イルダーナフ奇譚~小さな廃城の、小さな忠臣~
土耳古熊
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シナリオ形態
ショート
難易度
Normal
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100SC
参加人数
3人~6人
優先抽選
50SC
報酬
200 EXP
5000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2021/09/15 10:30
プレイング締切
2021/09/18 10:30
リプレイ完成予定
2021/09/30
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. -
  5. -

オープニング

(ぜはっ、ぜっ、早うっ、もっと早う動くでござる、某の足よッ!!)

 日が中天に差し掛かる頃合い、ロス・テラス聖王国の南部地方にある海沿いの街道を、小さな影が走り抜ける。
 大きさは中型犬ほどだろうか、地を駆ける足並みもまた四足に見えるが、どちらかと言うと後ろ脚の方がメインのようだ。

(人族(ミンスク)の村が、何処かこの辺にある筈でござるっ、早うせねば、早う救援を頼まねば!!)

 全体的に頭部が小さく、そこから臀部に掛けて膨らむような体型。見る者が見れば、それはとある小動物を想起させるに違いない。
 それは深夜の出立からこれまで一度も休憩を挟む事なく走り続けていた。
 今や手足は諤々と痙攣し、気を抜けばすぐさま土の上に転がり果てるだろう疲労の極致。だがそれに諦めるという選択肢はなかった。
 自身の大切な者の、かけがえのない命が掛かっているのだから当然であった。

(ぜひゅっ、はぁっ、ぜっ、姫、さまっ、このチューザブロウ・トチノキ! 身命に変えても、貴女様をお救いする勇士を、必ずやっ、かはっ、ぜぇっ、ぜっ!)


 思考が朦朧とし、ともすれば失いそうになる中で、見据える街道の先――小さな海沿いの集落が見えて来たのは、その時であった。



「くはぁ……ねむ」

 一応門番として立って居る一人の村人男性であるが、こんな辺鄙な場所にわざわざやって来る者など滅多にいない。
 だが今日は、その滅多にない事が起きており、昼交代の当番がやってきたら自身もそちらに向かうつもりでいた。

(偶に来るのも野生の小動物とか、大して危険も無いしなぁ……、この村で門番なんて、意味なんてないだろうに)

 とは言えこの村の歴史は古く、代々特産として小規模ながら海水塩の生産を担って居り、それなりに裕福な部類でもあった。
 故に過去には山賊などの被害も無くはなく、昔から門番を必ず置いている。
 尤も、山賊としても村より、それを買い付けに来る隊商などを襲う方が手っ取り早い為、襲撃された事例もそこまでは多くないのだが。
 この村があればこそ商人がやって来るわけで、それを潰しては継続的な稼ぎにならなくなるからだろう。

「お~い、交代だ」
「お、やっと来たかぁ、もう腹ペコだぁ」
「分かってるって、さっさと飯食いに行ってこ――」

 どざしゃぁあああ――!

「「のわっ!?」」

 門番が村内からやって来た交代要員の男性に振り向き、声を交わしていた所で、その背後に盛大に土煙と地を擦る音が響き両者を驚かせる。
 舞い上がる土ぼこりが収まると、そこに小さな塊が転がっている事に気づいた。

「お……おねがいが、ござい、まするぅ……っ!」
「ぬおっ、人か? いや子供?」
「ともかくあんた、大丈夫か……って、なんじゃこりゃ!?」

 村の門前に横たわる陰に駆け寄り、その安否を確かめようとした二人はまたも驚きの声を上げて、その足にたたらを踏む。
 視線の先に居たのは、巨大な……そう、見た目は普通の物より遥かに巨大なネズミが一匹。
 それが簡素ながら布製らしき服を着こみ、腰には武器らしきものまで下げているのだから警戒して当然だろう。
 だが同時に、それは子供の頃にこの辺のおとぎ話で聞かされていた存在を、ふと思い出させる。

「まさか……、あんた、昔話に出てくるネズミ獣人って奴か?」
「そ、某の、事は、ぜっ、あとに、そ、それより、も、かはっ」
「と、兎も角水は飲めるか? ぬるくなっちまってるがこれを飲んどけ」

 乾き切り、酷くしゃがれた声を漏らすネズミの獣人らしき者へと腰に下げていた木製の水筒を差し出せば、相手は貪るように一気に飲み干しては咳き込んで、しかしすぐさま村人の一人に縋り付いて来る。
 その必死な様子に、何事かがあったのだろうと理解して。

「ここに、戦える者はッ、勇士はおられぬか!? 我らを、我らの姫様をッ、げほっ、どうかお救い下されぇ!!」
「わ、分かったから落ち着け、ここは辺境の村だからな、獣相手に多少戦える奴くらいならいるが……」
「ま、まぞくっ、敵は魔族に御座るぅ! 我らの住処が、きゃつらに襲われ申したっ! このチューザブロウ、主上より、人族への救援を求める、使者として、げほっ、参った次第っ!」
「ま、魔族だって!? そりゃ俺たちみたいな村人にゃ、荷が勝ちすぎる……」

 最弱のゴブリンですら、多少のマナの守護を持ち、並の一般人には歯が立たない恐るべき相手。
 当然それを聞いた門番たちは、腰が引けてしまう。

「あ、でもほら、今日来た隊商の護衛の人ら、あれなら結構強いんじゃないか?」
「……そう言えば、確か咎人とか何とか……、商人連中がとんでもなく頼りになるって自慢しとったなぁ」
「お、おおおっ、ならばその方々と、某を引き合わせて下さらぬか! ごほッ、どうか、お頼み申す!」

