きらきら☆サンタレーシング!
運営チーム
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シナリオ形態
イベント
難易度
Very Easy
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
50 SC
参加人数
1人~50人
優先抽選
50 SC
報酬
100 EXP
2,500 GOLD
5 FAVOR
相談期間
4日
抽選締切
2021/12/11 10:30
プレイング締切
2021/12/15 10:30
リプレイ完成予定
2022/01/04
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ

 クリスマスパーティー。
 咎人たちの楽しい賑わいは、祝福のヴェールによって包まれるように心地よかった。
 火存 歌女(ma0388)は、スネグーラチカ風の白と水色を基調とした衣装ほ纏い、パーティーに参加していた。
「すみません、こちらのケーキを頂いても大丈夫でしょうか」
 巨大なケーキが、切り分けられるだけで、周囲は盛り上がっていた。ケーキ目当てに並ぶ者が多かったため、歌女も倣って順番を待っていた。
「ありがとうございます」
 ケーキの乗った皿を受け取り、歌女は会場の隅へと歩いていく。壁の前に佇み、歌女はケーキを美味しそうに食べながら、スクリーンに映し出されるレースの様子を見ていた。
「うん、とても美味しいです。賑やかで楽しいですね……おや、いよいよレースの開始ですか」
 地域には、歌女にとって馴染みの場所もあり、見たことがある区域がスクリーンに移りだされると、やはり目を惹かれてしまう。
「あの辺りはとても入り組んでいますけど、巧く走り抜けていますね」
 レースに参加した咎人たちが、スクリーンに映り、歌女が感想を呟く。一人でパーティーに参加していたが、それでも周囲の温かい雰囲気に、歌女は言いようのない気持ちが湧いてきていた。
 ふと見やると、屋台の店も並んでいた。
 高柳 京四郎(ma0078)とラクス・カエルム(ma1196)は協力して、喫茶店の屋台を出していた。
「いらっしゃいませなの、美味しいキチンはいかが?」
 ラクスはサンタ服を着て、頭に猫耳カチューシャ、首に猫鈴も着けて、フワフワと浮遊しながら、呼び込みをしていた。
「似合ってる、かな? クリスマスといえば、赤と白の衣装、だよね」
「ラクスさん、今回も助かるよ。うん、とても似合ってる」
 調理は、京四郎が行い、お客が来たら丁寧に会釈して対応していた。
「チキン二本、コーヒー二つ、お持ち帰りですね」
 お客が品物を受け取ると、京四郎は笑顔で見送った。
「ありがとうございました」
「ふー、お客さんも楽しいそうだね」
 ラクスが客に向かって「ありがとうなの」と手を振る。一段落すると、京四郎はラクスに声をかけた。
「少し休憩しようか。その間、スクリーンを見てみよう。はい、ラクスさんもチキンどうぞ」
「わー、美味しそう。ありがとなの!」
 京四郎たちは、スクリーンに映るレースの様子を見ながら仲間たちの応援をしていた。
 レースが終わると、京四郎は前もって用意していたプレゼントを、ラクスに差し出した。喫茶店の飲食無料の回数券と蒼い月の形をしたラクスのサイズに合わせた髪飾りだ。
「星や月の形の髪飾りは、身を守るとか女性らしさを表すとか、そんな意味があると聞いてね。ラクスさんが今後も元気で可愛らしく在れる事を願って……かな? お客さんであり大事な友人だからね、うん」
「ブルームーンの髪飾り……ありがとう、すっごく素敵なの!」
 ラクスは受け取ると、自分も用意していたプレゼントを京四郎に手渡した。
「あたしからは甘じょっぱいチョコレートおかきのプレゼントなの。お口に合うか分からないけど、気に入ってくれたら嬉しいの」
 ラクスはそう言った後、ブルームーンの髪飾りを早速、付けていた。
「ありがとう、ラクスさん。じゃあ、俺も頂くよ」
 京四郎は、ラクス手作りのチョコレートおかきを味わっていた。
「……とてもバランスの良い味で、美味しいよ」
