●もふっ!
氷雨 累(ma0467)は簒奪者オルトロスとの決着もつき安堵。
「此処も無事に復旧出来そうで良かったですね、フィリアお姉さん」
フィリア・フラテルニテ(ma0193)はうなずく。
「今日はバーベキューですっ。バーベキューですよっ。楽しみですっ」
暁 大和(ma1428)と更級 暁都(ma0383)はソラリアに声を掛けた。
「元気にしているか? 今日は共に楽しもう」
「こんにちは。バーベキューを楽しみましょう」
ソラリアは「お陰様でちよ!」と返答。
鐘田 将太郎(ma1159)は「バーベキューか。若い頃にやったっきりだなあ」と考える。
「米炊くのは任せとけ。肉や野菜を焼くのは任せた!」
冥皇(ma1126)が「バーベキューって、食い物を焼いて食うものなのか」と尋ねた。
暁都が説明しつつ、早速実施へ。
紅緒(ma0215)と藍紗(ma0229)、紫明(ma1226)はソラリアに安堵の言葉を伝える。
「そらりあ! みんなもお肉屋さんも大丈夫だった? よかった!」
「大事が重なった様じゃが、ソラリアや商店街が無事で何よりじゃ」
「ソラリアも無事だったのね。ココも無事そうで良かったわ」
白綾(ma0775)や銀火(ma0736)も。
「ここの処、あちこちで大変な事が起きていますが大丈夫でしたか?」
「おう! ソラリアじゃねえかあ! 生きてるなあ! 元気かあ?」
イサラ(ma0832)は心配していたからこそ、元気よく。
「オヒサっス! ソラリアっち! 今日も侍衆でお世話んなるっスよ!」
玄那(ma1251)は「ソラリアちゃんは暑くなったら大変そうね。大丈夫かしら?」と思う。
慧南(ma1425)が 「久し振りの商店街ですね。宜しくお願いします、ソラリアさん」という中、ラール(ma1399)がソラリアをなでる。
「ソラリアちゃんもいつも通り可愛がっとこか! ええ子やなー!」
ソラリアはラールにツメと牙で応じたため、「ビビりませんよ」と思っていた青桐(ma1371)は遮蔽物を取った。
黄桜(ma1321)は情景に微笑む。
「あまり出掛けないあたしだけど、もふもふ商店街は常連よねえ」
風怜(ma1426)は記憶の欠片を求めている。
「此処の町並みは、私がいた時代より遥かに進んでいる……気がするわ」
仲間はいるけれど、何か足りない。
歩夢(ma0694)はバーベキューの準備は完了させた。
雀舟 雪(ma0675)は歩夢を見つけ、軽く手を挙げ、挨拶。
優夜(ma0725)は白花 琥珀(ma0119)と共にやってくる。
「えと、お誘い頂いてありがとうございます。改めて、白花 琥珀です」
琥珀が頭を下げる。
「なんやかやでまともに挨拶してなかったよな。歩夢というよ。よろしく!」
「初めてだったわね。雀舟よ、よろしくお願いします」
それに続き「優夜です。改めてよろしくね」と白い羽を揺らす。
「皆さん、ゆっくり話した事はなかったですね」
と、琥珀が言うと、優夜は「今日はゆっくり話そう」と告げる。
歩夢は「じゃ、焼いてくぞ」と焼き始めた。
●縁
クレア(ma0732)は「……ずいぶんと賑やかな席に迷い込んでしまったものですね」と、見渡す。
楽しそうだし、参加することに。
澪(ma0672)を見つけたので、焼く食材を皿に乗せそちらに。
ゆっくり話す機会も少なかったし、声を掛ける。
澪は粛々と一人焼肉に興じていた。
「……おいしい」
肉の中でも特に美味しいと思う所、よいところを確保してきていた。
食材が良いと美味しいし、雰囲気もスパイスとなる。
人の気配を感じ、顔を上げる。
「澪さん。お久しぶりです」
「ん、クレア。久しぶり」
「良ければご一緒しませんか」
「どうぞ」
澪は一匹狼な焼き肉をしていたけれども、別に一人きりがいいわけでもない。
クレアと一緒に肉を焼き食べることはいい。
クレアも肉を焼き食べ始める。
「そのお肉はどこのでしょうか?」
「あっちの――という肉」
「色々おいしそうで迷いますね」
澪は小さく顎を引いた。
クレアは澪の猛き剣に感服しているため、武芸談義を始める。
澪は基本食べるけれども、クレアの話を聞き、答える。
互いに戦闘を生業にしているということで話は続く。
●焼く!
