オープニング
咎人達に緊急の救助依頼が入る。襲い掛かる謎の人物クイックシルバーとミニオンを退けた咎人達は、記憶喪失の成年アルベリヒに話を詳しく聞く。
彼は語る。彼自身も、何故襲われたかわからないと。そして、思い出したのだ。
このテンペストは自分が住んでいた世界そっくりだ、と。
●水銀が如く
テンペスト。その世界は漸く救われた。だが、東京を覆っていたベールは晴れど、夜闇は平等に訪れる。
なのに……空が赤い。
「誰か! また燃えてるぞ!? 何件目だこれで!?」
「やだ、おじいちゃん、どこ行ったの?」
「早く水を、早く!!」
30後半の男だろうか。辺りに群がる野次馬や、悲鳴にあまりにも清々しく邪な笑みを溢す。
これで己が手で産んだ炎はいくつだろうか、もう数える気も男は起きなかった。
一通りの『唄』を楽しめば、男は場を離れる。
ここは楽園だ。いくら自分が罪を造り上げようが、法は機能しないのだから。
時を経て警察がここを調べる頃には、放火の証拠なぞ恐らく残りはしない。自分もこの都からオサラバだ。
「ッチ……ジジイ、何見てやがる!!」
「ヒィッ」
視線を向けて一喝してやれば、まるで蜘蛛の子のようにホームレスは散っていった。
(折角サイコーの余韻だったのに……サイアクだ)
さて、今日はどうするか。火事のどさくさ紛れに持ってきた誰ともわからぬサイフで飲みにでも出てやろうか。
河川敷にサイフを投げ捨て、抜き出した中身を強引にポケットにねじ込んだ。
瞬間、身を切り裂く視線。熱に浮かされた体が凍りつくような錯覚。そこにあるものに、男は目を見開く。白い影、まるで幽霊のような何かが目の前に佇んでいた。
「まさか……本当に――」
戯言、眉唾、デマ、そして都市伝説だと思っていた。あれを話していたのは、あぶれた天獄機関のチンピラだっただろうか。
凶悪犯だけを殺す連続殺人鬼。
「ッ、クッ……クイックシ」
クイックシルバー。だが、その名を男がすることはない。男の体内に走る強大な力。痛みにもがくことも、絶叫も亡霊は許しはしない。
ドサッ
しっかり遺体が事切れたのを確認し、殺人鬼クイックシルバーは踵を返す。
「後、どれくらい必要かな」
月夜に光る銀のチョーカーに愛おしそうに指で触れながら殺人鬼は呟いた。
●かれはなにおもう
場所は変わって、天獄世界エンブリオ。自宅で来客を待つ男の名はアルベリヒ。
「……はぁ」
溢れたのは溜め息か、ふかした葉巻の煙か、この刹那の時間だけでも、ただただ時間だけを消費したかった。
チャイムが鳴る。贅沢で、無駄な時間終了。
「鍵は開けてある。入ってくれて構わない」
咎人達がリビングに入ってくれば、葉巻の吸殻を灰皿に静かに落とした。
「座ったままで悪い。まだ本調子ではないんだ」
ソファーに身体を預けて挨拶をするアルベリヒ。前回テンペストにて、ワケもわからず瀕死に陥り、殺されかけた。それを間一髪、咎人達に助けられたばかりだ。
しょうがないと言ったところか。
咎人達の依頼主はアルベリヒ。内容は言われなくても咎人達にはわかりきっていた。
『クイックシルバーの調査』そして『アルベリヒの記憶を探る』だ。
「俺もあの後、少しだが思い出したことがあってな……」
記憶喪失である彼が、漸くテンペストで見つけた断片。僅かながら、大きな手がかりになりえるだろう。
「一つは俺の名字が『六条』であること。もう一つが『ザクロの葉』と言う言葉だ」
「そして、俺は一番情報の集まりそうな煉獄の本部を尋ねた。そして、心当たりがある人物とアポが取れた」
「名は『デクスター』と言うアメリカ人らしい……どうした?」
咎人達の表情が変わったことに、アルベリヒは素直に首を捻る。
デクスター。その名前に聞き覚えがある咎人は少なくないはずだ。
スプリームゴッド・プロジェクト、略称『SGP』と言う超能力者研究機関に所属していた変人だ。
あまり、他の世界に降りないアルベリヒは、あまりその名前に聞き覚えがないようだが。
ある程度のキナ臭さは覚える。
「そして、ある河川敷で最近死体が発見された、とも聞いた」
しかも、そいつは連続放火犯の疑いがあったと言う男だったらしい。
つまり、クイックシルバーの標的になりうる人物だ。
「煉獄のスタッフもかけつけている。あの時にいたスタッフらしいし、協力してくれるだろう」
あの時、とは。前回アルベリヒが襲われたか、あの時のようだ。
「どうやら、そいつ。あの戦いの真っ只中で殺人鬼をスマフォで撮っていたらしい」
それほど、オカルトに興味があるなら俺も彼と話してみたかった、などとアルベリヒはポツリと呟く。彼もまた、オカルト収集が趣味なのだ。室内の古本が詰まった棚がソレを教えてくれる。
閑話休題。
「もう一つ。クイックシルバーが着けていたあの銀色のチョーカー。あれと同じ者をつけた少年がとあるジャンク屋で目撃された。こちらも気になる」
銀色の植物の彫刻が施されたチョーカー。前回のクイックシルバーとの戦闘で新たにもたらされた特徴の一つだ。
「他にも、テンペストにいけばわかる情報もあるだろう。二手に別れよう。俺も行く」
