オープニング
宝石の森を掻き分けて、ま、ウジャウジャ出てきてくれるよ『ライフイーター』が。
だけど奴らの弱点がどこにあるかわからないから正直勝ち目は薄いかも。
しかもエラいものが現れちゃった。ジュエルロードっていって、宝石を自由に透過するバカ強いモンスターだよ。
アタシと調査隊はまんまとハマって逃げ帰っちゃった。そこにもう一回リベンジするんだ!
今回『不快な宝石王』でまた会おう♪
●永遠の輝き?
宝石と言えば基本的にはどんな世界であっても珍重される、文字通り高価な宝の石である。
ダイヤ、サファイア、ルビーにエメラルド。パールにトパーズ、アメジストにアクアマリン。挙げていったらキリがなかろう。
とはいえ、だ。全ての物がそうであるように、宝石の価値も決して均一ではないのだ。
ある世界では憧れの的とされるダイヤモンドも、別の世界では道端に転がるクズ石であるなんて例も少なくない。
「ふぇ~、随分純度の高い宝石だねぇ。見てこれ、めっちゃ透き通ってるよ」
カグヤ・パロマージュは新たに出現した浮島に上陸し、浮島調査隊と共に現地調査を行っていた。
その島は全てが宝石でできている。地面も植物も生物さえも宝石で、例えるなら大小様々なゴーレムの楽園と言ったところだろうか?
お互いガチガチの体をしているせいか生物同士の闘いは見られず、調査隊にも懐いてじゃれてくるオレンジトパーズの猫などもいるほど。
この世界の人間はどうやって生活していたのだろう? 全てが宝石では食料を手に入れるのも一苦労のような気がするが。
それとも宝石ばかりなのは一部の地域だけで、人間の生活圏では普通の暮らしが営まれていたのだろうか……?
「もしかして純度が高いのは宝石としてだけじゃなくて、結構な量の魔力も帯びてるかな? ……でも……」
カラフルで様々な宝石の地形や物体を観察していたカグヤはあることに気づく。
各宝石が内蔵している魔力量が一定ではない。自力で生成する力があるのか絶無というものはないが、同じ地域なのにあまりにバラバラすぎる。
まるで何かが宝石内の魔力を吸い上げたよう。選り好みして食事をしたかのような―――
『メーデー! メーデー! 妙な昆虫に襲われてる! くそっ、こいつら数が多い!』
別働隊から緊急のイデア通信が入る。
それによると敵は『宝石でできた蜘蛛のような昆虫』とのことで、少なくとも30匹はいるとのこと。
御多分に漏れず体は硬く、パワーもスピードもある。少数ではあっという間に圧殺されてしまうだろう。
調査隊は緊急集合し、襲われているチーム救出に動いた。カグヤもいち早く急行し、最前線に立って敵を迎撃していく。
「かったい!? それなら……バスター・チェイン・スラッシャー!」
「ダメだパロマージュ、エネルギー系のスキルはまずい!」
「へっ!?」
手持ちの片手剣からオーラを噴出させ、大剣と化して相手を斬るカグヤのとっておき。
襲われていた調査隊から制止が入るも時既に遅し。宝石蜘蛛たちは我先にとオーラの大剣に飛びかかり、そのエネルギーを根こそぎ食らい付くしてしまったのだ。
「やつらはライフイーターって系統のモンスターでな、生命力というかエネルギーを食う化け物なんだ。宝石同士じゃ肉は食えないが、エネルギーなら食えるだろ?」
「そ、そんなこと言われたって……魔力に頼らなかったらあの硬い体を砕くのアタシじゃ難しいよぉ!?」
「泣き言言ってられないぞ、連中にはボスが居るんだからな。……ほら、腹を空かせてお出ましだ!」
困惑するカグヤであったが、指し示された方向を見て思わずぎょっとする。
体長15メートルほどだろうか? 黒曜石のように怪しく黒光りする巨大な宝石蜘蛛がこちらにのしのしと向かってくるのが見えた。
しかも途中にある障害物を身体が素通りしている。普通は宝石同士がぶつかったら破壊して進むか止まるかのどちらかだろうに!
「緊急にジュエルロードって名付けた。あれだけ図体がでかいとそうとう食うんだろうなァ」
「あのー……連中って宝石からしかエネルギーを食べないなんてことは……」
「あると思うか? 俺達咎人はイデア体だ……ある意味何よりも美味そうなごちそうだろうよ!」
「ですよねー!」
絶対にヤバい。そう断じてカグヤが殿を務めつつ別働隊を逃していく。
宝石に比べれば咎人が内に秘めたエネルギーは雲泥の差だろう。宝石蜘蛛たちは執拗に追いかけてきたが、何とかイデアゲートに飛び込んで全員脱出に成功する。
あれでは島の調査もままならないし、あんな危険生物をのさばらせておいて良いことは一つもない。
カグヤがリベンジを申し出るまでもなく、正式な依頼としてジュエルロードや宝石蜘蛛たちの討伐依頼が出されたのだった―――
成功条件
条件1 | ジュエルロードの撃破 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 宝石蜘蛛を20匹以上間引く |
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条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
・天獄界エンブリオに出現した、とある浮島が舞台です。
・その島に巣食う宝石蜘蛛たち、及びそのボスのジュエルロードを撃破するのが目的です。
・その島は全てが宝石でできており、植物も生物も宝石で形作られています。勿論、宝石蜘蛛たちも同様です。
・宝石であるために非常に頑強で、斬撃や銃撃は非常に通りにくい反面、打撃には弱い節があるとか。
・通りにくいだけで斬撃や銃撃が効かないわけではありません。鍛え抜かれた技や銃があれば撃破は可能です。
・宝石蜘蛛たちはエネルギーを食うモンスターです。エネルギー系のスキルは勿論、接近されればイデア体である咎人もシールドを貫通して直接エネルギーを食われてしまいます。
・ジュエルロードのみの特性として、あらゆる宝石を幽霊のように透過・通過することができます。また、あえて透過せず足場にしたりすることもあるようです。雑魚の宝石蜘蛛にはこの能力はありません。
・ジュエルロード含む宝石蜘蛛たちは糸を吐くことがあります。宝石並みの強度があるので足元を掬われないようご注意を。
・雑魚の宝石蜘蛛は所詮は虫といった知能ですが、ジュエルロードだけは動物並みの知能を備えているようです。
・カグヤも同行します。任せたい役割などがあれば頼んでみるのも良いでしょう。
マスターより
皆さんこんにちは。浮島シリーズは最後までやりきりたいと思いペースアップしている西川一純です。
予定では今回含めて11シナリオ残っているんですが……間に合うかこれ?(汗)
余裕を持って終わらせられたらお礼シナリオもやりたいですし、いざとなったらエピソードを削ることも考えましょう。
とはいえ、まずは目の前のシナリオを片付けていただきたいところ。
空想とアイディアと可能性が乱舞する浮島が、私は本当に大好きです―――
関連NPC
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- カグヤ・パロマージュ(mz0152)
- 人間種|女
参加キャラクター
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- 氷雨 累(ma0467)
- 人間種|男
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- 不破 雫(ma0276)
- 人間種|女
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- 小山内・小鳥(ma0062)
- 獣人種|女
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- ラファル・A・Y(ma0513)
- 機械種|女
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- フィリア・フラテルニテ(ma0193)
- 神魔種|女
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
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- 星空 雪花(ma1479)
- 神魔種|女
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- 鳳・美夕(ma0726)
- 人間種|女
- リプレイ公開中