オープニング
その建物には、つい数月前、たった一匹の住人、クッキーで出来たネコちゃんだけが水槽の中にいました。彼には、本来この園の園児達によって、焼き菓子のお友達が作られる筈でした。しかし、その園児達はもう、いません。
寂しそうだったネコちゃんを見て、彼に咎人達は小麦粉粘土で友達を作ってあげたのです。
ネコちゃんはお友達と今、とっても幸せそうに鳴いています。
●
その時、他の咎人達と共に彼の居場所を手伝っていたサキチとミヨシは、再びあの不思議な水槽の様子を見に来ていた。
そして、新たなお客さん、も来たようで……
「食べれるホムンクルス、ちゅーわけやな……どうやって、動いとるんや」
自称錬金術師ピーツ(mz0033)が、距離を取りつつ水槽を覗き込んでいる。とある浮き島に生きたお菓子がいる。そんな噂を聞いて、いてもたってもいられず、飛んできた、といったところだ。
そんなピーツの思惑なんぞいざ知らず、膝下くらいの水槽の中には、食べられる粘土で作られた小さな命達が今もワイワイと賑わっている。
「ピーツさん、この子達が動けるのはその中だけだからねー。出しちゃダメだよー」
「わーっとるわ……チッ、残念やな」
ミヨシに言われて、あからさまに残念そうに舌打ちをするピーツ。恐らく、商売の応用にとでも考えていたのだろうか。
そんなことは置いておき、サキチは前に作ってあげた彼らの家の屋根が外れかかっているのに気付き、修繕がてら補強をして、再び水槽の中に戻したところだ。
「お、エントツまで増やしたのか」
「へー、やるやんか」
ミヨシが家を覗き込む。エントツは飾りでなく、しっかり部屋の中にまで続いているこだわりようだ。
幼児達が新たな家に飛び込んでいく様子にサキチも笑みをこぼす。
ニィーー
聞き慣れたネコの声。そちらに視線を移すと、クッキーネコのエルデが水槽の端っこから何かをじっと見ていた。独りで水槽の中で鳴いていた頃より二人に慣れたのか、逃げる様子はない。
「どうした?」
それは、サキチがベニヤ板などの材料を探すために、室内の倉庫を開けたときに偶然出てきたモミの木の植木鉢であった。ふと、彼は思い出す。
「そういや、もう聖夜祭……クリスマスも近いっけか?」
ミヨシがポツリと呟いた。あまり、自分達には馴染みない行事だったが、この世界があった頃は結構一般的だったのかも知れない。モミの木に飾りつけをし、ケーキと言う甘味を食し、寝ている間に履き物に贈り物をいれるサンタクロースなるものがいる、と二人は聞いていた。
「なー、佐吉ー」
「オレも同じことを考えていた。聖夜祭の宴を開こう、だな?」
「ええやん、クリスマス。こいつらが、どんな反応をするか見てみたいしな」
元より、ここは幼稚園か、保育園だ。つまり、クリスマスパーティーが開かれていたとしても、何らおかしくはない。恐らく飾り付けなんかも、倉庫を探せば色々と出てくるだろう。
流石親友、と歯を見せながらミヨシが笑う。
そうと決まれば、彼らの水槽内部の飾り付けもしてやりたい。飾りが遊戯室だけでは、味気がなさすぎる……だが、それには問題があった。
「これは流石に大きすぎる」
目の前のモミの木を飾るにしても、水槽内部に運ぶには、自分達には丁度良くとも、水槽の住人には大きすぎるのだ。
「重さでこの機械が壊れたら目も当てられへんわな」
菓子でまた作るのも良いが、やっぱり本物の植物も欲しいところではある。
「この辺りの森なら、まだ木の実や葉が落ちているかも知れないな」
この島には、幸運なことに敵性生物はいない。冬の森を散策がてら、ツリーの材料集めにはもってこいだ。
「了解! 後は、宴用にケーキも欲しいし、咎人達に依頼してくるなー!」
そう言って急いでミヨシは園を後にする。
「ウチも、そのホムンクルスが作れる不思議な小麦粉ちゅーのを見たいわ。ジンジャーブレッドマン辺り作ってもええかもな」
そう言って、ピーツは赤いマフラーを翻らせて勝手に調理場へと向かっていった。
後に残ったサキチは、エルデに指を頬擦りされなから、窓の外を改めて見た。今日は賑やかになりそうだ。
「雪か、彼らにも用意してやりたいが……菓子だからな……」
ナァァア……?
成功条件
| 条件1 | 水槽内部をクリスマス用に飾り付ける。ツリーも用意。 |
|---|---|
| 条件2 | 自分達用にケーキを用意する。 |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | みんなでパーティーを楽しむ。 |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
※このシナリオエキスパートですが相談した方が楽しそうなので、ルール判定はカジュアルルールを適応させていただきます。
水槽
遊戯室に置かれた深さ10cmほどの浅い大きな水槽。エルデや、他のネコ、動物や子供達で賑わっている。最初からある家や、サキチが新たに改築したエントツのついた家もある。
この中で、不思議な小麦粉を材料とした物は、生きているかのように動く。
エルデ
クッキーで出来たデフォルメされた精巧な猫。今はもう、寂しくない。
ケーキを作る。
調理室にお菓子の材料は一通り揃っているので、ケーキは何でも作れる。普通の小麦粉も置いてある。
お菓子以外が作りたいなら、材料を持ち込むこと。
冬の森でツリー材料探し。
園周辺の森を探索。
一般的な花や木なら、探せば見つかるかもしれない。柊の実や、ドングリなど。雪も降りだしている模様。敵対生物はいない。
機能:忘れられない思い出。
水槽内部が完成した後、遊戯室にある家に入ることで、水槽内部の家とつながっていて、PCが小さくなり内部で遊べる。
※水槽内部の皆と無理に関わる必要はありません。皆様で、クリスマスパーティーを好きに楽しんでください。
NPC
サキチとミヨシ
二人の咎人の男性で、今回のお願いの依頼者。生前が同じ世界観だったのか、良く一緒にいる。特にサキチは子供が昔から好きらしい。
ピーツ
自称錬金術師の異能種。今回は調理室で、クッキーを作る模様。
マスターより
こんにちは、月宵です。まだ少々気が早い気もしますが。あのクッキーネコちゃん達とクリスマスを楽しむお話です。いつのまにか、ピーツまで来てますが。
勿論、水槽の中の子達は、クリスマスを知りません。そんな彼らとまた、忘れられない思い出を作りませんか?
関連NPC
-

- ピーツ(mz0033)
- 異能種|女
参加キャラクター
-

- 六道煉龍(ma0646)
- 人間種|男
-

- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
-

- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
-

- シア・ショコロール(ma0522)
- 人間種|男
-

- 白花・C・琥珀(ma0119)
- 人間種|女
-

- シャハエル(ma1209)
- 神魔種|男
-

- 如月 朱烙(ma0627)
- 人間種|女
- リプレイ公開中




