オープニング
迷宮島が動き出した。しかも向かう先は天獄界だというではないか。
攻略済みのフロアに出ていた屋台は放棄され、皆が脱出の準備に入っている。そんな中でファイターの青年はふとあの鳥の事を思い出す。
(あいつの様子、おかしかったよなぁ……メイQにも会えなかったらしいし大丈夫か?)
こんな事になって彼は一体どう思っているのだろう。最初はプログラムだった筈だが、AIが搭載されていると言う事は自分で考え始めると言う事だ。とすると、彼は今どんな気持ちを抱いているのか。
「おーい、ハテ! もしいたら返事しろ―!」
その事が気にかかって、ファイターの彼は各階の通路を声掛けして回る。揺れる床に苦戦しつつ、駆け回る中でふと耳に届いたのは聞き覚えのある声。
「メェェ……」
そう、それは子山羊の声だ。この山羊(正確には子山羊もどきであるが)についての詳しくはさておいて、子山羊の背にぐったりしたハテちゃんの姿を見つけて、青年はすぐさま駆け寄る。
「ハテちゃん!」
彼が声をかける。しかし、そこにいたハテちゃんはいつもの元気はまるでなく、目を閉じ僅かばかりの呼吸だけが続いている。
「何があったんだ、これ……」
そんな彼を抱き上げて――しかし、外見これと言った損傷は見られない。とすると、内部の何かが悪さでもしているのだろうか。
「くそ……どうすれば」
「ハテ、ちゃん……用済み……だから、島からのエネルギー、供給、止まった、タ。だから、省エネモード、起動したけど……そろそろ、ゲンカイ、だ……ダ」
僅かに嘴を動かしながら必死に彼が言葉する。
「何だよそれ。ってかエネルギーがあればいいってんならバッテリーとかマテリアルとかで代用できるだろっ。って何処から開くんだ、これ? あぁもう、せめてこいつの設計図でもあれば」
設計図――そこで彼はハッとする。自分は攻略できなかったが謎解き部屋のその先に、確か報告書では彼の設計図があったと記されていた様な気がする。
「待ってろ、ハテ。落ちこぼれだが、一応俺は科学者の端くれでもあるんだ」
実はエゲリアクラスタなこの青年は元機械工学を専攻していたという経歴の持ち主でもあり、この手のロボットの仕組みについては少しばかり知識があった。そこで第一階層の謎解き部屋へと走る。
だが、行った先には思わぬ光景が待ち受けている。
「何だこりゃ……ってか、真面目に怖いんだが」
どこかの部屋では重力がどうとか言っていたが、島が動き出した事でこの部屋の構造がおかしくなってきているらしい。ただの謎解き部屋だった筈のその場所は、あの時とは全く違う様相を呈している。
まず第一に壁にかかっていた様々な絵画は宙を浮いていた。しかも床が抜けており、第二階層の謎解き部屋と繋がっているようで第二階層を改造して作った時にハテちゃんが使用した金平糖も部屋中に浮かび上がってきている。
そして、注目すべきはそこにいる子山羊の顔だ。さっきのハテちゃんを運んでいた山羊に似てはいるが目の色が違い、とても不気味である。
「あの山羊、違う……メイQ様の山羊、逃がした……あれ、偽物。トテモ危険、注意しろ……ロ」
ハテちゃんが言う。こういう時でもまだ役に立ちたいと思っているのだろうか。そういえば第二階層の時、小さい山羊が徘徊していたというが、もしかするとこれもその残りかも知れない。