「ホント?! 良かったなの」
 ラクスがうれしそうに微笑むと、京四郎も楽しそうに笑みを浮かべていた。



「これが、クリスマスパーティー!」
 Admire(ma0934)が、巨大ケーキを目の当たりにして、ソワソワしていた。
 この日のために、トナカイの着ぐるみを着て、参加だ。
 Admireは周囲の様子を伺いながら、子供のように目を輝かせていた。
「トナカイって、ソリを引くんだったかしら?」
 ならば、レースに参加した方が良かったのかも…という思いも過ったが、せっかくパーティーに参加するなら楽しむことが何よりだとも感じていた。
 スクリーンに映るレースの実況を見ながら、Admireは、サンタの恰好をしていた咎人たちを応援していた。
 屋台からは、カレーやチキンの香ばしい匂いが漂ってくる。
「?! 御馳走も、良いわね。だけど、この格好のままで良いのかしら?」
 Admireは、トナカイの着ぐるみを脱ぐか、否か、迷っていた。
「……どうすればいいの?脱ぐ? 脱ぐの? 子供の夢を壊すの!? いいえ、私も誰かの子供、ご馳走を食べるわー!」
 Admireは、トナカイの恰好のまま、屋台を巡り歩き、御馳走を抱えて奔走していた。その姿は、あながちトナカイが走るようにも見えなくもない。
「あ、食べる時は、隙間からスプーンは入れれば……」
 かなり強引でもあったが、Admireはスプーンやフォークを使って、トナカイの恰好のまま、美味しい料理を堪能していた。
「年の瀬が近づいたか。異世界でもそういう気分になるのだな」
 天野 イサナ(ma0022)は、トナカイの着ぐるみを着たAdmireが走り回る姿を、微笑ましく見ていた。
「出店もあるようだな」
 イサナは、京四郎の出店でチキンとコーヒーを受け取ると、近くにあったベンチに座った。
「ふむ、実に美味い」
 チキンは、パリパリとした食感で、スパイスも効いていた。
 大型スクリーンでは、レースの様子も流れていた。今は、とても平和な気分になるが、まだ平和がもたらされていない世界での戦いは続いている。
「この世界へ流れついてもう一年か。早いものだ。私は、どこかの誰かの役に立てただろうか」
 この場所が平安であるからこそ、そういう思いもあった。だが、今だけは、この時間をゆっくりと味わうことにすることも大切ではないか?
 イサナは、願いを込めて、お手玉をした。
 一つ、一つ、飛んでは、手で受け取り、また一つ天高く舞い上がる。落ちてくるお手玉を片手でキャッチして、また一つ、一つ、お手玉が宙に舞う。
 いつか、本当に平和な日々がくることを祈って……。
 しばらくすると、ポップなリズムの曲が聞こえてきた。
 佐藤 桜歌(ma0034)は、いつだってアイドルだ。
「今日はクリスマスをテーマに歌って踊るよっ、楽しんでねーっ☆」
 桜歌はアイドルクロース「タイプ☆スクール」を纏い、クリスマスをテーマにした恋愛ソングをメインに、アイドルクリスマスライブを行っていた。
 スタンドマイク「サクラ」を両手で持ち、元気一杯に楽しそうに桜歌は歌っていた。
「アイドルソングっていえば、やっぱり定番はこーいうのだよねっ☆」
 王道のアイドルらしく、リズムに乗って、ダンスをしながら、桜歌は軽くステップしていく。
「ルン♪ ラン♪ ルン♪」
 サビの部分で、ポンと飛び跳ねる。
 ステージはなくても、桜歌はアイドルとして、どこまでも張り切って踊り、歌い続けていた。
 トップを目指して、いつでも、どこでも、アイドルとして活動する桜歌であった。



 蒼嵐(ma1183)にとって、クリスマスとは、あまり聞きなれない言葉だった。だからこそ、興味もあった。
「神が主催するだけあって、賑やかな雰囲気だな。季節感はないのかと思っていたが、冬の雰囲気がするな」
 宝石神アメンスィの計らいだったのか……それは、蒼嵐にも分からなかったが、確かに冬らしい環境になっていた。
 出店を見つけた蒼嵐は、小腹が空いていたこともあり、イーサンのカレーを注文することにした。
「……不思議な味だな」
 蒼嵐はそう言いつつも、カレーは美味しかったらしく、満足そうだった。
