オープニング
だが、そんなツインフィールズでも、一際輝きを放つ光、事業があった。
そう、それこそが今時の最先端娯楽『映画』だ。
●大舞台に立つ者よ
「良く来てくれた、紳士淑女の諸君!! 君達は今、ボクの広大なる作品の一つになると言う偉大な役目を担えたんだ」
依頼を受け集められた咎人達の視線が一つに集まる。
木で組み立てられた台。天井には丸い輪っかに結ばれたロープがブラブラとぶら下がる。
言わば、絞首台と言うヤツか。その台に立つは、メガネをかけた30代ほどの男性が一人。
「ちょ、監督!? それ足場抜けるから降りてから話してください! 危ないから」
……若いスタッフから注意を食らっていた。
●気を取り直して
ここは、かの有名(らしい)ツインフィールズ撮影所。
絞首台から降りて監督と呼ばれた男性は、咳払いを一つ。彼こそが、映画会社デイシーの映画監督にして咎人達の依頼主、トーマス・アルバートその人だ。
新進気鋭の監督であり、何よりもリアリティーの追求を求めた作品造りを行うと言われている。
腕もこの若さにして一流ではあるが、どうも意固地なこともあり映画スタッフ達は辟易することもあるそうだ。
そんな、トーマスが今回手掛けるは、西部開拓時代のとあるガンマンのストーリーとのことだ。タイトルは『荒野の笛吹』。
「君達にやって貰いたいのは所謂『エキストラ』と言うものだ」
名前くらいは聞いたことがある人も多いだろう。主役達が台詞や、アクションを繰り広げるなかで、住民や見物人などのその他大勢を担う役目だ。
「エキストラ、端役に間違いはない。しかし、その時代背景を映し出すには必要不可欠な役柄なのだよ! エキストラなくば、映画に完成はない」
と豪語すれば、監督自ら咎人達をスタジオを案内してくれるようだ。
●セットと言う名の物語
先ずは屋内。スイングドアを開ければ、そこはサルーン。所謂、ウエスタン酒場だ。
積まれた、ヴィンテージ物の酒樽や、ウイスキーの褐色ビン。カウンターテーブル。複数の背凭れ椅子に丸テーブルの上にはトランプ。
「街の住民達がガヤガヤと愉しげにしていると、ならず者フレディと主人公のハーメルが一子触発と言う、シーンに使うセットだ」
「言ってくれれば、食事も本物を用意出来る。……当然だが、ウイスキーではなくお茶を飲んで貰うよ」
と言うも、トーマスは不服そうだ。この世界では禁酒法により、当然だが飲酒は一切出来ない。リアリティーを求める彼としては、きっと本物を使いたいのが本音なのだろう、と咎人達でも察せる。
「さて、お次は外だ」
●クライマックスは、貴方が創る
その街並みの光景を一目見て出る言葉はそう、まるでタイムスリップだろうか。ジャリジャリな地面はまだ舗装すらなく並ぶ緑はサボテンばかり。建物は低くて殆んどが木製。排気ガスをあげる車の影はなく、馬車が停車している。
『来な、成り上がりの若僧が』
『………その言葉、後悔すらさせる間もなくぶち抜いてやろう』
「……よし、もう少し力を抑えて台詞を喋るか」
「はい、センパイ。テンポはどうです?」
「ちょうど良いと思うな、後は本番だ」
「は……はい、よろしくお願いします!」
ちょうどシーンのリハーサルなのか、二人のカウボーイが台本片手に話し合っている。恐らく主人公が、ならず者役の俳優に頭を下げている、と言う映画の中であり得ない光景が目の前では繰り広げられていた。
「ここで、ならず者と主人公が決闘を行う。君達には、その観客になって貰うよ」
決闘。西部劇においてはお決まりのシーンである。立会人の元、数を数え銃を撃つ。基本、勝負は一瞬にして一回。本来は、他にも色々礼儀があるようだが、そこは映画と言うことで魅せ優先で割愛。
真剣勝負を行う彼らに贈るのは、賛辞か野次か、はたまた沈黙か、間違いなくこの場所は作品の一番の山場となる場所なのだろう。それを最前列で見れる。エキストラとは、そんなプラチナチケットでもあるのだ。
●クランクアップ
一通り案内を終えたトーマスは再び、元の絞首台の所に戻ってきた。目印にちょうど良いのだろうが、もう少し場所を選んでは良かったのでは、と思わなくない咎人もいたりする。
「場所は一通り見てくれたな」
どれもこれもが、本物と見間違うほどのセット。きっと、中には本物の小道具も混ざっているのだろう。どれだけの費用がかかっているか、なんて想像がつかない。それを可能にしているのは、どうやらとある富裕層が、この映画業界そのものに莫大な資金提供を行っているそうだ。
その期待を背負っている、とトーマスが考えているのか、これも映画へ向ける熱意の現れなのだろう。
「台本はない。君達のリアルな素をそのまま映像に残す。衣装も此方で用意する」
ここで、ビシッと指を立てて
「ただし、一つだけ。俳優さん達の邪魔はしないように」
そう、あくまでエキストラは彼らにお芝居をしてもらう為の土台なのだ。だからこそ、大切であり無下に出来ない存在だ。
「そして、その今回がこの映画のフィニッシュフィリミング(クランクアップ)でね。終わったら、軽くだが打ち上げ会を行おうと考えている」
どうやら、エキストラも参加して良いらしい。軽く食事も出るそうだ
当然だが酒はない。そんなことしたら、別の意味で映画は有名になってしまうだろう。
「さて、説明はこんなところか」
言い終わるか否か、トーマスはメガネを直してから指をパチンと軽快にスナップさせる。
「さぁ、開始だ。より、リアルな創造(クリエイティブ)を!!」
成功条件