フィリアは食材コーナーで息をのむ。
「……見てください累様、お肉が選び放題です。輝いて見えます!」
「色々ありますね。どれにしましょうか?」
牛肉を中心にシカやクマなどが選ぶ。
累は「では、焼いていきますね」と網の上に肉を載せる。
タイミングよく、フィリアは食べる。
「硬さで差別化できていますが、どのお肉も正義ですね。優勝です」
「こっちもそろそろ焼き上がる頃ですね。はいっ」
「累様もちゃんと食べてますか? 私ばかり食べちゃってませんか?」
「頂きます……うん、美味しいです……こういう場所で食べるのもまた」
フィリアは食欲に口が追い付かず、串を二刀流へ。
「はしたない姿ですが……累様しか見ていませんし、良いですよね?」
「あは。大丈夫、誰も見てないよ、フィリアお姉さん」
白飯、野菜や甘い物などいたり尽くせり。
悩みなんて吹き飛ぶ、食事だ。
将太郎は竈を準備し、米を研いで飯盒に水と入れて火にかける。
「久々に米炊くんで、上手くいくかねえ……。どうにかなるかね?」
とはいえ、後は炊けるのを待つのみ。
状況が安定しているあいだにビールの準備を。
飯盒がにぎやかになったところを我慢する。
人数分の皿によそって完了。
暁都たちは食材を選び、将太郎の竈近くへ。
大和が鉄板や網等運び、焼く準備。
「肉食いたい、肉! 焼きマシマロってのも食ってみたいからな!」
という、冥皇はふと思った。
「食うだけってのは悪いよな。材料切るんだよな!?」
「食材の状況からすると、野菜は切りますね」
「それは俺に任せろ! こう見えても切るのうまいぞ」
暁都の説明を受け、冥皇が切り始める。
下準備が整ったところで、暁都が「では、焼きますよ」と宣言。
「網では蛤、鮭といった魚介類、鉄板で肉類、野菜を焼いていきます」
しばらくするといい匂い。
暁都が「お肉、焼けましたよ。たくさん食べてください」と取り分ける。
冥皇は早速ほおばり「美味い! 肉最高!」と満足そう。
大和が焼いていると、暁都が「焼いてますから、食べてください」と、勧めてくる。
「なら、食べよう。暁都もたくさん肉を食べろ。食べないのは勿体ないぞ?」
「食べてますよ。焼いている方のペースで」
と、焼けたものを皿に載せる。
「皆で食べると美味しいですね。バランス良く、食べてくださいね」
冥皇は慌てて野菜を取る。
「野菜も食うって。バランス良くだろ? 暁都、もっと食べろ! 俺がきちんと焼いとくから」
暁都はトングをむしり取られたので、見守りつつ食べる。
将太郎は焼けた肉を焼き肉のタレをつけて食べる。
「外で飲むビールは上手い! 暁さん、飲もう!」
大和はビールを片手に、
「ああ、飯も旨いし、外でこうして食べるのもいいな」
と、喉を潤す。
二人の食も進む。
優夜は「琥珀さん、改めて綺麗で可愛いですよね」と褒める。
照れる琥珀は「何か手伝います?」と歩夢に振る。
「焼けるのはこれからだし、焼けたら食べてくれていい」
優夜が「本人好きでしているんだから」というと、雪もうなずく。
琥珀はここに恋愛話を期待する。
「仲が良さそうですね、元からお知り合いだったりするんですか」
「私と、歩夢が? あはは、だって、歩夢。そう見えるんだってー」
「ああ、こいつらとは幼馴染でさ。腐れ縁だよ」
と、答える歩夢の視線が少し、雪に動いたかもしれない。
優夜は歩夢から雪の矢印を示すようなジェスチャー。
琥珀は微笑むが、優夜の雰囲気も察する。
