きらきら☆サンタレーシング!
運営チーム
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シナリオ形態
イベント
難易度
Very Easy
判定方法
エキスパート
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
50 SC
参加人数
1人~50人
優先抽選
50 SC
報酬
100 EXP
2,500 GOLD
5 FAVOR
相談期間
4日
抽選締切
2021/12/11 10:30
プレイング締切
2021/12/15 10:30
リプレイ完成予定
2022/01/04
関連シナリオ
-
  1. オープニング
  2. 相談掲示板
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
●聖夜、疾風怒濤 01

「よ~い……どんっ♪」

 宝石神の掛け声で、総勢22名のサンタ達が一斉に駆け出した!
 冷え切った12月の空気を切り裂いて、後続を『壮絶に』突き放すのは2名、先頭から川澄 静(ma0164)とシロ・イリス(ma0243)。全力でぶっちぎった為、もはや誰の妨害も届かない。
 その気になれば静とシロは互いを妨害し合える位置にはあったが、二人が選んだのは正々堂々一本勝負であった。
「ペソちゃん、一緒にがんりましょうねっ」
 静は水着サンタ服という夏なのか冬なのか謎な服装で、トウリョウペンギン「ペソ」に乗っている。目指すは優勝。相棒を一撫で。地図は頭に叩き込んだ。速攻、走る走る。
「速度は大事ですが、配達物は粗末に扱ってはいけませんね」
 一番ということは、最も効率のいいルートを辿れるということ。そんな中でも慢心せず、プレゼントやイベントへの敬意は忘れない。投げずにキチンと、ひとつひとつ真心を込めて、ポストへ投函。静のマインドこそ、まことのスポーツマンシップであった。

「メリークリスマスなの。コスプレはミニスカサンタ服なの」
 そんな静の背中を追うのはシロ。けも尻尾を靡かせて、速攻、巡行移動、優勝目指して全力全開。
「他人の妨害はしないなの。走りで1位を目指して頑張るなの」
 レース、大好き! 自分にできる最短ルート、ポストを見つければプレゼントを取り出して。
「チケットだけだと味気ないなの。事前に作ってた義理クリスマス星型チョコも封筒と一緒に投函なの」
 メリークリスマス。想いを込めてばっちり投函。シロはウンッと頷いてから、矢継ぎ早にワイルドアクションを発動。獣の力を解き放ち、巡行移動と全力移動を駆使して、一陣の風となり――ひゅん、と静を追い越した!
「「……!」」
 二人の視線がかちあう。
 以降、二人は熾烈なトップ争いを繰り広げることとなる――。

 さて後続――。

「ひゃっほ~」
「楽しい季節がやってきましたね! 町はキラキラでいっぱいです」
「大移動はブルーオーシャンを開拓する為に使ってもいいですね」
「瑠理香さん移動はお任せするね。お互い頑張ろうね」
 電飾で七色にキラキラしている一人用ソリ・ワンダースレッドが4台。
 葛城 武蔵介(ma0505)(黒サンタ服)、ソテル(ma0693)(聖夜の天使服)、マイナ・ミンター(ma0717)(スリット入りのサンタカラードレス)、山神 水音(ma0290)(普段着)――彼らはチーム【喫茶】。高速で駆け抜ける4人分のソリを超特急もかくやと曳いているのは、大狼マーナガルムに乗った瑠璃香(ma0653)である。
「かけっこなら負けないですよ! 武蔵や喫茶衆と愛を配達するですよ、楽しみなのですよ♪」
 輝きと共に疾走。ベリトの仮装をした瑠璃香は、獣の力を解放する。巡行移動、ダッシュダッシュ。
『はぁ? 咎人の奴等に配り叫喚の嵐にしてやるに決まってるだろ! 喫茶のクーポン券までおまけ配布だぞ!』
 ベリトの物真似をしつつ、妨害を避けるべく序盤は迂回ルートへ。ある程度引き離してから最短ルートを狙う心算だ。
「はい、こちらがこの家のプレゼントです。ひとの夢を届けるお仕事ですよ? 角を潰さないように」
「もちろん。『俺の手は大切なものを愛おしむため』にあるからね」
 びゅんびゅん風を切りながら。マイナから受け取ったプレゼントを、武蔵介は【哲学】に則った真心を込めてポストへと投函する。きちんと立ち止まっての投函だ。ちなみにこちらのプレゼント、中には喫茶店『Blue Moon』のお得なクーポン入りである。☆来店お待ちしてます☆

