オープニング
天獄界もだいぶ落ち着きを取り戻し、咎人達が平和を享受している今日この頃。
異世界では未だシャットアウトなるものの存在は無視できないが、今までのように戦いが頻発するような状況ではなくなった。
咎人達は主に天獄界で過ごすことが多くなり、天獄界といえば浮遊島、なのである。
いつの間にか増えている浮遊島の調査は、危険なエネミーの有無や資源採取という点においても必要なものであり、JJ(じぇいじぇい)と呼ばれる人間種の青年咎人にとっても『仕事』という面で必要なものだった。
JJについては――本名ジャスティ・ジャッジ(mz0144)という事以外はもはや詳細な説明はしない。日々『何でも屋』のようなことをしている陽気でお気楽な男だ。外見的には髪と瞳の色が特徴的な感じ。
いやもう少し教えてくれ! というJJに対して『オラわくわくすっぞ!』なキミは、彼のマイページや彼の登場する面白依頼の過去シナリオを参考にしてくれッ! それはそれで興味を持っていただきありがとうございます!
という訳で、JJは例のごとくイデアゲートが設置されたばかりの新しい浮遊島へやって来たのだった。
「おー、すご!」
到着するなり、思わず驚きの声を上げた。
というのも、その島は見渡す限り氷の世界だったからだ。
氷の大地、氷の山、岩のような氷の塊。それしかない。雪が積もっているわけではなく多少霜があるくらいなので、氷の中に何かがあれば見えるだろうが、今見えているのは青や白という氷の色だけだった。
「全部氷っぽいけど、ホントに氷かな?」
JJはひたっと透ける地面に手を付いてみた。
「あ、冷たい。溶ける感じもするな。ちゃんと氷だわ。――でも寒くはないんだな……不思議~」
触れば冷たいし、人の体温で溶ける。氷に見えるものはやっぱり氷で、でも気温は本島と変わらない全くの常温なのだ。
ここは寒くないのに氷が氷として存在している、不思議な島だった。
今のところ動くものは見えないが、一応JJは歩を進めてみる。
「あ、滑る! マジで氷やん! 俺アイススケート初心者なんですけど!」
慎重に歩かないと滑ってしまうので、JJは普段よりも足元に気を付けつつ歩いた。
「あの山、中に何か見えるな……なんだろう? ――うわぁッぶねッ!」
時々派手に足を持っていかれながらも、JJは氷の山の中に何かを見つけ、そこに向かって行く。
●氷漬けのナニカ
徐々に山に近づいて中にあるものがハッキリ見えるようになってくると、JJの表情が『なんかヤベーもんを見つけちまった』というものに変わっていった。
「……なんコレ。魚とカニ人間?」
自分でも『何言ってんの?』というカンジでしかないが、そうとしか言いようがないものが、冷凍マンモスよろしく氷の山の中で氷漬けになっているのだから仕方がない。
それは――というかそいつらは、マッチョな人間の体に、頭部がまんま魚だった。カニの奴もいる。
魚の頭が頭部になっているのではない。頭から尾の完全なる魚の形があって、その腹部分から人の体の首から下がくっついているというカンジだ。体は正面を向いていても魚は横を向いている。
カニの方も完全なカニの下部から人体の首から下が生えているみたいな、そういうビジュアルなのだ。
「被り物――じゃなさそうだな。やけにリアルだし」
JJが魚とカニを携帯で写真に撮り調べてみたら、魚はブリでカニはズワイガニだった。――っていう奇妙過ぎる輩が何体も、彫像のように氷の中に佇んでいる。
「何でブリとズワイガニやねん。てかどっちにしろエネミーなんだろうけど、ガッツリしっかり変態でしかないな。こっわい。イジらなきゃこのまま凍っててくれんのか? それともこっから出して倒した方がいいの?」
とか一応対処を考えていたら、その氷山の表面にピキッと亀裂が入った。
「ん?」
JJが見てる間に亀裂がどんどん増えて広がって、大きくなる。
「え、ウソ、割れる!?」
後ずさるJJの足元に剥がれた氷が落ちたかと思うと、一気に氷の山の一画が割れて崩れた!