 知り合いもいたが、今回は気ままに一人で廻ることにした。スクリーンからはレースの実況と共に、歓声も聴こえてきた。
「楽しそうだな」
 レースに出て身体を動かすことも良いとは思ったが、せっかくここにいるのだから、ふらりふらりと出店廻りをするのに良いものだ。
「空気感というのだろうか、暮れの忘年会のような雰囲気だな。これが年の瀬の祭ならば、新年……はあるのだろうか?」
 蒼嵐は、年の瀬の大掃除を思い出していた。寒い中での大掃除は大変だったが、それも今では良い思い出だ。
「さて、もう少し歩きまわってみるか」
 行き当たりばったりも、時には楽しいものだ。
 

 白花 琥珀(ma0119)が待ち合わせ場所へいくと、シア・ショコロール(ma0522)が広場で待っていてくれた。
「シアさんお待たせしました! えと、変なところないでしょうか……?」
 琥珀は、白いふわふわのコート、ニット帽と手袋、ダークブラウンのマーメイドスカートとブーツを履き、シアから貰った藤色のマフラーを首に撒いていた。
「とっても似合ってますよ。マフラーもつけてくれたんですね。うれしいです」
 シアはご機嫌だった。今日は、二人でデートだ。うれしさを隠しきれず、自然と笑みが浮かんでしまう。
「改めて、そう言われると……」
 琥珀は、照れていた。もちろん、うれしくて。
 広場からも、大型スクリーンからレースの様子を観ることができた。
「うわぁ、盛り上がってますね。こういうレース好きだなぁ。琥珀さんは誰が優勝すると思います?」
 シアの問いに、琥珀が応えた。
「静姉様に優勝してほしいですねっ。応援しなくちゃです!」
 スクリーンの画面越しから、琥珀とシアは仲間を応援していた。レースの休憩時間になり、その合間に、シアがとっておきのものを作ってくれた。
「はい、今ぼくにできる最高のカフェカプチーノとチョコですよ」
「わ、シアさんのカプチーノとチョコを頂きながらなんて贅沢ですね。ありがとうございます。カプチーノとチョコ、とっても美味しいです」
 琥珀は、紙コップに注がれたカプチーノを飲み、チョコも少しずつ齧っていた。
 レースが終わると、琥珀は用意していた贈り物をシアに差し出した。
「猫の尻尾が取っ手になってるコーヒーカップです。あの、ペアで買ってあるので、ねこのねやに置いてて下さいませんか…?」
 琥珀に向き直って、シアもプレゼントを贈った。本べっ甲の白甲かんざしだ。
「琥珀さんの美しさを、さらに引き立てますね」
「……シアさん、それ……答えになっていないです」
「……あ、えと……猫のコーヒーカップ、ありがとうございます。お揃いですね。もちろん、置いておきますから」
 シアが返答すると、琥珀は安堵して、震える手で、白甲かんざしを受け取った。
「シアさん、今年一年ありがとうございました、メリークリスマス! 大切にします、今度これをつけて踊りますね!」
「ぼくの方こそ、ありがとうございます。琥珀さんの踊り、楽しみにしてますね。来年もまた来ましょう。メリークリスマス」
 シアは、琥珀の手を取って、歩いていく。互いの手の温もりを感じながら。



 アストレイト・ヴォルフ(ma0258)は、ある決意をしていた。
「ほら雪乃、行くぞ。……ん、どこ行った?」
 風花雪乃(ma0597)は、京四郎の屋台を見つけると、二人分のキチンとコーヒーを注文して、アストレイトの元へと戻ってきた。
「はい、チキンとコーヒー。一緒に食べましょう」
 いつも通りの時間が、流れていた。特に、進展もなく……雪乃は、不満だった。
「えい! 雪投げちゃうぞ!」
 道端の雪を拾うと、雪玉を作り、ポイっと投げていた。アストレイトには当たらず……敢えて、当てなかったのだが、雪乃はどことなく寂しそうだ。
 この時間を、独り占めにしたい。その願いは、叶っている。だけど……。
 雪乃は、ごめんの印として、雪ウサギを作っていた。
 周囲を見渡すと、誰もいない。アストレイト、ようやく動く。
「待たせたな、雪乃。……俺と結婚してくれますか?」
 突然のプロポーズだった。
 まだ、二人きりで、イルミネーションも見ていない。グリューワインも一緒に飲んでいない。
 この人は……、段取りというものを知らないの?
