オープニング
それはロス・テラス聖王国に古より伝わる一種の神事である。
神去りし大地、イルダーナフに残された『口利く種族』らを集め、世界の秩序を安寧を維持するために種族の長らを集めて行われる。
この召喚は古からの契約により、妖精郷の女王も地霊の穴倉の地霊王も参加を拒否することはできない。これを拒むことは、種の代表としての沽券に関わるのだ。
イルダーナフの歴史上、これは数えるほどしか開催されていない。
ましてや魔族の代表として魔王が参加する聖王円卓会議は、歴史上初であった。
「……というわけで、咎人もこの聖王円卓会議に参加できることになった」
一時会議を中断し、オルカ (mz0049)は咎人らを控室に集めた。
そこで今回の特殊な任務について説明を行う。
「少々前提について説明しておこう。まず前回、我々は魔王軍の主力である魔王エリゴールと光の神テラスを討ち破った。これにより魔王軍は一時的に大きく後退を余儀なくされている」
魔王は比較的早く復活できたが、テラスはまだ再起動(リスポーン)待ち。
そして魔王もマナの多くを失い、全力で戦える状態にはない。
イルダーナフの人々は魔王の侵攻を停止させ、貴重な時間を稼ぐことに成功した。
「それにより今、ロス・テラス聖王国はいくつかの決断を迫られている。といっても多岐に渡るので……そうだな。私なりに考えた、『咎人が関与しなければ恐らくこうなるだろう』という予測について話しておこうと思う」
魔王エリゴールは遠征を仕掛けている。
それゆえにあまり印象がないが、彼らには本拠地となる『バロル帝国』が存在している。
東夷とも呼ばれるその地は文字通り大陸の東にあり、マナが枯渇し闇の力に汚染された領域の奥深くに存在しているとされている。
バロル帝国は架空の国家ではない。
この戦争の始まりは、そのバロル帝国と周辺諸国の戦いから始まった。
「バロル帝国はある日突如として挙兵し、侵略を開始した。つまりだが、恐らくバロル帝国本土には『魔族を集める』もしくは『増産する』機能があると思われる」
魔王もテラスも、それだけであれば撃破は不可能でないと先日証明された。
だが、依然として次々に出現する魔族の増援に、聖王国は防戦一方である。
この状況を打開するためには、魔族の出現そのものを封じる――つまり、バロル帝国に遠征し、そこで敵の息の根を止めることが必要となるだろう。
そこまで行って、ようやくこの戦いに勝利の二文字が見えてくる。
「だが、バロル帝国への進軍はかなり過酷になる。聖王国の残存戦力をすべて『遠征』に回してもなお、達成できるか怪しい危険な旅路だ。何も考えずに実行すれば、失敗の可能性も高い」
あるいは仮に勝利したとしても、聖王国は魔法騎士団を失うことになるだろう。
秩序の番人たる魔法騎士団を失えば聖王国はその権威を失墜させる。
事実上、聖王国はバロル帝国と刺し違える形になるだろう。
「あるいは、守りを固める展開もあり得る。聖樹イルミンスールには、恐らく『開花の時』が迫っている。特異点と目されている聖樹が開花の時をやり過ごしてしまえば、簒奪者は聖樹に手出しできなくなる。それまでの間ここで何とか時間を稼ぎ続けるという手だ」
引き続きロンデニオンに籠城し、ここを最終防衛線として魔王軍に対抗し続ける。
だがこれもやはり聖王国と咎人だけで耐えきれるものかといえば怪しい。
前回の侵攻もなんとか退けたが、更に大戦力で押し寄せてきたら跳ね返せるだろうか。
「守りに入るというのは有利な点もあるが、相手に戦の主導権を手渡すことも意味する。やはり安全な策であるとは言えないだろう」
オルカはこの『バロル帝国への遠征:攻撃的計画』と『ロンデニオンへの籠城:防御的計画』のに二つが現実的に選ばれる可能性が高いという。
「ただし、それ以外の可能性を模索することもできる。『聖王円卓会議』はそういう場だからね。ここでの決め事は、この世界の運命に明確に干渉することが可能になるだろう」
先ほどオルカの挙げた計画は、聖王国と咎人だけが行動する前提となっている。
アルヴハイムやドヴェルゲンヘーレ、あるいは周辺諸国の動き方によっては全く異なる展開とすることもできるだろう。
何より、この場にはあの魔王エリゴールがいる。
彼との何らかのやり取りが、全く未知の予想図を引きずり出す可能性もある。
「では具体体的に何をするか、だが――君たちには思い思いに話をしてほしい。実現可能かどうかは一旦度外視で構わない。我々の強みは、『ライト能力者が徒党を組んでいる』ことにある」
ライト能力者は世界の運命に手を加えることが許された存在だ。
その行動、その発言、ひとつひとつの変化が重なり合い、先日の勝利に結びついた。
咎人は望む望まざるに関わらず、この世界の運命を変化させる力を持つ。
その意志が重なり合うことそのものが、まだ見ぬ未来を引き寄せる可能性なのだ。
「……もっとも、それが必ずしも良いものになるとは限らないがね。こればかりは悩ましいが……我々の行動が裏目に出てしまう可能性もあるだろう。だが、それを危惧して何もしなければ、聖王国はどちらにせよ滅ぶことになりかねない。……いや。聖王国を無くしてしまう事すら方法の一つと考えている者もいるようだが」
咎人は意識せずとも既に戦いの結果に影響を与えてきた。
だが、世界により大きく影響を及ぼせるタイミングはこの聖王円卓会議しかない。
今一度、各種族の王が一堂に会することはないだろう。
「今回の会議のために想定し得ることに関しては資料にまとめておいたので、参考にしてほしい。だが、何気ない言葉でも構わない。魔王がこの場にいることも――前回の何気ないやり取りが理由だろうからね」
そう言ってオルカは資料を提示した。
会議の再開まであまり時間は残されていない。
『秩序』か、『混沌』か――。
この世界の未来に手を加えるか否か。選択の時が訪れようとしていた。
成功条件
