野盗化ゴブリン討伐(簒奪者、『鉄灰』編)
柏木雄馬
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シナリオ形態
ショート
難易度
Hard
判定方法
エキスパート
参加制限
総合900以上
オプション
参加料金
100SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50SC
報酬
300 EXP
5000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
4日
抽選締切
2022/05/14 10:30
プレイング締切
2022/05/18 10:30
リプレイ完成予定
2022/05/27
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. -
  5. -

オープニング

「私は、君たち咎人と聖王国軍に対し、一時休戦と交渉を提案する」
 ロンデニオン要塞東方、某所。要塞攻防戦に敗北した魔王軍の敗残兵が立て籠もった『洞窟アジト』内── 『咎人』トクデラ・アケミは、遭遇した『簒奪者』からそのような申し入れをされて、思わず言葉を失った。先日、洞窟内の『大空洞』で行われた『決戦』に敗れ、洞窟深部へと敗走していった敵状を探るべく、偵察に出向いた先での事だった。
 ──地面に転がった松明の灯りに浮かび上がる『ゴブリン小鬼』の簒奪者。今の自分たちの戦力では決して勝てない敵を前に、身体は硬直し、全身から汗が噴き出し始める。
 だが、それでも。アケミたちの思考は、思考だけは、冷静に状況を受け止めていた。……正直、この状況はとても怖い。だけど、目の前の簒奪者なんかよりも、『本気の』教官殿の方がよっぽど恐かったし。
「……交渉?」
 不敵な笑みを浮かべて、アケミは簒奪者の呼び掛けに応えた。
「そうだ。交渉だ。こちらの要求は、我が配下の兵たちの魔横領への無事の帰還。この条件が満たされるなら、すぐにでもこの『洞窟要塞』を貴軍に明け渡す用意がある」
「つまり……我々に降伏する、と?」
「否。降伏ではない。そも我々はまだ敗北していない。そちらが提案を断るのならば、我々は要塞に籠り続けるだけだ。そして、この洞窟の奥で貴軍を待ち受け、隠し通路から神出鬼没に現れては、お前たちに出血を強い続けよう」
 そのやり取りを受けて、アケミは暫し沈思した。
 ……簒奪者はまだ戦えると主張した。だのに休戦の申し入れもした。戦えるのに戦いを止めたいという。その真意は奈辺にあるのか……?
 アケミは心の袈裟を少し緩め、正直にそれを訊ねてみた。
「決まっている」
 簒奪者は自嘲気味に笑って、答えた。
「これ以上、この地で戦い続ける意味が無くなった…… 魔王殿が死んだと、そう報せられたからだ」