「……髪に雪……。好きな人といると心に鐘が聞こえるの。リンゴーンって」
 雪乃がそう言うと、アストレイトは彼女を抱き寄せた。
「返事は?」
「ハグ? ここで?……ぎゅ……なの。アストレイトのお願いなら聞くよ?」
 雪乃は、はっきりと答えなかったが、幸せそうに笑っていた。
 アストレイトが、雪乃の瞳を見つめる。
「……なんだって、こう……うまい言葉が、出てこないんだ」
 自分自身が、歯痒くなる。もっともっと、雪乃に伝えたいことがあるのに。
 その想いが、なかなか言葉として、まとまらない。それでも、アストレイトは雪乃から離れなかった。
 いや、誰にも渡したくないし、離れたくもなかった。
「これからもずっと居てくれよ?」
 アストレイトの頬が、雪乃の頬と重なる。そして……。重なり合う二人。
 しばらくすると、雪乃が顔をあげて、アストレイトの首に手編みのマフラーを撒いてくれた。
「メリー・クリスマス。雪だるまにあげたりしないよ。はい。贈り物」
「……雪乃。ありがとう。……俺は、プレゼントは、用意してなくて」
「そんなこと、気にしてたの? プレゼントなら、貰ったから、良いの」
 雪乃は、幸せだった。一番の贈り物は、アストレイトだから。
 


 七掛 二夜(ma0071)は、兄の七掛 双儀(ma0038)と共にパーティーに参加していた。
「天獄界でもクリスマスはクリスマスだね。さてどこに行こうか?」
「兄さんに任せますよ。しかし、死んでからもクリスマスですか」
 二夜は、そう言いながらも、楽しそうに目を細めた。
 双儀が立ち止まり、巨大ツリーを見上げた。
「おや、クリスマスツリーもあるのか。いろいろな文化が混ざったおかげで見覚えのあるものがあるのは助かるね。しかし、死んでからイルミネーションを見ることになるとはね」
「あ、料理が並んでいるコーナーもありますよ。いってみましょう」
 二夜がテーブルに近づくと、双儀はポタージュスープの入った皿を手に取った。隣にあったチキンも一緒に。
「なかなか、良い味だね。やはり温かいスープを飲むと温まる。たまには外で食べるのも悪くないね。このチキンとても美味しいよ」
「懐かしい料理も多いですし、見知ったクリスマスパーティーですね。こういうのも悪くありませんね」
 二夜は、カップに注がれたコーンスープを飲んでいた。と、あることに気付いた。
「ちなみに兄さんはサンタのレースには参加しないんですか?」
「はっはっは。いや、レースは得意な人にお任せすることにしよう。っと、二夜ちゃん。何か欲しいものはないかい? それなりに仕事はしているから懐に余裕はあるよ」
「その懐に入っている物でいいですよ。双儀さん?」
 見透かしたように、二夜が微笑んでいた。
「おやおや、あっさり見つけたね」
 双儀は、事前に用意していた鳥の羽根を模したブローチを手渡した。
「……ふむ。確かにこういうのもお洒落かもしれませんね」
 二夜は、兄からのプレゼントを受け取った。
「さて、兄さんは何か欲しいものはありますか?」
 妹に言われて、「おや?」と呟く双儀。
「自分の欲しいものまで、考えてなかったな」
「でしたら、出店を廻ってみましょう。兄さんが気に入るものがあるかもしれませんよ」
 二夜にそう言われたが、双儀は妹と一緒にいるだけで良かったのかもしれない。そのことに、二夜は気付いているのか、知る由もなかったが、楽しそうにしていることに変わりはなかった。


「仲良しさんだな。二夜お姉ちゃんたち」
 広場を歩いていたシトロン(ma0285)は、偶然、知り合いを見つけ、二人の様子に、ほっこりしていた。
 クリスマスのことはよく分からなかったが、シトロンは出店を廻ることにした。
