ウサギカフェ、緊急相談 コーヒーって何!?
狐野径
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シナリオ形態
ショート
難易度
Normal
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100 SC
参加人数
3人~6人
優先抽選
50 SC
報酬
500 EXP
10,000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2023/11/11 10:30
プレイング締切
2023/11/14 10:30
リプレイ完成予定
2023/12/04
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
●僕が頼んだし
 高柳 京四郎(ma0078)は喫茶店経営を生かし、プエル・ニコラス(mz0028)の悩みに応じる。
「さて、今回はどんな問題があるのかな?」
 余裕を持った雰囲気を醸し出して問う。
 枕投げをプエルがわかっていなかった状況を考えれば、質問に何が飛んできても驚かない心構えもできる。

 歩夢(ma0694)は京四郎に挨拶したり、プエルに雀舟 雪(ma0675)を紹介する。
 雪が「よろしくお願いします」と頭を下げる。
「うん、こちらこそ」
 プエルは笑顔で言う。そして、依頼内容を改めて皆に伝えた。

 宵待 伽羅彦(ma0748)はプエルを悩ませてしまったと感じ、丁寧に告げる。
「トマトパスタのこといったのは俺だし……ちゃんと責任持ちます……」
 エイリアス(ma0037)も頭を下げる。
「プエル様、混乱させることをしてしまい申し訳ありません」
 プエルは「え?」と困惑するが「だって、頼んだの僕だよ?」という。
 伽羅彦とエイリアスを前にプエルは説明する。
「あの後、トマトパスタは、濃厚なのとどこが違うのって気づいたんだよ。僕、バターまぶしてるし、全部、たぶん……まぶしてる! それに、見学に行ったカフェも色々あったから、紅茶と水だけじゃダメなんだ。だから、褒めてもらったところは生かして考えないと!」
 歩夢は以前食べたパスタを思い浮かべる。
「おいしいとは思ったけど、プエルが納得して出すことが重要だな」
 メニューに書いたことと、本当にしたかったことが合致していたかなんて、プエルでないと分からないから。

 シアン(ma0076)は「うーん、私もコーヒーを美味しく飲めないタイプなんだよね」と告げる。
「店主のプエル君が飲めないなら、無理に出す必要はないかも?」
「そうかな」
「お茶系は充実しているから」
 プエルは納得した様子を見せるが「でも、コーヒーを知っているとかっこいい気がする」という。
「かっこいい……なるほど……色々な助言もあるだろうから、プエル君が学んで決めることが重要だよ」
 何を認めるかは本人次第だ。

●台所仕事
 雪はシアンと庭づくりをするということで、歩夢は別行動となる。
 コーヒーについて教えるつもりだが、プエルが他の人たちと話すこともあるため待つ時間もあった。
 材料やオーブンがあることから、
「賄いクッキーを作ってもいいか?」
 とプエルに問う。
「マカナイクッキー? どんなの、いいよ」
 プエルは呼ばれた方にうきうきと移動していった。
「……何か引っかかるが、後で分かるだろう」
 どういうクッキーを作るかは決めていた。
 コーヒーだけでなく、茶にも合い、ウサギの形をしたものだ。
「モデルはそこにたくさんいるし」
 小麦粉や砂糖を量り始める。

 伽羅彦はプエルに「ミートソースパスタに、ナポリタンもあるよな~、知ってる?」と切り出す。
 プエルの「知ってるよ」という口調が怪しいので、
「ミートソースは玉ねぎをみじん切りにして、ひき肉と炒める。塩コショウしてね。トマトの缶詰、トマトソースパックとコンソメを入れる」
 と、作り方と料理がわかるような説明をした。
 プエルは眉を中央に寄せる。
「……玉ねぎのみじん切り……玉ねぎってすごく悲しくなる野菜だよね」
「そうだな。みじん切りができる機械もあるぞ」
「え?」
 フードプロセッサーの話をすると、プエルの顔がみるみる明るくなる。
「それは、僕でもできる!」
「みじん切りは難しいもんな」
 プエルがメモを取るのを見てから、伽羅彦は続けた。
「さらに言えばパスタにこだわらなくても、トマト缶使うメニューって案外あるんだぞ」
 プエルにも作りやすそうなレシピを厳選してきているので、伝えていく。
「さっき言ったミートソースを使ってドリアやグラタンができる。白米かマカロニを入れてミートソースをかける。そこにチーズをのせてオーブンに入れる」
 プエルが「おいしそう」と目を輝かせた。
「あと、トマトスープがつくれる――味付けはコンソメと塩コショウだ。今日説明したことはここに書いてある」
 写真付きで非常に細かくレシピが書かれたノートを渡した。
 大変力が入った出来栄え。
「す、すごい……」
 伽羅彦は野菜を取り出し「ナポリタンの実演をしておこうか」と問う。
 パパッとつくられたものを見て、プエルは目を丸くする。
 出来上がったものをおいしそうプエルは食べていた。しっかり完食している。
 そのあと、伽羅彦は差し入れも兼ね、パンケーキを作る。
「パンケーキは焼いた後に、蓋をして蒸すと割と火が通るぞ」
 と、ちらっと豆知識。
 パンケーキは複数つくり、段重ねの間にクリームを入れる。また、チョコペンでウサギの顔を描いていくのだった。