 洞窟アジト外、出入口前。野盗化ゴブリン討伐隊・本隊指揮所──
 トクデラ・アケミを介してもたらされた敵将からの休戦提案に、討伐隊の幕僚たちの意見は真っ二つに割れていた。
 ある者は、この地獄のような戦いにケリがつく事に安堵した。討伐隊の中核を担う王国重装騎兵隊は、真正面からの殴り合いには強いが搦手には弱い。特に狭い洞窟内ではその真価を発揮し得ず、罠や隠し通路を用いた襲撃により少なくない被害を出してきた。
 一方、休戦などもっての外、と反発する者もいる。この洞窟に籠る敵勢は周辺の村々を襲撃した『野盗』であり、そして、『持つ者』たる騎士たちにとって、無辜の『持たざる者』たちを襲った賊らを討たざるは、容易には受け入れ難きことだった。
「アケミの報告によれば、ここの敵部隊は簒奪者『鉄灰』に率いられた隠密部隊。来るべき魔王軍の再侵攻に備え、聖王国領内に潜伏することにした連中らしい。この『洞窟アジト』もロンデニオン要塞の後方線を扼す為の拠点として改造されたものだとか」
 その間も、『軍曹』との二つ名を持つ熟練の咎人が、通信術式を介してアケミから次々と送られて来る新たな情報を幕僚たちに開示する。
「鉄灰色の小鬼たちが、簒奪者『鉄灰』が自ら教育と訓練を施した、情報収集と遊撃戦を専門とする部隊。それ以外の緑色の肌のオークやゴブリンは、隠密部隊がこの洞窟に潜んでいると知って流れてきた一般部隊の敗残兵──即ち、村々を襲った『野盗』であるらしい」
「だから何だと言うのだ! あいつらは軍兵ではない。犯罪者だ! 不正規戦を任とする鉄灰色どもも同じ穴の貉だ! 皆殺しにするべきだ!」
「どうやって? また力づくでの攻撃を続けるというのか? 数多の罠と仕掛けが待ち構えるこの地下要塞を?」
 撤兵派がそう問い掛けると、流石の断罪派も鼻白んだ。
 既に魔王は死に、聖樹界の滅亡も回避された。この洞窟の戦いは謂わば戦後処理──世間では既に『戦に勝利』したというのに、今更こんな『割りに合わない』戦場で命を落としたくはない、と考える者が多数派だろう。
「……だが、罪人は裁かれなければならぬ」
 断罪派が呻く様にそう言うと、中立派が妥協案を提示した。
「ならば、どうだろう? とりあえず停戦を受諾して、とにかくここの残党軍を外へと引き出してしまうのだ。洞窟の外に出してしまえば、敵はただのゴブリンとオークの群れ。いかようにも処断できよう?」


 かくして、討伐隊は休戦提案を受け入れ、魔王軍残党に洞窟外への退去を要求した。アケミからそれを伝えられた『鉄灰』は「そうか」とただ一言頷くと、拠点を放棄し、部下たちを連れて洞窟外への移動を開始。アケミもそれに同道した。
「……私に名前は無い。前世でも今世でもただ『鉄灰』と呼ばれていた。それは私の肌の色であると同時に我が識別名でもあり、そして、この世界においては、とある小鬼の部族名であり、また、私が育てた隠密部隊名でもあった」
「待って。『この世界』……? 貴方は聖樹界出身の簒奪者ではなかったの?」
「否。私の前世は、こことは別の幻想世界。『茨の王』と呼ばれた英雄に仕えた一ゴブリンに過ぎなかった。何の異能の力も持たず、故に名も与えられず……ただ知略のみを才として王に仕えた『軍師』だった」
 地上への道すがら、二人の間に咲く雑談の花──更なる情報を引き出す目的のその会話に、アケミは目的以上の何かを見出し始めていた。
「そこで活躍を?」
「否。『茨の王』の軍は敗れ、私は人間たちに捕らえられた。古都と呼ばれる学術都市に送られ、そこで『変異体の調査』の為に解剖され、命を落とした」
「……」
「知性というものを得てから数えれば、僅か一年にも満たぬ生涯だった。簒奪者となって初めて訪れたこの世界で、自分と同じ鉄灰色の肌を持つゴブリンと出会い……何か運命的なものを感じて、私は彼らを部下とした。血を与え、名を与え、他の鬼族と比べて膂力に劣る彼らを活かす道を考えて……そうして行動を共にしている内に、すっかり情が移ってしまった」
 『鉄灰』は語る。
「魔王殿は死んだ。魔王軍は敗北した。この世界は滅びの運命を回避した。……ならばもう、彼らも私の駒として死ぬ必要もない。生きて故郷に帰してやることが、この世界で最後の仕事だと考えた」
 アケミは呆気に取られた様な表情で『鉄灰』を見返した。
「……驚いた。貴方、簒奪者の癖に『良い人』なのね」
「どうかな。実際、私はこの聖樹界を滅ぼす為に、教え子たちの多くを死なせてきた。これから訪れる世界でも、同じようにするだろう。『簒奪者である私』と『咎人である君たち』──敵同士であるという運命が変わることはない」
 洞窟の通路の先に、差し込む陽の光が見えた。二人の会話は自然と終わり……血生臭い激戦が繰り広げられた戦場を共に後にした。