「注意しろったって、どうすれば」
ひとまずここに重力が働いているのだとすれば、この絵画に飛び乗る事も出来るかもしれない。ハテちゃんを隅に置いて、試しにぴょんと一歩前に飛び出す。すると、彼目掛けて一匹の山羊が突っ込んできて危うく下へと転落しそうになる。
「あっぶねー……けど、この要領で進めれば」
すでに開いている扉まで。そう遠くは感じないが、絵画が浮き沈みしている事により時間がかかりそうだ。それに浮遊している山羊の妨害も注意しなければならない。
「あの分だとハテのバッテリーはもって後十分……くそっ、いけるか?」
目まぐるしく動く足場とチラつく金平糖、そして何より山羊が彼の集中力をかき乱す。
「ここだっ……ってうわぁぁ」
が焦りが先行し、ここでうっかり足を滑らせる。
その後待っていたのは身体を強く打った衝撃と灼熱のような熱さだった。第一階層から落ち、第二階層床、いや更に床が抜けているのか第二階層のクリア扉は少し上に見え、ここの床はコアに近いのかかなりの熱を持っている。
「あぁ、もう、最後までかっこ悪いなっ。けど、急がないとっ」
青年はそう言葉し、火傷に構わず浮かぶ絵画を頼りに第二階層の廊下へと出る。
そして、
「頼むっ! ハテちゃんを助けたいんだっ、誰か力を貸してくれ!」
彼が叫ぶ。その声に振り返った貴方だが、残り時間は少ない。
ーー
●判定について
こちらのシナリオのみ、特殊な判定を行います
流れとしては、一ターンにつき二回(ないし三回)判定が入ります
まず絵画に飛び移り時に俊敏or筋力で飛び移れるか判定
これにクリアすると山羊の攻撃判定が入って成功するとPLの直感or器用で回避判定
この二つをクリアする事で一マス分進め、
両方の扉(スタート含まず八マスの道のり)に誰か一人でも辿りつければOKです
なお、飛び移り失敗はそのまま滞在
山羊の攻撃が当たった場合とファンブルはニマス後退
逆にクリティカルが出た場合はニマス前進のルールで難易度は1.2設定
厳しく感じるかもしれませんが、技能スキルをフル活用して頂くと数値上乗せ致します
尚、制限ターン数は18ターンですが、バッテリーが尽きるのは15ターンです
山羊の数値は30~35でランダムに割り振り
山羊の数は全部で八匹おり、攻撃回避成功後何かするのであれば
プレイングに一筆して頂ければ、
追加でその行動に対する成功失敗判定を一ターンに組み込みます
加えて、行動を個人で行うか否かが選べます
グループで動く場合はグループ内の過半数が成功していれば失敗した人も前進できます
ですが、逆に誰かがファンブルすると連帯責任でまとめて後退する事になります
途中まで一緒に移動して、ある場所からバラバラも可能ですので
そうする場合は「何マス目までは誰と行動するか」を明確に記載して下さい
【注意】
高低差がある為、途中から向かう扉を変える事は出来ません
神魔飛行やチェーンロックなどの使用も禁止とします
使用した場合は山羊の攻撃により行動不能になると思って下さい
攻略済みのフロアに出ていた屋台は放棄され、皆が脱出の準備に入っている。そんな中でファイターの青年はふとあの鳥の事を思い出す。
(あいつの様子、おかしかったよなぁ……メイQにも会えなかったらしいし大丈夫か?)
