クッキーネコちゃん&トリート!!
月宵
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シナリオ形態
ショート
難易度
Very Easy
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100 SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50 SC
報酬
500 EXP
10,000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2022/10/31 10:30
プレイング締切
2022/11/03 10:30
リプレイ完成予定
2022/11/21
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
 その浮島には山があった。そのお山には、幼稚園のような施設があり、付近には森が広がる。
 今、その森は秋と言う季節を示すに相応しい真っ赤とまっ黄色。今、その場所へと一人の魔女が空からやって来た。
 
「トリック・オア・トリート! だぜ! ……いやだわ、あたくしったら」
 
 おほほほ、と口元に手をあてがう魔女の正体はエアボードに箒をくくりつけた如月 朱烙(ma0627)であった。

「ごくろーさん、アンタで最後や。ほな、いこか?」

 ●あちらでも
 ハロウィン、それは本来の意味を離れた一大パーティとなった行事の一つ。お菓子に料理、そして仮装と悪戯。
 
「これは色々な意味で腕が鳴りそうな話だな」
 調理室に置かれたふんだんな材料を眺めながら、高柳 京四郎(ma0078)は忍び笑いに微笑みを添える。
 お菓子はもちろん、カボチャは色んな料理への応用も可能だ。
 
「ハッピーハロウィン……。コスモスちゃん、かわいい魔女さんだね…」
 友へと手を小さく振るのは、魅朱(ma0599)ミニ丈の黒ワンピースを着込み、頭には丸いツバなし帽子を被った俗に言うキョンシーの仮装。流石に、額の札は転ぶ自信があるため横にずらしているようだ。

「あっ、魅朱ちゃんだ。ハッピーハロウィーン!」
 カボチャの頭飾り、良くあるとんがり帽子を被った小さな魔法使いのコスモス(ma0504)が彼女に両手を振る。

「魅朱ちゃんはどんな料理を作る? あたいはねぇ~……」
 じゃじゃーん、とコスモスが取り出したるは『ジメシメジクン』というキノコ。生じゃ、とても親友には、お出し出来ないレベルだが調理すれば絶品になるらしい。
 魅朱は竹炭パウダーを使った真っ黒なケーキ生地を紙カップにおたまで一つ、一つ注ぎながら友の話に何度も頷いた。

「コスモスちゃんのご主人はハロウィンのお菓子、作るのかなぁ…」
「ご主人、忙しそうだったからどーだろ? 今日一緒に作って渡そっか」
 こくり、と魅朱はまた、縦に頭を動かし、本当に僅かに口のはしを吊り上げた。

「ピーツさん例のやつ完成したのです? 早速食べて貰わないとですね」
「言うて、小麦粉の補充はまだなんやけどな」
 
 飾り付け前にテーブルクロスや、食器を取りに来た白花 琥珀(ma0119)。そこにあった、袋一杯の自家製テンサイ糖に目を向けた。ある時ピーツに依頼され、死闘、激闘の中漸く実った作物達。
 その作物で作った希少な砂糖なのだから、琥珀も感慨深いものがあるのだろう。

「エルデさん、折角寂しくなくなったのに、もう終わりなんて悲しいですからね、ハロウィンらしくするの頑張りますっ」
 
 お菓子も大切だが、重要なのは飴作り。
 ずりずりとピーツから借りた大釜を引き摺って運ぶのは小山内・小鳥(ma0062)。
 
「せっかくなので……ハロウィンな、お菓子を、色々作りま、しょうー」
 
 鍋は砂糖を煮詰めて飴を作るのに必要不可欠な調理器具だろう。お菓子作りなら任せろー、バリバリーと言った気合いの入れ具合である。

「おっと、手伝い手伝い。俺が持つよ」
「た、助かりましたー」
 
 ヨロヨロと危なっかしげな小鳥を支えるようにリダ・クルツ(ma1076)が大釜に手を添えて支える。

「リダ、これでええか? これイケるやろ」
 大釜を置き終えたリダの傍らで、ピーツがリングを形作れるシリコン型を見せてくる。

「ああ、これなら大丈夫だろう」
 
 いつもなら、基本見ているだけ、なピーツも今回は積極的に参加してくれるようだ。あちらこちらと、エメラルドの瞳をぐるぐる動かす。

「ピザを焼きましょう、皆で食べる分と子供たちが食べる分とね」
 
 朱烙は軟らかいピザ生地を一次発酵させつつ、持ち込んだピザ窯に薪をくべて適温まで温める。
 パチリ、はぜる薪の音は、これからを想像させ彼女の心を踊らせる。
 
「あと飴ちゃんを綺麗に巻きましょう、そのほうが楽しいでしょ?」
 模様のついた色とりどりの包み紙で、ピーツの作った残りの飴を丁寧に彼女は包んでいく。
「楽しませる工夫っちゅーやつか、それはウチも盲点やったわ」
「あたくし達も飴を食べてみせて、包み紙のほどき方も教えなくちゃですわ」

