しかも脳波コントロールできる!
西川 一純
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シナリオ形態
ショート
難易度
Easy
判定方法
カジュアル
参加制限
総合600以上
オプション
参加料金
100SC
参加人数
4人~8人
優先抽選
50SC
報酬
200 EXP
5000 GOLD
10 FAVOR
相談期間
3日
抽選締切
2021/04/17 10:30
プレイング締切
2021/04/20 10:30
リプレイ完成予定
2021/04/30
関連シナリオ
  1. オープニング
  2. -
  3. -
  4. 結果
  5. リプレイ
●偵察・輸送
 咎人たちのアイディアを貰ったヴェールは、早速改良型の試作品を何機か開発した。
 まずは主に白玉 纒(ma0300)、天魔(ma0247)、青柳 翼(ma0224)の三人がくれた案を複合して作られた物である。
「あたし達みたいな機械種だったら、相性よさそうっす。けど……他の人でも安定して使える様にならないともったいないっすね」
「逆に考えるといい。出力不足で攻撃できないならしなければいい。あるいは自前の攻撃力が足りなければ外部から調達すればいい」
「隠密性は良さげだし、正面じゃなく暗殺方面で考えてみるとか?」
 要は『誰にでも使えて』『攻撃せずに』『暗殺する』自動遠隔装置。
 ヴェールが出した結論はこうだ。
「なるほど、爆弾を落とすタイプにしたんだね。確かにこれならエネルギーの心配は軽減されたね」
「おぉぉ、いいっすね! こっちにあるのは偵察用のカメラっすね……偵察機も兼ねてるっすか」
「ほう……目であると同時に牙でもあると。なかなかの機能美ではないか」
「まぁこれはこれで弾切れっちゅー問題が出るんやけど、中途半端な攻撃力持たすくらいならこっちの方がえぇかなーって」
 形は真四角の立方体で、中に投下式の爆弾を3発内蔵している。
 これは事前に入れ替えが可能で、白玉の案により回復剤や食料の運搬など簡易的な輸送機の役割も持てるようにしてある。
「このカメラの映像はどうやって受信するの?」
「イニシャライズした使用者の頭ん中で見られるようにしてあるで」
「こいつ、直接脳内に……!」
「あー、それ悪用されるやつっすよ。使う人間は選ばないと、覗きや盗撮に使われるっす」
「一体何の」
「話でしょうか」
 ニヤッと笑いながら天魔と青柳を見やる白玉。
 思わず目を逸らした二人は男の子。
「覗きはともかく、これはかなりえぇもんができたと思うで。ウチは飛んでって攻撃しか考えとらんかったさかい」
「ヴェールさんって意外と脳筋っすね!」
「褒め言葉として受け取っとくわ」
 問題点があるとすれば、スピードを大幅に削ったことか。
 偵察にしろ爆撃にしろそこまで速度を重要視しないので、航続距離を取った結果らしい。
「ねぇ、博士ちゃん。この技術で遠隔操作のロボとかは作らないの?」
「いっそ思った通りに動かせるなら巨大ロボットを作るのもいいっすね!」
「……すね?」
「ごほん、巨大ロボットは男のロマンだからな!」
 青柳と天魔はワクワクしながら聞いてみるが、ヴェールは一頻り考えたあと……。
「今の技術じゃ無理やなぁ。単純命令するのがやっとなんで、両手両足なんて複雑なモンまでやっとれんよ」
 にべもなく、技術者の意見でロマンを叩き伏せるのだった。

●有線化
「しかも脳波コントロールできる!」
「それもうカグヤがやったで」
「……何!? 俺が2番煎じだと!?」
「あたしは機械ではない、任務遂行のため趣味を強化した兎っす!!」
「あぁっ!? 更にネタが削られていく!?」
「何をしに来たんだい君は?」
 次に実験するのは主に麻生 遊夜(ma0279)と透夜(ma0306)の意見を元に作られた試作品。
 白玉にも先を越されて涙する麻生を尻目に、透夜は差し出された遠隔操作兵器を装着する。
 ベルト止め形式で腕に装着し、バームクーヘンのような形の端末を飛ばして攻撃するのだが、今回の試作品は細くて丈夫な線で本体と繋がっている。
 その本体が使用者のイデアを利用する形でエネルギー供給しているため、課題の一つだった持続時間の短さは解消されたと言っていい。
「無線で出来ないなら有線にすればいい、まずは出力を上げよう」
「速度は十分、長さも充分。問題点は線を切られてしまう点だけど。無線の時でも切り払いのリスクはつきまとうからねぇ」
