- ハーフシナリオ
-
このシナリオはハーフシナリオに設定されています。
参加料金が半額となり、リプレイの文字数が下限、上限共に半分となります。
オープニング
●
今回の作戦に、マウゼル修道会からも出撃する。そう聞いて、エリオは咄嗟にアウグスタ(mz0058)の手を引いて同行を申し出た。オルカ(mz0049)を通して承諾をもらう。ふと思い立って、彼はグラジオラス(mz0007)を探し出した。
「先日はありがとう。マウゼル修道会が出撃することになったそうだよ」
「はい、存じてますよ♪ ウフフ♪ どの道、テラスやバロルなどの神を名乗る不届き者の調査はしないといけませんしね♪ フフッ♪」
「私も同行させてもらうことになった。君もどうかね?」
「私もですか?」
「テラスが怖いかな? 恐らく、調査の名目であれば少し外れたところでの交戦になると思うが……無理にとは言わない」
「そうですねぇ……そう言うことでしたらお手伝いします♪」
「あまり無理はしないでくれよ」
「もちろんですよ♪」
グラジオラスはいつもの笑みを湛えている。
「求められたら応える。それが私の信じる愛の定義なんです」
オルカには疑われた言葉だ。エリオももちろん信じていない。彼女の中には「ヒト」としての願いがあるのだと思う。
だが、エリオはそれを聞き届けるには今の彼女と同じくらいちっぽけだった。もう自分は司祭ではない。奉じていた神はいない。ただ、今は彼女と志を同じくする「咎人」として肯いた。
「そうかね。では、行こう」
●
指定の場所に到着すると、先日見た美貌の司祭が見えた。
「グスターヴァス司祭!」
エリオが声を掛けた。そして仰天した。グスターヴァスの周りには、幾人かの聖職者と思しき人々がいる。恐らく、騎士の教練を行なう百花騎士の司祭なのだろう。教育に携わるだけあって、皆にこやかだ。
問題はその背後にずらりと並ぶ、黒い布で顔を隠したカソックの聖職者たちである。最初、塀かと思った。黒ずくめなだけだった。
(こ、これが本家洗霊巫女……!)
「これはこれは、エリオさん。先日はありがとうございました。おや、アウグスタさんにグラジオラスさんも」
「こんにちは!」
「ウッフフ♪ 本日もよろしくお願いしますね♪」
グスターヴァスは微笑んだ。
「こんにちは。紹介します。こちら、私が親の代からお世話になっている司祭の皆さん」
「いやはや、あの青年が今やすっかり立派に。私たちを集める立場になるなんて」
「よしてください。でも、皆さん腕を振るう機会を待っていたのではありませんか?」
「若い者は血の気が多いですなぁ」
顔を晒した司祭たちは声を上げて笑っていた。後ろにいる黒衣の聖職者達は微動だにしない。
「そしてこちらが、総本山から派遣されてきた、調査と戦闘に長けた聖職者たちです」
一斉に軽く会釈する。
「と……咎人のエリオと申します……」
君たちのような聖職者がいるか! と、叫び出しそうになるのを堪えつつ、エリオは震え声になった。元来臆病なのだ。黒い布から放たれる圧に負けている。メダルド替わってくれ。しかし、ここで逃げ帰る訳にも……味方に対して逃げ帰るってなんだ?
顔を見せている司祭たちの中では、グスターヴァスが最年少のようだった。年嵩の司祭たちは、息子でも見るような目で彼を見てにやにやしている。
「グスターヴァス司祭様、鬨の声を」
「恥ずかしいですね……では僭越ながら……参りましょう! イルミン・イルダーナ!」
「イルミン・イルダーナ!」
「イルミン・イルダーナ」
ややばらけた司祭たちの声。一糸乱れることなくユニゾンを奏でる巫女たちの声。
聖職者と咎人の混成部隊は、ほどなくして魔王軍の分隊と衝突した。
●
聖職者たちの戦い方は容赦がなかった。
「光よ、闇の者を晒し、灼け」
ぼそりと呟いた黒衣の一人が、闇月の涙をオークに放った。すかさず慈悲なき審判。その間に、短刀などを投擲する他の巫女たち。ブレイクしたところに追い討ちを掛ける。やがて、先ほどの一人の姿がかき消えると、いつの間にかオークの背後に立っていた。影度か。持っていた短刀で、強かに一撃を加える。振り返って振るわれる棍棒の下を、鋭い身のこなしで転がって回避した。カソックの下から鋭い蹴りを放つものもある。ブーツにも何か仕込んでいるのだろうか。一方的に攻撃する戦闘技術があるように見えた。
