オープニング

●黄金界の浜辺にて
　ぎらぎらの日差しにどこまでも広がる青い海、白い砂浜、浜辺に建ち並ぶ海の家や色々な店。
　常夏の世界エルドラド。
　そんな活気あふれるビーチの一角では、バスケットボールのコートより少し広めにロープが張られ場所が区切ってあり、ある競技が行われようとしていた。
　コートを背後に何人かの人間が一列に並び、その前には観客らしき者達が大勢集まっている。

「さー、今回我らと戦う精鋭は誰だ！？　ウォーターガンバトルーーーッ！！」
　列の真ん中にいるマイクを持ったエルドラドの司会者らしき男が、目の前の客に向かって盛り上げるように声を張り上げると、わあああっという歓声が上がった。
　司会者の横には数人のエルドラ人達が、カラフルなウォーターガンを手にポーズをキメている。立ちポーズはまるでどっかの背後霊が戦う少年漫画のようにカッコつけているが、水着に救命ベストのようなものと帽子という姿で、頭、両肩、背中に一個ずつ紙風船が付いているという変わった格好をしていた。
　それでも女性の黄色い声援にイケメン細マッチョが手を上げて応えたりして、中々の人気のようだ。
「オーケイオーケイ、まずはルールを説明しよう！　戦いはこのロープで区切られたコート内で行う、チーム戦だ！　彼らの格好を見て分かる通り、ここで水鉄砲の撃ち合いをしてもらう！　撃ち合うと言っても、ただ相手に水を中てればいいという訳じゃあない！　中てるべきポイントは、敵の頭、両肩、背中に付いている紙風船！　この紙風船を割ることが、勝利への道だ！」
　言いながら司会者は戦場となる砂浜のコートを示したり、選手の一人を差して紙風船の付いている位置を皆にも分かるように見せたりしている。
「紙風船を全部割られた人は退場！　全部割られていなくてもコートから出てしまったら退場だ！　そして先に相手チームの紙風船を全部割り、生き残ったメンバーのいるチームの勝ち！」
　おおおっとエルドラドのチームの勝利を当然と思っている観客の、無駄にテンションの高い声が浜に響く。
「コートの四隅に水補給用のドラム缶があるので、水鉄砲の補給は自由だ！　あくまでもウォーターガンだけで戦う！　相手の体に接触するのは禁止！　当然殴る蹴るといった行為をしたら即退場！　ルールは以上だ！　皆もいいな！？」
　司会者が左右の選手達に聞くと、彼らは自信満々にうなずいた。
「任せてくれ！　咎人には負けねえぜ！」
「皆応援よろしく！」
「俺達のチームワークに勝てるヤツなんていないぜ！」
　司会者のマイクを借りて選手が口々に意気込みを述べると、場は益々盛り上がりを見せる。
「皆ヤル気十分なコメントサンキュー！　それから忘れちゃいけないのが、バトル後だ！」
　マイクを自分の手に取り戻した司会者は、さらに説明を加える。
「正々堂々全力で戦った者同士、健闘を称え合うジンギスカンパーティが待ってるゼ！！」
「「ヒューッ！！」」
　選手達の間から待ってましたとばかりに声が上がる。

「というわけでェ～～～、我らと戦う勇敢な咎人選手はどいつだ！？」