「おうおう、せっかくの機会だ。ジャンジャン、やれや!」
 パンダくんが、ピコピコハンマーで、モグラ叩きをしていた。
「わー、面白そうだな。パンダくん、こんにちは!」
「おう! こんにちは、メリークリスマスたぜっ!」
 ピコピコハンマーを軽く振りながら、パンダくんが威勢のいい声で応えた。
「めりー、くりすます? そっか、『くりすます』ってこんな感じなんだ」
 イルミネーションや巨大なツリーも飾られていた。
「わあ、きらきらしてて綺麗だね!」
 シトロンは、周囲の賑わう様子に、心もワクワクしていた。
「クリスマスって、何すれば良いのかな? ……サンタさんって速さを競うものなんだ?」
 シトロンが、スクリーンに映るレースを見て、呟いた。
「あー、ちょっと違うかな。サンタってのは、子供たちにプレゼントを贈る妖精みたいなもんかな」
 イーサンが、ちょこっと説明してくれた。
「サンタさんは、子供たちに幸せをくれる妖精さん?」
 シトロンは、本物のサンタが、どんな姿をしているのか想像していた。きっと優しくて、赤い服を着た人なのだろうということは、なんとなく分かってきた。
「ああ……それで、髭もじゃのおっさんで……」
「え……」
 分かったと思った瞬間、何もわからなくなった。

 エイリアス(ma0037)と言えば、パンダくんの様子を写真に撮っていた。
「パンダさん、カメラありがとうございます。これで、皆さんの様子を写真に残すことができます」
 エイリアスがカメラを所持していなかったため、パンダくんが貸してくれたようだ。
「そのカメラは、オイラのスペシャルカスタム仕様だからな! ちゃんと返せよ!」
「はい、そうしますね」
 撮影許可のある場所を廻り、エイリアスはカメラのシャッターを押して、記録していった。
「……綺麗、ですね」
 イルミネーション、巨大クリスマスツリーを撮影していくエイリアス。
 広場や撮影許可が下りた出店を映していくと、イーサンが鼻歌交じりでカレーを作っている場面も撮ることができた。
「ふふ、楽しそうですね」
 つられて、微笑むエイリアスであった。
 イーサンのカレーが完売になると、エイリアスは片付けを手伝うことにした。
「完売、おめでとうございます。イーサンさん」
「ありがとさん。片づけまで、助かるぜ」
 エイリアスにとっては記録を取ることも大切だが、食べ終わった後の片付けも大事なことだった。
「無事に終わることが出来ましたね。本当にお疲れ様でございます。こんな日が続いてくれたら嬉しく思います」
「ああ、そうだな」
 イーサンが、しみじみと応えた。
「さて、ウチは店仕舞いだし、よかったらお礼に何か奢らせてくれないか」
「いいんですか? それじゃあ、そうですね……あっちのお店に……」
 


 フィリア・フラテルニテ(ma0193)、小山内・小鳥(ma0062)、氷雨 累(ma0467)の三人は、一緒に広場ヘと向かっていた。
「フィリアお姉さん、小鳥ちゃん、何か食べたいものある? 僕、取ってくるよ」
「累が選んだものなら、なんでもいいですよー」
 小鳥が応えると、フィリアが微笑む。
「累様、ありがとうございます。ケーキは外せませんよね」
「分かった。取ってくるね」
 累は、ケーキを配っているコーナーへ行き、三人分のケーキを貰うと、フィリアたちの処へと戻ってきた。
「今日はカロリーなんか気にしちゃいけません。まぁイデア体ですが」
 フィリアは、クリスマスということもあり、サンタの恰好をしていた。
 小鳥と言えば、へそ出しミニスカサンタの衣装だ。
「たまにはまったり過ごすのも…いいですねー……。はい、はーん…してくださいー」
