オープニング
「最近多いねぇ」
砂埃のにおいが強い街の往来で、婦人たちがそうささやき合っている。
「西の方じゃその揉め事で人が死んだっていうじゃない」
「港には銃痕のある死体が浮いたって話もあるし……」
物騒ねぇ、とため息をつく。
そこへ、一人の少年が通りがかった。
(くそったれ……)
ギラギラと隠せぬ野望の映る目をした、活劇俳優のような男子である。
(なんで俺たち住民はそうやって不安と隣り合わせで生活しなくちゃならないんだ?)
思ったところで、先の婦人たちがまだ話していることに気付いた。
「でもまあ、まだ住民には被害はないようだし……」
「自分たちでやり合う分には知らんぷりするしかないわよねぇ」
こっちは日々の生活で忙しいし、と婦人たちは分かれた。
「……ロクでもねぇ街だ」
少年は吐き捨てた。
マフィアが暴力で支配する町で、その暴力が目に付くようになっている。
住民は巻き込まれないようにと無関心。
見て見ぬふりだからマフィアは悠々と好き放題。
おかげで富と権力が集中し、光と影が強くなる。いや、強くなりすぎた。
そんな思いが去来した時だった。
「おい、ゼンゼン」
少年に声が掛かった。
「暇そうだな。ちょうどいい、俺たちマフィアの仕事をちょっくら手伝わねぇか?」
「また……。仕事はいいけどマフィアには入らねぇよ。あきらめてくれ、トロンさん」
「お前なぁ、今回はそこまで言ってないだろ? それにこの町でお前みたいな身寄りのない宿無しが豊かに生活するにゃ、マフィアに入るか映画俳優になるか、だ。ワリぃことは言わんから俺らのマフィアに入っとけよ」
「入ったら最後、自由なんてない飼い犬生活だってトロンさん自身が愚痴ってた気もするけどね?」
「野良犬では生きにくい街、ってこった。だから悪いことは言わないと言ってる。いつまでも……」
「犬にはならねぇよ」
今回は仕事はできないから、と別れる。
「ゼンゼン。またピックさんが訪ねてきてたわよ」
下宿に戻ると家主の若い女性に告げられた。美人である。
「あの義足松葉杖のおっさん、また来てたんだ……」
ゼンゼン、言葉を失った。
「映画俳優のスカウトでしょ? 思い切ってお願いしてしまえばいいのに」
「……あのおっさん、俺をダシに銀幕に戻りたいだけだぜ?」
優しい口調で言われ、すねたように唇を尖らせた。
この反応に、ぷ、と噴き出す家主。
自分が映画俳優になろうと思えばいつだってなれる、くらいの態度だったからだ。
「相変わらず自信過剰ね……まあそこがいいんだけど。手のかかるやんちゃさん、って感じで」
「こ、子供扱いはよしてくれよ」
ゼンゼン、困った顔をした。
で、部屋に戻ると窓から紙飛行機が飛んできた。
下を見ると義足松葉杖の男が満足そうな顔でこちらを見上げていた。すぐに立ち去る。
やれやれ、と紙飛行機に目を落とすゼンゼン。広げると手紙になっていた。
文面は「アクションスターへの道、その一。受けの見栄えを磨け」と。
「自分が光りたいならまず相手を光らせろ、か」
いつだか教えられた言葉を反芻する。
「……くっ! どいつもこいつも俺に首輪をつけようとしやがって!」
すべて、大人の都合。
たまったものが爆発し、部屋を出た。
「こんな汚ねェ街なんか出てってやる!」
街で耳に入るのは暴力、殺し、金。そんな話ばかりだ。
「お、ゼンゼン。ちょうどよかった。パトロールの仕事があるぜ? 郊外の西方面だ」
向かった牧場でそう言われ、頷いて馬の手綱を取った。
乗り逃げして街を出るつもりだ!
しかし。
「……クリーチャー、か」
街から離れた森で骸骨剣士の集団を発見した。ゼンゼンは驚かない。そういう仕事だと割り切っている。
「街に知らせに戻るしかねぇな」
ここで戦っても証明できないので金にならない。それに一人では退治できない数だ。
「街から出るわけにはいかなくなったな」
吐き捨てて馬首を巡らせた。
戻って係員に報告する。ちょうど咎人が牧場にいたので声がかかり、討伐隊が組まれた。
成功条件
| 条件1 | 骸骨剣士と戦い、被害なく討伐する |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | ゼンゼンの下宿にて茶を飲み交流する |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
街外れの荒野にて骸骨剣士10体前後を退治してください。また、その後のお茶会で住民と親交を深めることができる。
◆骸骨剣士×10体
・剣と盾で武装した近接型
・現場に到着した時は森から出てゼンゼンの引き揚げたルートをたどっており、開けた荒野で鉢合わせする
・遠距離から一方的に攻撃するとかなわないと判断し逃走するので注意
・実際の骸骨ではなくクリーチャーとして生み出されているため、討伐後は消滅する
・確認のためゼンゼンと牧場の係員が後に付く形で同行する
◆討伐後
・ゼンゼンの保護者として牧場まで来ていた宿主(美人)が下宿まで案内しお茶をご馳走する
※そこで「こういった事件はないのか?」など、参加者が参加してみたい事件や依頼を聞いてみることができる
【このシナリオのポイントは?】
・戦闘は真面目にやっていれば勝てる内容(町が大騒ぎになっていない理由)で、戦闘スタイルの実践ができる
・戦闘の苦手なPCは戦闘する気のなかったゼンゼンを支援することで、彼が剣で頑張ります(基本は待機)
・むしろシナリオの本番は下宿のお茶会でこれから期待するシナリオなどをつぶやいてみること
・つぶやくことでPCの個性(どんなことに興味があるか)などを表現する貴重な機会となる
・もちろん、口にした内容が実現するとは限らない
マスターより
ふらっと、瀬川です。
闇掟界「オルメタ」での依頼をお届けします。瀬川のシナリオは、才気あふれる少年「ゼンゼン」で案内していくことになりそうです。
まずはシンプルな戦闘依頼と、どんなシナリオに興味があるかのアピールの場を設けました。実現するとは限りませんが個性の表現ができます。
OPが長めですが、展開ルートの可能性を詰め込んでいるということで。
よろしくお願いします。
参加キャラクター
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- 鳳・翼(ma0424)
- 神魔種|女
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- 氷雨 累(ma0467)
- 人間種|男
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- フィリア・フラテルニテ(ma0193)
- 神魔種|女
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- 更級 暁都(ma0383)
- 人間種|男
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
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- 鈴鳴 響(ma0317)
- 神魔種|女
- リプレイ公開中