 さて投函の為に立ち止まるとなると、どうしても後続が追い上げてくる。

「親愛を込めてアナと呼んでくださいまし」
 悪役令嬢専用バイク「スカラムーシュ」のエンジンを吹かし、迫るのはアナルデール・ウンディーニ(ma0116)。
「この私がレースの悪役ですわ。この勝負いただきましたわ」
 先頭こそもぎとれなかったが、食らいつき続けるのみ。ここでキキィッとAK●RAブレーキ。プレゼントは丁寧に確実に投函! 悪役令嬢だけどプレゼントに善悪はない!
 ならば、と打って出るのは水音だ。
「ここは僕に任せてよ! 先には通さないよ!」
 折角のクリスマス、楽しむことも勝負事も全力で。
「ふふん、悪いけど皆こっちに来てもらうよ」
 二重のチェーンロックを後続へ。強撃薬によりその拘束強度は高められている。アナルデールにも堅牢に絡み付いた――が。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ですわ」
 不滅意志。フンッと鎖を引きちぎり、再び流刑街を駆け始める。
「あっ――だったらこれでっ!」
 ならばと水音は巨大化した。道をそのまま塞いでしまう。しかし次の瞬間だ。アナルデールは水音の身体を踏み台に、パルクールよろしく屋根へと飛び移ったではないか!
「おーほっほっほっ、御免あそばせ」
 地図なら頭の中にある。最短の為ならばお行儀よく道を走っている場合ではない。アナルデールは高笑いを残し、魅せプレイで首位を狙う。

「……思ったよりも妨害が飛んできませんね?」
「いいことじゃないか。こっちのやるべきことに集中できる」
 マイナの言葉に武蔵介は微笑んだ。マイナは相手からの妨害に備えていたが、周囲に妨害に来る者はいない。幸いにして近くにいるのが走ることに集中している者のみなのと、先頭こそ逃したが後続からは抜きんでた為、そもそも妨害する者がいないのだ。
「いろいろ用意してきましたが……杞憂が杞憂で終わるのは喜ばしいことですね。では、レースに集中いたしましょうか」
「もちろんプレゼントも」
「ええ! 人と競うのは悪くはありませんが、全ての人に配りたいですね」
 テキパキと、投函役の武蔵介にプレゼントを渡していく。
「みんな素敵で、かわいらしくて嬉しいよ」
 武蔵介は頼もしき乙女達を見渡し、プレゼント配りを続けていく。彼もまたマイナのように「杞憂が杞憂で終わった」者の一人だった。
 しかしマイナと武蔵介の役目はそれだけではない。前者はスキルチャージとリクエスト、後者は永劫回帰Ⅱとトランスハート。一秒でも長く仲間と共に走り続ける為の術を、二人は携えていた。やれることを的確に。それがサポーターの心得なり。
「さーどんどんいきましょー」
「目指せ優勝ーーー」

