メロン
西川 一純
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シナリオ形態
ショート
難易度
Easy
判定方法
カジュアル
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50SC
報酬
200 EXP
5000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2021/05/05 10:30
プレイング締切
2021/05/08 10:30
リプレイ完成予定
2021/05/18
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. -
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
●ここはパラレルワールド?
「ふぁー……ここがいわゆる商業施設ですか。茨城という場所も初めてです。ゆるキャラ? というのも初めて見ました。日本とやらは不思議な文化があるのですね」
「世が世なら……僕もこういった場所で遊んでいたのかもしれません……。なんだか、すっごく残念です。友と一緒なら楽しそうな場所だなぁって」
 件の浮島へ到着した一行は、早速水戸の名産品大集合パークへと足を運んだ。
 城だの納豆だのアンコウだの、特産品を模した数々の建物が目に入る。正直外見だけでかなりカオス。
 入口となるゲートにモギリをする人間は当然いない。あっさり潜入したフィリア・フラテルニテ(ma0193)や氷雨 累(ma0467)は、パーク内を見回し感心したんだか残念がっているんだかよくわからない感想を漏らす。
 あちこちに設置された看板には例の8大ボスであろうゆるキャラロボが描かれており、わりと力を入れた施設だったのだろうなということは伺える。
「我輩、あんこう鍋食べたかった……しかしメロンという希望があるのなら突き進むまでじゃ」
「ふんふん……なるほど。どうやらメロンがある事自体は確かみたい。詳しいことはまだわからないけど、風がそう言ってるよ」
 極楽 鳥花(ma0455)は『名産品大集合』の文字に心ときめかせたのに裏切りにあった、カグヤと同じタイプ。
 せめてメロンくらいはと参加したようだが、山神 水音(ma0290)の自然物会話スキルによるとメロンがあるのは確定とのこと。
 詳しい場所まで教えてくれるほど便利なスキルではないが、とりあえず無駄足は踏まずに済みそうか。
「我が故郷、沖縄県のほうが茨城県より上だ!」
「魅力度ランキング最下位という魅力すら手放してしまった県じゃからの……イバラキやミトという地名に縁があるわけではないが食べ物の恨みは深いぞ」
「む? イバラギではないのか?」
「『いばらぎ』でも『いばらき』でもどっちでも良いと思いますよ」
「いや、そこは大事なところじゃ。名は体を表すと言うでな。おぬしも『だ』と間違えられたら嫌じゃろう?」
「そんな読み方をする人はいません」
 東江 武蔵(ma0410)の気合が入った言葉に、どこか自虐的に呟く極楽。
 東江の疑問に回答する不破 雫(ma0276)だったが、極楽の諭しをバッサリ斬り捨てる辺りちょっと黒い面が出かけているか。
 さて……今回集まった咎人は合計7人。その最後の一人となるのは小山内・小鳥(ma0062)である。
 幼い外見にちょっとおどおどしたところのある、実に愛らしい猫の獣人の咎人。
 しかしいつもは積極的に撫でてくれる氷雨が、今回ばかりはちょっと遠慮がちであった。
「……小鳥ちゃんも、こういう場所は興味ある? きっと楽しいのにね」
「はい、きちんと営業していたら楽しそうだなと思いました。スタッフさんたちの無念を晴らすためにも、蕎麦には騎士面で対抗なのですよー!」
(きしめんと騎士面をかけてるんだろうけど……小鳥ちゃん、それ般若の面ですっ……!)