 最初の返答に絶望しかけ、しかし後の方で一縷の望みを見出してさらに強く縋り付くネズミ獣人に、二人は狼狽えつつも頷き合う。

「じゃあ、少し待っててくれ、とりあえず誰か一人くらい呼んでくらぁ!」
「――どうかなさいましたかな?」

 善は急げと立ち上がり走り出しかけたところで、丁度、話の上っていた護衛の一人が、門前の騒ぎを聞きつけてやって来たらしい。
 だがその姿は、いわゆる熊、それもかなり大型の熊にしか見えない。しかしながら、この暖かい日中にもスーツの上下にコートを肩にかけ、誰が見ても暑苦しさを感じずにはいられない出で立ちであった。

「おお、ちょうどええ所に。あのな、あそこの獣人さんが、なんか助けを求めて来とるんだ。
 アンタも獣人みたいだし、ちょっと力を貸してやれんだろうか?」
「ふむ? なるほど、少し話を聞いてみましょうか」

 どすどすと重量のある足音を響かせて駆けよって来た、強靭そうに見える体躯の熊獣人の姿を目にし、チューザブロウは涙を浮かべて身を起こす。

「お初にお目にかかる、吾輩はこの村にやってきた隊商の護衛として雇われている者の一人だ。一体どうされたのかな?」
「お、お願いがござる! どうか、お力をお貸しくだされ!!
 我らが住処に、魔族が! 突然に襲い掛かって来たのでござる! 我らではほぼ歯が立たず、最早外から救援を求めるしかないと――ッ」


(なるほど……、しかし、聖樹界固有の獣人とは珍しい。最近では稀に生き残りの確認情報も聞いてはいたが……)

 チューザブロウと名乗るネズミの獣人が必死に訴える窮状をしっかりと聞き取りながら、キャスバルティ商会の隊商護衛として同行中の咎人である森野 熊三(mz0068)は頷きを返す。

「まずは雇い主に図って見なければなりませんが……、最悪、吾輩だけでも力になりましょう」
「おぉ、おおおおっ、お頼み申す、どうか、どうかぁッ」

成功条件

条件1ネズミ獣人たちの住処を襲う魔族を殲滅する
条件2-
条件3-

大成功条件

条件1ネズミ獣人たちの生存者を可能な限り救出する
条件2-
条件3-

選択肢

選択肢1地上部分での魔族殲滅 現在の人数3
選択肢2地下集落での魔族排除 現在の人数3

解 説

 舞台は、海辺の村から半日ほど馬で走れば辿り着く深い森林、その奥地にある朽ちた廃城。
 ほぼ一階部分しか残存しておらず、屋根も無い壁と柱だけの廃墟です。
 かつてそこにはネズミ獣人の国があったというおとぎ話が、現地の住人に残されている模様。
 なお滅びた原因は、獣人たちの記録からも既に失われています。

 生き残った獣人たちは、廃城の地下に集落を掘り築いて細々と子孫を繋いでいましたが、突如として大量の魔族ゴブリンの襲撃に遭い、混乱の中で半数が既に食い殺されてしまいました。
 このゴブリンたちは、以前ロンデニオンに攻めて来た魔王軍からはぐれた一団とみられ、粗末ながらも武装しており、シールド相応のマナの守護を備える一群。
 ネズミ獣人たちは独特の文化で、侍もどきみたいな兵士を常備していましたが、魔法を使える者は極僅かであり、その者達も序盤の混乱の中で討ち取られています。

 隊商の責任者は、村に逗留する期間の内であればと護衛の一部を救援に向かわせる事を承諾し、皆さんが駆け付ける事となります。

 戦場は選択肢で分けられ、
1、廃城地上部分にたむろするゴブリン群の殲滅(30体)
2、ネズミ獣人たちの地下集落に侵入したゴブリンの排除(10体)
 と上記の様になります。

 また、2の戦場では地下集落の直径が小さく、ネズミ獣人より大柄な咎人などは動作にペナルティ。
 *身長145cm以上の場合、攻撃命中回避にマイナス20%、175以上の場合マイナス50% 2m以上は侵入不可。

 地上部分も地下集落も入り組んではおらず、最奥の王族の住まい兼集会場となっている大きな部屋に生き残り(40名ほど)が立て籠もっています。
 こちらは咎人が地上部分に辿り着いてから10R後に突破され、中にいる獣人たちが犠牲になり始めます。
 チューザブロウが同行する為、道に迷う事はありません(戦力にはなりません)。

 NPC一名が追加戦力として同行。

マスターより

とうとうNPCまで熊にしちまいやがった熊です。可愛い(*´ω`*)
今回より初登場となり、今後ちまちま顔出しするかと。

◆なおこの熊さんは、身長の為に選択肢1へ固定参加◆

ゴブリンそのものは駆け出しの咎人でも対処できる強さですが、数だけは多いのでお気を付けください。
参加人数が少ないのは、あくまで派遣されるのは護衛の『一部』と言うシチュエーションに沿っております。

どちらかと言えば重視すべきは速度と移動力かと。
あと身長制限にもご注意ください、見逃すと大変な事に……。


悲争シリーズでなく奇譚としたのは、獣人と言う存在が聖樹界では希少存在である為。
各世界における珍しい存在や物が関わる時は、奇譚となります。

参加キャラクター

  • シトロンma0285
    異能種|女
  • 麻生 遊夜ma0279
    機械種|男
  • 鈴鳴 響ma0317
    神魔種|女
  • マイナ・ミンターma0717
    人間種|女
  • 桜庭愛ma1036
    人間種|女
  • 高柳 京四郎ma0078
    人間種|男
リプレイ執筆中

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