| 条件1 | 映画のエキストラをこなす。 |
|---|---|
| 条件2 | 俳優達の邪魔をしない。 |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | トーマス監督を満足させる。 |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
※このシナリオは相談をした方が良いと判断したためエキスパートにしてますが、判定はカジュアルルールを採用します。
エキストラとは?
通行人や群衆など、物語に於いて重要性のない役。しかし、物語を引き立てるためにとても大事な役。
セットは二つ(サルーン、もしくは、街中)。どちらかを選ぶ形になる。『どちらか片方しか出演出来ない』演技は自由だが、他の役者さんの邪魔にならないようにすること。
サルーン(酒場)
屋内。主にワイワイガヤガヤと、食事をしたり世間話をしたりすることを求められる。トランプ等の小道具も使える。
お酒は全て偽物、お茶を飲むことになる。
街中
主演達の決闘シーンが行われる。決闘を見る野次馬として、応援したり、ヤジ飛ばしたりすることが求められる。
勝負の瞬間は喋ってはいけない。
その他
衣装、小道具は用意されているが、自前のものを使っても構わない(西部劇の世界観に合いそうなもの)
撮影が終わった後、打ち上げがあるそうで咎人達も参加して飲み食いが出来る。スタッフや、監督とも交流が可能。
NPC
トーマス・アルバート
30代の男性。映画会社デイシー社の新進気鋭の映画監督。リアリティーを何より追求した作品を取ることをモットーとしている。そのためか、意固地になることもありスタッフも手を焼くこともしばしば。
マスターより
こんにちは、月宵です。いよいよオルメタシナリオが始動しました。他の皆様は、ドンパチやっているようですが、私は映画と言う路線からこの世界を覗かせていただきます。
何事も最初は基礎から。映画もエキストラから、と言ったところでしょうか。先ずは、トーマス監督に信頼していただける所から始めましょう。
それでは、ご参加をお待ちしております。
参加キャラクター
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- リコリコ(ma0309)
- 妖精種|女
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- 不破 雫(ma0276)
- 人間種|女
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- ヴォルフ・風花 雪乃(ma0597)
- 人間種|女
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- アストレイト・ヴォルフ(ma0258)
- 人間種|男
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- 槇 蘇芳(ma0602)
- 人間種|男
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- 山神 水音(ma0290)
- 精霊種|女
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- リダ・クルツ(ma1076)
- 人間種|男
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- 麻生 遊夜(ma0279)
- 機械種|男
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- 鈴鳴 響(ma0317)
- 神魔種|女
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- 葛城 武蔵介(ma0505)
- 神魔種|男
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- 桜庭愛(ma1036)
- 人間種|女
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- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
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- フィンダファー(ma0415)
- 妖精種|不明
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- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
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- ソテル(ma0693)
- 神魔種|不明
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- 鳳・美夕(ma0726)
- 人間種|女
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- 歩夢(ma0694)
- 人間種|男
- リプレイ公開中




