オープニング
その名は吟醸酒『影梅(えいばい)』。
フルーティな香りがする酒。
初めはトロッとまろやかな口当たりだが、サッと酸味が来て、サラッとキレる。
無濾過でにごりはあるものの透明度は高く、少しコクは残るも飲みやすい。
ある酒の玄人(?)いわく。
――この酒の味を語るのに、言葉はいらぬ。飲めばわかる。
●では味わってみますか?
影の氏族は陰働きを主に行い、情報の収集や伝達を第一に動く。
龍の氏族に雇われることが多いことから、影の氏族は龍の巣に屋敷を構えている。
その影の氏族だが、最近は咎人達に雇われて、その活動を手助けすることも多くなった。
これはある事件を介し、咎人達の強さを目の当たりにした影の氏族が認識を改めたことも大きい。
事件を咎人達が解決してくれたことで、恩義を感じた氏族の人々も多いのも理由になるだろう。
そんな影の氏族だが、最近酒好きな人々に声をかけられることも多くなった。
なんでも影の氏族が作っている地酒、その名も『影梅』が『一度は飲んでみたい酒』として知られるようになったらしい。
そのおかけで陰働きを行う影の氏族は、雇われた先や任務で向かった先で、影梅を持っていないか聞かれることが増えた。
「すまない。君達の氏族が作っている『影梅』という地酒を飲む機会を設けてはくれないだろうか。対価は払う」
影の氏族に属するカナデのもとにも、ヒー・リショナー(mz0073)からそのような要望が届いている。
なんでも咎人達にも影梅の情報は届いており、どんな味か気になっている咎人達もいるとヒーはカナデに説明する。
「そこまでご所望でしたら、どうぞご賞味ください」
カナデは咎人達にも興味を持たれたことを、好意的に受け止めている。
なおもカナデとヒーが話し合った結果、咎人達が酒を飲む機会を設けるという話はさらにスケールアップする。
「せっかくの機会です。お食事も楽しまれてはいかがでしょうか?」
カナデは影の氏族が普段食している料理で咎人達をもてなすという提案を、ヒーに行った。
ヤルダバオトでは、氏族によって文化や文明が大きく異なる。
このため、全ての氏族が特定の文化感の中で暮らしているわけではない。
氏族が異なれば料理も異なる。氏族の作る地酒も同様。
陰働きで各地を渡り歩くことが多い影の氏族でも、やはり見慣れない料理の方が多いという。
「その氏族のところに行かないと食べられない料理もある、とお考え下さい」
ヒーがカナデと話をしていくと、ヤルダバオトにも牛肉や豚肉、鶏肉に該当する肉は存在するらしい。
ただそれらが生きているときの姿はと言うと、少なくとも影の氏族が食材を入手できる範囲の話では、咎人達が思い浮かべるような生物とは少し異なるようだ。
「こちらでは醤油や味噌といったものはないのか?」
ヒーの問いに対し、カナデは首を傾げ『それはどういった味になるのでしょうか?』と答えている。
少なくとも影の氏族では、醤油や味噌といった類はないようだ。
その答えを受け、ヒーは一緒に来た咎人達に対し、こう持ち掛ける。
「必要なら取り寄せるが、それを使って料理を作ってもいいか?」
早い話が咎人達の知る料理を、影の氏族にも食べさせてもいいかと、ヒーは言っている。
ヒーは『判断は任せる』と咎人達に伝えた後、カナデに改めて確認をとる。
「私達咎人の料理も君たちに教えることや、食べさせることは大丈夫だろうか」
「問題ありません。料理が好きな氏族の者もいますので歓迎いたします」
ヒーからの打診にカナデは笑顔で応じ、影の氏族が作る酒を味わう話は咎人達と影の氏族をまじえた飲み会へとスケールアップし、日時も決められていく。
●いざ飲み会
そうしてヒーの出した飲み会へのお誘い……もとい影の氏族との交流を深める依頼に咎人達が応じ、影の氏族が用意した場へと咎人達は集う。
そこで咎人達を待ち受けていたのは、話にあった酒「影梅」の他に、色とりどりの料理の群れ。
影の氏族が仕入れた肉の数々は、ヒーより話を聞いた影の氏族達が咎人達の良く知る肉の見た目へと加工した結果、様々な料理へと変貌を遂げていた。
「私達が入手できる食材と調味料で、咎人の皆さんにも食べやすいよう試行錯誤をしてみました」
カナデはヒーの依頼に応じ、この場に集った皆様へ自分達の手掛けた料理を見せる。
鳥肉の塊を丸ごと使用したような料理は、香草や野菜、動物の卵を肉の中に詰めてローストした一品に仕上がっている。
切り分けた皿の上では、香草で香り付けされた透明な肉汁があふれ、肉と一緒に熱を加えられた野菜や卵が湯気をたてて、肉汁の海の中で輝いている。
牛肉めいた動物の肉も、ステーキのようにスライスされたものが炭火で焼かれている。
焼きたての肉からは、時折脂がしたたり落ちて、鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てている。
圧巻は、豚の丸焼きのような肉の塊のロースト。
丸焼きの匂いの香ばしさといったら、耐え難いほど。
油を塗って香ばしく焼けた皮は、明るい茶色に輝いていた。