「はーん?」
 累が首を傾げると、小鳥が改まって、フォークでケーキをすくった。
「あ~んして」
「そ、そういうことか」
 累は照れながらも、小鳥がフォークで差し出してくれたケーキの欠片を口に入れた。
「ん、美味しい」
「フィリアも、あ~んしてくださいー」
 小鳥が差し出したケーキを、フィリアも美味しそうに食べていた。
「この雰囲気、とても好きなのですよね。クリスマスは特別です。色々な屋台もあるようですし、廻ってみましょう」
 フィリアがそう言うと、小鳥と累が頷き、三人で出店廻りをすることになった。
「チキンとコーヒーの出店もありますね。食べましょう食べましょう、今日は特別な日です」
 フィリアは、本当に楽しそうだ。
 累が、三人分のチキン・セットを注文して、フィリアと小鳥に手渡した。
「あ、レースの方も佳境かな? 凄いね……本物サンタもあんな感じで競争してたりして」
 広場から見えるスクリーンには、レースの様子を観ることができて、累は興味深そうに言っていた。
 三人で過ごすクリスマスは、穏やかに時間が流れ、甘い一時でもあった。
 小鳥は一息つくと、二人にプレゼントの箱を渡した。
「クリスマスなので……サンタからのプレゼントですよー。中身は……秘密なのですー」
 どんなものかは、箱を開けてからのお楽しみだ。
「小鳥様、プレゼントありがとうございます。この後は小鳥様の喫茶店で2次会でもやりましょうか」
 フィリアが箱を受け取ると、累は恥ずかしそうに箱を手に取った。
「プレゼント、ありがとう。ん、この後……そうだね、小鳥ちゃんさえ良ければ…どうかな?」
 小鳥が、ぽわわーんとしていると、累はフィリアと小鳥の手を優しく握り締めた。
「二人とも……帰りは一緒に、ね?」
 少しくらい男の子らしいところ見せないと……累は気を引き締めていた。
 三人は互いに手を取り合い、並んで帰ることにした。
「お祭りも楽しめました。この後はどうします? 喫茶店行きます?」
 フィリアが尋ねると、小鳥は惚けていた。
 この後、どこへ行くにしても、これからも三人で一緒に過ごすのだろう。きっと……。
 


 【桃篭】のメンバー、草薙胡桃(ma0042)、鈴東風姫(ma0771)、魅朱(ma0599)は、出店を廻って、クリスマス女子会を楽しんでいた。
「広場も随分と煌びやかじゃのう。盛り上がって居る様で何よりじゃ」
 風姫は、手作りのホット蒸留酒を持参して、胡桃と魅朱にも差し出した。
「寒う無いか? 暖かい物も用意した故の……飲み過ぎは注意じゃぞ?」
「鈴、ありがとう」
 魅朱が、カップに注がれたホット蒸留酒にチョコを入れて、ゆっくりと飲み始めた。
 胡桃は、ホット蒸留酒にミルクを入れて飲んでいたが、ほんのりと頬が淡い紅色になっていた。
「ふふっ。今日だけは何もかも忘れ、て。ね?」
 広場から見える大型スクリーンには、レースの様子が映し出されていたが、三人はホット蒸留酒を少しずつ飲みながら、鑑賞していた。
「ひとりの時間も大切だけれど……ふとした瞬間、二人が寂しくならないように……せめて、寄り添う優しい灯りを……楽しい時間はあっという間だけれど……記憶は“永遠”……だよね……?」
 魅朱が、ふとそんなことを言った。それを聞いた風姫が、魅朱と向き合う。
「わらわは”今”の魅朱が好きじゃ。”過去”に囚われぬでおくれ?」
「みぃ、永遠って……?」
 胡桃は酔い始めたのか、魅朱に寄り添い……背中の辺りを、こちょこちょしていた。
「わわっ、くすぐったい」
「胡桃が飲み過ぎる前にプレゼント交換としようか」
 くすくすと笑う風姫……手をくぅるりと返し、贈り物として二人に手提げ巾着を手渡した。