「光よ! 我が腕(かいな)に、討ち滅ぼす力を! 闇は闇へ帰るべし!」
グスターヴァスはスマッシュに似た近接攻撃でぶっ叩く。ケニングで強化された一撃は、重い。
「風よ、我が同胞に触れる闇を払いたまえ」
「遍くマナ、我が怒りに応え、集い、吹きすさべ! 信仰の敵を討て! 行きますぞ、退避してくだされ!」
ラウンドエッジに似た爆発力のある範囲攻撃。ゴブリンたちの群が吹き飛んだ。百花司祭たちの戦法は、咎人が見慣れた騎士のそれに近い。
エリオは茫然としてそれを見ていた。聖職者、戦闘力高いな。いや、しかし思えば、キャスター的な能力を持っていた生前の弟子も結構血の気が多かったな……私はそうでもないけど。うん、そうでもないとも。
だが、ぼーっともしていられない。
「さ、私たちも頑張りましょう♪ イルミン・イルダーナ!」
グラジオラスが拳銃を撃ち放った。乾いた銃声が立て続けに響く。アウグスタも鞭を持ってオークの横っ面を張り飛ばしていた。
「喰らえ! イルミン・イルダーナ!」
イルミン・イルダーナは必殺技の名前ではない。
「イ……イルミン・イルダーナ!」
この世界の信仰に、祈りに、命に敬意を。神と神々の大地の祝福あれ! エリオは今だけ生前の信仰をそっとしまい込み、イルダーナフの神々を讃える文句を唱えながら弓を引いた。
今回の作戦に、マウゼル修道会からも出撃する。そう聞いて、エリオは咄嗟にアウグスタ(mz0058)の手を引いて同行を申し出た。オルカ(mz0049)を通して承諾をもらう。ふと思い立って、彼はグラジオラス(mz0007)を探し出した。
「先日はありがとう。マウゼル修道会が出撃することになったそうだよ」
「はい、存じてますよ♪ ウフフ♪ どの道、テラスやバロルなどの神を名乗る不届き者の調査はしないといけませんしね♪ フフッ♪」
「私も同行させてもらうことになった。君もどうかね?」
「私もですか?」
「テラスが怖いかな? 恐らく、調査の名目であれば少し外れたところでの交戦になると思うが……無理にとは言わない」
「そうですねぇ……そう言うことでしたらお手伝いします♪」
「あまり無理はしないでくれよ」
「もちろんですよ♪」
グラジオラスはいつもの笑みを湛えている。
「求められたら応える。それが私の信じる愛の定義なんです」
オルカには疑われた言葉だ。エリオももちろん信じていない。彼女の中には「ヒト」としての願いがあるのだと思う。
だが、エリオはそれを聞き届けるには今の彼女と同じくらいちっぽけだった。もう自分は司祭ではない。奉じていた神はいない。ただ、今は彼女と志を同じくする「咎人」として肯いた。
「そうかね。では、行こう」
●
指定の場所に到着すると、先日見た美貌の司祭が見えた。
「グスターヴァス司祭!」
エリオが声を掛けた。そして仰天した。グスターヴァスの周りには、幾人かの聖職者と思しき人々がいる。恐らく、騎士の教練を行なう百花騎士の司祭なのだろう。教育に携わるだけあって、皆にこやかだ。
問題はその背後にずらりと並ぶ、黒い布で顔を隠したカソックの聖職者たちである。最初、塀かと思った。黒ずくめなだけだった。
(こ、これが本家洗霊巫女……!)
「これはこれは、エリオさん。先日はありがとうございました。おや、アウグスタさんにグラジオラスさんも」
「こんにちは!」
「ウッフフ♪ 本日もよろしくお願いしますね♪」
グスターヴァスは微笑んだ。
「こんにちは。紹介します。こちら、私が親の代からお世話になっている司祭の皆さん」
「いやはや、あの青年が今やすっかり立派に。私たちを集める立場になるなんて」
「よしてください。でも、皆さん腕を振るう機会を待っていたのではありませんか?」
「若い者は血の気が多いですなぁ」
顔を晒した司祭たちは声を上げて笑っていた。後ろにいる黒衣の聖職者達は微動だにしない。
「そしてこちらが、総本山から派遣されてきた、調査と戦闘に長けた聖職者たちです」
一斉に軽く会釈する。
「と……咎人のエリオと申します……」
君たちのような聖職者がいるか! と、叫び出しそうになるのを堪えつつ、エリオは震え声になった。元来臆病なのだ。黒い布から放たれる圧に負けている。メダルド替わってくれ。しかし、ここで逃げ帰る訳にも……味方に対して逃げ帰るってなんだ?
