オープニング

●出張
　プエル・ニコラスはウサギカフェの再開を考えていた。
　浮島にたくさんできた地下道――いわゆる巨大ミミズの通り道――は、大江　紅葉 (mz0079)やソラリアが何かしてくれるらしいし、気にしなくてもよさそう。
　ウサギたちにいざとなったときの避難訓練をしたり、カフェの運営に尽力すればいいのだ。
　プエルは「適材適所」とうなずく。

　ウサギの避難訓練とは危険が迫ったらイデアゲートまで行って、逃げる練習だ。
「僕が歌って踊れるようになるのが速いか、ウサギたちがモーリス信号を打ったり、避難できるようになるのが先か……ということかもしれない」
　真顔で言う。
　色々ツッコミが必要な言葉だけれども、プエルが独り言に突っ込む存在はいなかった。
　ムールーのムーニャがそこにいるけどモールス信号を知らなかったし、ウサギはもちろん知らない。

　プエルは人幻界も興味がある。
　のしのしパンダを入手したことで、興味が遠のいているけれども、菖蒲園がきれいらしいという話を耳にした。
「よくわからないけど、出店許可書ってもらったし」
　ゲートの管理官の誰かに「これあげる」と言われて、文面を読んでいる間にいなくなられていた。
　一言で言えば押し付けられた。本人は分かってないけど。
「まぁ、ウサギカフェの店長の僕だから、仕方がない行ってあげようと思えるんだよね！」
　菖蒲園であるショウブ鑑賞会で出店の１スペース１日参加券。
「何をすればいいんだろう」

　浮島の地下道の問題を片付けに来ている紅葉を見つけたので、尋ねる。
　頭いい人に聞けば、イベントが何か、何をすればいいのかわかるに違いないから。
　チケットを読み、付属の説明書を読んで紅葉は「平たく言えば、何か売ってください」という。
　プエルは「じゃあ、ホットチョコ売る！」と元気よく言う。
「いえ、ひんやりスイーツがいいと思います」
「え？」
「人幻界のその場所、この時期、ムシッ暑いです」
「……蒸し暑い？」
「いえ、ムシッ暑いです」
「そうか……ムシッ暑いんだね」
　紅葉がうなずいた。
「分かった、ひんやりチョコドリンク持ってく。あと、概念的なウサギカフェする」
「……はい？」
「ウサギたち連れていけないから、ウサギたちをイメージしてもらえるように、ニンジンとキャベツを真っ直ぐ切ったのとか、ぬいぐるみを持って行くんだ！」
「……ウサギを思い出すようなものですね……。で、サラダを売るんですか？」
「そうか！　ひんやりチョコドリンクとバーニャカウンターにする」
「……バーニャカウダ？」
　プエルは紅葉の確認を聞き流し準備を始める。
　紅葉は会話を巻き戻し、重要なことに気付く。
「プエル君！　飾るぬいぐるみはこっちから連れていくでいいです。飲食物は現地で調達してください」
「え、なんで？」
　そこからイデア体についての説明を紅葉はすることになる。
　言われてプエルは「そういえば、そんなのあった気がする」と思い出す。
「材料……見つけられるかなぁ」
　現地詳しくないから。
　唐突にしょんぼりするため、紅葉は急いで業務用のチョコレートや野菜を買える店とレンタル道具の店をチョイスする。
　紅葉としてはプエルを甘やかせず、他の咎人に丸投げでもいいと考えるが、日付が迫るのでそう言っていられない。
　プエルは「よくわかったよ！　次は頑張るよ」と言って、元気よく動き出した。

　人幻界の東京のとある商店街近くにある菖蒲園。
　色々あって荒れてたけど、咎人たちの協力もあって、今年は通常運営していた。
　ちょうど花が見ごろ。
　甘味処もあるけれども、その周りに出店がいくつか出るという。
　これまでより人も来そうだし、楽しみも多い方がいいだろうということらしかった。
　そこの出店にプエルもいる。
　プエルは概念的なウサギカフェをするという。
　出されるのはバーニャカウダと冷たいチョコドリンク。
　お店でうきうきしているけど、甘味処もお花も興味津々。
「誰か来てくれるかな、それと、僕も見て回りたいなー」
　誰かに手伝ってもらえばよかったと、今になって後悔。
　仕方がないと思いつつ、とりあえず、客が来てくれることを楽しみに待つのだった。

成功条件

条件1	菖蒲園の見物をする。
条件2	-
条件3	-

大成功条件

条件1	概念的なウサギカフェの店番をする。
条件2	-
条件3	-

解　説

●菖蒲園
　東京のどこかの商店街の近くにある古い菖蒲園。
　咎人たちのお陰もあり、復旧し、今年は何の制限もなく菖蒲まつりが開催される。
　広さ何とかドーム1個分とか、決め手はないけど、そこそこ広い。
　今は菖蒲などの花が見ごろ。

　当日はちょっと雨がぱらつく。

　甘味処。
　菖蒲園内の店。
　この時期はかき氷が始まる。冷やしぜんざいとあんみつがある。
　飲み物は烏龍茶とほうじ茶、煎茶である。

　イベント向け出店
　近所の商店街が販売を手掛けるのが主体。
　和菓子屋が団子やまんじゅうを、コロッケ専門店が通常または季節のコロッケを、雑貨屋が梅雨にちなんだグッズ、商店街のブースに商店街のグッズ……など、言った感じである。

　そんな中、咎人にも出店用のチケットがいき、プエル・ニコラスもいる。
　プエルは「概念的なウサギカフェ」ということで、ウサギを思い出させるぬいぐるみを配置。
　販売する飲食物は冷たいチョコドリンクとバーニャカウダ（のようなサラダ）。
　なお、品書きを大江　紅葉が書いて持たせてくれた。
　プエルは相変わらず「バーニャカウダ」と言えない。
　ちなみに、誰か手伝ってくれると嬉しいと思っている。

●大成功条件の補足
　全員でなく、誰か手伝いがいれば問題ありません。
　相談ということではないですが、念のため、エキスパートにしてます。
　掲示板が必要なら……だけなので。

マスターより

　こんにちは、狐野径です。
　菖蒲園！　この時期、浮上する菖蒲園！
　用意していたシナリオや普通に戦闘物とかありましたが、季節ものを優先しました。
　次早めに動きます、頑張ります。
　今回は見物主体です。
　概念的なウサギカフェがどうかというより、菖蒲園のんびりすることになります。
　チョコドリンク等のレシピはきちんとありますので、ご安心を！
　よろしくお願いします。