オープニング

「御苦労だったな、リカルド」
　アンダーソンファミリーのボス、ウォルター・アンダーソンは屋敷を訪れたリカルド・マエストリ(mz0056)を労った。
　違法酒運搬の護衛や嫌がらせするカークランドファミリーの下っ端を追い返したりと、細々な仕事を請け負っていた。これもオルメタの活動拠点を提供されている身としては当然とリカルドは考えている。
「……叔父貴に、世話になっているからな」
「相変わらず堅物だな。そんな調子だと先に心の方が疲れちまうぞ」
「……十分に休めている」
　リカルドは表情を変えずに返答する。
　だが、ウォルターは何処か心配そうだ。
「仕事中毒の奴は、みんなそう言うんだ」
「…………」
　ウォルターが心配そうな顔を浮かべる。
　アンダーソンファミリーは、様々な事情で人材不足。その穴を埋めるようにウォルターはリカルドを頼っている。負担がそのままリカルドに行くのが申し訳なく思っているのだろう。
　だが、リカルドも心配掛けさせるのは本意ではない。
「……あー、久し振りに町の様子でも見て回ろうと思うんだが」
「お、おお！　そうか！　たまには町を散歩するのも良いだろうな」
　リカルドは気分を変える意味で簡単に町を見回ると言ってしまった。
　だが、それを受けてウォルターが食いつく。休もうとしないリカルドに何を言っても仕方ないが、気分転換になるなら好都合。さらにウォルターはリカルドへ予想外の言葉を投げつける。
「そうだ。リカルド、お前は確か仲間と一緒だったよな？　あいつらをつれてツインフィールズを案内してやれ。金は俺が出してやるから」
「……なに？」
　思わず聞き返すリカルド。
　既に頭ではどうやって話を変えるか考えを巡らせるが、ウォルターもリカルドの性格は知っている。
　強制的に気分転換させるなら、『この手』がある。
「こいつは、アンダーソンファミリーのボスとしての依頼だ」

●
　思わぬ形で咎人達とツインフィールズを散策する事になってしまった。
　それもウォルターからの依頼であれば、断る訳にもいかない。
　リカルドもツインフィールズの町が良く知らないが、自分がいたシカゴなら知っている。多少の違いはあるが、アンダーソンファミリーの下っ端から簡単に町の情報も聞き出している。これなら咎人達を案内する事もできるだろう。
「……案内といっても、連れて行く程度だがな」
　そう言いながら、リカルドは咎人達の前に地図を広げる。
　そこは中央に幹線道路を持つツインフィールズの町が描かれている。
「……幹線道路を挟んで東側がイーストサイド。ここがアンダーソンファミリーのシマだ。古西側がウエストサイド。ダンのシマになる。イーストサイドが古い街並み。ウエストサイドは比較的新しい街並みだ。イーストサイドには港湾地区がある。元々移民の多い町らしいからな。レストランは種類豊かだ。イタリアン、中華……俺はホットドッグで十分だ。……それから、酒場だけは表立ってはない。一応、違法だからな」
　リカルドは地図を指差しながら説明する。
「町の中心に町で一番古いツインフィールズ教会がある。ここは町議会や公共施設、クソったれな警察もこの辺りにいる」
　町の中央は行政区のようだ。
　またリカルドによればイーストサイドにはイタリア移民中心のイタリア地区やチャイナタウン、ウエストサイドには日系移民の町であるジャパンタウンなどもあるようだ。
「……それから町の南にはツインフィールズ映画撮影所がある。この辺りには映画会社や芸能プロダクションも多い。町一番の産業が映画だからな。町もそれなりに力を入れている。それからこっちにもレストランや菓子屋も多数が、映画関係者への差し入れにも使われるようだ」
　ツインフィールズで一番の産業は映画だ。
　この辺りは夢見る役者の卵が舞台を経て映画俳優となるべく日夜努力している。映画撮影所付近にはスタッフを支える飲食店なども建ち並び、一夜忙しそうだ。古株の映画会社『エイシー社』や大手映画会社の『デイシー社』もこの地区に居を構えている。映画館もこの地区にあるが、ジャパンタウンにジャパンシアターなる大型映画館が建設中らしい。
「……映画業界にはアンダーソンファミリーだけじゃない、多くの企業が宣伝目的で投資している。その甲斐もあってこの辺りは町でも中立地帯に扱われてる。カークランドの連中もいきなり手出しはしないだろう」
　リカルドは、咎人の登場はカークランドファミリーも警戒している。ウエストサイドで暴れなければいきなり手を出してくる真似はしないだろう、と説明してくれた。
　簡単な案内を伝えた上で、リカルドは咎人達に向かって言葉をかける。
「……で、何処へ行きたい？」

成功条件

条件1	ツインフィールズを観光する
条件2	-
条件3	-

解　説

概要：
ウォルターの依頼で多忙の日々が続くリカルド。見かねたウォルターはリカルドへ「町の見回り依頼」を打診した。
日頃世話になっているウォルターの手間、断るのは悪いと渋々ながら受諾する。
咎人達を町へ案内する事を決めたリカルドは、咎人達をツインフィールズの町へ連れ出すのだった。

場所：
下記の希望地区を散策する事が可能です。

・イーストサイド
アンダーソンファミリーのシマ。彼らが運営する違法酒場や違法カジノで雰囲気を楽しめます。またイタリア地区やチャイナタウン、貨物船が停泊する港湾地区もこちらになります。

・ウエストサイド
カークランドファミリーのシマ。こちらにも違法酒場や違法カジノが存在しますが、派手に暴れればカークランドファミリーに囲まれます。幹線道路近くにはジャパンタウンがあります。

・中央区
ツインフィールズ教会や町の行政施設が建ち並んでいます。ツインフィールズ警察署もこちらにあります。

・映画撮影所
町の南側にはツインフィールズ映画撮影所があります。この付近には舞台や芸能プロダクションを始め、映画関係者が多数集まっています。年一回には映画祭も開催され、町一番の産業として知られています。

備考：
本依頼はフリーアタック系依頼となります。ツインフィールズがどのような場所なのかを知っていただく機会になります。
また希望すれば違法酒場などにも足を運べます。但し、敵対組織であるカークランドファミリーがいるウエストサイドや警察署がある中央区で危険な行動を取れば、捕縛される恐れもあります。アンダーソンファミリーからの信頼を穢す真似は回避して下さい。

※注意
ファリフ、ダン・カークランド、ウォルター・アンダーソン、マット・マートンにも遭遇する事は可能です。ただし、ダンやマットには「立場」がある為、敵対行動や挑発と思しき行為は避けた方が無難です。

マスターより

近藤豊です。
オルメタの町を観光できる依頼を公開させていただきます。フリーアタック系依頼ですので、デートでも観光でも対応可能です。基本的に戦闘はありませんが、自分から戦闘を仕掛ければ大事になる恐れもございます。またマットら警察官と交流する事もできます。ただ、彼らは勤務中である事をお忘れなく。
それでは、フライドポテトを肴にお待ちしています。