「うーん、機能はえぇんやけど攻撃力がイマイチ解決せぇへんかったんよ……こっちもイデア依存にすると流石に消耗がなぁ」
「先端をドリルにして、ドリルインコムってのもロマンあふれるね」
「だからドリルは取れと言ったのだ……」
「どこらへんが『だから』なのかよくわからないけど……」
「あ、うん、素で返されると申し訳ない気持ちになるなこれは」
「フッ……遊夜はエキセントリックだね」
 愛らしいカワウソのぬいぐるみがバリトンボイスで喋るさまは何だか頭が混乱してくる。
 それでも知識は人並み以上で、的確に遠隔操作兵器の解決策を模索してくれる。
「使い手のマルチタスクが最重要になりそうだけど。ある程度動きをパターン化する、ビットとは別に格納部に制御用補助AIを積むとか」
「ショートカットキーみたく圧縮言語プログラムを組んでみるか。空間をマス目としてAのaに1(移動)、Aのcに2(攻撃)……3(待機)、4(充電)とか」
 麻生も麻生で、ネタに走っているかと思えば鋭い指摘もできる侮れない人物である。
 しかしヴェールは二人の話を聞き、とんでもない事を言いだした。
「AIとか圧縮言語って何?」
「その時、俺達に電流走るっ……!」
「待ってくれ。それらを知らずにどうやってこんな複雑なプログラムを内蔵させてるんだい?」
「うん? なんかこー、えぇ具合に動く、えぇ具合に撃つ、みたいな感じでちょちょいっと。パソコンなんてメモ帳動かせればなんとかなるで」
『うそーん』
 どこまで本気か分からないヴェールの言葉に、麻生と透夜は戦慄するのであった。

●ソード&シールド
「攻撃では無なく防御に使えば、手を使用しませんから攻撃と防御を同時に出来ると思うのですが、どうでしょう?」
「例えば命が危険にさらされた時に一瞬だけビームシールドを張る、盾としての使用です」
「射撃に拘らないなら、ソードビット、シールドビットなら出力はある程度関係ない。強度は問題になるだろうけど、そこは材質次第だね」
 攻撃ではなく防御を、という意見を出した不破 雫(ma0276)、川澄 静(ma0164)、透夜モデルも見てみよう。
 亀甲型のクリスタルのような形をしており、弾は撃てないが周囲にビームシールドを展開できる。
 ヴェールは以前にビームサーベルの試作もしているので、その辺りのノウハウは研究済み。
「起動も相手の攻撃を防ぐだけなら短時間で済みますし、防ぎ終えたら直ぐに待機状態に戻せばエネルギーの節約にもなるかと」
「武器の都合で盾を持てない時もこれがあれば数回は防御してくれるというわけです」
「はー、なるほどなぁ。勉強になるわぁ」
 ヴェールの中では、自動で飛んでいく=攻撃するというイメージだったのだろう。
 これならスナイパーや二丁拳銃使いは勿論、近接攻撃型でも手を塞がず防御ができる。
 まさに現場で戦う者たちだからできる発想、といったところか。
「こちらのソードビットもなかなかだね。よくこの短期間で実体剣に浮遊機能を組み込めたね?」
「あー、それ苦労したんよ。流石に刀身部分に浮遊機能は組み込めんから、鍔と柄の部分でなんとかせぇへんとアカンかったから……」
 そう言って透夜が手にしたのは、見た目はちょっと短めのスタンダードな剣。
 手にして振るには子ども用のような感じだが、これも遠隔操作で自在に動かせる。
「わぁ、いいですね! 攻撃にも出力を回すから足りなくなるのなら、最初からそこは諦めた方がよい気がしますから」
 川澄の意志に反応して宙を飛び回る剣は、別の見方をすればホラーのようにも見える。
 しかしいざとなれば手に持って近接戦に転用できる点では、他のどの試作品より優れているとも取れる。
「あの、ヴェール様。例のアレはできましたか?」
「あぁ、できとるよ」
 川澄に問われてヴェールが持ってきたのは、完全にスピーカーであった。
 イニシャライズすれば例の如く宙を舞い、好きなところから音を流せるという仕組みだ。
「……? それでどう戦うんです?」
「アイドルとしては、野外フェスでとかで使えそうかなーって。私の歌を聴けーっ! ってやってみたいですね♪」
「まぁ、玩具に転用云々を考えるよりは現実的ですか……」
 最初は呆れ気味だった不破も、意外と戦場でも虚仮威し目的で使えそうかな等と思うのであった。

●一撃特化
「何回も撃たなければいけないなら、そもそも一回しか撃たない前提での運用はどうだろう」
「敵本体と、強烈な武器の位置が違う。それだけで考えることが増えて面白そうだ」
