オープニング
●魅惑誘惑迷惑
「どういうことだよ、サンマしかないって!? 他の魚は!?」
「サンマが嫌とは言わないけど、色んな種類を楽しめるから良いんじゃあないのよ!」
最近、流刑街の魚屋では上記のようなクレームが後を絶たない。
流刑街は様々な異世界の食材を取り揃えられる場所であり、意図しない限り商品が一種類だけになるなどということはありえないはずなのに。
この事象は魚屋に限らず、魚を売っている場所ならどこも同じ。まるでサンマに占拠されたかのように、売場にはサンマだけがズラッと並んでいる。
しかし魚屋の店主たちにいくら問い質しても答えは同じ。
『人間は……サンマだけ食べていれば幸せなんだよ……ウフフフ……』
明らかに常軌を逸した表情とふらふらした足取りに、何かがあったのだということは容易に察しがつく。
が、魚屋の店主たちは異世界や浮島には行かないはずなのだ。ずっと流刑街に居て何故ここまで変容する?
食は咎人たちの大きな楽しみの一つ。それをこんな風に破壊されてしまっては黙っていられようはずもない。
町内会による調査の結果、サンマが幅を利かせ始めたのはとある浮島が天獄界に出現してしばらく経った後のことと判明する。
調査隊の報告では、巨大な魚の骨が散乱し腐敗臭が漂う場所で、土も妙に黒っぽい。
更には低い地鳴りのような感じで悲鳴のような音が響き、体調を崩す咎人が続出したのだとか。
地形的には港の周辺といった様相らしいが、浮島なので当然海はない。
「……マスター。サンマ以外のお魚、ある……?」
「無いよ。あってもべらぼうに高くせざるを得ないよ……」
「だよねー……」
トレジャーハンターのカグヤ・パロマージュは、行きつけの酒場のカウンターでぐったりと突っ伏してしまう。
魚がない。どこに行っても魚がない。そして無いと思うと尚更食べたくなるのが人間心理。
懇意にしている友人の喫茶店にも行ってみたが、マグロを求めて人が殺到していたため身の危険を感じ、すごすごと逃げ出して現在に至る。
あの様子ではマグロの在庫も時間の問題だな……と思いつつ、マスターに疑問をぶつけてみる。
「例の浮島に行ったのは調査隊だけなんだよね……アタシも行ってないんだ。それなのに影響を受けてるのは魚屋さんとか、魚を仕入れる業者さんばっかり。これってどういうことだと思う?」
「さぁなぁ。俺を含めた飲食店の連中は無事なんだし、魚を扱うやつにだけ反応する呪いとか病気なんじゃないか?」
「あっはっは。まっさかぁ、そんな非現実的なことあるわけ―――」
あるわけない。そう断じれないほど流刑街というのは特殊な環境だ。
日々出現する浮島は常識では考えられないような環境や生物を要する並行世界の欠片。ありえないなんてことはありえない。
人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である。そんな言葉を言った人間が居るらしい。
後日、更なる調査が進んだ結果……恐ろしい事実が判明した。
例の浮島には『ミラクル新鮮漁猟団特殊宣伝班NEXT1 ゲットアンバサダー』という闇の宗教が幅を利かせていたという。
魚の姿をした悪魔たちを旗頭とし、世界全てをサンマ好きに洗脳して支配することを目的とした組織である。
アホみたいな話であるが、その目論見はかなり進んでおり……なんと世界の半分ほどまでを手中に収めていたのだとか。
しかし残りの半分を支配する前に邪神と簒奪者の介入を受け、世界は崩壊。
その後も執念が呪いと化し、その地に踏み入った者にサンマしか食べられなくなるという呪詛をばら撒くようになってしまった。
タチが悪いのは、本人が影響を受けるのではなく周囲、ひいては世界の常識を改変するタイプの呪いであるということ。
魚屋がサンマしか仕入れないから食べられなくなる。サンマしか捕れなくなるから結果食べられなくなる。そういう大規模な呪い。
例の浮島にはサンマ以外の魚を食べたいという怨嗟の声が今も響き、新たな犠牲者を待っているのだとか……。