 カボチャを材料にするには何が必要か、それはもちろん大量の茹でたカボチャの裏ごしである。

「ハロウィンといえばカボチャ……カボチャを練り込んだ飴やクッキーを作って見るか。あとケーキも…そこそこ量があっても困りはしないだろうしね、あの中(水槽)ならば……な?」
 
 これが結構な力仕事。ゴムべらとこしき器を使い、ピューレを仕込む京四郎。
 その傍らで飴の形成を終えリダが立ち上がる。
「リダさん何処かへ?」
「……ちょーっと散歩。すぐ戻るから!」
 脱いでいた青いジャケットを再び羽織り、リダは調理室からその姿を消した。

 ●こちらでも
 一方、遊戯室ではちゃくちゃくとハロウィンの飾り付けを開始していた。
 
「琥珀ちゃん、固定の準備いいよー」
「こっちもOKです」
 ミヨシと琥珀は、黒とオレンジの三角旗が連なるガーランドを水槽内部に飾り付けていた。
 ぺたり、ぺたり、と水槽の壁にはおばけ、蝙蝠、Jランタンとところ狭しとステッカーを貼り付ける。

 またなにか、が起きるのだろうか。水槽の中で、小さなデフォルメした幼児達がソワソワとお互いに話し掛けている。とは言っても、喋る真似をしているだけで、内容などはないのだが。

「わぁ……箱庭の住民さん達、かわいい……こんにちは……よろしくね…?」
 魅朱がオレンジ、黒、白のバルーンに埋もれながら他の動物達を見守っていた。けど、何か味気無いな、とふと傍らにあったマジックのフタをキュポン、と開けた。

「バルーンにお顔、描いちゃえー…」
「あ、魅朱ちゃん。それ油性」

 パチン!
 
「ひゃうっ…!?」
 冷ました真っ黒カップケーキを持ってきたコスモスの注意は、ほんの少し遅かったようだ。
 あーあー、と言いつつどこか楽しそうに、黒とオレンジのクロスが敷かれたテーブルに装飾用の材料を彼女は置いた。


 ●そちらでも
 リダは園外へと歩を進めた。自分はどうも小さな生き物と関わるのは苦手だ。今回も、水槽の中には入らないだろう。だが、それでも彼らを驚かせたいと言う気持ちは皆と変わらない。
 いや、その気持ちだけなら、それ以上かも知れない。

「いらっしゃい。落ち葉が必要なら見繕うぞ」
 熊手を持つサキチの傍らには、既にこんもりと本来の仕事を失った葉達が積み重なり、最後の彩りを見せていた。
 
「ありがとう。こういう施設なら厚手のカーテンとか、ステージ用の暗幕なんか倉庫にないのかな?」
「それなら、遊戯室の倉庫だろう。もみの木を見つけた時に見た気がすんなあ」
 『何をする気だ?』と言う彼の問いにリダは『ちょっとした悪戯を思いついてね』と歯を見せて笑う。

「オレも手伝おう。彼らを楽しませてあげてくれ……か、そうか、んなに時が経つんだな」

 咎人の身だと、時って概念を忘れてしまうな、とサキチは呟き、リダは頷く。
「だからこそ、行事を楽しむんじゃないかと俺は思うな」

 ●ハッピーー?
 リダが戻ってくる頃には、遊戯室には甘い薫りと湯気が部屋を充満していた。
 
(うぉ、腹へってくるな。こりゃ)
 
 両手いっぱいの落ち葉を作業用にシートに置きながら、彼は改めて料理を眺める。
 キャンドルライトの周りに、グラタンに、ピザ、カボチャのクッキー、ケーキ、プリン。シチュー、勿論アメも忘れてはいけない。他にも、ヘルシーな色とりどりパプリカサラダ、なんて変わり種もあるようだ。甘いものが苦手な奴でも、これなら食べれるだろう。
 
 彼を出迎えた琥珀はもう着替えたようで、ツインテールの魔女の姿がそこにはあった。
 
「落ち葉、ありがとうございます。よーし、飾りの仕上げ頑張りましょう」
 
 準備は着々と整っているようで、魅朱も竹炭カップケーキと言うキャンバスに、蜘蛛の巣やかわいいスカルをホワイトチョコペンでデコレーション。
 
 同じく椅子の上に立ちながらコスモスもケーキに一緒に飾り付け。
 キラキラ光るニッキの飴玉は瞳を模した、そこには金色の狼男が両手を上げて今にも襲いかかりそうだ。

「魅朱ちゃんのガイコツかわいい!!」

「うん……それでこっちはどう…?」
 魅朱が作ったのはちょっと変わり種のフルーツ飴に、ロックキャンディ。淡い火の優しい光に照らされて、光輝く姿は魔法の宝石のようだ。
 