 かくしてチーム【喫茶】は順調に進んでいくが。

「シフール便……ではなく、エターナル便がお届けします。機動力は負けません」
 序盤に遠回りを選んだのは彼らだけでなく。ソリに追従並走するのは、月森の豺狼に乗る青いサンタワンピース姿のリル・マコルカ(ma0108)。無表情ではあるものの、その胸にあるのは「楽しい」という気持ちで。
「配達はきちんと、丁寧に」
 速く、正しく、手際よく。キチンとプレゼントを投函していきながら、リルは脚を止めない。生前の世界では妖精の配達業が盛んだった。なんだか懐かしい気持ちだ。今世で広めよう妖精便。よろしくどうぞ妖精便。
(あとは一気に追い抜けば――……)
 ちらと横目に見るチーム【喫茶】。
 が、ここで。
「レース中とはいえ花は必要だよね。こんなのはどうかな?」
 水音とソテルのファイヤーフラワー。輝ける七色の光が炸裂する。音と光で気を逸らせる心算だが、リルも豺狼もそれしきで怯むことはなく。
 ではこれならどうか。
「さあ、皆さんここで休憩を。お相手はいますか? ダンスはいかが? 聖夜の煌めきと共に何度でも! ぜひぜひ、会場の方もご参加ください」
 世界をもっときらきらに。ソテルはきらきらパーティクルを自らに施して、強撃薬によって輝きを増した魅了のオーラを振りまいた。
「……!」
 リルはファイアウォールで抵抗する、が、それでもかけられた魅了はバインドクリアで除去。だがしかしきらきらパーティクルはソテル自身に付与されたグッドステータス! それがもたらす『近付け』という超神秘的魅力暗示には抗えない! 追い抜くことができない!
「くっ……」
「いいですね、キラキラしましょう、一緒に踊りましょう!」
 足止め役の本領発揮だ。ファイアウォール&バインドクリアVS魅了with強撃薬、リルとソテルの間で抵抗対決の火花が飛ぶ。このまま互いのスキルが尽きるまで戦いが続く……と思われたが。
「ハァ……ハァ……キラキラしてますね……。むむむ……、あなたの衣装に敬意を!」
 激戦の中で友情が芽生えるアレ。ソテルはきらパ&魅了ハメコンボにここまで抗ってみせ、こんな中でも妖精便の矜持を忘れぬリルに敬意を覚えた。「どうぞ!」と笑顔でお通り下さい。
(え……通っていいんだ……)
 リルはちょっとビックリしながらも、ラッキー。お先に失礼。お互いにグッドラック。

 さて、トップ二人の背中を追うのは氷鏡 六花(ma0360)だ。
「……グラジオラスさんを真似て、この衣装にしたのですが……何か……間違えてる……でしょうか」
 六花は静に続いて冬と夏がチークダンスしているセクシーサンタドレスだった。まあ羞恥はない。
「……天獄界も、涼しくて過ごしやすくなりましたね……。冬の夜に現れるサンタは……氷と闇に属するような気もします。勝負事とあらば、我が主神の威信に懸けて、無様を晒す訳にもいきませんし……全力で参ります」
 最短ルートの地図は暗記している。氷雪魔狼「ルドルフ」を駆り、影牙の装いを身に纏い、リソースも全て移動に注ぎ込み、ポストにプレゼントをしっかり投函しつつ、勝利を目指す。
 己は武神の眷属だ。その矜持が六花の冷たい胸に闘志の焔を宿らせる。全力で勝負を。主神に勝利を献上せん。
 妨害対策をしてきたが、妨害手を積んだチーム【喫茶】は迂回路を選んだし、トップにこそ及ばないものの集団からは離れている、近くにいるアナルデールは妨害をせず走りに集中しているし、六花を阻む者はいなかった。
 なら自分も集中だ。六花はキッを前を向く。

 さて、トップ勢から後方の戦況はどうか――。

「ぼんてんふらっしゅじゃー!」
「……ん、じゃあこっちも、ひびきふらっしゅ」
 どっかんどっかん飛び交うファイヤーフラワー。梵天(ma0721)と鈴鳴 響(ma0317)は並走状態、ばちばち火花を散らしている。比喩的にも物理的にも。
「今日は勝つよ、ぼんてん! ゆうしょうだ!」
 梵天の相棒は久志利(ma0369)。大鴉ヴィゾーヴニルに乗って、魔法の箒ナイトシーカーで空飛ぶ梵天と共に行く。
「新しい相棒に活躍させてやりたいしな、一丁頑張るとしようか」
 響がしがみつく先には麻生 遊夜(ma0279)。サンタ仮装の彼女に合わせトナカイ服、奇しくも梵天達と同じように「空飛ぶサンタコスの仲間にヴィゾーヴニルで共に行く」状態で。
 さて二組の作戦は「ファイヤーフラワーでめくらまし作戦」と似通っていた……が! バステも何も付与できない花火で、歴戦の咎人や乗騎が怯むことはなく!