 しかも小山内が手にしている剣は普通の剣ではなく、何故かネギを模したような歪な剣。
 10歳くらいの子供が般若面を付けてネギを模した剣を振り回す姿は軽くホラーチックですらある。
 と、そんな時……ガチャンガチャンと音を立て、何者かが近づいてくる気配がする。
 この島で動くものは、咎人か8大ボスロボットしかいない。探すまでもなく向こうから来てくれたようだ。
「ふふ……小鳥様もやる気ですね。さて、そのゆるキャラを1体残らずバラs……失礼、倒さなければいけませんね。そんな私はチェーンソーを持ってきました。いえす暴力、のー慈愛」
 ギュイィィンと轟音を立てるチェーンソー。
 伝説では神をも一撃で両断すると噂の武器を持ち、フィリアは当たり前のように構えた。
「えっ……フィ、フィリアお姉さん? 何か間違ってませんか? 何がとは言いませんが! 何がとは言いませんが!!」
「私の武器に他意はありませんよ。信じてください」
 いつものすまし顔での台詞。付き合いが長い分、氷雨の動揺は顕著だ。
「足止めは僕に任せてよ!」
「押忍! 東江流琉球古武術、東江 武蔵、参る!」
「ほれ、敵が来るぞい。さっさと構えんか」
「えぇ……気にしてるの僕だけですか……?」
 山神、東江、極楽はフィリアや小山内の様子を気にするでもなく迎撃体制を整えている。
 だって、あのフィリアお姉さんが。翼の生えたエンジェルが、チェーンソーなんて武器にしてるんですよ?
 あの可愛らしい小鳥ちゃんが、般若のお面を付けてやる気まんまんなんですよ?
 自分だけがパラレルワールドにでも迷い込んだ気分になり、氷雨はどうしていいのかわからず縋るような目で不破を見た。
「氷雨さん。私に言えることは一つだけです」
「はい、なんでしょう……!?」
「コメディです」
「……アッハイ」
 全く期待に沿わない返答を聞き、氷雨の心もついに折れる。
 気にするだけ野暮なのだ。女の子にはそういう時もある。自分にそう言い聞かせて得物である竹刀を構える。
「氷雨 累……推して参る!」
「……あなたも充分ハジケていますよ」
 ため息を吐きつつ、不破はいつもどおりの大剣を構えて敵の登場を待ち構えるのだった―――

●激闘! 茨城県
 水戸の名産品大集合パークのエントランスに現れたのは、例の8体のロボットであった。
 侵入者を感知できる機能でもあるのかタイミングよく8体全員が揃っており、噂通りのユルいキグルミ感を醸し出していた。
 言葉すらしゃべれない前時代的なAIなのか、咎人達を認識すると無言でわらわらと襲いかかってくる。
「どうなったら観光ロボが暴れる様になるの!? しかも意外と強いし!」
 巨大化し迎え撃った山神の一撃を受け止め、パワー勝負に持ち込むモーギュウマン。
 その外見はステーキに顔を描き手足を付けましたいう風体で、大きく口を開けたにっこり笑顔が非情に腹立たしい。
 ホーリーパイルで攻撃すると余裕で穴が空く辺り耐久力は高くないが、力だけはなかなか侮れない。
「吊るし切りにしてやろうか……うう、食べたかった……」
 極楽が相対しているのはアンコウマン。
 人間のような胴体の頭部分に鍋が乗せられており、主役なのであろうアンコウが大きく口を開けて煮られている。
 両手には箸のような長い棒を持っており、極楽の振るうカタナを受け止めることもできる地味に厄介な相手だ。
「蕎麦では……きしめんには勝てないのですよー!」
 例の般若面を被ったままの小山内と激しい機動戦を展開しているのは光る蕎麦マン。
 アンコウマンのように人型に近いが、頭部分が蕎麦の丼になっており手に持っているのは蕎麦を模した鞭。
 しかもその鞭と頭部の蕎麦の部分がLEDで虹色に光っており、蕎麦に必要とは思えないカラフルさを演出していた。