(『解説』へ続く)

成功条件

条件1簒奪者『鉄灰』の撃破
条件2-
条件3-

大成功条件

条件1可能な限りオーバーキルを積み上げての『鉄灰』撃破
条件2-
条件3-

解 説

(OPの続き(概略))

 状況:洞窟外、森の外の平原。整然と列を成す鉄灰色の小鬼たちと、雑然と座り込む緑色肌の鬼族たち。
 対面で突撃態勢を整えた重装騎士隊は、しかし、動けなかった。小鬼たちを迎えに来ていた敵の精鋭、オーク黒騎士隊が目を光らせていたからだ(こんな事態を予期した『鉄灰』が予め呼び寄せていたもの)
 かくして、洞窟要塞にいた魔王軍残党たちは、黒騎士隊と共に魔王領へと帰還する。
 『鉄灰』だけが一人残り……
「こうして簒奪者と咎人が出会ったんだ。決着も付けずに別れるのは、互いに神に対して不忠というものだろう?」
 屁理屈だ、とアケミは看破した。邪神サイドとしては、こんな滅びを回避した世界からはサッサと戦力を引き上げ、他の世界に投入したいはずなのだ。
 ……前世で『人類の敵』となった経験のあるアケミには、彼の心中が理解できた。
(滅びたいのね、この人は……簒奪者として生きるには、あまりにも『良い人』だから。そして、嫌でも全力を尽くすのね……あまりにも『真面目』過ぎるから)



●解説

1.状況と目的
2.戦場
(『マスターより』へ)


3.『鉄灰』
 諸々不明。どこか型通りの動き。ここまで戦闘系スキルは一度も使用していない
 個人戦闘は苦手?(それでも能力値は咎人より高い)

パッシブスキル『最低保証ダメージ』
 攻撃が命中した場合、攻撃力の10%をダメージとしてライフに与える
 回避・防御成功時、このダメージは半減される


4.戦闘中に発生するイベント(PL情報)
 『鉄灰』のライフを半減させた時点で、20体以上のゴブリン小鬼(鉄灰色肌)が戻って来て『鉄灰』に加勢する
 『鉄灰』のライフ全快イベントあり
 攻撃方法は強力な自爆攻撃(自己中心範囲型。威力は距離に比例)。なお、爆発物は所持していない模様
「バカな……! なんで戻ってきた?! 何の為に私が殿軍に残ったと……!」
 その後、彼らを駒に徹する戦い方へ

マスターより

(『解説』から)

1.状況と目的
 OP本文の通り。目的は別項参照
 PCは、王国の討伐隊と行動を共にしていた『咎人』の一人

2.戦場
 だだっ広い平原。障害物等もない。


●マスターより
「あなたは先に逃げてもいいのよ、ケイイチ?」
「見損なうなよ。アケミさん一人を置いて行けるわけないだろ」
 ……的なケイイチくんの見せ場は、OP本文の字数制限により削除されました。……今世でも影が薄くなる敬一くんに合掌。こんばんは、柏木雄馬です。
 というわけで、野盗化ゴブリン討伐もの、一応のラストとなります。後々また聖樹界を舞台にしたり、『鉄灰』が出てくる連作が始まる予定ですが……とりあえずは皆様、お疲れ様でした!

参加キャラクター

  • アナルデール・ウンディーニma0116
    人間種|女
  • 小山内・小鳥ma0062
    獣人種|女
  • 川澄 静ma0164
    精霊種|女
  • フィリア・フラテルニテma0193
    神魔種|女
  • 氷雨 累ma0467
    人間種|男
  • 鳳・美夕ma0726
    人間種|女
  • 伊吹 瑠那ma0278
    剛力種|女
  • 透夜ma0306
    機械種|男
リプレイ執筆中

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