オープニング
その異変にいち早く気づいたメロディアが声を上げた。
あなたは自然とそれにつられるように空を見上げる。それは何故か? 辺り一帯が暗闇に包まれたからである。いや、夜が訪れたというよりは光を遮られたような感じだろう。実際に上空には黒い靄が出現し、空一面を覆ったのだった。
「うへェ……なんだか嫌な予感がするよねェ。こんなことなら早いこと退散すればよかったかなァ」
そう反応するのはベリトだ。ついさっきまで奢ってもらったジュースを飲んでいた簒奪者。一応説明しておくと咎人の敵である。
「おい、小娘。これってアレだろ? 敵がわんさか押し寄せてくるっていう、ボクみたいな悪役がやりがちなパターンだろー?」
ベリトはメロディアに質問を投げかけた。ちなみに『ボクみたいな悪役がやりがちなパターン』というのは、人幻界で異世界から呼び寄せたモンスターを放ったりした悪事のことだろう。つまりベリトの予想が正しければ、この後大量のモンスターが出現するはずである。
しかし、そんな悪事をベリトが働いていたことをメロディアは知らないので『いや、そのパターンを私は知らないんだけど……』と呟くのだった。
仕切りなおして。
「――兎に角。あの黒い靄がインクブロット。今は黒い靄のままだけど、いずれ『形どられる』と思う」
あなたはその表現に疑問を抱いた。『形どられる』……確かに現在はただの靄だ。これをモンスターと表現するにはいささか齟齬があるような気がする。ということはつまり――。
「変形するってことだろォ? あーあー。嫌だねェ嫌だねェ。いかにも悪役って感じがしてさァ。ボクより『敵々しく』しないでもらいたいよねェ」
そんな形容詞は存在しない。
しかし、ベリトの『変形する』という予想は的中していた。
上空で黒い靄が動き出し徐々に形どられて行く。それは次第に複数の個体へと分裂し、一つのモンスターとなった。
それはいい。そこまでは予想通りの展開だ。しかし。
「はァ……それはいいんだけどさァ。明らかにあの形――」
そうなのだ。明らかにあの形は――。
●鏡神学園
鏡神学園からもその異変に気付くことはできていた。
上空には黒い靄が出現し、次第に形どられていく。
徐々に手が作られ、足が作られ、顔が作られ……そして翼が作られ。
完全に変形した今も黒い靄が掛かっていて不確かな形をしているが、これだけはハッキリと言えるだろう。
あれはこの世界に住む人々――神使に違いない。
「インクブロットの討伐に向かう。全員パジャモに乗れ。ついてこられないヤツはそのまま遅れていろ。下手に負傷されても困るからな」
そう掛け声を上げたのは天空騎士のシャルルだった。彼は迷うことなくパジャモに跨り、いち早く飛び出していく。
一方で降神学科ではオーウェンが指揮をしていた。
「降神学科の諸君! 私たちには自由の翼がある! 奴らに後れを取るな! 降神の力を見せるのだ!」
オーウェンは自らの翼を展開し飛翔。そのままシャルルを追いかける形で飛んでいく。
二人はこの状況に驚きはしなかった。何故なら、インクブロットとの闘いは何度も経験があるからだ。おまけにインクブロットが神使の形を真似ることも知っている。いつも通りのことなのだ。
しかし。
今回の黒い靄には例外も含まれていた。
その例外に気づくように、最初に現場へとたどり着いたシャルルは困惑した表情を浮かべている。というのも、目の前に巨大な靄が集まり始め、いつもとは違う形に変形していったからだ。
「これは……。まさかな。神獣に変形したというのか……?」
神使とは異なる形。まるでドラゴンのように形どったそれは、あきれるほどに大きい図体をしていた。
遅れるようにして現場にオーウェンが到着する。
「どういうことだ……? 私の予想が正しければ……この姿は」
オーウェンはその神獣の形に見覚えがあった。いや、正確には本物は見たことがない。図書室にあった図鑑で見たことがあるだけ。でもオーウェンには判る。
その大きい図体。腕に生える大きな翼。間違いようがない。
「お前は……三大神獣の一つ――マグルート!」
そのオーウェンの反応に応えるかのように、マグルートは巨大な口を大きく開け……。
二人に向かって火球を飛ばした。
●マグルート島
一方でインクブロットへと立ち向かおうとしているあなたに対して、簒奪者は言葉をかける。
それは思いもよらない言葉であり、本人も特に理由があるわけではなかった。
それでも確かに簒奪者であるベリトはこう呟いた。
「奢られっぱなしは嫌いなんだよねェ」
遅れて放たれた魔弾。勢いよく空へと駆け登り、やがてそれはインクブロットを撃ち抜いた。
ベリトはそれ以上は語らない。語れない。
しかし間違いないのは、ミックスジュース代分は働くということなのだろう。
あなたは納得し、武器を取ったのだった。
成功条件
条件1 | インクブロットの討伐 |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
大成功条件
条件1 | 町に被害を出さない |
---|---|
条件2 | - |
条件3 | - |
選択肢
選択肢1 | 人型インクブロット討伐 | 現在の人数 | 13 |
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選択肢2 | 神獣型討伐 | 現在の人数 | 14 |
解 説
この作戦は二つの選択肢に分けて実行されます。
選択肢1.人型インクブロット討伐
突如として現れた人型インクブロットを討伐します。
インクブロットは黒い靄のようなモンスターであり、近づいて見てみると人のような形をしています。
飛行能力を持って持っており、常に空中を彷徨っている様です。
向こうから積極的に攻撃を仕掛けてくるわけではありませんが、近づくと襲ってきます。
ダメージを与えると消え去り、すぐに復活することはありません。
いずれの人型インクブロットも知能は低く、連携したり仲間をサポートするといった行動はとりません。
また会話をすることもできません。
戦闘にはメロディアとベリトが参加します。