 小柄な般若面の少女が唸りを上げる鞭をひょいひょい回避している様は、凄いのだが怖い。
「1体ずつの攻撃は面倒だ。まとめて相手してやる。かかってこい! 東江流琉球古武術が茨城県のゆるキャラ風ロボに敵うわけがない」
「えっ」←不破
「えっ」←氷雨
「え? 何だ、何かおかしかったか?」
「今、『ゆるキャラ風ロボに敵うわけがない』って言いませんでした……?」
「……アルコールマン! 酒なら泡盛だ! それ以外は認めん! ハマグリマン! 防御が高そうだが、何度も攻撃すれば倒せるはずだ! 納豆マン……は気色悪っ! 臭そう! できれば相手にしたくないが、そうは言ってられん!」
 これ以上無い誤魔化しで複数のロボに立ち向かっていく東江。
 アルコールマンは『酒』と書かれた一升瓶に手足が生えた造形。
 ハマグリマンは縦に開いた二枚貝に手足がついた造形。
 納豆マンは俗に言う藁納豆に手足が生えたような造形をしており、一切の表情を変えることなく殴りかかってくる。
 元が集客用ロボットなのでビームを出したりする機能はない。それでもパワーだけで東江と殴り合えるのだから茨城県の技術力も大したものである。
「カラクリ人形の様ですね。ならば戦闘不能にします、竹刀で!」
「何でですか。スパッと斬ってしまった方が早いでしょう」
「いや、いつもの刀で斬っても良いんですが、あの外見を見てるとちょっと忍びないっていうか……可愛いし」
「……それは否定しませんが」
「ごめーん、僕が頼んでるんだ! このロボ達、直せたりすれば再活用できないのかなって思って!」
 氷雨は納豆マンと戦い、ヤツが手にした巨大箸と竹刀で打ち合いを始めている。
 半ば呆れる不破だったが、山神がモーギュウマンを殴り飛ばしつつフォローを入れてくることで納得する。
 暴走したなら、直せば元の集客用に戻せるかも知れない。
 ヴェールに頼めば修理できるだろうし、この水戸の名産品パークも元の商業施設に戻せるかも知れないのだ。
 ……まぁ、戻ったからどうだというものでもないが。
「集客用ロボットですか。新鮮な存在です。不思議な魅力ですね」
 涼やかに言いつつチェーンソーを振るい、メロンマンを解体しようとするフィリア。
 スポットワープで高機動を演出しつつ斬り刻もうとするその姿からは、絶対にメロンを手に入れるという鉄の意志と鋼の強さを感じる。
「そりゃー。逃しません。一体残らず刻んで壊s……」
「待って待って待ってくださいフィリアお姉さん! 流石にそこまでやるとイメージが!」
「……はい? いつものフィリアですよ? 別に精神錯乱などしていませんよ?」
 悲鳴のような氷雨の制止を振り切って更に攻撃を続けるフィリア。
 しかしメロンマンはメロンに手足が生えたような丸い造形をしているため、地味に滑って有効打が与えにくい。
 しかもダンスでもプログラミングされているのか小刻みにステップを踏むため尚更であった。
「幾つか名産とは言えない物がいるんですが……」
 そう言ってポテトチップスみたいな形をしたスターポテトマンを剣の腹で殴り飛ばす不破。
 彼女的には色々不満があるようで、特に許せないのが目の前のコイツだ。
「干し芋で干しと星を掛けたんでしょうが、返ってわかりにくくなっています。更に言うならサツマイモは鹿児島県の名産と言えるので不合格」
 ビシッと大剣を向けてのセリフに、スターポテトマンは不意に小刻みに震えると……
『サヨナラ!』
 歪な電子音声を残して爆発四散した。
「……意外と気にしてたんですね、ネーミング」
 別に可哀想とは思わなかったが、その挙動を見た不破にあるアイディアが浮かぶ。
 基本的に喋らないとはいえ、悪口というか気にしているツッコミを受けると自爆する程度の感情プログラムはあるらしい。
 なら、思ったツッコミを片っ端から言ってみたらどうなるだろう?