優夜は「それよりも琥珀さんの話を聞かせて」と尋ねる。
「婚約者がいるんですけど最近忙しくてデートができてなくて……なのでお誘い頂いて嬉しいです。あ、でも、デート出来た時はとっても、その、楽しめるように色々考えて下さるんですよ」
「わあ、熱愛なのね♪ いいなぁ」
歩夢が「よし、この辺はもう焼けてるよ」と教えてくれる。
雪は静かに焼かれた野菜を皿に取り、口に含む。
「美味しいわ。焼き方もいい塩梅ですね」
「それは良かった」
歩夢はスキルも使って焼き加減を徹底的に完璧に仕上げた。
さらに、奉行として端々に目を光らせる。
「優夜。そっちは、も少し待て、雪はもうちょっと食った方が……」
「……し、しっかりと食べてるわ。お肉」
雪は硬直した直後、慌てて食べやすそうな肉を皿に盛った。
なお、歩夢が食べていないなら別途取っておこうとした。彼が食べているのを見て、ホッと小さく息を吐いた。
食材や飲み物など、選び終えた。
白綾が準備を整えた、
「本日は色々と焼かせて頂きます。これは、お料理の修行の一環です」
慧南も手伝うというので心強い。
また、藍紗は紅緒を見て、彼女自身の食事がおろそかになるかもしれないので、焼きつつ見繕って渡せる位置。
青桐は酒もよいけど、今日は食べる。
「網焼きと食材があるのに食べなかったらソラリアさんに噛み千切……怒られますよ」
そう思っているらしいが、どう伝わった情報か。
「慧南さんと白綾さんが焼き奉行ですか。頼もしいですねえ」
待って居れば確実に出てくる?
慧南は白綾の隙間を縫うように肉や野菜を焼く。
焼きあがったそばから消えていった。
紅緒と銀火のペースを見て、対策する。
焼きあがったところでまんべんなく渡していくことにした。
「紅緒は好きな物を食べるとよいが、野菜も確りと摂るのじゃぞ?」
藍紗はそういうが、慧南が紅緒の皿に「お野菜も食べてください」と載せた。
「お肉もっと食べたいんだけど慧南! 野菜も食べるからちょうだい!」
「慧南は思うておった以上に仕切っておるの……紅緒がちと可哀想じゃ」
と、藍紗が複雑な表情。
青桐は「というか白綾さんは優しいですが、慧南さんおっかないですねえ」とつぶやく。
それでも、皿に載るものはある。
「ソラリアさんお勧めのシカ肉とささみも食べましたが、イケますね」
トウモロコシに醤油もいい。
なお、銀火は「あれダメこれダメってうるせえぞう!」となる。
「こうなりゃ横からかすめ取るしかねえぞう。慧南の目え盗んでよう」
「意地悪をしている訳ではありません。平等に分けているんです」
と、慧南が反論。
「ある程度全員に行き渡ったら、残しては体裁が悪いですし、後は御自由にどうぞ」
とはいえ、目を盗んで取ろうとたり、ひと悶着はあった。
藍紗は蛤以外に、シカ肉を食べた。癖がなく食べやすかったので、紅緒と白綾にも取り分ける。
「師匠が取り分けて下さったお肉、とても美味しいです。嬉しいです」
白綾は手を休めて食べる。
「お肉が人気ですよね。私は食感が残ったお野菜も好きです。特にたまねぎとシイタケ」
続いて、パンケーキを焼き始めた。
焦がさないように、表面をよく見てひっくり返す。
甘い香りが漂い、リクエストが他の人からも入るし、自分の分も。
紅緒は「あたしも好きな物を焼くわ! 白綾も自分の分をちゃんと食べてね!」と宣言する。
「私も焼きながら合間に少しづつ頂いているので、大丈夫ですよ」
とはいえ、紅緒が焼きたいと言っている、それはそれだ。
