オープニング

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　戦い終わって無事に敵は退けたが、参加した人々まで無事とは言い難い。
　それが戦争と言うものであるが、残された人々にとってはこれからつらくなっていく。
「避難なされぬのでござるか？　今ならばまだ大都市まで……」
「正論じゃあるがね。旦那たちが愛した故郷を守りたいのさ。私一人なら我慢して移住もしようが……」
　咎人部隊に所属して最後まで見守っていたコレツナが、部族のまとめ役になった女傑に声を掛けた。
　このゲール氏族という部族では、彼女より序列が上の戦士が死んだ為に結果的として押し上げられた形だ。
　此処には大都市への退避を良しとしない者が多かった。まとめ役が人々を放置できる訳もない。

「何もない村じゃあるけどさ、川には魚が居るし森には獣が居る。どことも知らぬ場所で生きていくよりは、よほど食っていけるはずだよ」
　そして彼女が言う事にも一理はあった。
　理論的には大都市まで逃げ込む方が安全だが、感情面ではそうもいかない。
　それに大都市とはいえ物資が大量にあるわけではなく、難民と化した彼女らにいつまでも好意的なはずもあるまい。

「それでも足りない物はあるだろう。そいつを買い出しに行かせたいんだが、途中まで着いていってくれるかい？」
　女……タタキアはまだ若い部族の者たちに視線を送りながらコレツナに頼み込んだ。
　買い出しの護衛とは名目で、若い者だけでも大都市に避難させたいということだろう。
「……それなら。いっそのこと行商人になるのも良いかもしれんでござるな。拙者らが同行すれば道中も容易でござろう」
「良いのかい？　利益なんざあがりゃしないけど」
　勝手と言えば勝手な要望に対して、対してコレツナの返答はむしろ好意的だった。
　元より心象的に放置できない状況もあるが、幾つか打算的な理由もある。

「心配せずとも理由はあるでござるよ」
　咎人たちは戦力として一時的に受け入れられる事はあるが、それほど信用が深いわけではない。
　キャラバンを構成しあちこちの行商人や吟遊詩人たちと交流を持てば、次第に咎人の信用が深まるという打算があった。
　そして何より地に足を着けてあちこちを渡って歩けば、イデアゲートを開くのに絶好な場所を見つけるのも容易いだろう。

「何だったら拙者以外にも何人か、世話をできる者や同行できる者が居ないか声を掛けておくでござる」
「それじゃ頼めるかい？　あたしらは商品にできそうな物を適当に収穫してくるからさ」
　こうして咎人たちはキャラバンを構成する事に成ったのである。
　まずはキャラバン隊の準備であり、近くにある他の村へ練習を兼ねた行商だ！