こんな事になって彼は一体どう思っているのだろう。最初はプログラムだった筈だが、AIが搭載されていると言う事は自分で考え始めると言う事だ。とすると、彼は今どんな気持ちを抱いているのか。
「おーい、ハテ! もしいたら返事しろ―!」
その事が気にかかって、ファイターの彼は各階の通路を声掛けして回る。揺れる床に苦戦しつつ、駆け回る中でふと耳に届いたのは聞き覚えのある声。
「メェェ……」
そう、それは子山羊の声だ。この山羊(正確には子山羊もどきであるが)についての詳しくはさておいて、子山羊の背にぐったりしたハテちゃんの姿を見つけて、青年はすぐさま駆け寄る。
「ハテちゃん!」
彼が声をかける。しかし、そこにいたハテちゃんはいつもの元気はまるでなく、目を閉じ僅かばかりの呼吸だけが続いている。
「何があったんだ、これ……」
そんな彼を抱き上げて――しかし、外見これと言った損傷は見られない。とすると、内部の何かが悪さでもしているのだろうか。
「くそ……どうすれば」
「ハテ、ちゃん……用済み……だから、島からのエネルギー、供給、止まった、タ。だから、省エネモード、起動したけど……そろそろ、ゲンカイ、だ……ダ」
僅かに嘴を動かしながら必死に彼が言葉する。
「何だよそれ。ってかエネルギーがあればいいってんならバッテリーとかマテリアルとかで代用できるだろっ。って何処から開くんだ、これ? あぁもう、せめてこいつの設計図でもあれば」
設計図――そこで彼はハッとする。自分は攻略できなかったが謎解き部屋のその先に、確か報告書では彼の設計図があったと記されていた様な気がする。
「待ってろ、ハテ。落ちこぼれだが、一応俺は科学者の端くれでもあるんだ」
実はエゲリアクラスタなこの青年は元機械工学を専攻していたという経歴の持ち主でもあり、この手のロボットの仕組みについては少しばかり知識があった。そこで第一階層の謎解き部屋へと走る。
だが、行った先には思わぬ光景が待ち受けている。
「何だこりゃ……ってか、真面目に怖いんだが」
どこかの部屋では重力がどうとか言っていたが、島が動き出した事でこの部屋の構造がおかしくなってきているらしい。ただの謎解き部屋だった筈のその場所は、あの時とは全く違う様相を呈している。
まず第一に壁にかかっていた様々な絵画は宙を浮いていた。しかも床が抜けており、第二階層の謎解き部屋と繋がっているようで第二階層を改造して作った時にハテちゃんが使用した金平糖も部屋中に浮かび上がってきている。
そして、注目すべきはそこにいる子山羊の顔だ。さっきのハテちゃんを運んでいた山羊に似てはいるが目の色が違い、とても不気味である。
「あの山羊、違う……メイQ様の山羊、逃がした……あれ、偽物。トテモ危険、注意しろ……ロ」
ハテちゃんが言う。こういう時でもまだ役に立ちたいと思っているのだろうか。そういえば第二階層の時、小さい山羊が徘徊していたというが、もしかするとこれもその残りかも知れない。
「注意しろったって、どうすれば」
ひとまずここに重力が働いているのだとすれば、この絵画に飛び乗る事も出来るかもしれない。ハテちゃんを隅に置いて、試しにぴょんと一歩前に飛び出す。すると、彼目掛けて一匹の山羊が突っ込んできて危うく下へと転落しそうになる。
「あっぶねー……けど、この要領で進めれば」
すでに開いている扉まで。そう遠くは感じないが、絵画が浮き沈みしている事により時間がかかりそうだ。それに浮遊している山羊の妨害も注意しなければならない。
「あの分だとハテのバッテリーはもって後十分……くそっ、いけるか?」
目まぐるしく動く足場とチラつく金平糖、そして何より山羊が彼の集中力をかき乱す。
「ここだっ……ってうわぁぁ」
が焦りが先行し、ここでうっかり足を滑らせる。
その後待っていたのは身体を強く打った衝撃と灼熱のような熱さだった。第一階層から落ち、第二階層床、いや更に床が抜けているのか第二階層のクリア扉は少し上に見え、ここの床はコアに近いのかかなりの熱を持っている。
「あぁ、もう、最後までかっこ悪いなっ。けど、急がないとっ」
青年はそう言葉し、火傷に構わず浮かぶ絵画を頼りに第二階層の廊下へと出る。
そして、
「頼むっ! ハテちゃんを助けたいんだっ、誰か力を貸してくれ!」
彼が叫ぶ。その声に振り返った貴方だが、残り時間は少ない。