「……はぁ? そんなのどうやって解決するんだ? 何かを倒したり壊したりすれば元に戻るって感じじゃないよな……?」
「ふっふっふー、マスター、そういう時は必ず元凶が居るんだよ。そんな大規模な呪いは残滓だけじゃ成立しないもん」
「そういうもんかねぇ……」
「きっと魚の姿をした悪魔の生き残りとかが潜んでるはず! 是が非でも退治しに行かなくっちゃ!」
自信満々に呟いて、カグヤは町内会へ進言しに走っていった。
まぁ、事件が解決して魚を仕入れられるようになるならなんでもいいか……酒場のマスターはそう納得しグラス磨きに戻るのだった―――
「どういうことだよ、サンマしかないって!? 他の魚は!?」
「サンマが嫌とは言わないけど、色んな種類を楽しめるから良いんじゃあないのよ!」
最近、流刑街の魚屋では上記のようなクレームが後を絶たない。
流刑街は様々な異世界の食材を取り揃えられる場所であり、意図しない限り商品が一種類だけになるなどということはありえないはずなのに。
この事象は魚屋に限らず、魚を売っている場所ならどこも同じ。まるでサンマに占拠されたかのように、売場にはサンマだけがズラッと並んでいる。
しかし魚屋の店主たちにいくら問い質しても答えは同じ。
『人間は……サンマだけ食べていれば幸せなんだよ……ウフフフ……』
明らかに常軌を逸した表情とふらふらした足取りに、何かがあったのだということは容易に察しがつく。
が、魚屋の店主たちは異世界や浮島には行かないはずなのだ。ずっと流刑街に居て何故ここまで変容する?
食は咎人たちの大きな楽しみの一つ。それをこんな風に破壊されてしまっては黙っていられようはずもない。
町内会による調査の結果、サンマが幅を利かせ始めたのはとある浮島が天獄界に出現してしばらく経った後のことと判明する。
調査隊の報告では、巨大な魚の骨が散乱し腐敗臭が漂う場所で、土も妙に黒っぽい。
更には低い地鳴りのような感じで悲鳴のような音が響き、体調を崩す咎人が続出したのだとか。
地形的には港の周辺といった様相らしいが、浮島なので当然海はない。
「……マスター。サンマ以外のお魚、ある……?」
「無いよ。あってもべらぼうに高くせざるを得ないよ……」
「だよねー……」
トレジャーハンターのカグヤ・パロマージュは、行きつけの酒場のカウンターでぐったりと突っ伏してしまう。
魚がない。どこに行っても魚がない。そして無いと思うと尚更食べたくなるのが人間心理。
懇意にしている友人の喫茶店にも行ってみたが、マグロを求めて人が殺到していたため身の危険を感じ、すごすごと逃げ出して現在に至る。
あの様子ではマグロの在庫も時間の問題だな……と思いつつ、マスターに疑問をぶつけてみる。
「例の浮島に行ったのは調査隊だけなんだよね……アタシも行ってないんだ。それなのに影響を受けてるのは魚屋さんとか、魚を仕入れる業者さんばっかり。これってどういうことだと思う?」
「さぁなぁ。俺を含めた飲食店の連中は無事なんだし、魚を扱うやつにだけ反応する呪いとか病気なんじゃないか?」
「あっはっは。まっさかぁ、そんな非現実的なことあるわけ―――」
あるわけない。そう断じれないほど流刑街というのは特殊な環境だ。
日々出現する浮島は常識では考えられないような環境や生物を要する並行世界の欠片。ありえないなんてことはありえない。
人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である。そんな言葉を言った人間が居るらしい。
後日、更なる調査が進んだ結果……恐ろしい事実が判明した。
例の浮島には『ミラクル新鮮漁猟団特殊宣伝班NEXT1 ゲットアンバサダー』という闇の宗教が幅を利かせていたという。
魚の姿をした悪魔たちを旗頭とし、世界全てをサンマ好きに洗脳して支配することを目的とした組織である。