条件1 | 聖王円卓会議の成功 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 聖樹界の進むべき道を見つけ出す |
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条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
この作戦に選択肢は存在しません。
『口利く種族』の王が集う聖王円卓会議にて発言・提案を行います。
聖樹界は魔王の侵攻を一度退けたことにより、『世界に定められた試練』について、一定の課題をクリアした状態にあります。
勝利によって得た時間と余裕は、咎人がより深く世界に干渉する機会となります。
ここで特に各王に干渉を行わない場合、それぞれの登場人物は既定路線通り、それぞれの考え方に即してこれからも行動を継続します。
しかし、この場で咎人が干渉することにより、その既定路線通りの行動に変化を加えることができます。
この既定路線通りの展開に沿って進んでいる状態を世界の秩序が維持されている状態であると判断します。
また、咎人の干渉により本来は開示されなかった情報が開示されたり、解決不能であるはずの問題が解決することにより、世界は混沌状態に近づいていきます。
この場での発言や提案はそれぞれの王が内容を吟味・検討し、受け入れるかどうかそれぞれが答えを出します。
それぞれの王には考え方の違いがあり、必ずしも咎人の案に賛同するわけではありませんが、場合によっては全く新しい考え方にも興味を示す可能性があります。
これにより咎人に有利な展開へ世界を操作したり、登場人物それぞれに新たな行動を書き加えることができます。
登場人物やその考え方に関しては特設ページにて情報をまとめておりますので、併せてご確認ください。
マスターより
ハイブリッドヘブンをお楽しみいただきありがとうございます。運営チームです。
こちらのシナリオはエピック「ラストメッセージ」と連動する内容となります。
エピックをクリアしなくとも参加は可能ですが、併せてお楽しみいただけますと幸いです。
また、特設ページにて関連するシナリオの情報と共に解説を記載しております。
https://wtrpg12.com/interlock_scenario/interlock_detail/ildanach3
関連NPC
参加キャラクター
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- 高柳 京四郎(ma0078)
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- 川澄 静(ma0164)
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- ラファル・A・Y(ma0513)
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- マイナ・ミンター(ma0717)
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- ルー・イグチョク(ma0085)
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- 青柳 翼(ma0224)
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- 佐藤 桜歌(ma0034)
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- 天魔(ma0247)
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- 白花・C・琥珀(ma0119)
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- 氷鏡 六花(ma0360)
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- 火存 歌女(ma0388)
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- 三糸 一久(ma0052)
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- 桜庭愛(ma1036)
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- ケイウス(ma0700)
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- リナリア・レンギン(ma0974)
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- アルティナ(ma0144)
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- 七掛 双儀(ma0038)
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- シアン(ma0076)
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- モルディウス(ma0098)
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- ザウラク=L・M・A(ma0640)
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- アリエス(ma0727)
- リプレイ公開中