オープニング
●今までのあらすじ
イルダーナフに現れた簒奪者イル。
彼はとっても、酷くあまりに弱かったが、一切破壊することの出来ないシールドにより、咎人達は手を焼いていた。
彼を倒すシールドを脆くするには、彼自身を我々が知らなければならないと知り、アルベリヒと他の咎人達は、とある浮き島で、イルの正体を探ることにした。
そして、生前のイルが人間を愛し、人間を育てようとした『姿を持たない人工知能』であることが判明したのだった。
●変化ある者、なき者達
ある程度のイルに関する知識は得た。後は、再びイルダーナフに戻り、事を起こすのみ。如何にイルに自分を認識させ、シールドを脆くさせ戦うか、を考えなくてはならないのだが……
「……すまない。俺のせいだ」
「そんな頭を下げないで、ワタシの見通しが甘かったのですから」
長い溜め息に、額を塞ぐかのように手をあてるアルベリヒ(mz0060)。
俯くと銀糸がさらりと一房揺れる。
夜中に馬車を使い、目的地に向かおうとした矢先に、依頼者である町長に呼び掛けられ今に至る。
イルに手を出すもの達がいる、と。
どうやら、最初にイルが簒奪者だと気付いた時に、アルベリヒが町長づてに町の人達に教えたらしい。
彼は簒奪者だから、危ないので無闇に近付かないように、と。
それがいけなかった。簒奪者がイルダーナフに於いて、如何なる意味をもつか。魔物を助ける、侵略者。
すなわち、わかりやすく、悪、である。
しかも、イルの攻撃はこちらに当たらないほどに弱いと言われていた。
ちょっとくらい、腕に覚えがあれば攻撃を避けるのは容易い。
例え、彼に攻撃が一切効かなくても、別の所で与えれた恨み辛みをイルにぶつけられるのだ。
「お前らのせいでこの世界は目茶苦茶だ、死ね」
「消えろ! 何か言ってみろよ! オラ!」
「縄を掛けて引きずったらどうだ?」
「この際、油をかけて燃やしてしまえ!」
「埋めろ埋めろ、穴に泥を入れて埋めてしまえ、こんなやつ!」
そんな、やりとりが夜な夜な毎日続いて、日に日にエスカレートしていると、町長らしき中年の男が残念そうに話し、だが、とアルベリヒ達に笑みを残して最後にこう語る。
「こうなったのが、貴方様達『咎人』でなくて、本当によかったですよ」
「…………ああ、そうだな」
アルベリヒの表情は先程と、一切変わらない。だが、あなた達咎人は気付くだろう。青年の強く握る拳から、血が滲み出ていることに。
イルダーナフと言う一世界に存在する彼ら一般人の考え方は決して間違っていない。侵略者と言う敵を排除するその一点。彼らを責めても何もならない。
簒奪者が、イルが生前どんな存在であったか彼らが知る必要もないのだ。
だからこそ、そのやるせなさに、アルベリヒは憤りを感じてしまうのだろう。
●アルベリヒのエゴ
咎人達は前回と同じく馬車に乗り込む。依頼内容も変わることはない。簒奪者イルを倒すこと、その一点に尽きる。
だが、咎人達はイルが何者か、イルが何を想い続けていたかを知ってしまった。
――僕がいた事を誰かに知って欲しい。そして、もう僕のような存在を造らないで――
イルの遺言が何度も反芻する。もう、それを知り、実現できるのは自分たちしかいないのだ。
「一つ、いいか」
ふと、アルベリヒが咎人達全員に話し掛けた。
「これを終えたら、彼に墓を建ててやりたいんだ」
彼、と言う対象は勿論一人しかいない。簒奪者イルのことだ。黙りこむ咎人達に微かに自嘲ぎみにアルベリヒは笑いを残す。
「自分でも、おかしいことを言ったのは承知だ。だが、残してやりたいんだ……ヤツは居たことを」
人工知能であった本来のイルに、身体と言うものはなかった。データを納めていたサーバーらしきものは壊してしまい、残ってはいない。
だからこそ、データではなく『彼』は確かに居たのだと、アルベリヒは残したかった。勿論、消滅した簒奪者の遺体も遺品も残ることはない。形ばかりの墓になるのだが。
「これは俺のエゴだ。付き合いたいやつだけ来い」
それだけ言えば、アルベリヒは押し黙って、スーツのポケットからいつの間にかはみ出てしいた首飾りのチェーンをそっとしまった。
如何なる思いが咎人達に渦巻いていようが、静寂の星空の下を馬車はただひた走る。そこに何も変わるものはない。
「本当に……何が違うのだろうな、我々と彼らは」
成功条件
| 条件1 | 簒奪者イルの撃破 |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | イル自身に、自分が何者であったかを正確に伝える。 |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
※このシナリオは、事前に相談を推奨するため、エキスパートになっていますが戦闘判定はカジュアルルールです。
敵
簒奪者イル
剣士のような見た目の簒奪者。既に魂が壊れているのか、正気ではない。剣を振り回すだけの攻撃で弱い。
『僕はイル、僕はダレ?』と呟き続けている。
その正体は元人工知能。自らの認識が歪んでいる為なのか、ぶあついシールドにより一切の攻撃が効かない。
シールドを破るには、イルが何者であったかを彼自身に理解させ、自ら存在を認識させる必要がある。
特殊状況
星明かりはあるが、夜なので真っ暗なため照明が必要。その他に、イルに恨み辛みをぶつけている一般人が4~5人くらい、効きもしないのにイルを攻撃する。あれを攻撃と呼べるのだろうか。
彼らを先にどうにかした方が良いだろう。
アルベリヒより提案。
イル討伐後、エンブリオの浮島にイルの墓を彼が建てるらしい。希望者は墓参り可能。
協力NPC
アルベリヒ
記憶喪失の人間種のシューターの男性。
※最後に
イルのシールドを破壊した後、恐らく彼を一撃で仕留めることが出来るでしょう。誰が『彼を殺す』か、前以て相談しておいて下さい。
希望者がいない場合は、アルベリヒが行います。
マスターより
マスターより
お久しぶりです、月宵です。復活一発目ですが。いよいよ、シリーズ最終話のお話になります。簒奪者は倒す。
それは最初から決まっていたこと、だからこそ咎人達は何を思うのか……
戦闘と言いつつ、話の主体は心理描写が大きいかも知れません。
それでは、お待ちしております。
関連NPC
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- アルベリヒ(mz0060)
- 人間種|男
参加キャラクター
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- ケイウス(ma0700)
- 神魔種|男
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- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
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- 御伽 泉李(ma0917)
- 機械種|男
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- マリエル(ma0991)
- 機械種|女
- リプレイ公開中