 一見すると無愛想に見えるという不破の口の端が、ニヤリと歪んだ。
「言いたくはありませんが、どれも魅力が今一つなんですけど」
 わざと通る声で、エントランスに広がるように言葉を紡ぐ不破。
 その声に敏感に反応し、名産品ロボたちは一瞬動きを止めた。
「アルコールマンさんは正直、地酒って何処にでもありますから。全国的に有名な地酒もありませんから、少し名産には弱いかな? ハマグリマンさんは三重県の桑名の焼き蛤の方が有名なので、アウトです。メロンマンさんは北海道の夕張の方が上だと思うのですが? 完全上位互換種がいるんですけど、良いのですか?」
 怒涛のように行われた名産品へのツッコミ。
 それぞれ気にしていたのか、アルコールマンとハマグリマンは『サヨナラ!』の言葉を残して爆発四散した。
 メロンマンはなんとかアイデンティティを保ってはいたが、ふらついたところにフィリアのチェーンソーを受け真っ二つにされ機能停止。
 矢継ぎ早に4体ものロボットに多大な精神ダメージを与えた不破恐るべし。
「……ず、随分詳しいんだね。お取り寄せグルメとか好きな人? それとも茨城県に恨みでもあるとか?」
「どちらでもありません。気になることは言っておかないと気が済まない質なだけです」
 モーギュウマンを蹴り飛ばして機能停止させた山神が、若干引き気味に不破に尋ねる。
 不破曰く、モーギュウマンとアンコウマン、納豆マンには知名度的な文句はないとのこと。
「やれやれ恐ろしいお嬢ちゃんじゃ。まぁ、あの様子だとアンコウマンは我輩に譲ってくれた様子かのう」
 流石にロボット全部にツッコミを入れて自爆させるのも憚られたのだろう。極楽のアンコウマンに対するやる気を汲んでくれたのならありがたい話だ。
「これはカグヤ嬢の分。これは我輩の分。食らえい」
 台詞に勢いはないが、食べ物の恨みが乗っているのか斬撃自体は至って鋭い。
 アンコウマンの胴体部分を袈裟懸けにし、続けて逆袈裟の二連撃で沈黙させる。
「なんなら、きしめんに加えて……味噌煮込みうどんも追加しますー。地元の名産が……他国に負けるわけないのですー」
 光る蕎麦マンの鞭をネギ型ソードで斬り飛ばし、小山内が荒ぶる。
 納豆マンを東江に譲り小山内の援護に入っていた氷雨は、般若面に人を混乱させる呪いでもかけられていて欲しいと切に願っている。
 自分の竹刀選択が霞んで消えるレベルの知人のハジケっぷりは、可能なら爆発四散して忘れてしまいたいくらいだ。
「フィリアさん、累くん……アレをやりましょうー!」
「え? アレってなんですか?」
「えぇ、よくってよ」
「打ち合わせしてあったんですか!? というかなんですかそのお姉様口調!?」
「二人で小鳥様を投げ飛ばすのです。レシーブのように、片足ずつ担当して」
「えぇ……!?」
 わけは分からなかったが、すぐさま行動に入れる辺り氷雨は流石である。
 息のあったコンビネーションは、即興のわりにタイミングバッチリで小山内を光る蕎麦マンに向けて投げ飛ばしていた。
「角が二本の騎士面装備で200万パワー! 二人に投げ飛ばしてもらって400万パワー! そしていつもの3倍の回転を加えれば、光る蕎麦マンさん! あなたを上回る1200万パワーなのですー!」
 高速回転した小山内の頭突きが光る蕎麦マンを捉え、その胴体を貫通(!)する。
 着地した小山内の背後で、哀れ光る蕎麦マンは爆発四散した。
「……そもそも何百万パワーっていうのはどこから出てきたわけ?」
「ノリじゃろノリ。こういうものはノリが良いほうが勝つものじゃ。ほれ累、何か一言」
「……暫く夢に出てきそうな……そんな気分です……」
 山神の至極真っ当なツッコミに、極楽はいつもの無表情で返す。
 一方氷雨は天を仰ぐことすら忘れ地面にがっくりと膝をつくのだった。
「くぅっ、後は俺だけか! しかし最後の一体、責任を持って打ち倒す!」
 東江と相対する納豆マンは箸のような武器を使う。
 対して東江は剣を使わず徒手空拳、主に蹴りで対抗している。