慧南は適度に焼いたものが回ったことで、食べたい放題は解禁。
「私も一杯いただきます」と紫明に声を掛け、自分も楽しむ。
「ビールは美味しいですね。お肉も野菜も上手く焼けています」
玄那はブナシメジやマイタケ、鶏肉などを焼く。
「ポン酢はさっぱりして美味しいわね、良いわね」
この世界に来て知った焼肉をたれも使う。
「ソラリアちゃんにも焼いた鳥の笹身をあげるわね。あげるのよ」
「ありがとでち」
ふと、玄那はおにぎりがあるといいと感じ、飯盒で炊く。
なお、デザートに串に刺したマシマロを食べる。
「ちょっと繊細ね、手芸みたいで楽しいわ、楽しいのよ。甘いわね」
イサラは肉を主体に焼いていく。
「なんか行軍の野営みてーでイーっスね! 楽しくなって来たっス!」
なんとなく記憶が刺激される。
「オボロゲっスけど、行軍中の野営なカンジを思い出すんスよね」
風怜はそれを聞き「野営の感想は、イサラちゃんと一緒ね。同郷なのかしら」と思う。
もちろん、道具はもっと簡素だっただろう。
イサラはクマ肉について「クセ強なんスよね。味噌漬けにして食うんスよ」と豆知識。
「とりまアタシは牛肉っス! お肉の王様!」
と、ミカンジュースをお供に食べる。
マシマロは柔らかく、焼いて食べるというイメージがない。
「つか焼いたら溶けちったんスけど!」
玄那の助けが入って食べることはできた。
紫明は串を片手に食材を焼く準備。
「焼き物は牛と玉葱交互に刺した串よ、飽きずに食えるわ」
黄桜は酒を並べ、紫明の用意を見る。
「お酒だけじゃなくて、それに合わせるおかず選びも楽しいわねえ」
肉を焼いている間、馬刺しをほおばる。
「生肉を口に入れっと鬼の感性思い出したりしない?」
と、紫明は笑う。
黄桜は「馬刺しにはこれかしらねえ」と、酒を選び食べる。
「いいお肉と清酒はお塩もいいわよねえ」
と、言う間に、玉葱と肉も焼きあがる。
ラールが「これも焼くでー」と、持って来た肉の塊に串を刺す。
「お肉が目の前にあるのに食べへんかったら鬼の名が廃るやろ?」
焙られた肉の香りが漂う。
焼けたそれをほおばり、冷たいビールをグッと飲む。
「最高や。ウチはやっぱしビールやで」
紫明が声を掛けた藍紗も加わる。
黄桜は少しもらってきたパンケーキを食べる。
「紅緒ちゃんが食べてたパンケーキを貰ったけど、シャンパンが合うわあ」
「呑み、肉、野菜、おやつ、意外と棲み分け出来てると思わない?」
と、紫明。
「紫明たちは酒飲んでんのかあ? ワタシにもよこせえ! 飲ませろう!」
パンケーキをしっかり皿に盛った銀火も加わる。
黄桜は「たとえ世界が終わろうとこれだけは、お酒だけはやめられないわあ」と笑う。
ラールは銀火に串を一つ取られるが、たくさん残ってる。
「外であらゆるもん丸焼きにして食べるって最高やな! お酒もおいしいわ!」
藍紗は仲間と妹の様子を詠む。
「此の景に詠める……そらのもと ならびてわらふ あやめぐさ ゆらすのかぜは ねつをおびたり」
風怜はその姿を見て、詠むことを思った。
(藍紗は歌も詠うのね。残った記憶故かしら、それとも此方で得たものかしら)
風怜は周りの雰囲気に気付き、
「御免なさい。今日は明るく過ごす日ね。お酒を頂こうかしら、紫明」
酒盛りに加わっていく。
思い出せないのは辛いが、今は楽しい。
紅緒はコロッケを買いに走る。それに青桐がついていく。
三十枚ほど買ってきておやつの運命は?