「持続力は下がるが、毎度指示をするのは使用者にも負担だ。ならば一回撃てば即充電という形にし、瞬間火力の増加と、指示の回数を減らすのに専念する感じだ」
 次に見るのは青柳、麻生、羽鳴 雪花(ma0345)が提案したものを纏めた一撃特化型だ。
 元々はテーブルや手のひらに乗るくらいのサイズだったが、それを大型化し一抱えもあるサイズにしてみた物である。
 巨大化したおかげで隠密性や携行性は下がったが、稼働時間や出力の向上は図れたし、全エネルギーを纏めて放つフルバーストモードの搭載に成功。
 一度撃ったらロクに飛べなくなるレベルの消費量だが、その分ゴブリンやオーク程度なら一撃で消し炭にできる威力がある。
「これもなかなかいいんじゃないかな。射出エネルギーの形を絞れるなら、貫通力が高まったレーザーとしても使えるかも知れない。面ではなく点のダメージを狙う感じだね」
「少々目立つが、このサイズを3つ同時に使えれば、有名な三段撃ちのように充電と射出のローテーションを組むこともできるかもな」
「む、長篠の戦いか。遊夜もなかなか博識とお見受けする。しかし皆、個性的な発想をする。感服だ」
 チャージ時間という問題点は残るが、強力な火砲で相手を薙ぎ払い、すかさずチャージに戻す。
 それを複数の機体で回せばチャージ時間のサイクルはかなり早めることができるだろう。
 あとはヴェールが急速充電が可能なシステムを開発できれば完璧である。
「個性的と言えば羽鳴君の案もかなりのものだと思うけどね。砲数を増やすというのは思いつかなかった」
「確かにな。銃にしろ砲にしろ『弾が出る口は一つ』という固定概念がある。それを打ち破るのはなかなか難しい」
「そ、そう褒められると面映いな。兵器開発には疎い故、精一杯意見を出してみようとした結果なのだが」
 元のサイズでも火力を損なわないアイディアとして羽鳴が提示したのは、魔力弾の射出口を増やすというものだった。
 例えば十個の砲口から魔力弾を放てば単純計算で威力は十倍であり、高出力砲とはまた違った強みがある。
 言うなれば一発限りの使い捨てショットガンのような感じか。
 まぁ、あれも口自体は一つなので厳密には違うが……。
「はー、聞けばなるほどと思うけど作っとる最中には思いつかんもんやなぁ。ウチも咎人の端くれなら戦いに行くことも必要なんかな……」
「いやいや、無理に戦いに行っても無駄死にするだけだよ。博士ちゃんの記憶が飛んじゃったら発明品をメンテナンスできる人がいなくなる」
「左様。我らには我らの、ヴェールにはヴェールの戦いがある。こうして意見を求められれば力にもなれよう」
「青柳はん……羽鳴はん……おおきにな」
「む? 遊夜はどうした」
 感動するヴェールに対し、麻生が話に入ってこないことに違和を感じた羽鳴が辺りを見回す。
 すると羽鳴案の砲口を増やした試作品をくるくる回しながら、ブツブツ言っている麻生が目に入った。
「なるほど……こうやって回転しながら撃てば月艦隊を……フハハハ……怖かろう!」
「……放っておこう」
「……そうだな」
「……せやな」
 満足げな麻生を残し、次の試作品披露に移る三人だった。

●ミサイル
 さて、これまで見てきた試作品の中でも一際異色なのがこれ。
 八面体の形をした物体で、砲口もないただのオブジェのようにも見える。
「失礼かもしれぬがいっそ、これ自体を爆弾にし、突っ込ませるか?」
「一機の当たりの単価が安ければ、使い捨ても可能でしょうか?」
 実際は羽鳴、不破、天魔の意見を参考にした自爆特攻兵器で、思念で操作し相手に接触させて大爆発を起こすミサイルじみた代物だ。
 目的のために出力を移動に全振りしており、機動力・運動性共に他の試作品を圧倒する。
「ファンネルミサイルいいっすね! 簒奪者の犯した過ちは咎人が粛清するっす! なんなら嬢ちゃんが以前テストを依頼したビームサーベルを飛ばすのもありっすね~! いけよっす! ファングっす!」
「……す?」
「ごほん、どちらにしろ使い捨てにする事になるのでコスト面がネックだな」
「先程から思っていたのだが、天魔は普段無理をしているのではないのか?」
「無理だと? フッ、少々茶目っ気を出しただけでそのように思われるのは心外だな」
 心躍る遠隔操作兵器たちを前に素が出やすくなっている天魔は、上げたテンションを引っ込めようと必死である。
 まぁこれまでの言動でだいたいバレているのだが、彼にもイメージというものがあるのだろう。
「咎人の武装は基本的にイデア体やから、一度使用者と紐付けしてしまえばエンブリオに帰還する度に補充できるで。つまりはコストはあってないようなもんや」