●カフェの主?
 京四郎はプエルが淹れている三つのコーヒーを飲んでみる。
 薄い、濃い、ほどほどだった。粉のコーヒーをその通りに入れたり、よく分からないなりに考えて調整をしたのだろうと考える。
「そうだねぇ……香りを楽しむってのも、味を楽しむってのも、どちらも楽しみ方だからね」
「うん……お茶もキノコも香りと味は一緒じゃないときがあるよ」
 独特なたとえだったが、京四郎にプエルの言わんとしたことは伝わった。
「そうだ。要は好きなように、楽しめるように、淹れて飲むのが一番ってことさ」
「香りは嫌いじゃないよ」
「そうだ。プエルは香りがわかるということは淹れることもできるはずさ」
 味も香りもつながりはあるから両方わかる方がいいだろうが、香りや見た目を手掛かりにするのも思ったものを淹れる手掛かりにはなろう。
「水や湯で溶かすタイプも手軽でよいが、せっかくのお店なんだし、ドリップ式なで出してみるのはどうかな?」
 知らない単語がかっこいい気がして「え?」とプエルが顔を輝かせる。
「本格的に入れるとなると覚えることが多いし……ドリップ式ならその都度入れるからロスも少ないしね」
 ドリップ式とはどういうのかなど、説明を受けたプエルは神妙に「なるほど」とうなずいていた。

 そこから、京四郎はパスタについて提案する。
「注文が多くなれば回転率も重要になってくるからね」
「……やっぱり、一日一組に限定すべきだろうか」
「それも一つの考えかも知れないけれども、何をしたいかにもよる」
「うーん、注文が多いウサギカフェもいいかなって思うから教えて」
 京四郎は数秒考え、注文が多いは客の数だろうととらえた。
「ゆであがりが変わらないならば、電子レンジを使う手もありだよ」
「デンシレンジって何?」
「あ、ああ。調理器具だよ。火を使わずものを温められるんだ」
「そ、それはすごい」
「そうなんだ。ソースは火で温め、その間にパスタは電子レンジで温める……そうすると効率も上がる」
 京四郎は電子レンジでパスタをどう温めるか説明してから次に進む。
「それと、缶詰やパックをいちいち開けるのは手間だしな。あらかじめ煮込んでおけば、その都度火をかけるだけですぐに提供できる」
 鍋とパックを見せ説明する。
「ここに魚介類を混ぜて煮込んでおけばボンゴレ風……というパスタになる」
「なるほど」
「トマトをベースにしておけば大体何でも合うからなパスタは」
「……トマト強いね」
「ああ。トマトは煮込んでみるのも悪くないから」
 京四郎による講習会は終了した。