また、行動によってはベリトと一時的に協力関係を結べるかもしれません。
選択肢2.神獣型インクブロット討伐
神獣を形どった巨大なインクブロットを討伐します。
こちらは普通の神獣よりも大きく、人が乗るようなサイズではありません。
また、多数出現した人型と違い、一体しか出現していないようです。
人型よりも攻撃的である為、放っておくと近くの町に被害が出る可能性があります。
神獣型も飛行能力を有している為、何かしらの飛行手段を持っていくことをお勧めします。
戦闘にはオーウェンとシャルルが参加します。
●敵情報
・インクブロット(近接)
近接攻撃を行う人型タイプ。サイズ1。
近づいてきて単純な攻撃をしてくる雑魚モンスター。
シールドあり。
・インクブロット(射撃)
射撃攻撃を行う人型タイプ。サイズ1。
中距離から単純な攻撃をしてくる雑魚モンスター。
シールドあり。
・インクブロット(魔法)
魔法攻撃を行う人型タイプ。サイズ1。
遠距離から単純な攻撃をしてくる雑魚モンスター。
シールドあり。
・インクブロット(神獣)
巨大な神獣タイプ。サイズ5。
翼で薙ぎ払ったり、火を吐いて範囲攻撃を行ったりする。
シールドなし。
マスターより
ハイブリッドヘブンをお楽しみいただきありがとうございます。運営チームです。
こちらのシナリオはエピック「鏡界の神獣」と連動する内容となります。
エピックをクリアしなくとも参加は可能ですが、併せてお楽しみいただけますと幸いです。
参加キャラクター
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- フリッツ・レーバ(ma0316)
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- アストレイト・ヴォルフ(ma0258)
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- リナリア・レンギン(ma0974)
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- シアン(ma0076)
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- マイナ・ミンター(ma0717)
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- モルディウス(ma0098)
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- 高柳 京四郎(ma0078)
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- 天魔(ma0247)
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- 白花 琥珀(ma0119)
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- 川澄 静(ma0164)
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- サヴィーノ・パルヴィス(ma0665)
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- ラクス・カエルム(ma1196)
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- 更級 暁斗(ma0383)
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- リムナンテス(ma0406)
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- 山神 水音(ma0290)
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- 葛城 武蔵介(ma0505)
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- アリス=ウロボロス(ma0502)
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- ウガツ ヒョウヤ(ma1134)
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- ザウラク=L・M・A(ma0640)
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- アルティナ(ma0144)
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- 不破 雫(ma0276)
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- 葉山 結梨(ma1030)
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- アクイレギア(ma1163)
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- マリエル(ma0991)
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- アナルデール・ウンディーニ(ma0116)
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- 宵待 伽羅彦(ma0748)
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- 透夜(ma0306)
- リプレイ公開中