「しかし、サンタとは派手な格好をしておるのう。真っ赤っかじゃ」
 ファイヤーフラワーが尽きたところで、梵天は着慣れないコスチュームを見下ろした。
「さんたくろーす……人にほどこしをするのは行者のつとめでもあるのじゃ。うむ。じゃが、やるからには勝つのじゃ。久志利もがんばるのじゃ!」
「おー!」
 のんびりやさんの久志利であるが、今日は勝負にやる気満々。

「道はこっちか……っと団子状態だな、急がねば。響、いけるか?」
「……ん、ちゃんとついてくから……大丈夫、任せて?」
 一方、響と遊夜は次の作戦に出るようだ。ニヤリと悪く笑い、構えるのは蜂蜜美容ローション。
 本当は足場に撒いてスリップさせる作戦だったが、いかんせん乗騎や自力で飛べる咎人が数多く。じゃあこうだ。容器を一気に握り潰し、ぶちゅうう~~~っと相手チームへ!
「なんのー!」
 それを物理的に阻んだのは巨大化した久志利だった。うるおい、なめくじ精霊的にはどうもありがとう!
「ぼんてん!」
「了解じゃー!」
 久志利の肩の上、梵天がウォータータンクシューターを構えた。武器ではあるが今回は水鉄砲として本来の使用用途。攻撃ではなくただの放水。塩水を響達へびゅううう~~~!
「……ん、だったら、!」
 遊夜を護るように前へ、響は転嫁を使用した。梵天の顔面に塩水びちゃあ! ぴえー!
 さあ響達の妨害は終わらない。
「……ん、貴方はこちら……そこは、危ない……ほらこっち、こっちだよー」
「さぁ、試練の時間だ。突破して見せろ、勇者ども!」
 魅了とデコイ設置。これで前に進めまい――だがしかし!
「ならばこうじゃ!」
 梵天はバインドクリアで魅了を振り解くや、ホワイトカーテンを展開。白い靄で彼我の間の視線を完全に塞いでしまった。
「あッ!」
 遊夜は追い抜かされそうならチェーンロックやラインキーパーを考えていたが、相手が見えなければ使えない。じゃあ久志利の方は足止めできたか、と見渡すがいない。ドロンシーカーで一足先にいなくなっていたのだ。これまたラインキーパーや魅了などで妨害できない移動術である。
「いくぞー!」
 ホワイトカーテンの向こう、久志利はパンプキンパレードを発動する。お菓子とプレゼントを振りまきつつ、梵天と共に一気に駆ける!

「してやられたな~……まあ、最後まで楽しむとしようか」
「……ん、次の家はこっち……まだ急がなくて、大丈夫……ん、任せて」
 遊夜の言葉にうなずいて、響は配達用のプレゼントを手に取った。


●中間発表ッ!
 モニターにサガルトが映る。
「きらきら☆サンタレーシング、中間発表です! 順位を見ていきましょう――
 一位争いを繰り広げているのは静さんとシロさんです! お互いに追い越し追い抜きといったデッドヒート! 今後の展開に目が離せません!
 今回はただ走るだけでなく『プレゼントをポストに投函する』というルールが設けられています。きちんと届けるにはポスト前で一度足を止めなければならないということで……長丁場でスキルを発動し続けるわけにもいかないということになります。となるとキーになってくるのは、スタートダッシュによるアドバンテージと基本的な移動力ですね。二人がどう舵を切っていくか期待が高まります!
 そして今――あーっと! チーム【喫茶】が追い上げてきました! すごいスピード! 配達しながらでもこのスピードはすごいですね! やや遠回りをしたものの、素晴らしいスタミナで追い上げてきました!
 続くのは六花さん、アナルデールさん、リルさんです! 【喫茶】の妨害を掻い潜り、追いつけるか……!?
 さあレースは後半戦へ! もうひとふんばり、皆様ファイトですっ!」


