オープニング
プエル・ニコラスはウサギカフェの営業準備をしながら、ふと思った。
今後どうするかとかうまく考えることはできないけれども。
考えやすいところ――自分がどう生きるかは考えている、たぶん。
歌って踊れないという悩みを聞いてもらった結果、訓練はしている。
鼻歌を歌いつつ掃除したり、歩きながら歌ってみようとしたりしている。
ことごとく、動きが止まるのだけれども。
「喋りながら歩けるんだよね……」
はたきを振り回しながら。
「箒もこう持てるし……そう、僕は二刀流だ!」
シャキーンと箒とはたきを構えた。
ムールーのムーニャが寝床で顔を上げ「にゃあ」と鳴き、ウサギは一瞬「何だ」というように止まった。
「うん、そんなことしてないで掃除しよう」
我に返る。
はたきをかけ終わったところで箒をかけ始めた。
少しして手が止まる。
「僕もみんなの悩みを聞いてあげればいいんじゃないか!」
聞いてもらうことでホッとすることもあるのだから。
「ウサギカフェも再開するし、せっかくなら何かこう、売りがあってもいいよね」
ここはみんなの憩いの場なのだ。
もっとも、カフェだけでなく、浮遊島に人が来てくれるのは歓迎だ。
楽しく、わいわいするのは好きだから。
「そうだ! 僕だけじゃなくて、ウサギたちとムーニャに相談員になればいい!」
ムーニャは「にゃ!?」と驚く。
ウサギはフンスフンスと鼻を鳴らしつつ、いつも通り。
「通常のカフェもするけど、相談室とメニューを考えよう」
と、決めた。
「あ、僕も悩みが……」
人幻界で出張ウサギカフェをしたときのことを思い出す。
それは治さないと、他人を傷つけるかもしれないと危惧する。
「うーん? 僕、ムーニャのこと、大好きだよ!」
「にゃー?」
「ウサギたちのこと大好きだよ!」
プエルは言いつつ首をかしげる。
「言えるね……」
なぜ、言えないことがあるのだろう、と謎だ。
「こんにちは」
「こんにちはでちー」
大江 紅葉とソラリアがやって来た。
浮遊島の手入れの手伝いをしてくれたり、もふもふ商店街と協力したりするからよく来る。
「紅葉とソラリア、こんにちは。大好きだよ!」
プエルは唐突に言う。
「……はい?」
「……でち?」
紅葉とソラリアがきょとんとした。
プエルが照れる。
さすがに理由がわからないだろうと、説明した。
「えっとね……僕、大好きだよって人に言えなかったんだ」
「あたちたちにはいえているでちよ? 実は嫌いでち?」
ソラリアが前足をピシッと挙げて指摘した。
「そうじゃないよ! 大好きだよ! だから不思議なんだ」
紅葉が「簡単ですよ。そんなの」とあっさり言う。
「大好きの中にも色々あるのです。私たちのことは確かに大好きでしょう。でも、その人については、これまでよくしてくれた恩義もあるし、楽しい思い出もあってより一層大好きなんですよ」
「……なる、ほど?」
「つまり、大好きの中にランクがあるんです」
「……なるほど……」
プエルは腑に落ちたような顔をした。
「で、でも……こ、このままだといけない気がするんだ」
「……まぁ、成り行きに任せればいいのでは?」
「はっ! あたち、聞いたことあるでち」
ソラリアが両前足をあげて訴える。
「そういうのツンデレっていうでち」
紅葉が「え?」と目を点にし、プエルは「そうなの」と驚き「で、それ何?」と問う。
ソラリアが深くうなずくと、
「好きだけど、好きと言えない人のことでち」
紅葉は頭を抱える。
間違っているとはいいがたいのだけれども、部分的に切り取った内容かもしれない。
「いいですか、ツンデレというのは、そっけない態度をしているけど、仲良くなると甘えてくるという人の性質を指す言葉です。そこから派生して――」
謎のツンデレ講義が始まった。
よくわかったようなわからない顔でプエルは一つ提案を出す。
「あ、そうだ、二人も聞いていい? お茶しながら相談するメニューを考えたんだけど、二人も相談係りにならない?」
「……まぁ、構いませんけど。この流れでそれですか……」
「あたちはイタチでちよ?」
「咎人だし」
「そでちね」
相談員は複数確保できた。
成功条件
条件1 | お茶を楽しむ。 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 会話を楽しむ。 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
●ウサギカフェ
カフェとふれあいコーナーは同じ部屋だけど、柵で仕切られている。
ウサギを眺めながら飲食、遊ぶ際は柵の向こうにいく形だ。
●相談時のメニュー
飲み物 紅茶とコーヒー、牛乳。
紅茶とコーヒーには砂糖や牛乳を入れることももちろん可能。スライスレモンもある。
通常パンケーキ。薄く三口サイズくらいでのが12枚ほど。
トッピングに生クリームやジャム、バター。
●相談員
指名がないとプエルが応対します。
・プエル・ニコラス
食べ物やファッション、歌は興味があり、絵画と踊りは教養部分かもしれない。
恋愛や人間関係については、真剣に考えたうえで聞かなかったことにするかもしれない。よくわかっていな分野。
分野の興味の有無で反応に差が出やすい。
本人の悩み、ツンデレをどうやったら治せるのか?
・ウサギ、茶と白
二羽で対応。
話を聞いてもらうには、ニンジンやキャベツが必要。
食べ終わると、眠ったり、どこかに移動を始める。
なでたり抱っこされてもおとなしい。
なお、ウサギとは一緒にお茶はできない。食べた後、相談(もふれる)感じとなる。
・ムーニャ ムールー
話をきちんと聞くし、まじめに返答する。
時々睡魔に負ける。
最大の欠点は、返答が伝わらないことだろう。
・大江 紅葉
知識大好き、聞き上手。反応は一定な雰囲気。
ただし、スイッチが入ると説明が長い。
・ソラリア
ケナガイタチな獣人種。
流刑街の一角にあるもふもふ商店街の主催者らしい。
商売については興味があるけどあんまり知らない。
常識人に見える反応を見せるが、イタチである。
●注意
他のシナリオに絡むような内容について、参照はしませんので、プレイングからわかることに対しての反応となります。
そのため、会話を楽しむや話を聞いてほしいくらいにお考えいただくと幸いです。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
エンディング期間……ウサギカフェ通常営業できてないですね……と慌ててはいます。
色々あって、相談室です。プエルがツンデレかは不明ですけど。
NPCと話をしつつ茶を飲むのが趣旨です。
ただし、NPCが人語を理解するか否か、会話が成立するか否か……幅があります。
間をおいて、何度か出すつもりではあります。
よろしくお願いします。
関連NPC
参加キャラクター
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- 宵待 伽羅彦(ma0748)
- 人間種|男
- リプレイ公開中