「こっちもキレイ!! あたい待ちきれないよー!」
「ふふ……じゃあ、渡しに行く前に味見しよ…」
 
 そう言ってコスモスにカップケーキをそっと渡すのであった。

 向こうでは味見に、と小鳥から飴を貰った、ミヨシ、サキチ、ピーツ達の姿が。
 味見を言い出したのは、ピーツからだった。それに巻き込まれた、幼馴染み二人組。
「見た感じ、ただの黄色い飴だな」
「飴は見た目は同じですが……味は違うのですよー」
「色なんざ、いくらでも偽装は可能や」
「この形はカボチャお化けか?」
 
 もしすごい味の飴を食べて、水槽の彼らが食べて、トラウマになったらたまったもんじゃない、と二人を巻き込んで試食会を開催した。
 
(実のところ、あいつらに味がわかるかまだわからへんけどな)

「当たりの味が出ると……いいですねー?」
 
 いっせいにかわいいJオランタンの飴を口に放り込む三人。コロリ、カロリ、舌で舐めて歯で転がし……

「っ!?」
「レモンやな」
「こっひはイチゴだと思うなー」
 甘い飴と言う当たり前を楽しむ二人と違い、サキチだけが顔を歪ませ一気に庭へ駆け抜けた。
 
「……嬢ちゃん何入れた?」
 サキチのあんまりな反応に、わかりやすいジト目で詰めてくるピーツ。
「あの反応はー多分、センブリ茶ですねー」

「佐吉……ご愁傷さまー」

 仕上げは琥珀。サキチの作った木のお家。その目の前に、一抱えほどのジャックオランタンを持ち込んで、またもやトモダチ達から注目を集めていた。
「ハロウィンに参加しているおうちの目印なんですよ」

 ●ハロウィン!!
 水槽のなかには、遊戯室と同じ小さな家がある。そのドアを開ければ、咎人達は、彼ら水槽のトモダチ達と同じくらいのサイズになれる。勿論、持ち込んだ物も小さくなる。

「トリック・イェット・トリート、お菓子はいいから悪戯させなっ!」
「ああ……、その前にコスモスちゃん口の回り、まっくろ…」
 
 妖精としての血が騒ぐ!……のか?
 
 コスモスの第一声から、ハロウィンパーティーは始まった。琥珀は幼児達に三角帽子や、カボチャの被り物を着せてあげる。
「こうやって、両手をバーって広げて脅かすと良いですよ」
 魔法の言葉も教えてあげるが、彼らは喋られはしないためボディーランゲージで伝える。

「はいはい並んでー! 一人ずつ飴ちゃんを食べた子からピザと箒で水槽一周の旅プレゼントよ!お土産のランタンもいっこずつね!」
 
 朱烙は幼児達に飴を配りながら、そう言ってから自分も飴を食べて見せる。それをじぃっと眺めてから、幼児達も飴を口に入れる。
 
 ガリッ ガリッ
 
 だが、舐める、がわからないのかそのまま飴を齧ってしまう。
「おっと!……ワイルド、だ、ですわね。あらあら、あたくしに貸して。こうやって剥がすのですよ」
 包み紙の両端を引っ張り、上手く紙を剥がせない子達に彼女は飴を渡してあげる。

 ニィィ ナゥ
 
 サキチが床に敷いた落ち葉のベッドで遊んでいたクッキーネコのエルデ。何かを探すように首を動かしていれば、目の前には吸血鬼の格好をした京四郎がしゃがみこんでいた。
「あと……お前さんにはこれをな。……うん、似合ってるな」
 
 魔女の三角帽と黒マントを紐でくくりつけてやれば、パタパタと広がるそれが気になるのか、一人ぐるぐる追いかけている。
「目が回っちゃうぞ? さぁ、ハッピーハロウィン」
 リダより前以て受け取っていたドーナツ型キャンディを彼が口元に持っていけば、カプリとしっかり食べてくれた。
(前はあれだけ警戒していたのにな)

「トリック・オア・トリート……ですー? なら……お菓子をどうぞー♪」
「けど……悪戯を選ぶと…狼男(女)が襲いかかるかもですよー?」
「飴ちゃん……瑞々しくて、きらきらしているのとか……どう…?」
 