顔を見せている司祭たちの中では、グスターヴァスが最年少のようだった。年嵩の司祭たちは、息子でも見るような目で彼を見てにやにやしている。
「グスターヴァス司祭様、鬨の声を」
「恥ずかしいですね……では僭越ながら……参りましょう! イルミン・イルダーナ!」
「イルミン・イルダーナ!」
「イルミン・イルダーナ」
ややばらけた司祭たちの声。一糸乱れることなくユニゾンを奏でる巫女たちの声。
聖職者と咎人の混成部隊は、ほどなくして魔王軍の分隊と衝突した。
●
聖職者たちの戦い方は容赦がなかった。
「光よ、闇の者を晒し、灼け」
ぼそりと呟いた黒衣の一人が、闇月の涙をオークに放った。すかさず慈悲なき審判。その間に、短刀などを投擲する他の巫女たち。ブレイクしたところに追い討ちを掛ける。やがて、先ほどの一人の姿がかき消えると、いつの間にかオークの背後に立っていた。影度か。持っていた短刀で、強かに一撃を加える。振り返って振るわれる棍棒の下を、鋭い身のこなしで転がって回避した。カソックの下から鋭い蹴りを放つものもある。ブーツにも何か仕込んでいるのだろうか。一方的に攻撃する戦闘技術があるように見えた。
「光よ! 我が腕(かいな)に、討ち滅ぼす力を! 闇は闇へ帰るべし!」
グスターヴァスはスマッシュに似た近接攻撃でぶっ叩く。ケニングで強化された一撃は、重い。
「風よ、我が同胞に触れる闇を払いたまえ」
「遍くマナ、我が怒りに応え、集い、吹きすさべ! 信仰の敵を討て! 行きますぞ、退避してくだされ!」
ラウンドエッジに似た爆発力のある範囲攻撃。ゴブリンたちの群が吹き飛んだ。百花司祭たちの戦法は、咎人が見慣れた騎士のそれに近い。
エリオは茫然としてそれを見ていた。聖職者、戦闘力高いな。いや、しかし思えば、キャスター的な能力を持っていた生前の弟子も結構血の気が多かったな……私はそうでもないけど。うん、そうでもないとも。
だが、ぼーっともしていられない。
「さ、私たちも頑張りましょう♪ イルミン・イルダーナ!」
グラジオラスが拳銃を撃ち放った。乾いた銃声が立て続けに響く。アウグスタも鞭を持ってオークの横っ面を張り飛ばしていた。
「喰らえ! イルミン・イルダーナ!」
イルミン・イルダーナは必殺技の名前ではない。
「イ……イルミン・イルダーナ!」
この世界の信仰に、祈りに、命に敬意を。神と神々の大地の祝福あれ! エリオは今だけ生前の信仰をそっとしまい込み、イルダーナフの神々を讃える文句を唱えながら弓を引いた。
成功条件
条件1 | 魔王軍の撃退 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 聖職者に死者を出さない |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
●作戦概要
本シナリオはグランドシナリオと重複OKです。時系列はふんわりとなります。
マウゼル修道会所属の有志司祭と総本山の洗霊巫女たちも戦線に合流することとなりました。
この戦域に来た魔王軍の撃退を行なってください。
本シナリオの敵勢力は、オーク、ゴブリン等の魔王軍となります。「武装」した勢力で、高めのシールド、武器による攻撃、ボウガウンによる射撃攻撃も行ないます。ブレイク追撃も有用ですが、シールド破壊についても考慮があった方が良いかもしれません。
なお、ちょっとしたRP要素として、洗霊巫女のロールで参加したPCの内希望者には本シナリオに限り聖黒布(顔を覆う布。ステータス補正なし)が貸与されます。
NPCとしてグラジオラス(シューター)、エリオ(サポーター)、アウグスタ(ファイター)の他、マウゼル修道会総本山から派遣された洗霊巫女が10人。グスターヴァスと彼が声を掛けて集めた百花騎士の司祭が計5人同行しています。
いずれも戦闘慣れはしていますが、息の根を止めると言う意味での戦闘力は巫女>>>司祭です。
マスターより
こんにちは三田村です。
難易度低めでとりあえず聖職者たちと大暴れすれば良い感じのシナリオですのでどなた様でもお気軽にどうぞ。8人でもどうにかなります。
関連シナリオはOPでエリオが言ってる「先日」ですが読まなくても問題ありません。
ご参加お待ちしています。
関連NPC
参加キャラクター
-
- 鐵夜行(ma0206)
- 剛力種|女
-
- 氷鏡 六花(ma0360)
- 精霊種|女
-
- 七掛 二夜(ma0071)
- 獣人種|女
-
- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
-
- ザウラク=L・M・A(ma0640)
- 機械種|男
-
- リナリア・レンギン(ma0974)
- 人間種|女
-
- リラ(ma0970)
- 人間種|女
-
- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
-
- フリッツ・レーバ(ma0316)
- 剛力種|女
-
- 伊吹 瑠那(ma0278)
- 剛力種|女
-
- コウ(ma0168)
- 人間種|男
-
- イルミナ(ma0082)
- 異能種|女
- リプレイ公開中