●聖夜、疾風怒濤 02
「メリークリスマース♪」
 鐵夜行(ma0206)はミニスカサンタ姿、カメラ目線で手を振った。ストッキング履いてるから、あったかいしスカートがめくれても大丈夫……多分。
 さて夜行は脚に風を纏い、全力移動で駆け抜ける。できるだけ一直線ルート、テレポーターで目前の建物の屋根の上へ。軽々とパルクール。妨害されぬようやや迂回していれば、周囲にはライバルの姿は見えず。今の内に、確実にプレゼントを投函していく。
「サンタ、プレゼント投げない!」
 投函ヨシ! 指さし確認!
 ……と、ここでライバルの気配。見やればそこにリムナンテス(ma0406)が。「人混みは嫌だけど、遠回りも面倒」というわけで、奇しくも夜行と同じく『やや迂回』というルートを取っていたのだ。
(わたくしって穏健なタイプだから、つい中間を取っちゃうのよね。ふふ♪)
 クリスマスだって、わたくしが一番きらきらに輝くんだから――そんなリムナンテスに対し。
「よ~し……!」
 にひひ、と夜行はイタズラっこの笑みを浮かべる。妖気収束。これでもくらえ、と放つのはマッドハンド。展開される呪いの腕が乙女に掴みかからんとするが――
「あらあら困るわ」
 ウィッシュプレイヤー。その煌めきでリムナンテスは容易くマッドハンドを祓い退け。
「あ! そのお家はわたくしがプレゼントを配っておくわ! あなたはあっちをお願い♡」
 返す刃(刃?)で夜行にスマイル。魅了の術をかけてしまう。
「安心して……わたくしが先に投函できたら魅了(それ)は解除してあげる。一緒にたくさんのお家にプレゼントを配りましょうね♪」
「な、なんでえ!? 体が勝手にー!」
「ちゃんとサンタさんのお衣装を用意したのよ、ふふ♪ おそろいね♪ ……ところでわたくし神魔種だから、ちゃんとお空も駆けれるの。しっかりついてきてね?」
 わざと「徒歩でも通れんこともないが絶妙に悪路」の上を飛ぶリムナンテス。雪がぬかるんでて靴が濡れるとかそういう。魅了のせいでその上を通らざるを得ない夜行。
「ふふふふふ~♪ 届け、乙女の祈り~♪」
「ぴ~~~!」

「長距離の場合はペース配分と位置取りが大事――最初から飛ばすとターゲットにされやすいでしょうし」
 急がば回れ。アルティナ(ma0144)はほどほどに人が少なさそうでほどほどに遠くないルート上を、白い翼をはためかせて飛んでいた。息切れしない程度の速度、優雅な空のお散歩である。
「それにしても、プレゼントの工程は必要だったのでしょうか……まあ、多少アレなことがあってもどうにでもなりますか。何となくこっちの方が楽しそうでしたし」
 よっこいしょ、と低空でホバリングしつつプレゼント投函。激戦区は避けたつもりだが、妨害されたりしないか一応周囲の確認をしつつ――幸い周囲に人はいなかった――再び空へ。
 ……と、その近くをビュンッと風を巻き上げ何かが通り過ぎて行った。風で乱れた銀髪を手櫛で直しつつ、アルティナが見やった先には、大鴉に乗ったサヴィーノ・パルヴィス(ma0665)のサンタ服を着た背中。
「おー……がんばってますね、皆さん」
 まあ私はそこそこの順位でゴールできれば良いかなって。アルティナはそんな心算ではあるが、レースはレースだ。ちょっとだけ加速しようかな、と翼に魔力を込めた。

 さてサヴィーノ。ウィンドブーツと全力移動で一気にアルティナを通り過ぎた彼であるが、「妨害されなくてよかった……」とホッと胸を撫で下ろした。他のルートを回る手もあったが、自分の移動力を信じて一気に駆け抜けてしまう手段を選んだのだ。次の階層への入口が目の前だったのと、アルティナの様子から妨害はこないだろうことが予想されたからだ。
 幸いにして他の参加者は周囲にいない、妨害される心配はないだろう。出来得る限りの最短ルート、かつ混雑せず、飛べるというアバンテージを最大に活かす。
「流刑街に住んでますからね。ある程度の地形は把握してますよ」
 クイズよりはこっちの方が好きだ。勝負事なら勝ちに行くべし。近くのポストに狙いを定めた。移動攻撃の要領で距離を詰めると、素早くプレゼントを投函する。これは勝負だ、一秒とて無駄にしている暇はない。上手く工夫をして追い上げていく。
「あそこから降りますか。それじゃ、一気に行きますよ」
 大鴉に指示を。寒風を突っ切って、先を急ぐ。

