オープニング
「アラタ、ちょっと良い?」
簒奪者・氷堂アラタ(mz0055)は、同じく簒奪者・C.J.(mz0075)がいつになく真面目な顔をしているのを見て首を傾げた。いつもへらへらしている彼がこんな顔をしているのも珍しい。へらへらしながらも仕事はするので、アラタとしても気にしていなかったが。
「何かあったのか?」
「オリーヴがまた出撃するじゃない?」
「ああ」
簒奪者の中でも更に強力な個体。「蒐集衆」と呼ばれるそれらの一人、オリーヴィア(mz0071)は先日も聖樹界に出撃し、騎士の小隊を討ち取ってきた。しかし、生き残り(馬)を追っている最中で咎人の一団に遭遇。いつもの彼女であれば半分は撃破しただろうが、あろうことか倒したのは一人だけだったと言う。
「連中、最初は口だけだと思ってたんだけど、どうも強いことは間違いなさそうなんだよ。だから、僕も付いていこうと思うんだけど許可してくれる? 危なくなったら逃がしてやらなきゃ。結構やる気だから無茶しそうなんだよね。ついでにエリゴールから魔族の指揮権もちょっともらえるとありがたい。いや、こないだの君ほどなくて良い。僕たちに殴り掛からない、撤退指示を聞いてくれるくらい……いや、逃げるときは置いていっても良いのか」
「わかった。エリゴールに話してみる」
●
聖樹界イルダーナフ。
東の方向から魔族と、青白い馬に乗った女の進軍があると聞いて、咎人たちは迎撃のために現場へ向かっていた。平原を真っ直ぐ走ると言うことからオリーヴィアと目される。
「来た……!」
盾を持ったエリオが険しい表情で呟いた。先日、出会い頭でオリーヴィアに斬られた彼は、異世界のロールではあるが、防御と回復に特化したリカバリストを取得してリベンジに臨んでいる。友人のメダルドも洗霊巫女を取り、猪突猛進の相手を討ち取る構えだ。
やがて、咎人たちとオリーヴィアが接近した。
「先日はどうも」
エリオが前に出る。
「今日は簡単に死なないので、やれるものならやってみたまえ」
「良い覚悟ですわ」
オリーヴィアは笑いもしない。
「わたくしも一人ではありません。今日こそお前たちを残らず倒しますわ」
「そうかい、楽しみだね」
その時、遠くから銃撃が飛んで来た。見ると……グリフォンに騎乗した男がガトリングガンでこちらを狙っている。その後ろからは、オリーヴィアに追いつけなかったのであろう魔族たちが、よたよたしながら走って来るのが見えた。
「オルカちゃん、私たちはあっちに行こう!」
アウグスタ(mz0058)がオルカ(mz0049)の腕を引いた。彼女は肯き、
「うん、行こうか。エリオ、ここは任せて良いかい?」
「任せてくれ。君たちは彼らの妨害を頼む。くれぐれも気を付けて」
「そっちこそ。何人か一緒に来てくれ」
二人を始めとした何人かの咎人が魔族の迎撃に向かう。オリーヴィアがそれを追おうとするのには、メダルドが魔法攻撃で気を逸らした。
「こっちに背中向けたら追いついてやるからな。わかってんだろうな」
「……では、殺します」
オリーヴィアの目が据わる。一触即発の空気がそこに生まれた。
●
「ちょっとぉ! これってちょっと前のアラタじゃん! オリーヴ待って! 置いていかないでよ!」
ガトリングガンを抱えたCJは自分の遥か彼方を走るオリーヴィアに追いつくのに必死だった。いや、本人はグリフォンに乗っているので、頑張れば追いつけないこともない。問題は……。
「ちょっと、お前らも焦れよ。追いつけば数ではこっちが有利なんだからさ! 頑張れよな! いつもアラタが言ってるでしょ、物量で圧すって……いや、圧すってほどいないか……」
足元でのろのろ歩いている魔族の一団だ。急ごしらえと言う事もあり、あまり強くはない個体の寄せ集めだが、それでも数十はいる。落ちこぼれ部隊の引率になった気分だ。オリーヴィアと咎人の一団が衝突したのが見える。
「思ったより早かったな。ちょっと、先に行くから、ちゃんと後から来るんだよ!」
CJはグリフォンに指示を出して先を急がせる。やがて、オリーヴィアと咎人の交戦現場を射程に収めると、問答無用で銃撃を浴びせた。
咎人には斬撃に強いものが多い……と言う印象がある。それなら、銃撃はどうだ。オリーヴィアに大鎌以外で戦えと言ってもどだい無理な話だ。素手でパンチするのが関の山だろう。斬った方が早い。それを埋めるのが今回付き添うCJの役目だ。
「えいっ!」
その時、土塊を纏った斬撃が下からCJを襲う。驚いて見下ろすと、十歳かそこらの翼を生やした少女咎人が、剣に土の気配を纏わせてこちらを睨んでいた。百花騎士の不退なりし一輪か。
「子供の来るところじゃないよ」
CJがからかう様に言う。槍と盾を持った、中性的でCJとさほど背丈の変わらない咎人がにこやかにこちらを見上げる。続々と他の咎人も集まって来ていた。
「氷堂アラタのようにはいかないみたいだね」
「アラタが有能すぎると言って。僕が無能みたいじゃん。君たち」
息を切らしながら追いついた魔族たちに声を掛ける。
「対オリーヴに戻らせるな。こいつらを足止めするよ!」
魔族たちは雄叫びを上げながら武器を振り上げた。
成功条件
条件1 | 魔族半分以上の討伐 |
---|---|
条件2 | オリーヴィアの撃退 |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | オリーヴィアの撃破 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
選択肢
選択肢1 | オリーヴィア討伐 | 現在の人数 | 12 |
---|---|---|---|
選択肢2 | 魔族討伐 | 現在の人数 | 12 |
解 説
このシナリオは2つの選択肢に分かれています。選択肢を跨いだ行動はできません。
●選択肢1.オリーヴィア討伐(VeryHard・総合1,000以上推奨)
強力な簒奪者オリーヴィアを討伐します。