 他のトモダチ達も、ハロウィンの楽しみ方を覚えたのか沢山のお菓子を貰っていた。小鳥の作ったハロウィンランタンやお化けをディフォルメしたクッキーも好評のようだ。一方で、焼き菓子の動物達には、魅朱の飴がお客様となっている。

「さぁ、一人一人順番だ、ですわよ」
 
 朱烙が箒付きエアボードにまたがれば、幼児がその後ろに恐る恐る乗っかった。
 魔女のその傍らには、お供のマンチカン(短足)を膝元に、その肩には羽つきローストチキン型クッキーが羽を羽ばたかせている。
 
「あまり、高く飛ぶと皆ただの焼き菓子に戻るから気ぃつけや?」
 カボチャグラタンに舌鼓を打ちながら、ピーツが一言外から声をかける。

「わかりましたわ、さて! お空の旅と洒落こもうか!」
 
 そう言ってから、彼女は足でスイッチを思いっきり踏んで一気に上昇する。床を彩る紅葉がふわりと舞っていってらっしゃい、と手を振った。


「トリック・オア・トリートです。アレ? クッキーマンさん、お菓子食べちゃって持ってないのですか?」
 ジンジャーブレッドの人形クッキーを、琥珀が可愛く見上げる。あわあわと慌てるクッキーマンの一人
 。どうやら、プレゼント用に貰った筈の菓子を全部食べてしまったようだ。

「なら、仕方ないですよねぇ……みんないたずら開始です!」
 琥珀の一言にワァァと幼児達がクッキーマンにむらがっていっせいにコチョコチョ攻撃を開始する。
 琥珀は一瞬にして、スポットワープでその場から消えて……

「わっ!!」
 
 背後から大声を出すと、クッキーマンは驚いて尻餅をついた。これで、ある程度の幼児達を一ヶ所に集めることには成功しただろう。
(今ですよ)
 琥珀は水槽の外へ目配せをする。

 それを合図に遊戯室内のレールを暗幕が走り、辺りは一瞬にして、真っ暗になる。
 ろうそくの薄暗さは残るが、闇夜に近い様相に幼児達は顔はなんだろうと首を傾げる。

 カチッ
 
「トリック・オア・トリートォォォ!!」
 
 パァァンッ
 
「きゃー-っっ!」

 突如現れた巨体なお化けが悲鳴をあげる。その正体は、水槽に貼り付けた落ち葉をお化けの形に切り抜いて、懐中電灯の光をあてたものであった。
 声の正体はリダの裏声、破裂音はサキチのクラッカーだ。直ぐに暗幕を外して明るくしての種明かし。

「ドッキリ大成功だな! あ、あれ?やりすぎちゃったか?」
 ぷるぷると琥珀のまわりで震える幼児達、その前には守るとばかりにクッキーマンが仁王立ちだ。
「ちょっと、刺激つよすぎちゃったみたいですね」
 
 同じく、イタズラに協力していた琥珀も苦笑いしてしまう。リダはお詫びに、と赤く透けた綺麗な紅葉を沢山水槽に飾ってあげた。

「ぺっ、誰だクラッカーの中に花びら仕込んだの!? 口ん中……ウエ」
 
 サキチが何故かキバナ『コスモス』の花まみれになっている様子も、幼児達には面白かったのかケラケラと笑ってくれたみたいだ。

 ●
 遊戯室の扉が開く、中から京四郎が顔を出すと、簡易なシーツお化けこと、リダが出迎えた。

「おかえり」
「ドーナツ飴大盛況なんだ、おかわり貰えると嬉しいな」
 沢山バスケットに入れたはずの飴は、綺麗サッパリ消え失せていた。少し待っていろ、とリダお化けが遊戯室から足音たてて消えていくのを京四郎は見送り、休憩にと椅子に腰掛けた。

「それだけ喰ったんなら、これで安心やろな」
 バスケットの中身を覗き見れば、肩の荷が降りたとピーツが安堵した。
 
「そういえば……何だか物を食べさせようとしてたらしいけど一体何でそんな事を?」
「何や気付いてへんかったんか?」
 
 そこでピーツは改めて説明する。実は、トモダチ達の寿命がいつ尽きてもおかしくなかったこと。そして、それを救うために、補給用の菓子を作るまでに漸く今、至ったことを。

「そんなことが……けど、食べられる粘土で出来た生き物が食事するってのはちょっとシュールな光景な気もするが……面白そうでもあるなぁ」
「今はこの方法が一番手っ取り早いんや……もっと研究してみたくは、なるんやけどな」

 ピーツは大きく背伸びをしながら、再び水槽の中を眺めた。小さな咎人と小さな焼き菓子達が、前と何も変わらず楽しんでいる様子に小さく微笑むのであった。

「ほんま、一仕事して疲れたわ」
「お疲れさま」

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