 魅朱には、桃烏龍茶の茶葉と帯留めや根付にもなる銀細工の蓮の下を泳ぐ金魚の装飾したもの。
 胡桃には、桃茉莉花茶の茶葉と耳飾りや煙管飾りになる銀細工の羽ばたく小鳥と苺の装飾を施したものだ。
「ありがとう、鈴。私からも、二人に贈り物があるの。メリークリスマス! 親しい女の子同士でのこういうの、私初めて」
 そう言って、胡桃は、風姫へは手編みの膝掛けを渡した。
 柔らかくて細い毛糸で編んだから、素肌にも優しいはずと配慮し、基本は白の無地、隅に桜の花弁を思わせる薄いピンクを配色していた。
「これは、洒落たものじゃのう」
 風姫が大切に受け取る。
「みぃ、よかったら受け取ってね」
 胡桃が、魅朱のために贈ったのは、手編みのマフラーだ。
「鈴のものと同じ毛糸で編んでいる、のよ」
 片方の端に菊と蝶、もう片方に三色菫と烏の羽根のモチーフ編みだ。
 魅朱は微笑み、風姫と胡桃からの贈り物を受け取った。
「私から、二人へのプレゼントは、ランタン……モモには三色菫が彫刻されたアンティークデザイン…鈴には椿と月模様の和風デザイン…」
 風姫と胡桃はランタンを手に持ち、魅朱に感謝の言葉を述べた。
「みぃ、ありがとう」
 胡桃はそう言いながら、手編みのマフラーを魅朱の首元に巻いた。
「細く長い糸と、繋がった縁を重ねて、というわけじゃないけれど、二人が寒い時に、そっと寄り添えますように。……なんて、ね?」
「それで、同じ毛糸で編んだのじゃな。膝掛けのようじゃが、応用が効きそうでな……どうじゃ?」
 風姫が、胡桃の贈り物である手編みの膝掛けを、両肩にかけていた。
「こうして使うのも、温かいの」
「モモ、鈴……ありがとう」
 魅朱は、二人からの贈り物を受け取り、とてもうれしかった。二人がいなければ、私は、きっと……。
 そんな想いが過った時、魅朱の視界に、なにやら巨大なものが見えてきた。
「はわ…あれは、クリスマスツリー……? じゃない……ツリーみたいなマカロンタワーだ……」
 クリスマスカラーのマカロンを見つけた魅朱。
「白のバニラはモモに、緑の抹茶は鈴に……赤のチェリーは、私……」
 それぞれのマカロンを手に取ると、二人に差し出した。三人で甘い菓子を頬張る……それだけで、魅朱は楽しかった。
 その様子を見て、風姫は安堵していた。



 【侍衆】の仲間たちは、イサラ(ma0832)の提案で、スカートサンタ衣装を着ていた。
「アタシもミニスカっスけど、若いんで足出ててもへっちゃらっス!」
 イサラが、デーンと立ち尽くす。
 藍紗(ma0229)は、イサラの頼みということもあり、サンタの膝丈スカート姿だ。
「サンタとは、丁稚という意味の三太郎の事であろう? 違うのかの?」
「三太郎? どこぞの世界の英雄?」
 紅緒(ma0215)は、足が寒いということで、裾長めのスカートのサンタ姿だった。ぽんぽん帽子も被って防寒ばっちりなはず。
 銀火(ma0736)も、サンタの衣装を着ていたが、適当に選んだと言いながらも丈が短いスカートだ。
「サンタの格好しろって言われてしたけどもよう、足がさみい」
「いつもは白い装いですが、今日はサンタ衣装で真っ赤です」
 白綾(ma0775)は、スカート長めのサンタ衣装だ。
 美咲(ma0958)と言えば、防寒優先のフワフワしたサンタ衣装を纏い、尚且つ、眼鏡も付けていた。
「皆、すき焼きを知らなかったのよね。口に合うか心配だわ」
 広場の空きスペースを見つけて、その場にて、すき焼きを作って食べることになったが、作り方を知っていたのは、美咲だけだった。
 今回は、具材を持ち寄るという闇鍋形式だったのだろうか?