前方横3スクエアの回避不可攻撃、ロングアクションによる回避半減の範囲攻撃、複数回の行動権を活用した9連撃等を行ないます。移動力が高く、射程外への離脱が可能です。占有スクエアの影響を受けない、移動系BSの影響を受けづらいことが想定されます。弱体追撃系を非常に嫌がると考えられています。
以前ダミーとの戦いでいくつか対策は打ち出せていますが、オリーヴィアの判断や感情の動きは未知数です。
コンクエストとは能力が異なります。
選択肢2から1Rに1回、CJからの射撃攻撃が加えられます。
NPCはエリオとメダルドです。
●選択肢2.魔族討伐(Normal・総合600以上)
総数40の魔族を討伐します。
この選択肢には簒奪者CJがいます。彼は選択肢1への妨害と、オリーヴィアが危険になった際の撤退指示を行います。CJを妨害することで選択肢1の難易度が下がります。
CJは戦局の見極めをするため積極的に戦闘をせず、また乗っているグリフォンも低空飛行で自衛程度の反撃です。こちらに気を引ければ、撤退指示が遅れ、オリーヴィア討伐が確実になるかもしれません。上空に追い立てて選択肢1から距離を取らせるだけでも、射撃攻撃がなくなるため有効です。
魔族はゴブリンとオークの混成ですが、急拵えの部隊なので大して強くありません。基本的に打撃と斬撃で、特殊な攻撃はありません。直接妨害ほど有効ではないですが、魔族討伐も多少CJの気を引けます。
NPCはオルカとアウグスタです。
マスターより
こんにちは三田村です。
選択肢1でオリーヴィアと戦う戦力ももちろん重要ですが、選択肢2で魔族を倒したりCJを妨害するのも重要です。強敵との直接対決は不安でも、魔族討伐は得意、と言う方の参加も歓迎します。
ご参加お待ちしています。
関連NPC
参加キャラクター
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- 氷鏡 六花(ma0360)
- 精霊種|女
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- 鐵夜行(ma0206)
- 剛力種|女
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- リラ(ma0970)
- 人間種|女
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- リナリア・レンギン(ma0974)
- 人間種|女
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- ケイウス(ma0700)
- 神魔種|男
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- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- 更級 暁斗(ma0383)
- 人間種|男
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- 火存 歌女(ma0388)
- 機械種|女
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- 七掛 双儀(ma0038)
- 剛力種|男
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- 瑠璃香(ma0653)
- 獣人種|女
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- 咲良 恋(ma0166)
- 精霊種|女
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- アナルデール・ウンディーニ(ma0116)
- 人間種|女
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- フリッツ・レーバ(ma0316)
- 剛力種|女
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- サヴィーノ・パルヴィス(ma0665)
- 人間種|男
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- ザウラク=L・M・A(ma0640)
- 機械種|男
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- シアン(ma0076)
- 人間種|男
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
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- 鈴鳴 響(ma0317)
- 神魔種|女
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- 歩夢(ma0694)
- 人間種|男
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- 伊吹 瑠那(ma0278)
- 剛力種|女
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- ユーグヴェル・ミラ(ma0623)
- 異能種|男
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- 七掛 二夜(ma0071)
- 獣人種|女
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- 鳳・美夕(ma0726)
- 人間種|女
- リプレイ公開中