ヒーがどう味付けしたのかをカナデに聞くと、主な味付けは塩と天獄界で言うコショウに似た香辛料だということだ。
「せっかくの心づくしだ。冷めないうちに頂くとしよう」
ヒーが咎人達を促し、酒や料理の置かれた場へと近づいていく。
咎人の皆様がやることは1つ。
影の氏族の用意した地酒と料理を平らげることだ。
もし余力があれば、皆様の知る料理を影の氏族が用意した食材を使い、1品でも作れば場はさらに盛り上がるだろう。
ということで地酒と料理を楽しむ会、スタート。
●やること
今回皆様はヒーとカナデが話し合って企画した飲み会に参加しています。
皆様にやってほしいことは、目の前に並べられた料理や影の氏族の地酒『影梅』を味わいつくすことです。
もちろん食べきれないからという理由で、後で必ず全て平らげると約束してくれれば、持ち帰るのもOKです。
また皆様のほうからも、持参した酒を振る舞うことや、皆様の知る料理を作って影の氏族に提供することは可能です。
もともと影の氏族は『見慣れない料理のほうが多い』という認識でいますので、そういった料理が出されても抵抗なく受け入れます。
影の氏族は醤油や味噌、カレー味は知らないようですので、そういった調味料を使った料理を出すのも一つの手です。
もちろんそういった味付け以外で、咎人の皆様が生前食べたことがあるという料理を作っても問題ありません。
食材となるものは見た目こそ皆様の覚えているものとは異なりますが、食べれば似たような味のするものを、影の氏族が用意してくれます。
現地で入手ができないものは、よほど希少なものやマイナーなものでない限り、ヒーの方で調達します。
それでは皆様の飲み会……もとい、交流会へのご参加をお待ちしております。
成功条件
条件1 | 料理や酒を全て平らげることができた。 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 影の氏族へ咎人達の知る料理を1品でも提供することができた。 |
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条件2 | - |
条件3 | - |
解 説
●目標
飲み会で出された酒と肉料理を出来る限り平らげる
副目標:咎人達の知る料理を影の氏族に提供する
登場
カナデ
今回の飲み会の企画人その1兼窓口役。
影の氏族の人々
割と酒好きが多く、見知らぬ料理や酒を出されても抵抗なく受け入れる模様。
ヒー・リショナー
今回の飲み会の企画人その2。皆様が料理を作る場合、必要なものはよほど希少なものでない限り用意できる。
大量の肉と酒
今回皆様が攻略する対象。
およその目安で鶏肉っぽい料理が5~10人前、牛肉っぽい料理が10~15人前、豚肉っぽい料理が20人前程度ある。
地酒の『影梅』は別の卓に並べられているが、酒以外にもお茶やリンゴっぽい果実を絞った果実水等も用意されている。
状況
龍の巣の中にある、影の氏族が暮らす屋敷の敷地内。現地時刻は正午快晴。皆様は依頼に応じたという形で屋敷を訪れ、飲み会に参加した。
なお依頼の形をとっているので、報酬が少し発生している。
皆様は下記の席の箇所から飲食を開始。
これ以外にも咎人達の知る料理を影の氏族の人達へ提供することもできる。
なお食材や料理を台無しにするような真似をした場合、やった人は責任をもって駄目にしたものを完食してもらう。
皆様には持ち帰り用として、クーラーボックスを全員に貸与済み。
以下は飲み会の大まかな見取り図。
↑北
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A 酒酒
B 鶏 牛牛
C 鶏 席席 牛
D 鶏 席席 牛牛~→調理場
E 鶏 席席
F 鶏 豚豚
G 豚豚豚
H 飲飲
席:スタート地点。自由に選択重複可。
酒:地酒『影梅』が用意されたテーブル。
鶏:鶏肉っぽい料理が置かれたテーブル。1個あたり最大2人前。
牛:牛肉っぽい料理が置かれたテーブル。1個あたり最大3人前
豚:豚肉っぽい料理が置かれたテーブル。1個あたり4人前。
飲:酒以外の飲み物が置かれたテーブル。
マスターより
少し前に瀬川潮MSのシナリオ「蕗路~鮎母屋の戦勝会」で地酒『影梅』のことが触れられていましたので、実際に咎人の皆様が飲むことのできる機会を設けてみました。
影の氏族と交流を深めるという名目はありますが、実質飲み会です。
ただ料理や酒を平らげるだけでも目標は達成できます。
影の氏族は見知らぬ料理でも抵抗なく受け入れますので、余力があれば皆様の知る料理を教えたり、提供するのもいいでしょう。
なおその場合、マイナーな料理は厳しいとお考え下さい。
それでは、影の氏族の酒と料理を楽しむことのできるこの機会をお楽しみ下さい。
関連NPC
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- ヒー・リショナー(mz0073)
- 人間種|女
参加キャラクター
- リプレイ公開中