氷雨 累(ma0467)は簒奪者オルトロスとの決着もつき安堵。
「此処も無事に復旧出来そうで良かったですね、フィリアお姉さん」
フィリア・フラテルニテ(ma0193)はうなずく。
「今日はバーベキューですっ。バーベキューですよっ。楽しみですっ」
暁 大和(ma1428)と更級 暁都(ma0383)はソラリアに声を掛けた。
「元気にしているか? 今日は共に楽しもう」
「こんにちは。バーベキューを楽しみましょう」
ソラリアは「お陰様でちよ!」と返答。
鐘田 将太郎(ma1159)は「バーベキューか。若い頃にやったっきりだなあ」と考える。
「米炊くのは任せとけ。肉や野菜を焼くのは任せた!」
冥皇(ma1126)が「バーベキューって、食い物を焼いて食うものなのか」と尋ねた。
暁都が説明しつつ、早速実施へ。
紅緒(ma0215)と藍紗(ma0229)、紫明(ma1226)はソラリアに安堵の言葉を伝える。
「そらりあ! みんなもお肉屋さんも大丈夫だった? よかった!」
「大事が重なった様じゃが、ソラリアや商店街が無事で何よりじゃ」
「ソラリアも無事だったのね。ココも無事そうで良かったわ」
白綾(ma0775)や銀火(ma0736)も。
「ここの処、あちこちで大変な事が起きていますが大丈夫でしたか?」
「おう! ソラリアじゃねえかあ! 生きてるなあ! 元気かあ?」
イサラ(ma0832)は心配していたからこそ、元気よく。
「オヒサっス! ソラリアっち! 今日も侍衆でお世話んなるっスよ!」
玄那(ma1251)は「ソラリアちゃんは暑くなったら大変そうね。大丈夫かしら?」と思う。
慧南(ma1425)が 「久し振りの商店街ですね。宜しくお願いします、ソラリアさん」という中、ラール(ma1399)がソラリアをなでる。
「ソラリアちゃんもいつも通り可愛がっとこか! ええ子やなー!」
ソラリアはラールにツメと牙で応じたため、「ビビりませんよ」と思っていた青桐(ma1371)は遮蔽物を取った。
黄桜(ma1321)は情景に微笑む。
「あまり出掛けないあたしだけど、もふもふ商店街は常連よねえ」
風怜(ma1426)は記憶の欠片を求めている。
「此処の町並みは、私がいた時代より遥かに進んでいる……気がするわ」
仲間はいるけれど、何か足りない。
歩夢(ma0694)はバーベキューの準備は完了させた。
雀舟 雪(ma0675)は歩夢を見つけ、軽く手を挙げ、挨拶。
優夜(ma0725)は白花 琥珀(ma0119)と共にやってくる。
「えと、お誘い頂いてありがとうございます。改めて、白花 琥珀です」
琥珀が頭を下げる。
「なんやかやでまともに挨拶してなかったよな。歩夢というよ。よろしく!」
「初めてだったわね。雀舟よ、よろしくお願いします」
それに続き「優夜です。改めてよろしくね」と白い羽を揺らす。
「皆さん、ゆっくり話した事はなかったですね」
と、琥珀が言うと、優夜は「今日はゆっくり話そう」と告げる。
歩夢は「じゃ、焼いてくぞ」と焼き始めた。
●縁
クレア(ma0732)は「……ずいぶんと賑やかな席に迷い込んでしまったものですね」と、見渡す。
楽しそうだし、参加することに。
澪(ma0672)を見つけたので、焼く食材を皿に乗せそちらに。
ゆっくり話す機会も少なかったし、声を掛ける。
澪は粛々と一人焼肉に興じていた。
「……おいしい」
肉の中でも特に美味しいと思う所、よいところを確保してきていた。
食材が良いと美味しいし、雰囲気もスパイスとなる。
人の気配を感じ、顔を上げる。
「澪さん。お久しぶりです」
「ん、クレア。久しぶり」
「良ければご一緒しませんか」
「どうぞ」
澪は一匹狼な焼き肉をしていたけれども、別に一人きりがいいわけでもない。
クレアと一緒に肉を焼き食べることはいい。
クレアも肉を焼き食べ始める。
「そのお肉はどこのでしょうか?」
「あっちの――という肉」
「色々おいしそうで迷いますね」
澪は小さく顎を引いた。
クレアは澪の猛き剣に感服しているため、武芸談義を始める。
澪は基本食べるけれども、クレアの話を聞き、答える。
互いに戦闘を生業にしているということで話は続く。
●焼く!