アホみたいな話であるが、その目論見はかなり進んでおり……なんと世界の半分ほどまでを手中に収めていたのだとか。
しかし残りの半分を支配する前に邪神と簒奪者の介入を受け、世界は崩壊。
その後も執念が呪いと化し、その地に踏み入った者にサンマしか食べられなくなるという呪詛をばら撒くようになってしまった。
タチが悪いのは、本人が影響を受けるのではなく周囲、ひいては世界の常識を改変するタイプの呪いであるということ。
魚屋がサンマしか仕入れないから食べられなくなる。サンマしか捕れなくなるから結果食べられなくなる。そういう大規模な呪い。
例の浮島にはサンマ以外の魚を食べたいという怨嗟の声が今も響き、新たな犠牲者を待っているのだとか……。
「……はぁ? そんなのどうやって解決するんだ? 何かを倒したり壊したりすれば元に戻るって感じじゃないよな……?」
「ふっふっふー、マスター、そういう時は必ず元凶が居るんだよ。そんな大規模な呪いは残滓だけじゃ成立しないもん」
「そういうもんかねぇ……」
「きっと魚の姿をした悪魔の生き残りとかが潜んでるはず! 是が非でも退治しに行かなくっちゃ!」
自信満々に呟いて、カグヤは町内会へ進言しに走っていった。
まぁ、事件が解決して魚を仕入れられるようになるならなんでもいいか……酒場のマスターはそう納得しグラス磨きに戻るのだった―――
成功条件
| 条件1 | 魚頭の悪魔を見つけ撃破する |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
大成功条件
| 条件1 | 流刑街のあちこちにかけられたサンマの呪いを解除する |
|---|---|
| 条件2 | - |
| 条件3 | - |
解 説
・天獄界エンブリオにある、とある浮島が舞台です。
・その浮島はサンマしか食べられなくなる呪いの発生源とされており、そこに潜むと思われる元凶を撃破するのが目的です。
・浮島は港やその周辺を切り取ったような地形となっており、倉庫街や船の残骸、巨大な魚の骨などが散見されます。
・浮島なので海はありません。港の外は枯れた大地のようになってしまっています。
・浮島のどこかに呪いの元凶となる魚頭の悪魔が潜んでいます。
・その悪魔は肉弾戦は不得意ですが、強烈な魅了や呪いを得意とします。サンマ好きに洗脳するだけが能ではないので注意しましょう。
・悪魔本人を撃破してもすぐには呪いは消えません。キチンとした解呪の方法を吐かせないと、サンマだらけの日常が長く続くことにもなりかねません。
マスターより
皆さんこんにちは。そういえば最近サンマ食べてないなと思っている西川一純です(何)
コメディチックではありますが、一つの世界の半分を支配するまでに至った組織の大幹部です。倒すのはそう簡単ではないかも知れません。
浮島には知的生命体は存在しない。そんな大原則をすり抜けてまで存在しうる相手だと思えば、油断はできませんよね?
サンマ以外のお魚たちを食卓に取り戻すためにも、是非撃破をお願いしたいところ―――
関連NPC
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- カグヤ・パロマージュ(mz0057)
- 人間種|女
参加キャラクター
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- 不破 雫(ma0276)
- 人間種|女
-

- フリッツ・レーバ(ma0316)
- 剛力種|女
-

- 小山内・小鳥(ma0062)
- 獣人種|女
-

- ラファル・A・Y(ma0513)
- 機械種|女
-

- 氷雨 累(ma0467)
- 人間種|男
-

- フィリア・フラテルニテ(ma0193)
- 神魔種|女
-

- 天野 イサナ(ma0022)
- 人間種|女
-

- ゼロン(ma1098)
- 神魔種|男
- リプレイ公開中