「プレゼント配りは皆に任せて、俺は俺の夢の為に頑張るっすよ~! 皆の夢を叶える為に雪だるマン登場!」
 天魔(ma0247)……もといボイスチェンジャーと雪だるま着ぐるみを被った変質者……もとい雪だるマンが、強撃薬を一気飲みしクルハ(mz0014)の前に降り立った。
「(見破り判定成功)天魔さん!?」
「なぜバレた!? さておき悪いなクルハ嬢、私、ごほん、皆の夢の為に妨害させてもらおう……具体的に言うとここで雪だるマンと戯れてもらう!」
 ッパーンとクルハに叩き付ける果たし状。攻撃じゃないのでセーフ。「はぷぅ!」とクルハはビックリしたが。
(私、じゃない、皆の夢の為に逃がさん!)「君にはエロ、ごほん、素敵なサンタコスチュームを着て貰う!」
「本音と建前が逆ー!?」
「悪いか! 悪いかー! くらえ魅了!」
「なんのトパーズホープ!」
「しまった!? しかもこれでは謎の雪だるマンの正体が神魔種とばれてしまう!」
「いや天魔さんだよね!?」
「畜生ー! エロサンタコスを着てくれ! この通りだ! 世界の平和がかかっているんだー!(高速でエンゲージする不審者)」
「ぎゃああああ変態! 変態! スタッフーーーー!!!」

「クリスマスはサンタとトナカイらしい。そんなサンタは赤いらしい。そうなったらもう赤い奴はクリスマスってことだ。なら赤い俺はもう、クリスマス、聖なる夜の漢ってことだろ。要するに実質もう俺がクリスマスってことだ、勝つるだろコレ」
 吉兆(ma0987)は神妙な顔でそう言った。そんな彼のいでたちは真っ赤なサンタコス……じゃなくてトナカイの着ぐるみだった。そこサンタじゃないんだ!?
「俺のクラスはナイトブラッド、夜の血、夜の赤、すなわちサンタ!」
 真っ赤な棒フレイムダンスをジャーンと構える。でもトナカイのカッコなんだわ。
「魅せてやるぜ……漢の全力! 不可能を可能にする、それが聖夜のキセキって奴だとは思わねぇか!」
 Nトランサーにより全力ダッシュ! ウインドブーツによる超移動! 聖夜の赤き風となる!

 ――それに並走する大型バイクあり。

「今回はまあ、楽しめりゃいい。こういうのもたまにゃ悪くねえ。勝ち負けは期待しねえが、やるからにはな。少し気合い入れるぜ」
 GB-プルガトリウムに乗る小鉄(ma0990)。ふっくらした体型に合わせて付け髭をして真に迫るサンタさんっぷりである。
(とにかく先行して配る、それだけだな。猛者ばっかだと思うが――まさかここで吉兆と出くわすとは。一番厄介な奴と鉢合わせちまったもんだ)
 ちらと目をやればぶつかる視線。互いに思う、「こいつにだけは負けたくねーな」。
 攻撃はルール上、禁止されている。OKならバズーカなりなんなりでぶっ飛ばしてやりたかったが――小鉄はふうと息を吐いた。脳内に叩き込んだ地図でルートを考えつつ……
「しかし、クリスマスってのは忙しねえ行事だな」
 ライド・ザ・ライトニング。一気に加速、吉兆を一気に追い放すと、彼の新路上にプレゼント・バリケード。
「なんの!」
 吉兆はニヤリと笑った。勝算はない――だが聖夜のキセキを信じる。Dステップ発動、瞬間移動でバリケードを無視して移動しつつ、今度は吉兆が小鉄を追い抜いた。
「俺は勝つ! 少なくとも小鉄には勝つ! 俺が! 俺こそが! サンタクロースだーーーッ!」
「でもおまえトナカイのかっこじゃねえか」
「ン゛ナーーーーーー!!」
 全力のマジレスをされてドンガラガッシャと転倒する吉兆。「お先~」と小鉄は冷静にプレゼントを投函しつつ先を急いだ。