●中庭
 シアンと雪はプエルの書いた予定図をしっかり見る。
 雪はしっかり書かれた文字をつぶやく。
「エノコログサに手を付けない」
「そうらしいね。この予定図通りで進めれば……」
 ただ、ちょっと、大雑把で、シアンはどうする必要があるか考える。
 シアンは「何かアレンジとか?」と雪に問う。
 雪は「特にない」と首を横に振る。
 予定図を見てもよく分からない点がいくつかあるのに、二人は気付いた。
 雪は庭と予定図を見比べ、
「どのくらいの大きさかわからないかも」
 という。庭はエノコログサが元気よく生えている以外は木材が置かれているし、予定図に対してどうあるといいかわかりづらい。
 シアンはポットの植物の種類と数、予定図をあわせて庭を見た。
「木材動かさないと埒が明かないか」
 雪もうなずく。
「動かすけど……この木材を移動する場所はどこかしら?」
 直接聞く方が早いとシアンは思い「プエル君、ちょっといいかな」と声をかけた。
 重要なのは予定図通り植えることだとしても、その前の段階で躓くと支障が出る。
 プエルは庭に出てきて木材を置くべき位置について「この辺でいいと思う」と曖昧なことを言った。
「本当にそこでいいのかな?」
 シアンが念のために問いかけると、プエルはそわそわして「じゃ、こっち」というのだった。
 最初のところよりも、カフェ部分から見えづらい。また、木材を利用しようと思えば作業をするスペースもあった。
 雪が「分かりました」と言いうと、もう一つの疑問を続けた。
「エノコログサ、どの辺を抜かない方がいいかしら?」
「この辺のは残して!」
「大きなエノコログサだね」
「でしょ!」
 よく成長しているエノコログサの群生地を残し、予定図に重なるところは抜くことになる。
 シアンと雪は早速木材をどけ、ポットを植えるあたりのエノコログサを抜いた。抜いた草は山となる。
 シアンはムーニャが通りがかるのを見て、抜きとって持っていたエノコログサを振った。
 しばらく静かに見つめるムーニャ、エノコログサにとびかかるパジャモ。
 そして、ムーニャはシアンの手にとびかかり、エノコログサを回収していった。
「賢い」
「ムールーだから猫とは違うかも」
 シアンと雪は感想を述べ、パジャモはエノコログサを取られて意気消沈する。シアンが別のエノコログサをあげると、喜んでいた。
 さて、雪が抜き終わったエノコログサを袋に詰めて脇に避けている間に、シアンが予定図通り植えやすいように土に棒でもって配置を書いた。
 そこにポットを置いてみる。
 余裕をもっておくと余るし、同じ植物でも大きさにばらつきがあるため、考えた方がよさそうだった。
「ここは距離が近いみたい」
 雪は植物間の距離を意識した。
 シアンと雪は数や、ポットの位置を替えたりしつつ、下準備をした。
「こんな感じでいいかな」
「では、埋めていきます」
 雪はスコップを手に、穴を掘り、ポットから出して埋める――というのを開始した。
 シアンも別の位置から開始するのだった。

●コーヒー談義
 エイリアスは目の前の三種類のコーヒーを飲み比べる。
「この濃いの薄いのは……」
「僕が飲めないからどうしたらいいかなって考えた結果生まれたものだよ。そっちは、説明書通りに作ったんだ」
 プエルがレシピ通りにできることは分かった。飲めないなりに何かしようとした結果が、他の二種類。
 だから、プエルが覚えることができれば、淹れることはできるのだ。
「もし、コーヒーを飲めるお店にするならば、お客様にコーヒーの豆や抽出方法を選んで、プエル様が淹れるという方法を提案します」
「え? 僕でもできるの?」
 コーヒーは豆の種類、焙煎と挽き方でも変わるということを教える。
 一種類の豆であっても何種類にもなるということだ。
「プエル様が焙煎や挽くところも手でしたい場合は特訓が必要です。また、焙煎や挽くことは機械でもできます」
「かっこいい!」
「どちらであっても『お客様が選んだ豆や淹れ方で特別な一杯を作ることができます!』という感じの売りにつながります。それを、アピールポイントの一つにできると思います」
 エイリアスの丁寧な力説を、プエルは目を輝かせて聞いている。
「ただ、その案がプエル様の考えているウサギカフェの雰囲気に合いますか?」
 一番重要なことだ。
 コーヒーを飲めるという選択肢があれば客は来るが、プエルが不安ならば、やめておくことも一つの選択だ。
 現在のプエルはなんかかっこいいという感情になっているので、危険も伴う。
「少しでも参考にしていただければ幸いでございます」
「うん!」
「そして、重要事項が一つあります」
「コーヒー淹れるのに十年かかるとか?」
「違います。ウサギはカフェインに弱いとのことです」
「カフェイン?」
「紅茶を始めたとした茶、コーヒーやチョコレート等に入っているものです」
「え」
「間違って食べさせたり飲ませたりしないようにした方が良いと思います」
 プエルは激しく首を縦に振る。
「プエル様が気を付けられても、注文される方にも一言伝える必要があります。それか、カフェインが含まれる飲み物を用意しない案もあります」
 プエルの眉間にしわが寄る。
「ウサギ従業員は大事だから、考えるよ。ありがと」
 エイリアスが申し訳なさそうな顔になったのに気づいたのか、
「ウサギ従業員に対して重要なことだよ。かっこいいこともだけど」
 とプエルは言う。飲めなくてもコーヒーを淹れられたらかっこいいらしかった。

