オープニング

●禁酒法
　ツインフィールズでは今も『禁酒法』が維持されている。
　この法律は酒の売買や飲酒を禁じ、違反者がいればツインフィールズでは警察配下の酒類取締局によって逮捕される。
　けれど人々が酒を止めることはない。
　むしろこの法律を逆手に取ったマフィアが他の街から酒を運び込むだけでなく酒の密造にも加担し、利益を上げている。
　警察も禁酒法に基づいた取り締まりを続けているが、今のところ密造酒がツィンフィールズから消えることはないだろう。
　ツインフィールズは良くも悪くも今までと同じ日常を続けていた。

●情報量が多すぎる
　それは、ツインフィールズ内でも坂の多い地域で発生した。
　その場所は２本の大通りに挟まれた傾斜地で、周辺の住民達が通行できるように大きな階段が設置されていた。
　この階段は利便性も高く、多くの人達が利用している。
　そしてその階段を囲むように、様々な職業に扮した警官達が張り込みを続けていた。
　――『組織』の犯罪を立証できる人物がこの場所を通る。
　そのような情報を警察が掴んだためだ。
　その組織はツインフィールズに密造酒を持ち込み、荒稼ぎをしているという。
　当然禁酒法に違反するため、警察としてもこの組織は取り締まりの対象となる。
　警察も組織のボスがどのような外見をしているかなど、ある程度の情報は入手したものの、その所在はつかめていない。
　そこで警察は、組織の犯罪を立証できる人物を確保してから組織のボスに迫ろうとしていた。
　この組織は一般人よりも強い者が構成員として所属しているとの情報も警察は入手している。
　そうした強者がこの場に現れる可能性も考慮して、既に警察はツインフィールズ教会を介し、天獄界へ咎人の派遣を要請していた。
　その結果、要請に応じた咎人達がこの場に来る手筈となっている。
　ここでベビーカーを押してきた女性が階段を上がろうと悪戦苦闘し始め、それを見た警官が助けに入ったところから事態は動き出す。
　ベビーカーを押してきた女性は他にもいたので、そちらにも警官達が助けに回り、一緒になって階段を上り始めた。
　すると階段の上から物々しい雰囲気の一団が現れ、階段を降り始める。
　その中に、これから摘発しようとしていた組織のボスも含まれていたことから警官達は内心動揺した。
　――組織の犯罪を立証できる人物を確保しようとしたら、いきなり組織のボスが現れた。
　ここでボスを護衛していた組織構成員らしき男達が警官達の変装に気づき、一斉に銃を抜き発砲する。
　銃撃を受けたことで、逮捕の口実を得た警官達はチームリーダーの指示で構成員達への反撃に移る。
「この●●が！」
　撃たれた構成員が罵声を上げると、警官達のチームリーダーに憤怒の表情が宿る。
「俺は薄毛じゃねえ！」
　どうやらチームリーダーにとって髪の話題は禁句だったらしく、チームリーダーは猛然とその構成員に銃撃を浴びせる。
　ここで構成員達の中から明らかに強そうな男達が前に出ると、銃撃をシールドで防ぎながら警官達に応戦する。
　それまでベビーカーを押し上げていた警官達も戦いに加わり、持ち手を失ったベビーカーが階段下へと落ちていく。
　女性達がベビーカーを追いかけようと階段を駆け下りる中、警官達と組織の構成員達は周囲の柱を盾に使いながら銃撃の応酬を続ける。
　にわかに始まった銃撃戦に住民達は逃げ惑う中、誰かが叫んだ。
「おい見ろ、議員が逃げてきたぞ」
「あれは教会のお偉いさんじゃないか？」
　住民達の言葉通り、議員らしき人物やツインフィールズ教会の上層部らしき人物も階段を駆け下りてきた。
「ＥＥＥＥＹＡＡ－－」
　その後ろから、今度は全身にダイナマイトの束を巻き付けた男（爆弾魔）が奇声を発して追ってきたが、複数の銃声と共に全身を穿たれて階段下へと転がり落ちる。
　ほぼ同じタイミングで爆弾魔に銃撃を浴びせた警官と組織構成員達が、何事もなかったように銃撃戦を再開しようとして――。
「大変だ！　運び屋達がついに暴動を起こしたぞ！」
　誰かの叫びと共に、複数の銃声が断続して響き渡ると、階段上から複数の男達がサブマシンガンを乱射しながら現れ、警官や組織構成員達の区別なく銃撃を浴びせてきた。
「失せろ●●！」
　運び屋の叫びがチームリーダーに届くと、その額に憤りを示す太い血管が浮かび上がる。
「ハゲてねえよ！　光の屈折！　目の錯覚だ！」
　怒声と共にチームリーダーが部下の警官を一部運び屋達へと振り向け、そちらにも応戦する。
　そのような銃撃戦が繰り広げられている中、警察からの救援要請に応じた皆様咎人達が現場に到着した。
　皆様に同行していたヒー・リショナー(mz0073)は周囲の状況を見て若干困惑したものの、意識を切り替えると住民達の避難誘導や周囲の封鎖に従事していた警官達に声をかける。
「救援要請を受け、この場に来ました。私はヒー・リショナーと申します」
　自身の素性とこの場にいる理由をヒーが警官に伝えると、警官達は助けを求めてきた。
「助けてくれ！　我々だけではこの騒動を止められない！」
「わかりました。今の状況と、主に何をやればいいのかを教えて下さい」
　ヒーは警官とやり取りを重ね、集めた情報を整理した上で皆様にも説明していった。

●時系列です
　起きたことを１０点にまとめてお伝えします。
　１。ある大階段で警官達が密かに張り込みを開始。
　２。複数の女性が同時にベビーカーを押し上げようとしていたので、警官達が助ける。
　３。密造酒を作っている組織の犯罪を立証できる人が来るかと思ったら、組織のボスが護衛付きで現れた。
　４。ボスの護衛（構成員）が警官達の存在に気づいて発砲したことで、警官達と組織構成員達との間で銃撃戦勃発。
　５。ベビーカーを運んでいた警官達も銃撃に加わる。
　６。落ちていくベビーカー複数。追いかける女性達。
　７。議員やツインフィールズ教会の上層部らしき人物も登場。
　８。爆弾魔「イィイィ～ヤァァァ～ウゥラララララ」←警官と組織構成員、仲良く銃撃で無力化。
　９。ベビーカーに女性達が追いつき、そのまま避難。
　１０。「運び屋達がついに暴動を起こしたぞ！」←今ここ
　結論。情報量とツッコミどころが多すぎる！

●何をやればいい？
　当初の依頼内容は『現場に来ると思われる強い敵を無力化し、自分達警察の活動を支援してほしい』でした。
　しかし現場はそれだけでは収拾がつかないほどカオスな状況のため、やってほしいことが以下の３つに改められました。
　１。組織構成員と怒れる運び屋達を鎮圧してほしい。
　２。残る組織構成員３人は強くて警察では歯が立たない。できればその３人から優先して倒してほしい。
　３。人的被害は避けたいので、出来る限り構成員や運び屋達は殺さないよう注意してほしい。
　４。（以下ＰＬ情報）組織のボスは動かない。配下の構成員が全滅したら投降する。