アルベリヒと共に煉獄本部に行く組。クイックシルバーの手がかりを探す組。情報別で考えると、この組分けがわかりやすいだろう。
「どちらも片方では切り離せない情報だ……俺自身も、知りたいんだ。俺は何者なのか、この焦りは何なのか……何故ヤツは俺を殺したいのか」
アルベリヒが両手を組み、額につけて項垂れる。普段から悪い目付きにも、重なる疲れからか更に鋭度が増している。彼へのケアも少しは考えた方が良いかも知れない。
「行くぞ。テンペストへ」
成功条件
| 条件1 | アルベリヒ組:六条家とザクロの葉の意味を知る。 |
|---|---|
| 条件2 | クイックシルバー組:クイックシルバーについて知る。 |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | アルベリヒ組:アルベリヒを安心させる。 |
|---|---|
| 条件2 | クイックシルバー組:ザクロの葉に辿り着く。 |
| 条件3 | - |
選択肢
| 選択肢1 | アルベリヒ組 | 現在の人数 | 4 |
|---|---|---|---|
| 選択肢2 | クイックシルバー組 | 現在の人数 | 4 |
解 説
今回依頼は『アルベリヒ組』と『クイックシルバー組』に別れて調査をする。
※今回はシナリオ終了までお互いの情報共有は出来ないものとします。
※今回のシナリオでは、クイックシルバーと戦うことはありません。
■アルベリヒ組(調査難易度・易)
煉獄本部にて情報を集める。内容は前後で二つ。(本部から出ない)
デクスターに話を聞く
アルベリヒが前以てアポイントメントを取っているので、彼から話を聞くことが可能。アルベリヒが同行する。
アルベリヒと会話。
デクスターに話を聞き終わった後、彼に質問が出来る。彼もまた、記憶を戻したいのできっと真摯に答えてくれるだろう。
■クイックシルバー組(難易度・難)
様々な情報があるため、色々場所を回ることになる。(行く場所が増える可能性有)
河川敷
連続放火魔の遺体があるとされる。クイックシルバーの仕業だろう。
同時に煉獄のスタッフもいるようなので、先ずは此方に話を聞いた方が良いだろう。(1章登場済み)
ジャンク屋
クイックシルバーが着けていた珍しい銀のチョーカーを着けた少年がいるとされている場所。
話が聞けるかも知れないが……
※PL情報ですが『クイックシルバー』の『名前』だけでは情報は出ません。
その他
クイックシルバーは能力者であり、犯罪者だ。同じ境遇の者に話を聞いてみるのも、良いかも知れない。
きっとその辺りにいるだろう。例えば、はぐれ者の天獄機関等。
但し、正攻法での情報入手は難しいだろう。
■主要NPC
アルベリヒ
本名『六条アルベリヒ』。テンペストに似た世界に住んでいたらしい。本人は記憶喪失。オカルトが趣味。(アルベリヒ組側に出現)
デクスター
SGPの研究者であった男。狂気的な言動が目立つ変人。(アルベリヒ組側に出現)
クイックシルバー
黒髪長髪の都市伝説とされていた連続殺人鬼。何故かアルベリヒに殺意を抱いている。
マスターより
こんにちは、月宵です。クイックシルバーの新作が登場しました。今回は調査となります。果たして、アルベリヒは何者か? クイックシルバーとの関係性は? それは、皆様が探し当てる事実なのです。
1章を見直すと、何かあるかも知れませんよ。
それでは、ご参加お待ちしております。
関連NPC
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- アルベリヒ(mz0060)
- 人間種|男
参加キャラクター
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- 御伽 泉李(ma0917)
- 機械種|男
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- 高柳 京四郎(ma0078)
- 人間種|男
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- マイナ・ミンター(ma0717)
- 人間種|女
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- 川澄 静(ma0164)
- 精霊種|女
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- ラファル・A・Y(ma0513)
- 機械種|女
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- シャハエル(ma1209)
- 神魔種|男
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- 相澤 椛(ma0277)
- 人間種|女
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- マリエル(ma0991)
- 機械種|女
- リプレイ公開中