フィリアは食材コーナーで息をのむ。
「……見てください累様、お肉が選び放題です。輝いて見えます!」
「色々ありますね。どれにしましょうか?」
牛肉を中心にシカやクマなどが選ぶ。
累は「では、焼いていきますね」と網の上に肉を載せる。
タイミングよく、フィリアは食べる。
「硬さで差別化できていますが、どのお肉も正義ですね。優勝です」
「こっちもそろそろ焼き上がる頃ですね。はいっ」
「累様もちゃんと食べてますか? 私ばかり食べちゃってませんか?」
「頂きます……うん、美味しいです……こういう場所で食べるのもまた」
フィリアは食欲に口が追い付かず、串を二刀流へ。
「はしたない姿ですが……累様しか見ていませんし、良いですよね?」
「あは。大丈夫、誰も見てないよ、フィリアお姉さん」
白飯、野菜や甘い物などいたり尽くせり。
悩みなんて吹き飛ぶ、食事だ。
将太郎は竈を準備し、米を研いで飯盒に水と入れて火にかける。
「久々に米炊くんで、上手くいくかねえ……。どうにかなるかね?」
とはいえ、後は炊けるのを待つのみ。
状況が安定しているあいだにビールの準備を。
飯盒がにぎやかになったところを我慢する。
人数分の皿によそって完了。
暁都たちは食材を選び、将太郎の竈近くへ。
大和が鉄板や網等運び、焼く準備。
「肉食いたい、肉! 焼きマシマロってのも食ってみたいからな!」
という、冥皇はふと思った。
「食うだけってのは悪いよな。材料切るんだよな!?」
「食材の状況からすると、野菜は切りますね」
「それは俺に任せろ! こう見えても切るのうまいぞ」
暁都の説明を受け、冥皇が切り始める。
下準備が整ったところで、暁都が「では、焼きますよ」と宣言。
「網では蛤、鮭といった魚介類、鉄板で肉類、野菜を焼いていきます」
しばらくするといい匂い。
暁都が「お肉、焼けましたよ。たくさん食べてください」と取り分ける。
冥皇は早速ほおばり「美味い! 肉最高!」と満足そう。
大和が焼いていると、暁都が「焼いてますから、食べてください」と、勧めてくる。
「なら、食べよう。暁都もたくさん肉を食べろ。食べないのは勿体ないぞ?」
「食べてますよ。焼いている方のペースで」
と、焼けたものを皿に載せる。
「皆で食べると美味しいですね。バランス良く、食べてくださいね」
冥皇は慌てて野菜を取る。
「野菜も食うって。バランス良くだろ? 暁都、もっと食べろ! 俺がきちんと焼いとくから」
暁都はトングをむしり取られたので、見守りつつ食べる。
将太郎は焼けた肉を焼き肉のタレをつけて食べる。
「外で飲むビールは上手い! 暁さん、飲もう!」
大和はビールを片手に、
「ああ、飯も旨いし、外でこうして食べるのもいいな」
と、喉を潤す。
二人の食も進む。
優夜は「琥珀さん、改めて綺麗で可愛いですよね」と褒める。
照れる琥珀は「何か手伝います?」と歩夢に振る。
「焼けるのはこれからだし、焼けたら食べてくれていい」
優夜が「本人好きでしているんだから」というと、雪もうなずく。
琥珀はここに恋愛話を期待する。
「仲が良さそうですね、元からお知り合いだったりするんですか」
「私と、歩夢が? あはは、だって、歩夢。そう見えるんだってー」
「ああ、こいつらとは幼馴染でさ。腐れ縁だよ」
と、答える歩夢の視線が少し、雪に動いたかもしれない。
優夜は歩夢から雪の矢印を示すようなジェスチャー。
琥珀は微笑むが、優夜の雰囲気も察する。