「楽しみだね、ユキちゃん……今日の私達、サンタさんだね。頑張って配達しようね」
 仙の角ユキに跨っているのは、ミニスカサンタ服のリナリア・レンギン(ma0974)。付け髭もつけて、ユキにもサンタ服を着てもらって、完璧だ。相棒をひとなで、「それっ」と合図を送って走り出す。マジックポッドを用いたスポットワープ。
 リナリアが選んだのは一番ひとけがなさそうなルートだった。おかげでレースの騒がしさとは縁遠く、静かな聖夜である。塀越え家越えまっしぐら。
「ぷ、プレゼントを投げるのは本当は良くないかもしれないけど……。め、命中は少しは自信あるし……やってみたいな……投擲ポスト入れ……格好良く入ると良いな……」
 そわそわしつつプレゼントを構える。スイッチアーツ、ムーンストーンオーラⅡ。魔力を全て集中力に、駆けるユキの上から「せーの……」と狙い定めて――シュート! ゴール!
「や、やったー……! ユキちゃん、見てた……!?」
 人目がないゆえか、リナリアはいつもよりはしゃいだ様子でユキの首回りをもふもふ撫でた。見てたよ、と言わんばかりにユキがぶふんと鼻を鳴らす。そんな相棒ににっこりしつつ。
「あ、ユキちゃん、お弁当もあるんだよ……えっと。はい、好物の餌っ」
 ユーズドプラスで「おいしくなーれ」の魔法をかけて。のんびり、二人は聖夜を行く……。


●決ッ着ッ!
「こちらゴールです! そろそろ先頭が見えてくる頃……あ! 見えました! 見えてきました!」
 サガルトが目陰をして見やる先――先頭集団が、そのダッシュで雪煙を上げつつ現れた。
「さあレース終盤、スキルはほとんど尽きているでしょう! ここからは単純なスピード勝負となるでしょうか。栄光を掴むの咎人は誰か! 先頭は――やはり静さんです! 二番手はシロさん!」

「ペソちゃん、新鮮な魚をあげますから、もうひと踏ん張りお願いね。応援してくれる人達に応えるためにも……ラストスパートですっ!」

 ペソに好物の餌を与えて、静は誇大する幻想Ⅱを発動。最強のイメージを具現化し、人馬一体ならぬ人ペン一体、ラストスパートを一気に加速。見据えるはゴールテープただ一筋! 狙うは優勝ただ一つ!
「ま、まっ、負けない、なのー……っ!」
 二番手、シロはその背を追わんとするが、もはやスキルは全て尽き果て、息切れ状態になっていた。ぐんぐん静に追い放されていく。それでも最後まであきらめない。少しでも身軽になる為、放熱の為、上着を脱ぎ捨てる。しかしもう限界か。はふはふと舌を出して息を弾ませている。
「は、はひはふはひぃ~~……」

 ――と、ここでシロを追い抜く影ひとつ。

「瑠璃香の背には……仲間達の想いが乗っているのですよっ!」
 大狼を駆る瑠璃香である。
 ワンダースレッドの効果は尽き、【喫茶】のスクラムは瓦解した。ゆえに瑠璃香がアンカーとなり、こうしてひた走っている――ソテル、水音、マイナ、武蔵介、仲間達の分まで。
 そう、瑠璃香は一人ではなかった。仲間がいた。武蔵介の永劫回帰Ⅱ&トランスハート、マイナのスキルチャージを用いたリクエスト――瑠璃香のスキルはまだ息をしていた。仲間達が繋いだ、タスキだった。
 妨害合戦などでもみくちゃにされても、仲間の力でここまで追い上げたのである!
「ばびゅ~ん! 瑠璃香はワイルドなライドでめっちゃ加速するですよ」
 好物の餌で大狼のスタミナも回復済み。持てる神威をありったけ。これが、最後の加速。