「わあああッ!」
崩壊が収まると、JJの目の前には『ドジャーン!』っていう擬音が付いてそうな勢いで、ブリ人間とカニ人間が二十体、堂々と立っていたのだった。
「出たーッ!!」
と驚くJJを敵と認識したブリとカニのエネミー達は、氷漬けから解放されたばかりとは思えない機敏な動きで突撃して来た。
「ちょま、お前ら顔横向きについてんのにどうやって見てんの!? カニはカニのクセに直進すんのかい!」
変な外見だが攻撃は普通に手刀やパンチ、キックなどを繰り出して、JJは懸命に回避しながら銃で応戦する。
自然と狙うは魚やカニの頭部より大きい人体の方になるのだが、何度か銃撃するうちそれだとダメージを与えていないことに気付いた。
「なんやねん、こいつらブリとカニに中てないと死なへんのかい! ってだあッ、スベる!」
結構重要なことに気付いたはいいが、いかんせん敵の数が多い。さらにちょいちょい足が氷に取られて滑ってしまうのもやりにくい。
「もう一人でやれる気がしない……よし、逃げよう!」
あっさり戦闘に見切りをつけたJJは逃げることに全神経を傾けて、ブリとカニ人間の攻撃をかわしながら戦線離脱に成功した。
●タスケテ咎人ぉん!
「変なエネミーが俺をイジメるんだよぉ~! なんとかしてよ咎人ぉん!」
JJは広場にて咎人達に訴えかけ、ブリ&カニ人間エネミー討伐をしてくれる仲間を募る。
「もしかしたら、倒したら美味い寒ブリと松葉ガニ的なものが食えるかも! なのでよろしくオナシャス!」
こういうJJの姿ももう見慣れたものになった。
ブリとカニが好きなそこのキミ! 参加を待ってるぜ!
成功条件
条件1 | エネミーを20体倒す |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 寒ブリと松葉ガニを食べて楽しむ |
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条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
※エネミーブリ人間とカニ人間20体を倒そう!
〈エネミー×20 サイズ1 知性2〉
・体長170cmくらい(頭部込み)。頭部がまんまブリだったりズワイガニで、首から下はマッチョな人体。ブリ10体、カニ10体います。
・シールドあり、防御型 人体の方に攻撃を中ててもダメージを与えられないことに注意。
・主な攻撃
普通に殴る蹴るの近接格闘が主な肉体派。ブリ部分で噛み付くとかカニのハサミで攻撃とかは特にしない。ブリやカニ同士連携攻撃とかもしない。
・死ぬと人体の方は消え、とても美味しい寒ブリと松葉ガニとして食べられる。
〈その他補足など〉
・辺り一面全部氷。外気は寒くないけど、氷は冷たく氷のまま。
・足元が滑るのでそれなりに気を付けましょう。スケートが得意とか靴に滑り止めがあるとか対策があれば、気にせず戦えることとします。飛べる人はずっと飛んでるのもアリ。対策がないと、時々「滑ったァ!」と攻撃が失敗したりするかも?
・JJは皆さんのサポートとして戦闘に参加しています。何かさせたいことがあれば従いますので、プレイングに書いてください。ノータッチでも成否に影響はありません。
・戦闘後はその場でブリとカニを食べることができます。(道具や他の食材は各自持参)
・戦闘と戦闘後は半々くらいでプレイングを書いていただければと。
マスターより
こんにちは、久遠由純です。
相変わらずの変な敵とのちょっとした戦闘+美味いモン食う、なシナリオです。このタイプのJJのシナリオはあと一回(内容はこんなカンジのまま)出して終わりかなー、という予定です。
終わりに向けて何か特別なことが!とかいうのは何もないです(笑)
今回の戦闘も最低限なことは踏まえつつ、自由に戦っていただければOKというカンジです。
いつもの空気を楽しんでもらえれば嬉しいです。
よろしくお願いします。
参加キャラクター
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- ケイウス(ma0700)
- 神魔種|男
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- シアン(ma0076)
- 人間種|男
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- 紫明(ma1226)
- 剛力種|女
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- 紅緒(ma0215)
- 剛力種|女
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- 藍紗(ma0229)
- 剛力種|女
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- 吉兆(ma0987)
- 人間種|男
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- 更級 暁都(ma0383)
- 人間種|男
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- 銀火(ma0736)
- 剛力種|女
- リプレイ公開中