優夜は「それよりも琥珀さんの話を聞かせて」と尋ねる。
「婚約者がいるんですけど最近忙しくてデートができてなくて……なのでお誘い頂いて嬉しいです。あ、でも、デート出来た時はとっても、その、楽しめるように色々考えて下さるんですよ」
「わあ、熱愛なのね♪ いいなぁ」
歩夢が「よし、この辺はもう焼けてるよ」と教えてくれる。
雪は静かに焼かれた野菜を皿に取り、口に含む。
「美味しいわ。焼き方もいい塩梅ですね」
「それは良かった」
歩夢はスキルも使って焼き加減を徹底的に完璧に仕上げた。
さらに、奉行として端々に目を光らせる。
「優夜。そっちは、も少し待て、雪はもうちょっと食った方が……」
「……し、しっかりと食べてるわ。お肉」
雪は硬直した直後、慌てて食べやすそうな肉を皿に盛った。
なお、歩夢が食べていないなら別途取っておこうとした。彼が食べているのを見て、ホッと小さく息を吐いた。
食材や飲み物など、選び終えた。
白綾が準備を整えた、
「本日は色々と焼かせて頂きます。これは、お料理の修行の一環です」
慧南も手伝うというので心強い。
また、藍紗は紅緒を見て、彼女自身の食事がおろそかになるかもしれないので、焼きつつ見繕って渡せる位置。
青桐は酒もよいけど、今日は食べる。
「網焼きと食材があるのに食べなかったらソラリアさんに噛み千切……怒られますよ」
そう思っているらしいが、どう伝わった情報か。
「慧南さんと白綾さんが焼き奉行ですか。頼もしいですねえ」
待って居れば確実に出てくる?
慧南は白綾の隙間を縫うように肉や野菜を焼く。
焼きあがったそばから消えていった。
紅緒と銀火のペースを見て、対策する。
焼きあがったところでまんべんなく渡していくことにした。
「紅緒は好きな物を食べるとよいが、野菜も確りと摂るのじゃぞ?」
藍紗はそういうが、慧南が紅緒の皿に「お野菜も食べてください」と載せた。
「お肉もっと食べたいんだけど慧南! 野菜も食べるからちょうだい!」
「慧南は思うておった以上に仕切っておるの……紅緒がちと可哀想じゃ」
と、藍紗が複雑な表情。
青桐は「というか白綾さんは優しいですが、慧南さんおっかないですねえ」とつぶやく。
それでも、皿に載るものはある。
「ソラリアさんお勧めのシカ肉とささみも食べましたが、イケますね」
トウモロコシに醤油もいい。
なお、銀火は「あれダメこれダメってうるせえぞう!」となる。
「こうなりゃ横からかすめ取るしかねえぞう。慧南の目え盗んでよう」
「意地悪をしている訳ではありません。平等に分けているんです」
と、慧南が反論。
「ある程度全員に行き渡ったら、残しては体裁が悪いですし、後は御自由にどうぞ」
とはいえ、目を盗んで取ろうとたり、ひと悶着はあった。
藍紗は蛤以外に、シカ肉を食べた。癖がなく食べやすかったので、紅緒と白綾にも取り分ける。
「師匠が取り分けて下さったお肉、とても美味しいです。嬉しいです」
白綾は手を休めて食べる。
「お肉が人気ですよね。私は食感が残ったお野菜も好きです。特にたまねぎとシイタケ」
続いて、パンケーキを焼き始めた。
焦がさないように、表面をよく見てひっくり返す。
甘い香りが漂い、リクエストが他の人からも入るし、自分の分も。
紅緒は「あたしも好きな物を焼くわ! 白綾も自分の分をちゃんと食べてね!」と宣言する。
「私も焼きながら合間に少しづつ頂いているので、大丈夫ですよ」
とはいえ、紅緒が焼きたいと言っている、それはそれだ。