「マジっすか!? じゃあファンネルミサイル百連発とかできるっすか!?」
「また素が出ていますよ」
「ごほん。能ある鷹はミサイル隠す。これを大量に所持して爆撃専門という新たな役割も確立できそうだな」
 コロコロ表情が変わる天魔は見ていて飽きないが、ヴェールの表情はあまり明るくない。
 実はこれには欠点があり、相手に着弾した後『爆発しろ』と念じないと爆発しないのだ。
「あー……確かに、何でもかんでもぶつかった途端爆発するのでは危なくて仕方ないか……」
「準備段階でうっかり落としたりぶつけたりしたら味方を巻き込んで誘爆、では困りますからね。爆発の仕様上、作戦そのものを台無しにする可能性があります」
「せやから念じないと爆発せんようにしたんやけど、それはそれで使い勝手が悪ぅてな……」
 あちらを立てればこちらが立たず。兵器開発というのはなかなか難しいものである。
「では私が提案したファングはどうだ? あれならばぶつかればいいだけだから話が早い。実体剣のソードビットよりも殺傷力は高いぞ」
「それも作ってみたんやけど……試してみる?」
 そう言って円筒状の物体を取り出すヴェール。
 天魔がテンションを隠しつつイニシャライズすると、ダガーのような短いビーム刃が発生し宙を舞う。
「フッ……見るがいい。これぞ我が神威、光刃円舞! ……お? おぉぉ……?」
「飛ばす上にビーム刃出しっぱなしやからめっちゃ消耗するで」
「そ、それを先に言ってほしかった……っす」
 がくりと膝をつく天魔に、思わずため息を漏らす羽鳴、不破、ヴェールであった。

●番外編
「む? ヴェール、あれは?」
「スピーカーポッド……とも少し違いますね?」
「あたしたちのアイディアの中にこんなのなかったすよね?」
 これまで様々な試作品を見てきたが、作業机の下に隠すように置かれた物を見つけた羽鳴、川澄、白玉がヴェールに問いかける。
 見た目はスピーカーに近いが、かなり大型で真四角。
 ヴェールは少しバツが悪そうな顔をすると、失敗作やと言って手をひらひらさせた。
「失敗作と言っても完成しているから置いてあるのだろう? どのような武装なのだ?」
「良く言えば全部乗せや。貰ったアイディア全部ぶち込んでみたんやけど、こらアカン」
「ぜ、全部ってまさか……」
 顔をひきつらせる川澄。引き気味の羽鳴。覚悟を決めたようにヴェールは吐露する。
「箱ん中に物を入れられて、プラグを繋げば有線化もできて、正面にビームシールド張れて、念じれば爆発させることもできる。勿論スピーカーとしても使えるし、魔力を変換してソニックブラストとして一撃特化運用もできる」
「……船頭多くして船山に登るというか……」
「あ、あはは……キメラと言うかなんと言うか、その、多機能なら良いというものでも……」
「いいっすね、こういうので可能な事を模索するのは楽しいっす!」
 白玉はポジティブに受け止めているが、羽鳴と川澄はわりと精神に来るダメ出しをする。
 ヴェールも分かっていたから隠しておいたのだが、全部やってみたら強いんじゃね? は研究者のサガなのである。
「分かってる。ウチもよぅ分かっとる。実際テストしてもどれも中途半端になってしもた。やっぱり一芸特化のほうが結果が出そうやなぁ」
「あたしは好きっすけどね? なんでもできたほうがオトクっす!」
「白玉はんはえぇ子やね……」
 はらはらと涙を流すヴェール。しかしその優しさが逆に辛かったりもする。
 と、そんな時だ。
「あ、そうだ。余計なことは一切考えずに、全出力をスラスターに回して相手にぶつけるっていうのも良いかもですね♪」
 挙手しながら言う川澄の言葉に全員の目が点になる。
 用法から考えるとミサイルに近いが、爆発という機構すら搭載する必要のないシンプルな構想。
 超高速で重金属を質量弾として叩きつけ、コントロールも自在ならそりゃあ強い。
 今までのアイディアもそれぞれに利点があり、突き詰めれば充分採用できそうだが……。
「やはり暴力……! 暴力は全てを解決する……!」
「あぁっ!? ヴェールさんが壊れたっす!?」
「そこに気づくとは……やはり天才か」
「羽鳴さんも納得してないでヴェールさんを取り押さえてくださいっす!?」
 努力家では真の天才には敵わない。
 一頻り暴れた後、ヴェールはしばらく寝込んでしまったという―――
「私、何かやっちゃいました……?」

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