 歩夢は並べられているコーヒーを飲み、努力しているのは理解した。
「うーん。一口にコーヒーと言ってもピンキリなんだが……二人が言っていたように」
 プエルの好みそうな味の傾向を考えるとコーヒーは苦手そうだ。
 一番おいしいのを淹れてやりたいとは思うが、コーヒーミル等はない気がした。
 念のために確認すると、コーヒーミルの説明を求められたので違う手段で淹れることを考える。
 また、プエルが「かっこいい」という反応をしていたので、今後揃えられるかもしれないが。
「試しに淹れてみよう」
 今あるもので、ある程度濃いいものを入れる。ミルクと砂糖でまろやかにしてプエルに勧める。
「コーヒーってこういう飲み方があるの?」
 恐る恐るプエルは飲む。
「……うん、なんか、こう、色々な味がする」
「コーヒーだけでなくミルク、砂糖も入っているから」
「ううーん」
 飲めるのは確認する。
「紅茶でもミルクと砂糖を入れる飲み方もあるだろう? それと同じ。豆の焙煎や挽き方でも味が変わる……茶の場合は煎るよりも蒸したり発酵になるけど、それで味が変わる」
「なるほど」
「苦みのあるコーヒーでも甘味が後から来るものもある。豆と焙煎、淹れ方……エスプレッソってのもあるし」
 エスプレッソについての説明もした。ちなみに、コーヒーだけでなく茶でもできるらしいと告げると、プエルは驚いていた。
「……なんか、底なし沼みたいだ」
「確かに。コーヒーの淹れ方を茶に応用できるとなると……コーヒーを淹れるだけでないからな」
 プエルがぼーとしているようだったので、歩夢は「ちょっと休憩にしよう?」というのだった。

●休憩から
 歩夢が「雪、そっちはどうだ?」と声をかける。
 雪が窓辺から見る歩夢に「どうかな?」と現状を見せる。
「華やかになってきてる」
 雪はほっとして、シアンも見た。
 歩夢が「休憩にしよう。クッキーも作ってみた」と勧める。
「休憩……忘れてたかも」
 雪が言う通りであるため、シアンが「そうだね。休憩しよう」と手を休めた。

 テーブルに歩夢が皿に盛ったクッキーを載せ、コーヒーを淹れる。
 そこに伽羅彦が「パンケーキ作ったからどうぞ」と声をかけた。
 プエルが「お茶入れてくる!」といそいそと紅茶淹れる。
 雪は「緑茶淹れようか」と、台所で茶葉と急須を借りる。
 休憩のティータイム。
 飲み物も色々あり、好みのものを手にする。
 プエルはクッキーを食べて首をかしげる。
「マカナイクッキーって何が入っているの?」
 歩夢は違和感が何だったかわかった。
「賄いは、従業員とかに食べさせるために作ったものだ。今回は同じ依頼を受けた人たちやプエルに食べてもらうためのクッキーという意味だ」
 歩夢が説明するとプエルが勘違いを恥ずかしがり、無言かつ高速でクッキーをほおばる。
 シアンはテーブルの状況からプエルが持つ問題に提案を出す。
「プエル君、注文を聞いてカトラリーを並べる形はどうだろう」
「えっと注文聞いて……作る」
「前に持ってくるんだ。調理後に往復する必要はないし」
「作る前に往復するんだね……そういえば、家具に入れて置けばいいのか……」
「それもアイデアの一つだね。あと、籠にカトラリーを入れて客が好きなもの取って使うという方式もあるけど……雰囲気が出ないかな」
「考えてみるね」
 家具が置かれているけれども空っぽな理由は、活用されていないからだった。

 休憩を挟んで残っている作業をする。
 料理についてのあれこれや食器の置き場など考えたり、台所の片付けもある。
 雪とシアンはポットから土への植え替えは完了した。
 シアンは「こんな感じでいいのかな?」とどこか不安も残る。
 笑顔の大きな「うん!」をプエルからもらった。
「この道具を片付けたら終わりです」
 雪はスコップ等を洗って干し、シアンがポット等のゴミをまとめ終了した。
 最後にシアンはウサギと戯れるのだった。

 伽羅彦は帰り際に「プエル、少しでも課題は解決した?」と問う。
「うん。お客になりたいとも思った」
 プエルはにこにこという。
 京四郎が「その真意は?」と念のために聞くと、プエルは「庭きれいだし、お菓子とか美味しかったから」という。
「ウサギ従業員もいるし、きちんと開店しないで撤退しないし、のしのしパンダ買いたいから、頑張るよ」
 決意を新たにするのだった。

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