慧南は適度に焼いたものが回ったことで、食べたい放題は解禁。
「私も一杯いただきます」と紫明に声を掛け、自分も楽しむ。
「ビールは美味しいですね。お肉も野菜も上手く焼けています」
玄那はブナシメジやマイタケ、鶏肉などを焼く。
「ポン酢はさっぱりして美味しいわね、良いわね」
この世界に来て知った焼肉をたれも使う。
「ソラリアちゃんにも焼いた鳥の笹身をあげるわね。あげるのよ」
「ありがとでち」
ふと、玄那はおにぎりがあるといいと感じ、飯盒で炊く。
なお、デザートに串に刺したマシマロを食べる。
「ちょっと繊細ね、手芸みたいで楽しいわ、楽しいのよ。甘いわね」
イサラは肉を主体に焼いていく。
「なんか行軍の野営みてーでイーっスね! 楽しくなって来たっス!」
なんとなく記憶が刺激される。
「オボロゲっスけど、行軍中の野営なカンジを思い出すんスよね」
風怜はそれを聞き「野営の感想は、イサラちゃんと一緒ね。同郷なのかしら」と思う。
もちろん、道具はもっと簡素だっただろう。
イサラはクマ肉について「クセ強なんスよね。味噌漬けにして食うんスよ」と豆知識。
「とりまアタシは牛肉っス! お肉の王様!」
と、ミカンジュースをお供に食べる。
マシマロは柔らかく、焼いて食べるというイメージがない。
「つか焼いたら溶けちったんスけど!」
玄那の助けが入って食べることはできた。
紫明は串を片手に食材を焼く準備。
「焼き物は牛と玉葱交互に刺した串よ、飽きずに食えるわ」
黄桜は酒を並べ、紫明の用意を見る。
「お酒だけじゃなくて、それに合わせるおかず選びも楽しいわねえ」
肉を焼いている間、馬刺しをほおばる。
「生肉を口に入れっと鬼の感性思い出したりしない?」
と、紫明は笑う。
黄桜は「馬刺しにはこれかしらねえ」と、酒を選び食べる。
「いいお肉と清酒はお塩もいいわよねえ」
と、言う間に、玉葱と肉も焼きあがる。
ラールが「これも焼くでー」と、持って来た肉の塊に串を刺す。
「お肉が目の前にあるのに食べへんかったら鬼の名が廃るやろ?」
焙られた肉の香りが漂う。
焼けたそれをほおばり、冷たいビールをグッと飲む。
「最高や。ウチはやっぱしビールやで」
紫明が声を掛けた藍紗も加わる。
黄桜は少しもらってきたパンケーキを食べる。
「紅緒ちゃんが食べてたパンケーキを貰ったけど、シャンパンが合うわあ」
「呑み、肉、野菜、おやつ、意外と棲み分け出来てると思わない?」
と、紫明。
「紫明たちは酒飲んでんのかあ? ワタシにもよこせえ! 飲ませろう!」
パンケーキをしっかり皿に盛った銀火も加わる。
黄桜は「たとえ世界が終わろうとこれだけは、お酒だけはやめられないわあ」と笑う。
ラールは銀火に串を一つ取られるが、たくさん残ってる。
「外であらゆるもん丸焼きにして食べるって最高やな! お酒もおいしいわ!」
藍紗は仲間と妹の様子を詠む。
「此の景に詠める……そらのもと ならびてわらふ あやめぐさ ゆらすのかぜは ねつをおびたり」
風怜はその姿を見て、詠むことを思った。
(藍紗は歌も詠うのね。残った記憶故かしら、それとも此方で得たものかしら)
風怜は周りの雰囲気に気付き、
「御免なさい。今日は明るく過ごす日ね。お酒を頂こうかしら、紫明」
酒盛りに加わっていく。
思い出せないのは辛いが、今は楽しい。
紅緒はコロッケを買いに走る。それに青桐がついていく。
三十枚ほど買ってきておやつの運命は?