 イサラが持ってきたのは、ネギ。
 藍紗は、白菜。紅緒は、牛肉。銀火は、シシ肉。白綾は、不足のないように牛肉を多めに持ってきていた。
 美咲は、考えに考えた末、お豆腐にした。個人的にも好きだったからだ。
「思ってたより、バランスよく、食材が揃ったようね」
 鍋奉行は、美咲……調味料や酒を入れて、それぞれ持ち寄った食材を鍋の中に並べていく。
「スキヤキって、焼くのになんでナベで煮てんだあ? んん?」
 銀火が不思議そうに、鍋を見ていた。グツグツと、野菜や肉、豆腐が鍋で煮込まれていくと、美味しそうな香りが立ち上がってきた。
「お肉も、たくさんあって、楽しみ!」
 紅緒も、すき焼きのことはよく分かっていなかったが、お肉がいっぱい食べられるのはうれしかった。
「でもそもそもアタシ、クリスマスってなんだかよく知らねーっス。味付けは美咲ッちだから安心っスね!」
 イサラも、イベントの主旨が分かっていなかったが、皆で楽しく鍋を囲むのも良いもんだと、ワクワクしていた。
「多めに牛肉、持ってきて良かったです。こういう趣向も、楽しくて良いですね」
 白綾は、示し合わせをせずに、すき焼きの具材を持ち寄ると聞いて、どうなることかと最初はどきどきしていたが、美咲が手際よく作っている様子を見て、一安心していた。
「はい、できたわよ」
 美咲がそう言うと、すでに肉の取り合いが始まっていた。
 紅緒は、牛肉に狙いを定めて、食べ始めていた。負けじと、銀火も肉をひたすら食べることにした。
「野菜はキライだから喰わねえ。美咲はうめえもんを作るなあ? すげえなあ! おかわり!」
 銀火がそう言うと、紅緒はネギや白菜も食べつつ、肉も食べていた。
「すきやきおいしい! これはいくらでも食べられるやつね! お肉はまだある?」
「白綾が、多めに牛肉、持ってきたから、あるよ」
 美咲が、鍋に牛肉を追加して、さらに煮込んでいく。
「しかし、今日の鍋は牛肉が多いのう…? さて、今日は、もにたーとやらを見ながら鍋を突つく宴会じゃ」
 藍紗は、白菜とネギを美味しそうに口に入れていた。
「シシ肉も、ありますよ」
 白綾は大人しく、静かに食べていた。藍紗に注意されないように。
 広場には、スクリーンがあり、レースの様子も映し出されていた。
「おお、ダチが映ってるっす!」
 イサラは、やんややんやと、レースに参加している友人たちの応援をしていた。もちろん、すき焼きを食べながら。
 紅緒は肉をメインに食べながら、時折、スクリーンに映る友人の健闘ぶりに少し興奮していた。
「すごいよ、すごいよ! どっちもがんばれー!」
 レースも凄いが、肉も上手くても凄い。
 藍紗は、スクリーンに映るレースを見ていた。
「サンタというのは丁稚の異名であろう? 物を配り回るとは、丁稚らしい使い走りの仕事じゃ。少々荒っぽい様じゃが、其処は流石咎人といった処かの?」
「サンタは、サンタよ。人の為に配る、でも争い合う、大変な事よね」
 美咲もまた、レース参加者に感心していた。
 銀火は、肉を食べるのに余念がない。紅緒がレースを見ているうちに、銀火が肉を平らげていた。
「スキヤキうめえなあ! みんな喰わねえなら、全部喰っちまうぞう」
「ああー!」
 紅緒が、鍋の方へと振り返るが、遅かった。
「肉が、ないっ!?」
「野菜はあるだろう?」
 銀火がそう言うと、美咲が頷き、豆腐を美味しそうに頬張っていた。
「豆腐は、まだあるからね」
「ネギは?」
 イサラはそう言って、鍋の端にあったネギを食べることができた。
 和気藹々とすき焼きを食べながら、レース観戦する。こういうクリスマス・パーティーも素敵なものだ。
 鍋が空になり、レースも無事に終わった。
 良きレースに感激して、藍紗が歌を一つ。
『御師走る ひとが為にと 三太郎 打ちて配りて 右に左に』
 藍紗の歌に聴き入る……そして。
 ふと、あることに気付き、美咲が言った。
「……あ、クリスマスなのにケーキがなかったわ!」
「そうだったっス!」
 イサラの声が、木霊した。

(執筆:大林さゆる)

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