ーー
●判定について
こちらのシナリオのみ、特殊な判定を行います
流れとしては、一ターンにつき二回(ないし三回)判定が入ります
まず絵画に飛び移り時に俊敏or筋力で飛び移れるか判定
これにクリアすると山羊の攻撃判定が入って成功するとPLの直感or器用で回避判定
この二つをクリアする事で一マス分進め、
両方の扉(スタート含まず八マスの道のり)に誰か一人でも辿りつければOKです
なお、飛び移り失敗はそのまま滞在
山羊の攻撃が当たった場合とファンブルはニマス後退
逆にクリティカルが出た場合はニマス前進のルールで難易度は1.2設定
厳しく感じるかもしれませんが、技能スキルをフル活用して頂くと数値上乗せ致します
尚、制限ターン数は18ターンですが、バッテリーが尽きるのは15ターンです
山羊の数値は30~35でランダムに割り振り
山羊の数は全部で八匹おり、攻撃回避成功後何かするのであれば
プレイングに一筆して頂ければ、
追加でその行動に対する成功失敗判定を一ターンに組み込みます
加えて、行動を個人で行うか否かが選べます
グループで動く場合はグループ内の過半数が成功していれば失敗した人も前進できます
ですが、逆に誰かがファンブルすると連帯責任でまとめて後退する事になります
途中まで一緒に移動して、ある場所からバラバラも可能ですので
そうする場合は「何マス目までは誰と行動するか」を明確に記載して下さい
【注意】
高低差がある為、途中から向かう扉を変える事は出来ません
神魔飛行やチェーンロックなどの使用も禁止とします
使用した場合は山羊の攻撃により行動不能になると思って下さい
成功条件
条件1 | ハテちゃんの設計図を手に入れる |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | ハテちゃんのバッテリーが尽きる前に設計図を手に入れる |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
島の用済みと化したハテちゃんはこの島の仕組みと連動し
いつの間にかエネルギー供給を断たれてしまいました
現在は内蔵されていたメイQの予備バッテリーが作動していますが、それも後僅かです
もしこのまま停止してしまうと、バックアップなしに機能が停止する事になり
この島から連れ出す事が出来てもここで得た記憶及び意志は全てリセットされてしまいます
なんとしても制限時間内に二つの部屋にある
ハテちゃんの設計図を二枚とも手に入れて、ハテちゃんを救いましょう
●部屋の構造について
OPにも記載していますが、元謎解き部屋が元となっており部屋の形は円形
底が抜けた事により円柱のような構造となっている
部屋内部の重力がおかしく、周囲に飾られていた絵画がその空間に浮いている
加えて、別の部屋にいた子山羊のエネミーが進路を妨害中
金平糖もそこら中に浮いていてちょっと邪魔
●判定について
OPの最後に詳しく記載しておりますので、そちらを必ず一読下さい
●プレイングに必ず書いて欲しい事
・まずはどちらの扉に向かうか? 第一階層or第二階層
・個人で動くか否か? グループ行動なら同行者を記載
・数値補正に使って欲しい技能スキル(パッシブスキルは受け付けません)
マスターより
なんだかややこしくなってしまってすみません
左右対称ネームマスターの奈華里です
アスレチックステージをTRPGでやるとこうなったという感じですね
まぁ、多分一番大変なのは判定する私なんですけども
ハラハラ感が演出できるよう頑張りますので
強気な参加人数になっていますが、字数確保の為もありまして
何卒、皆様のご参加お待ち申し上げております(^^♪
参加キャラクター
-
- レジオール・V=ミシュリエル(ma0715)
- 剛力種|女
-
- 小宮 弦方(ma0102)
- 獣人種|男
-
- ザウラク=L・M・A(ma0640)
- 機械種|男
-
- エイリアス(ma0037)
- 神魔種|女
-
- ラクス・カエルム(ma1196)
- 妖精種|女
-
- リダ・クルツ(ma1076)
- 人間種|男
-
- サヴィーノ・パルヴィス(ma0665)
- 人間種|男
-
- 鳳・美夕(ma0726)
- 人間種|女
- リプレイ公開中