 先の誤魔化し、もとい宣戦布告の時に言っていたように臭そうだから拳で殴りたくないとのこと。
「なら尚更剣で戦った方が早くない?」
「なるべく破壊するなと言ったのは誰だ!?」
「いやぁ、ここまで爆発四散させちゃったらもう……ねぇ?」
 引きつった笑顔で周囲に転がるロボットの残骸を見回す山神。
 使えるパーツはいくつかあるだろうが、直るかどうかは技術者の腕次第といったところか。
「仕方があるまい……本来は頼りたくはないが」
 これ以上長引かせてメロンの捜索に支障が出ても事だ。
 そう判断した東江は大剣を拾い上げ、気合一閃で納豆マンに斬りかかる。
 納豆マンは箸型武器で応戦するが、ここぞと決めた格闘家の一撃を受けられるだけのスペックは集客用ロボットにはない。
 箸ごと胴体を両断され、ついに8大ボスロボットは全滅したのだった。

●メロンゲットだぜ
 さて、無事に邪魔者を排除した咎人達はいよいよメロンの捜索に入った。
 山神の自然物会話によればここにメロンがあるのは確かとのこと……流石にメロンマンのことだったなどというオチは許されない。
「うーん、どうしよう。やっぱり明確な答えは返ってこないね。虱潰しにする?」
「必要ないじゃろ。ほれ、案内板に描いてあるぞい」
 極楽の指差す先にある案内板には堂々と『メロン試食コーナーはこちら!』と書いてあった。
 流石は商業施設、どこに何が売っていたのか案内の手が行き届いている。
「……コメディなんて嫌いだ」
「……同感です」
 メタな発言をしつつ、山神と氷雨は項垂れてメロンコーナーへと足を向けるのだった。
 数分も歩くとメロンの形をしたファンシーな建物が目に入る。
 電気の通っていない自動ドアを無理矢理こじ開けると、店内では大きな冷凍庫が唸りを上げていた。
「冷凍庫には自家発電が効いているんですね。商品をダメにしないよう最優先にしているのは好感触です」
「うむ。沖縄でもフルーツの保管に冷蔵庫は必須だ。これは期待ができるな」
 不破と東江が冷凍庫の扉を開けると、中にはカチコチに凍ったメロンがギッシリ詰まっていた。
 驚くべきはその外見で、メロンの特徴である網目模様がなくツルツルである点。
 店内のポスターにはホームランメロンと書かれており、どうやら果肉も緑やオレンジではなく白であるらしく、希少な幻のメロンと呼ぶに相応しい一品のようだった。
「めーろーんー。会いたかったぞーう」
「メロンですよメロン。絶対に持ち帰らねばいけません」
「ふわぁ……すごく美味しそうなのですよ……食べちゃ……駄目ですかー……?」
「いいんじゃないかな。カグヤさんは食べちゃ駄目なんて言ってなかったしね。じゃあ一個解凍して切ってみようか」
 テンションの上がる極楽、フィリア、小山内だったが、戦闘中の惨状を思えば何ということはない。
 ようやくいつもの二人が戻ってきてくれたと内心安堵しきりの氷雨だった。
「ふぅん、結構しっかり管理してあるんだね。じゃあもしかしたら他の建物にも名産品が保管してあったりするのかな」
「冷凍庫を使わないものは流石に腐っているんじゃないか? 酒はいけるかも知れないが」
「発酵しすぎて別の何かになった納豆とかは見たくないですね……」
 山神、東江、不破は他の建物の可能性を議論しつつ時間を潰し、解凍されたメロンの解体にかかった。
 冷たいながらも芳醇な香りが辺りに漂い、それだけで甘さが想像できて唾液が分泌される。
 激闘で火照った体を癒やすように、7人は幻のメロンを大いに堪能したという―――

●次回予告
 ネタというハジケの海に見え隠れする本性という氷塊。どうやら水面下の業の根は深く重い……。
 咎人の運命は神が遊ぶスゴロクだとしても、動かすものは行ったり来たりの愛好次第。
 鬼が出るか邪が出るか? 麻呂に挑む宮中横断。
 次回『要撃』
 氷雨、敢えて渦中のフリを披露か?

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