 瑠璃香が迫る。
 静が逃げる。
 距離が縮まる。
 互いの息遣いまでもが聞こえる距離。
 負けられない。
 走る走る走る。

 さあどうなる、ゴールは目の前――

「今ッ! ゴールしましたッ!」
 サガルトが「GOAL!」と書かれた旗を振り下ろす。
「きらきら☆サンタレーシング、優勝は――」
 緊迫の一瞬……。

「――川澄静さんです! 序盤からの他を寄せ付けない圧倒的スピード、失速しないスタミナはまさに伝説、圧倒的の一言でした!
 二着は瑠璃香さん! 喫茶店『Blue Moon』の仲間達と紡いで繋いだ、友情の銀メダル! これが絆の力です!
 あ! そしてただいま三着、シロ・イリスさんがゴールイン! 静さんとの白熱のデッドヒートは何度も固唾を呑みこみました! 正々堂々と挑み続けた大健闘のシロさんに、皆様盛大なる拍手を!」

 わあっ、と拍手が巻き起こる。
「いろいろあったけど、最後は皆が楽しめるようにド派手にいくよ!」
 水音はチームの栄光ある準優勝を祝って、空へひときわ大きなファイヤーフラワーを花咲かせた。
「マイナお姉ちゃん、水音お姉ちゃんの花火めっちゃ綺麗ですよ♪」
 その光に応えるように、瑠璃香は笑みを浮かべた。
「メリークリスマス! 来年もいい一年になりますように」
 ソテルは拍手を、チームの仲間へ、対戦相手へ、そして自分へと贈りながら、空の輝きに笑みを深めた。
 武蔵介は真心を込めて、マイナと共に聖夜の歌を高らかに。宝石神の祝福が、皆に施されますようにと祈りを込めて。
「仲間と楽しくプレゼントを配って、レースにも勝てて――最高だね!」

 そうしている間に後続も次々とゴールへ咎人達が向かってくる。

「まだ追いつける。ラストスパート……!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ負けませんことよ!」
 リル、アナルデールは全く同時に好物の餌を用いた。リルは狼に生肉、アナルデールはバイクにニトロ。狼がヴォウと吼え、バイクがブオンと嘶く(?)。
「私こそが悪役令嬢ですわ!」
 ここでアナルデールが最後にとっておいた誇大する幻想とウインドブーツを発動――リルを一気に引き離すと、4位の座をもぎ取った。そのまま5位に続くのはリル、6位は六花となった。
「……ありがとう、ルドルフ」
 六花は走り切った相棒のもこもこの首回りをもふもふと撫でてあげた。

 かくして他の面子も疲労はあるが達成感のある顔で、ゴールテープを切っていく。

「……ん、楽しかった……またやりたい、かも」
「ふむ、まぁこんなもんか。中々楽しめたなー」
 甘えてくる響を抱き上げて撫でながら、遊夜は「楽しかったのでヨシ」と微笑んだ。
「ヴィゾーヴニル、お疲れさまでした」
 サヴィーノはレースを駆け抜けた大鴉の首元をもふもふと撫で、ねぎらいを。
 そんな彼らに労いと水分を配りつつ、サガルトはレースをまとめあげた。

「手に汗握る白熱のレースでした。静さんとシロさんが妨害し合っておられたら、また結果は変わっていたかもしれません。もしも彼女達が妨害に出ていれば、優勝は【喫茶】のチームだったでしょう。正々堂々戦ったからこその、今回の結果ということです。
 惜しくもランクインは逃してしまいましたが、六花さん、アナルデールさん、リルさんも素晴らしい走りでした! 改めまして走り抜いた全ての選手達に、皆様今一度大きな拍手を~!

 ――それでは第一回きらきら☆サンタレーシング! これにて閉幕です!
 皆様、メリークリスマース!」


『了』

(執筆:ガンマ)

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