこれに付きっ切りということになる。
「お前を乗せて飛ぶのは久しぶりだな、アラタ。そして場合によっては、これが最後になるやもしれぬ。いよいよであるな……お互いに」
 氷堂アラタ (mz0055)はザッハーク (mz0119)の背に乗り、天獄界の空を飛んでいた。
 二人が目指すのはエゲリアがいる彼の封神領域。エゲリアが最大の力を発揮するには場所が重要で、だから防衛で手いっぱいなエゲリアがどこに鎮座しているのか、予想するのは実に容易い。エキドナとレシエフによる攻撃を防ぐのに全力を使っているエゲリアは、今なら撃破可能な相手だ。
「エゲリアは実質、まともに稼働している唯一の守護神だ。ヤツを倒せばこの戦争は俺たちの勝利で終わる。あともう一息、もう一歩の辛抱だ」
「そうだな……長かったような短かったような、不思議な感覚である」
 ザッハークとアラタは度々タッグを組んできた簒奪者だ。毎度必ず一緒というわけではなかったが、再びここで組むことになったのはオルファの指示であったとしても巡り合わせを感じずにはいられない。
「アラタよ。この戦いに勝利した時、オルファの再誕計画が発動する」
「お前は否定的か、ザッハーク?」
「兵が判断することではあるまい。良し悪しを決めるのは我らではなく、未来、その宇宙に生きるものたちであろう」
「確かにな……今の俺たちに出来るのは、今の俺たちのことだけで精一杯だ」
 アラタは宇宙の再誕に好意的なわけではない。だが、待っている未来がどんなものであれ、これが自分たちの戦いの決着であることは確かだ。歩みが間違いであったとしても、最後までやり遂げたい。アラタは『痛みの書』に手を当て、これまでに刻んできた物語に想いを馳せる。
「俺には夢も目的もない。だが――負けたくない、投げ出したくない」
「で、あろうな。アラタよ、貴殿もまた、どうしようもなく戦士なのだ」
 その結果に待っているのが再誕計画なら、受け入れるのも吝かではない。
 今は余計なことは考えず、前に進むだけでいい。
「――行くぞ。俺たちの戦いを、終わらせる時だ」

成功条件

条件1ガグンラーズの撃退
条件2エゲリアの防衛
条件3メインイデアゲートの防衛

大成功条件

条件1ガグンラーズの撃破(高難易度)
条件2スサノオの生存
条件3-

選択肢

選択肢1ガグンラーズ迎撃戦<危険> 現在の人数41
選択肢2イデアゲート防衛 現在の人数56
選択肢3エゲリア防衛<危険> 現在の人数53
選択肢4負傷者救助・避難誘導 現在の人数5

解 説

選択肢1.ガグンラーズ迎撃戦<危険>
選択肢2.イデアゲート防衛
選択肢3.エゲリア防衛<危険>
選択肢4.負傷者救助・避難誘導


それぞれの選択肢の詳細は特設ページにて解説しています。
第1フェーズの参加は5月3日から5月9日までとなります。


●選択肢1.ガグンラーズ迎撃戦<危険>
パンダだぜ! ザックリ解説していくぜ!
こちら今回一番難しい選択肢になります。
相手邪神だからそらそうなんだけどよ……。
なんかもうすべてにおいて異次元の敵だから、ほんとにめちゃくちゃ強いぜ。
スサノオが一緒に戦っているっていう下駄を履いてようやくって感じだと考えてほしいぜ。つまりスサノオに戦わせるだけじゃ勝てないぜ。
クルハとスサノオが「理」系のスキルに対抗策持ってるけど、他にもできるやつがいた方がいいと思うぜ。
いちおう倒さなくても追い返せれば成功だけど、どっかで倒さなきゃならんので、ぜひ大成功を狙ってほしいぜ。

●選択肢2.イデアゲート防衛
今回のワイワイ選択肢枠だぜ!
内容自体はそこまで難しくないので、あちこちワープしながら頑張って戦えばOKだぜ。
ワープで逃げられるんで、死亡のリスクは限りなく低いぞ。
地味に強敵も混ざってるから注意はしてくれよな。
難易度自体はそんなに高くないと思うぜ。

●選択肢3.エゲリア防衛<危険>
無防備なエゲリアを守るっていう選択肢だな。
失敗=天獄界崩壊という意味ではすげえ重要だな……。
防衛戦なので、敵がどんどんわんこそばしてくるのをやっつけるぜ。
エゲリアがやられたら終わりなので、その点は注意だな。

●選択肢4.負傷者救助・避難誘導
一応用意してみたンだが……どうだろうか?
正直、他の作戦が失敗したら終わりなンでアレなのだが、戦闘とかしたくないけど関わりたい人向けって感じだな。
最終決戦なのでどうしてもデッド・オア・アライブになっていくのだけど、そればっかりが楽しみ方でもねェと思うから、こういうのがあってもいいかな~って……ネ?
RP目的って感じなので特に難しいことは考えなくていいし、厳しく判定とかもしないつもりだから安心してくれよな。
ただ、ある程度腕っぷしがあるなら、ここじゃない選択肢に入ることを推奨しておくぜ。

マスターより

ハイブリッドヘブンをお楽しみいただきありがとうございます。運営チームです。
こちらのシナリオはエピック「ハイブリッドヘブン」と連動する内容となります。
エピックをクリアしなくとも参加は可能ですが、併せてお楽しみいただけますと幸いです。

関連NPC

  • クルハmz0014
    人間種|女
  • ニエンテ・トゥエルブmz0018
    ?|女

参加キャラクター

リプレイ公開中

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